ファントム楽の大阪から東京へ移動し、ミュージカル『スクルージ』を観に行ってきました。この作品が2019年最後の観劇となります。
この『スクルージ』を以て、2019年の観劇納となりました。そういえば今年の始めにも日生劇場来たなぁ(ラブ・ネバー・ダイ)。あの時も市村さんだったっけ。一年が過ぎるのがあっという間すぎてビックリします(汗)。
『スクルージ』は1994年から再演されている作品ですが、私は97年バージョンから毎回上演されるたびに観に行っています。本当なら毎年この時期に上演してほしいほど大好きで愛しい作品。
今度こそ関西に来てくれるかと期待していたのですが、やっぱり東京止まりということなのでけっこうタイトなスケジュールではありましたが遠征ということになりました。でもやっぱり地方公演もやってほしいよ~!ほんとに良い作品なので多くの人に見てほしい。
クリスマスシーズンということで、日比谷の街が光のロードとなっていてとても奇麗でした。日生劇場の入り口にも巨大クリスマスツリーが出現!ここ最近はほとんどクリスマスらしい気持ちになることがなかったので、ようやくその気分に浸れた感じw。
これまでの「スクルージ」感想一覧
以下、ネタバレ含んだ感想です。
2019.12.17 マチネ・ソワレ in 日生劇場(東京・日比谷)
主なキャスト
- エベネザー・スクルージ:市村正親
- ボブ・クラチット:武田真治
- ハリー / 若き日のスクルージ:田代万里生
- イザベル / ヘレン:実咲凜音
- トム・ジェンキンス:畠中洋
- ジェイコブ・マーレイ:安崎求
- クラチット夫人 / 過去のクリスマスの精霊:愛原実花
- フェジウィッグ夫人:今陽子
- 現在のクリスマスの精霊:今井清隆
- ティム:川原瑛都(マチネ)・鳴海竜明(ソワレ)
ティム役の子役はWキャスト。鳴海君は今回が初舞台だそうです。
前回公演の時にティムを演じていた加藤憲史郎くんは今回はクラチット家の長男として出演。少年時代のスクルージ役もこなしていてすっかり顔つきも大人っぽくなって驚きました。子供の成長は本当にあっという間ですなぁ。
あらすじと概要
原作は、チャールズ・ディケンズによる小説「クリスマスキャロル」。1970年に映画化されたものをベースとして、1992年にレスリー・ブリッカスが映画に続き脚本・作詞・作曲を手掛けたものが初演されました。
日本では1994年に初演され、市村正親さんが主役を演じ続けています(一時だけ三田村邦彦さんがスクルージ役になっていたようですが)。94年から99年までは劇団ひまわりが制作、その後しばらく間が空いて2013年からはホリプロ制作となり今に続いています。
94年の初演時には翌年の神戸公演中に阪神淡路大震災が発生し公演中止となってしまったことがありました。それ以来関西には一度も『スクルージ』が来ていない模様…。そろそろ来てほしいなぁ。ドラマシティか兵庫芸術あたりがすごく合うと思うんだけど…。
簡単なあらすじは以下の通り。
19世紀半ばのロンドン。クリスマス・イブを迎えた街は賛美歌が流れ、陽気な賑わいを見せていた。しかし、金貸しを営むスクルージはひたすら不機嫌だ。クリスマスなんか大嫌い。金、金、金!ドケチな彼は今宵も借金の取り立てに勤しみ、献金を拒み、人々に嫌われるばかり。
そんな彼のもとに深夜、かつての親友の亡霊とクリスマスの精霊たちが現れた。彼らはスクルージを過去、現在、未来の旅へと連れていく。幼い頃の楽しかったクリスマス、愛する人との幸せな日々と別れ、身近な人々の慎ましい暮らし、そして思いもよらない未来の自分…。クリスマスの朝、スクルージは新たなスタートを決心する。
夢と希望、愛を胸に街へ向かい、おもちゃや七面鳥、「借金帳消し」のクリスマスプレゼントを人々に贈る。大切な人と心からクリスマスを祝うスクルージは、幸せな笑顔に満ちていた。公式HPより引用
頑固で人嫌いだった偏屈じいさんのスクルージが、かつての親友で今は亡きマーレイの忠告や3人の精霊たちの導きによって人生を見つめ直し変わっていく心温まるストーリーです。
子供にも優しい内容となっていますが、個人的にはこのギスギスした世の中を生きる大人の人にこそ見てほしい作品だと思っています。
