待ちに待ったミュージカル『ロミオ&ジュリエット』を観に大阪行ってきました!
フランス発のミュージカルで、初演の時からずっと観てきた大好きな作品です。「ロミオ&ジュリエット」ってシェイクスピアの有名な戯曲ではありますが、シェイクスピアにちょっと苦手意識があってまともに読んだことがなくて…ストーリーの全貌はこのミュージカルを見て初めて知った口です。バルコニーでのシーンやラストの哀しい結末など断片的な部分しか記憶になかったのでwwこのミュージカルを見てやっと「こういう話だったのか」と納得した次第。
ちなみに「ハムレット」もミュージカルでやっと全貌を掴んだ口ですw(←こちらはチェコ発のミュージカルで音楽がとても素晴らしかった。ぜひ再演してほしいです)。
この作品の大きな見どころの一つが音楽だと思います。めっちゃカッコいいです!!どちらかというとポップロック的な、見ているこちらも思わず乗ってしまうようなナンバーが多くて身構えずに見ることができるのが魅力です。さらにバラードの旋律の美しさも素晴らしい。特に「エメ」は名曲ではないでしょうか。まるで聖歌を聴いているかのような気持ちになります。
そして、主要登場人物に均等にソロナンバーがあるっていうのも魅力ですね。歌える役者さんが多数配役されているので聴き応え十分。それぞれの物語がソロナンバーによって浮かび上がってくるのでいろいろ感情移入しやすいと思います。
大阪公演は珍しくちょっと長く上演してくれて。本当はもう1回くらい遠征したかったのですが結局諸々の事情で1日のみ。でも今回はマチソワ(昼と夜公演)観劇でほぼ両キャスト見れたのでよかった。大貫さんだけ観れなかったのが残念でしたが、トークショーで見れたのでこれで全制覇ってことにw。
効率的に両キャストを見比べることができたので充実したロミジュリ観劇となりました(個人的にマチソワはちょっときついのであまりやりたくないのですが)。
以下、ネタバレを含んだ感想です。
2017.02.25マチネ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)
主なキャスト
- ロミオ:大野拓朗
- ジュリエット:生田絵梨花(乃木坂46)
- ベンヴォーリオ:馬場徹
- マーキューシオ:平間壮一
- ティボルト:広瀬友佑
- 死:宮尾俊太郎(Kバレエカンパニー)
- キャピュレット夫人:香寿たつき
- キャピュレット卿:岡幸二郎
- 乳母:シルビア・グラブ
- ロレンス神父:坂元健児
- モンタギュー卿:阿部裕
- モンタギュー夫人:秋園美緒
- パリス:川久保拓司
- ヴェローナ大公:岸祐二
全体感想
まず驚いたのが劇場外に並ぶ当日券を求める人の列。開演1時間前から発売されていたようですが、かなり早い時間から列ができていました。ちょうどこの回は乃木坂46の生田さんが出演するということもあってか男性の方の数も若干多めだったかも。
で、結局、3分の2くらい列が進んだあたりのところでチケット完売のお知らせが出てしまい…断念して帰る人の姿が。競争率高いチケットの上に人気者キャストが重なるとやはりチケット戦線は厳しいことになるんだなってことを実感しました。遠征者にはなかなか当日券は恐ろしくてチャレンジできない。前売りで何とかゲットできてよかったです(汗)。
もう一つ驚いたのが休憩時間のトイレ行列。ほとんどの場合は女性の方がすごい列になるわけですが、この回は男性トイレ前にも結構な列ができてました。梅芸で男性トイレ前に行列できた光景見たの初めてだったかも。
客席にもいつもに比べて男性の姿がちょっと多め。私の隣に座った若い男の子たちも「生ちゃんが」ってワードがやたら出てきたので生田さんファンだったと思われます。
それから、もう一つ驚いたのがロビーのお花の数です!