全体感想
『スクルージ』が日本で初演されたのは94年ですが、私が初めてこの作品に出会ったのは97年でした。どちらかというと子供が多く出てくるミュージカルはあまり好みとしなかったのですが、市村さんの作品が観たくて行ったというのが入り口。
それが、実際に見てみたら予想外の大号泣をしてしまいまして…!!まさかあんなに心が震えるとは思ってなかったのでとても大きな衝撃を受けました。以来、上演が決まるごとに通い続けています。99年公演後の約14年間の空白はとてつもなく長く感じて不安に思いましたが、ホリプロさんが引き継いで上演を重ねてくれるようになって本当によかったです。
もう何度も見ている作品なので、頭の中にキャラクターの動きやセリフが自然と同じタイミングで浮かんできてしまうほどだったw。特に偏屈時代の市村スクルージの動きは「次にこう出るな」ってところが分かっちゃってww。でも、分かっているのにやっぱり可愛らしく見えるし、なんだかとてもホッとするものがあるんですよね。
セットは初演時代からほとんど変わっていないそうです。少なくとも私が初めて見た97年当時のものからセットも衣装も変わった印象はありません。
再演を重ねるなかでセットや衣装を一新させている作品が多いなか、こういった”初演当時のままの空気”をそのまま受け継いでいるという意味でも『スクルージ』はとても貴重な存在だなと思います。
今回は約4年ぶりの再演となりましたが…もう、冒頭の♪クリスマスキャロル♪のナンバーが始まった瞬間から感極まってしまって涙が…!!その時点で、私も年を取ったのかなぁと実感してしまいました(汗)。いや、なんか、あの旋律と美しいハーモニーが聴こえてきただけで心の中に温かいものがジワ~~っと広がっちゃってねぇ。前はこんなに早く涙してなかったんだけどw…もしかして心が寂しいんだろうか、自分(汗)。
スクルージは最初は超冷血人間で、街の人たちから大いに嫌われています。金貸し業をしてることが嫌われ要素になっているように思われがちですが、本当にダメなところは”借金するたびに法外な額の利息をつけていた”ことだと思います。今でいう「闇金」に近いことやってたってとこでしょうか(苦笑)。
それに加えて”子供嫌い”、”寄付には見向きもしない”、”他人に対して冷酷”っていうのが加わってさらに嫌われることになってしまっている。まじめに働く事務員のボブ・クラチットの給料を長い間一度も上げないというのもひどい話。今の世で言う「ブラック企業」ってやつ(苦笑)。
そんな彼のもとにかつての相棒で親友だったマーレイの亡霊が忠告しにやってくる。マーレイは生前の行いがスクルージと似たようなことをやっていたということで全身に鎖を巻かれてしまった状態で苦しんでいました。
マーレイの存在を信じようとしないスクルージに歌う♪精一杯、この世で生きろ♪では巨大な亡霊も登場してきて視覚的にも面白いのですが、今回ちょっとこのナンバー、さらにポップな雰囲気になってたかも。最後の「もっと、もっと、もっと!!」のところ、安崎マーレイはまるでラップのDJみたいな雰囲気だった(笑)。
そしてマーレイが予告したとおりに三人の精霊がやってくる。
その1人目の過去の精霊が見せる光景が…これがめちゃめちゃ泣けるんですよ(涙)。
スクルージの貧しく寂しい少年時代から始まり、青年期の初恋エピソードが出てくるんですが…切なくてたまらんです、ほんとに。
かつてスクルージには心から愛したイザベルという女性がいて二人の心の距離が少しずつ近づいていくシーンが出てきます。その様子を見ていた現在のスクルージが胸詰まる想いで青年スクルージの背中を押してイザベルとの距離を一気に縮める。この時歌われている♪しあわせ♪というナンバーが本当に切なくて切なくて、今回もボロ泣きしてしまいました(涙)。
愛し合っていたはずの若き日のスクルージとイザベルでしたが、スクルージが金貸し業に没頭するようになってから心の溝が生まれてしまいイザベルは別れを告げて出ていってしまいます。「私の存在はお金よりも軽い」と告げたイザベルに対して何も言葉を返せなかったかつての自分を目の当たりにしたスクルージは激しい自責の念に襲われてしまうのです。
精霊の制止も聞かずに「今でも変わらずに愛している!」と叫ぶスクルージの場面は涙なくしては見れません。そしてついに追いかけることができなかったかつての自分と共にイザベルへの愛を歌う♪君…君…♪がこれまた胸を締め付けられる切ないナンバーで号泣(涙)。特に、彼女から返された婚約指輪を今現在も大切に首からかけていたスクルージの姿は本当に胸が詰まります…。
さらに、過去の精霊が別れの間際にスクルージに自分の正体を明かすシーンが切なすぎます!!これまでずっと「一人がいい」と言い続けてきた彼が「行かないでくれ」と精霊に縋り付いて泣くんですよ…。スクルージの孤独な心が露呈する場面でもあり、ここも涙なくしては見れないです。
二人目の現在の精霊は巨大クリスマスと一緒にドドーーンと派手に登場。この時のスクルージの反応がなんとも可愛らしくてついつい吹き出してしまいます。ひたすら明るく前向きな第二の精霊の豪胆さが見ていてとても清々しく見ているこちらもハッピーな気持ちになってくるのがいい。
毎回見るたびに思うんだけど、精霊が注ぐ「幸せのしぼり汁」が本当に美味しそうなんだよねぇ(笑)。私のイメージだとイチゴミルクみたいな感じなんだけどw。これをまた市村さんが実に美味しそうに飲み干す芝居をするものだから、いつも羨ましく感じちゃう(笑)。
現在の精霊はさっそく街に繰り出すわけですが、1幕ラストのクリスマスのにぎやかで平和な温かい雰囲気がこれまた胸に沁みて思わず感極まって涙ぐんでしまった。私ホントに、心が寂しいのかなぁ(汗)。
そして最大の見どころが、市村スクルージのフライング。今回も見事に飛んでました!市村さんの年齢であの飛びっぷりは本当にすごい!その姿を泣きながら見てたのって私くらいじゃなかっただろうか(汗)。
こんな感じで現在の精霊は1幕は本当に楽しいシーンで終わるんですが、2幕に入ってすぐにボブ・クラチット家の様子を見に行くことになるわけで…これがまた泣けるんですわ(涙)。
ボブの家は子だくさんで、少ない給金のなかでもにぎやかで幸せなクリスマスパーティーの準備が行われている。そんななか、足にギプスをはめながらも健気に笑顔を見せる末っ子ティムが帰ってきたことにスクルージは驚きを隠せませんでした。ティムとボブ一家が歌う♪美しい日♪のナンバーは優しく切ない旋律がどうしようもなく心を震わせます(涙)。
「あの子はどうなるんだ?」と気に掛けるスクルージでしたが、精霊は「そんなことお前には関係のないことではなかったのか?」と言い放ち、貧しい人に対してスクルージが吐き捨てた「無駄飯食いの数が減る」という言葉をそのまま彼に返す。この時スクルージは初めて、自分がいかに冷酷な言葉を吐いてしまったのかを思い知るんですよね…。
ティムはこのまま医者に診せなければ長い命ではない。ボブの給料を上げないばっかりに医者へ行くこともできず彼が苦しんでいたことをスクルージは目の当たりにして心が痛んでしまうのです。
でも、クラチット家のやりとりでは面白いシーンも。私は特にクラチット夫人が「スクルージさんに感謝を」と告げたボブに「あんな人に感謝をするなんてどうかしている!!」と食って掛かるやりとりが好きです。
ボブはスクルージからこれまで冷たい扱いしか受けていないし、給料も8年もの間据え置きのままだっていうのに「このお金はスクルージさんが払ってくれたものだ」って感謝しちゃうんだから、そりゃ、奥さんが「何言ってるの!?」と反論したくなる気持ちはよくわかる。
で、それをスクルージがそばで聞いちゃってるわけで(笑)。夫人はスクルージの姿が全く見えてないもんだから言いたい放題ww。でもこれが、クライマックスの伏線にもなるんですけどね。
さらに精霊はスクルージの甥のハリー家にも連れ出すことに。ここでは楽しいクリスマスパーティーが繰り広げられようとしていますが、ハリーはその前に「スクルージ叔父さんの健康に乾杯」と嬉しそうに声を上げて顰蹙を買っていた。特に親友のトッパーは「毎年その宣言にだけは賛同しかねる!」とご立腹。それは仲間たちも同じで、みんな一斉にテンションが下がっちゃう。それを目の当たりにしてるスクルージの反応が面白いんですがw。