人気者が揃うと、花の数がハンパないですね、ほんと!!大阪公演が開けてすぐのころに行ったこともあり、お花も元気でトイレの中にまでその香りが届いていたほどです。銀英伝観に行った時以来だったかもなぁ、ここまでの数は。
公演についての感想ですが、久し振りに観たってこともあってすごく新鮮に感じました。セットは今までと同じく鉄筋を組んだ近未来的構造でしたが、ロミオの登場シーンが客席からになっていたり、仮面舞踏会シーンでは階段が1つになっていたり(確か以前は2つの階段使ってた気がします)・・・ちょこちょこ変わっていたように思います。
携帯電話(スマホ)が登場してくる設定は変わらず。ここに違和感持つ人も中にはいると思うんですけど(正直言うと私もちょっとまだ受け止めきれてない部分はあるかも)、時代背景が近未来的世界での出来事ってことなのでそこは割り切って見れば楽しめるんじゃないかと。
演出について一番印象的だったのが冒頭ですね。黒い帽子に黒い装束を纏った「死」のダンサーが舞台中央で静かに舞を始めるのですが、その後ろでは今なお世界で繰り広げられる戦争の映像が流れているのです。戦があればそこには「死」の影が常に付きまとう。
その世界観がこれから始まるこの物語にも当てはまるのだというプロローグ的な演出にハッとさせられました。まさにそこに向かってストーリーが進んでいくわけです。でも、そんななかでもロミオとジュリエットの恋物語はその哀しい結末の中に咲いた美しい花のようで…悲劇なんだけど希望でもある。「死」が二人の愛の力に敵うことなく破滅するラストはとても印象的でした。
「死」のダンサーについては「ダンスオブヴァンパイア」に出てくるクロロック伯爵の分身のように見えることがちょいちょいありましたね。特にラストシーンはなんとなく墓場で歌うクロロック伯爵のシーンと少し被って見えたかも。
面白かったのがロレンス神父とロミオのアドリブ(?)なやりとり。サカケンさん、大野ロミオにはシャンプーハットを未だに使ってるんだって?みたいなネタを延々ぶつけてたなww。大野くんのロミオはどこかちょっと幼い感じがあったのでイジりがいがありそうなのでサカケンさんがグイグイいきたくなる気持ちはなんかよく分かった。大野くんも開き直ってシャンプーハットまだ使ってますから~!みたいに応戦しまくってたけどww終始サカケンさんに圧されていた印象でした。
舞台終演後、隣に座ってた生田さんファンらしき男の子たちがちょっと涙をぬぐって「またミュージカル見にきたい」って話してたのを聞いたとき本当に嬉しかった。
主なキャスト別感想
大野拓朗くん(ロミオ)
初めて大野くんを舞台で観たのが2012年のミュージカル『エリザベート』。ルドルフ役を本当に必死に一生懸命演じてる姿が印象的で、歌もすごい伸びしろあるしまたチャレンジしてほしいなってずっと思ってました。私、どちらかというと好きだったんです、大野くんのルドルフ。でもその後は映像の仕事が多くなって、もう舞台出るのはやめたのかなって少し残念に感じていました。それだけに、今回再びミュージカルに戻ってきてくれたのがとても嬉しかったです。
まず驚いたのが歌唱力の進化。4年前のルドルフの時よりも歌声に力強さや伸びがあって安心して聴くことができました。きっとすごく頑張ったんだろうなぁって思うとなんだか胸熱…。特にソロで歌う「僕は怖い」のナンバーは切々と訴えてくるものをすごく感じてとても感動的でした!
大野ロミオはとても純粋で天真爛漫、感情が表に出るタイプ。何人もの女を泣かせてきたっていうキャラとはちょっと違うかもしれないけど(笑)皆から愛されるキャラというのはすごくハマってました。ジュリエットとの出会いのシーンの鮮烈さは大野ロミオの方が強く感じたかもしれません。一目で恋に燃え上がるロミオの気持ちがすごくストレートに伝わったので。
あと、ティボルトを刺してしまった後の怯え泣きじゃくる大野ロミオはまるで小さな子供のようで見ていて胸が痛んだなぁ…。あのちょっと幼さの片鱗が見えるところが個人的にすごく萌えたりもしました。
「死」との関係は大野ロミオの場合は結果的に引き寄せてしまったって印象だったかな。「死」の存在から逃れようと必死になってきたけど、ついに最期は囚われてしまったという感じ。だから何だか見ていてすごくラストは哀れだった…。だけど、ジュリエットを想う真っ直ぐで純粋な気持ちが「死」への恐れに打ち勝つ芝居は胸を打つものがありました。
ロミジュリは世界一大好きなミュージカルだって言ってた大野くん。またぜひロミオ役として戻ってきてほしいです。
ちなみにカーテンコールでは『エリザベート』のマイヤーリンクでのワンシーンを再現してくれてました。あ、大野ルドルフ!って懐かしく思い出しちゃった
生田絵梨花さん<乃木坂46>(ジュリエット)
AKBのライバルとして登場したアイドルグループ乃木坂46のメンバーの生田さん。うちの主人がアイドル好きでその手の番組はほとんど録画したり見たりしてることもありwww私も彼女の存在は知ってました。が、歌えるのかどうかが未知数で…(最近のアイドルって歌が不安定な子が多いし 苦笑)ダンナに確認してみたところ、「音楽一家に生まれたみたいだから音感は良いほうだと思う」という考察が。期待半分不安半分で生田ジュリエットを見てきました。
声はすごく良かったです。なんだろう…今までのミュージカル女優さんにはないようなちょっと深みのある優しいソプラノって感じ。聴いているとすごく癒される声を持っているなぁというのが第一印象でした。歌も、思っていた以上にしっかり歌えていたし、なかなかの好印象。
あと、やはりアイドル活動をしているということもあってか、すごくキラキラしてロミオを惹き付けるだけのオーラがすごいありましたね。とにかく笑顔が可愛くて眩しい。清純派ジュリエットの雰囲気にはすごく合っていたと思います。
ただ、少し気になったのがセリフの部分の時の表情の乏しさ。歌声はすごく良いんだけど、セリフに乗せる表情が何だかちょっと単調だった気が…。大野ロミオがすごく感情を表に出すタイプだったのでなおさらそう思ってしまったのかもしれません。古川ロミオとの方がもしかしたら相性は良かったのかも?