それでもハリーは「僕はスクルージ叔父さんが好きなんだ。あの体の中には外に出たがっているもう一人の男がいるに違いない」と主張を曲げない。ハリーはスクルージの愛した亡き妹の息子です。だからこそ、どんなに邪険にされても叔父を嫌いになることができないんだろうなと思います。その気持ちがなんだか泣ける…。
その後気を取り直して楽しい宴が始まり、見えていないながらもスクルージはその時間を大いに楽しみます。そして終わりの時間が来た時、ハリーの友達に優しい挨拶の言葉を投げかける。以前のスクルージには考えられなかった行動で、それを見ただけでなんだかとてもジーンときてしまうのです…。トッパーに対する態度だけは他の人と違って「お前は嫌いだ」ってデコピシャしちゃうんですけどね(見えない相手に叩かれて動揺するトッパーが面白い 笑)。
帰り際、ハリーの妻を見たスクルージはハッと息をのむ。彼女は、かつて自分の過ちで去らせてしまったイザベルにそっくりだったのです…。このシーンも泣けるんだよなぁ(涙)。
現在の精霊との別れの時間が近づいたとき、スクルージは「まだ話したいことが山ほどある!」と必死に引き留めようとしますが、「やりたいことをすべてやる時間などあったためしがない。だからこそ今を精一杯生きることがコツなんだ」と言い残して消えてしまいます。この最後の言葉はとても心に刺さりますね。自分は今を精一杯生きているのだろうかと思わず振り返りたくなってしまう…。
一人残されたスクルージが「わしを一人にしないでくれ、どうしてこんなに暗いんだ…」と泣きながら歌う♪よりよい人生(リプライズ)♪は涙なくしては聴けないです…!思い出すだけでも涙があふれてしまいます(涙)。
そして三人目の未来の精霊は骸骨の顔をして何も言葉を発しないままスクルージに未来の世界を見せに行く。
目に飛び込んできたのは、予想に反して自分を嫌っていたはずの街の人たちが笑顔でスクルージに感謝の言葉を叫んでいる光景だった。スープ屋のトム・ジェンキンスが先頭きって歌う♪サンキュー・ベリー・マッチ♪は聴いているだけでも心がウキウキしてくるような楽しいナンバーです。そんなみんながハッピーになるようなことを自分はやったのかとスクルージは大喜びして一緒に歌うのですが…それは彼が思うのと全く違う意味で歌われているということが客席に見せつけられるのです。
楽しい曲調とは裏腹に、この場面で歌われる♪サンキュー~♪はとても残酷な意味を成しています。でも、それをスクルージは知らないままでいる。それがなんだか見ていてすごい複雑な心境にさせられちゃうんですよねぇ、毎回。スクルージが「わしへの感謝は控えめに!」とか調子乗ってるのをみるとなおさら辛くなる。
この場面、前回までは町の人たちがけっこう乱暴にスクルージの家のものを奪い取ってた演出だったと思うのですが、今回見たらみんな行儀よく整列して一つ一つ持ち出してたのでw、ちょっと見え方もソフトになったなという印象でした。
街の人たちの喜びの本当の意味を知らないままのスクルージは心が満たされていたのですが、その直後に見せられる未来の光景に大きなショックを受けます。クラチット家には、もうティムの姿がなくなっていた…。ボブは墓地で泣き崩れている。もう、この姿を見ただけでも号泣です(涙)。
そして、その後ろの墓石を精霊が見せたとき…、スクルージは初めてなぜ街の人たちが喜んでいたのかを思い知ることになる。
さらにスクルージのもとにはマーレイが再び現れて彼よりもさらに巨大で重い鎖をかけてあざ笑う。スクルージの未来はお先真っ暗状態だったのです。
激しく悶えうなされていたスクルージが目を覚ました時にはクリスマス当日の朝が来ていました。「まだ間に合う」と心を入れ替え生まれ変わった気持ちで歌う♪もう一度始めるぞ♪も涙なくしては聴けません!!3人の精霊たちと辿った時間を経て人生を生き直す決意を歌うスクルージの清々しい姿は本当に感動的で心が震えます。
さらに「始めるぞ!変わるんだ!!」と歌うスクルージを、過去の精霊と現在の精霊、そしてマーレイが優しい笑顔でそれを見守ってるんですよ…。もう、それでさらに涙腺大決壊です(号泣)。マーレイはこれがきっかけであの鎖から解き放たれればいいなと毎回思います。