でも、それにしても、やっぱりもう少しセリフに感情乗せてほしかったし表情も出してほしかった気がします。これがミュージカル初挑戦ということなので、次のレミゼではそのあたりもう少し改善して頑張ってほしいところです(レミゼはセリフほぼないけどね)。
それにしても、ジュリエットってけっこうロミオとのラブシーン多いんですよねw。ファンとしては少し複雑なシーンもあったのでは?と少し余計なお世話的な考えがよぎっちゃいました。
馬場徹くん(ベンヴォーリオ)
ロミオの親友・ベンヴォーリオ役の馬場君。馬場君といえば「ダンスオブヴァンパイア」でチャレンジしたヘルちゃん役が思い出深いんですけど(笑)、今回はロミオを優しく受け止める役がとても印象的でよかったです。喜怒哀楽が表に出やすい大野ロミオをいつもハラハラしつつも温かく見守る馬場ベンヴォーリオ、こんな友達傍にいてほしいなって思えるキャラでした。
特に印象的だったのがティボルトをロミオが刺してしまった後のシーン。泣きじゃくる大野ロミオを優しく抱き留めてなだめていた姿がすごく感動的でウルウルきました。
平間壮一くん(マーキューシオ)
激しい気性の持ち主のマーキューシオを平間君が大熱演!平間君といえば、数年前に見た『RENT』でのエンジェル役がとても印象的だったので、あまりのギャップに最初ちょっとビックリしました。こんな激しい役もこなせるんですね~。
こんな人に睨まれたら一巻の終わりって思っちゃうほど眼光が鋭く、特にティボルトと相対しているときのギラギラっぷりはゾクッとさせられました。
死の間際にロミオに本心を打ち明けるシーンは感動的です。平間マーキューシオは激しいんだけどどこか心の中に寂しい影も感じていたりしたので…ああいう瞬間でしかその本心を語れなかった哀しさみたいなのが伝わってきてとても切なかった。
広瀬友佑くん(ティボルト)
広瀬君はこれまでいくつか舞台で観てきましたが、今一つ印象に残らないかもって思うことがあったんですよね…。それが、このティボルト役で変わりました!!鮮烈でした、広瀬ティボルト!「いつキレるか分からない危ない男」っていう大公の表現がぴたりと当てはまるような妖しさがあったし、男の色気があって見ていてドキドキしてしまう。キャピュレット夫人がコロッと彼に落ちてしまうのも納得です(笑)。
広瀬ティボルトは一匹狼的な印象が強く、他人とあまり関わろうとしない印象がありました。いつもどこか冷たい目をしていて満たされない想いや孤独といった感情が見え隠れしている。そんな彼が唯一心を許していたのがジュリエットということで…でもジュリエットはティボルトに恋愛感情を持たないんですよね。これ本当に切ない。この作品の中ではあまりティボルトとジュリエットの関係のシーンが描かれていないんですけど、広瀬ティボルトでもっとこの二人の関係を観たかったな~と思ってしまいました。ロミオ以上に感情移入しちゃいそうですけどw。
予想外に好印象だったので、帰りに写真買ってしまった(笑)。
宮尾俊太郎さん<Kバレエカンパニー>(死)
マチネもソワレも宮尾さんの「死」のダンサーだったわけですが、さすがバレエダンサーですね。その動き一つ一つの表現力が本当に素晴らしかったです!動きにドラマが見えてきましたから。
最初の方は影でそれぞれのキャラを静かに眺めながらじりじりと寄っていく感じ。印象的なのはやはりロミオとジュリエットの結婚式シーンですね。上から眺めているんだけど確実にこの二人をロックオンしたなっていうのが伝わってくる怖さがありました。
薬売りで具現化したときの艶っぽさも絶品でしたが、ラストシーンで十字架の上でもだえ苦しむ動きは圧巻…。ロミオとジュリエットの行方を見守りながらもどうしても目が行ってしまうという存在感を発揮していた宮尾さん、さすがでした。