自分の財産を手に街に繰り出したスクルージは子供たちに配るプレゼントを買い占め、クラチット家に贈るためのドでかい七面鳥を購入する(これを買う子役さんがユーモアある芝居で面白かった)。さらに街の人たちの借金まで帳消しにしてしまうスクルージにみんなびっくり仰天。でも、驚きながらもその姿を受け入れていく優しさがまたジーンと来るんですよね。
クラチット家にサンタの格好をして到着したスクルージは、まず最初にクラチット夫人に「奥さんには現金!」って手渡すww。これ、ソワレでめちゃめちゃウケてた(笑)。
子供たちにもそれぞれプレゼントを渡すのですが、ティムに回転木馬のプレゼントをするシーンは何度見ても涙が溢れます…。スクルージの行動に衝撃を受けるボブたちでしたが、「あなたを信じます!」とその想いを受け入れる。そのボブの温かい思いやりの心にも涙が止まらない。
そしてみんなで街に繰り出し、今度は心から楽しめる♪サンキュー・ベリー・マッチ♪のナンバーが歌われます。このあたりの展開も巧い。で、「お祝いのラッパを打ち鳴らせ」のところでスクルージが「ぶっ!!ぶっ!!」とおしりを突き出しながらおどけるシーンがあるんですけどww、市村さん、めちゃめちゃ派手にやってた(笑)。過去最高に「ぶっ!!ぶっ!!」やってた気がするwww。
そんなところにハリー夫婦と鉢合わせしちゃうから、いつも以上に気まずい空気になってたよ(笑)。
でも、「クリスマスパーティーへ行く」と告げたスクルージに最初は驚いていたハリーも嬉しさで感極まるんですよね。ずっとこの瞬間を待ってたから…。そしてさらに泣けるのが、スクルージがハリーの妻のヘレンにイザベルへ渡したはずの婚約指輪を「あんたに持っていてほしい」と渡す場面。この瞬間、若き日の過ちが浄化されたような気がしてものすごく泣けました…。
そしてラストシーン、一人残されたスクルージのセリフと改めて歌う♪もう一度~♪・・・もう、ただただ号泣です(涙)。このラストは本当に毎回心が激しく震えて涙が止まりません。
この作品に出会えたことを心から感謝する瞬間でもあります。本当に素敵な作品です。
主なキャスト感想
市村正親さん(スクルージ)
もう25年の付き合いとなるスクルージ役ということだけあって、登場した時からスクルージにしか見えません。セリフや歌や表情など、初演の頃からほとんど変わっていないにもかかわらずこれだけ心を打つクオリティのお芝居を魅せてくれるわけですから…本当にすごい役者さんだと思います。
偏屈ジジイ時代もどこかちょっとユーモアがあって、思わずクスっとさせる隙をちゃんと作っているのがいいんですよね。それによって、ラストに解き放たれたときのスクルージ像を受け止めやすい。それに何より、最後の「大好きだよ、人間が」のセリフに到達するまでの心の動きが実に細やかに演じられているので何度見ても心打たれるんですよね。
そしてもう一つ、過去の悲恋エピソードと対峙した時のお芝居が本当に絶品です。過ちを犯してしまった若き日の自分を責める言葉は見ていて本当に胸が痛む。心の痛みがストレートに伝わってくるあのセリフの力…!セリフに込められた言霊の力が本当にすごかった。
それだけスクルージという役が市村さんの体の一部となっているんだなと思いました。
あ、そうそう、スクルージエピソードをカテコの時にチョロっと話してくれてましたが、メイクは初演当時は1時間近くかかっていたのが、今では20分ちょっとで終わるんだそうです(笑)。「しわを見つけるのが簡単になったから」なんだとかww。それだけ年輪を重ねられたことではあるのですが、市村さんにはこれからも元気にスクルージを演じていってほしいなと思います。
武田真治くん(ボブ・クラチット)
武田くんのボブは本当に優しくて温かくて見ているだけで癒されます。筋肉体操のお兄さん的なものは一切感じません(笑)。子供たちを包み込むような優しい笑顔、歌声。そして妻に対する気遣い。もう理想の父親像そのものですよ。
ティムに対しての愛情も本当に柔らかく温かく、♪美しい日♪の歌の途中で目頭を押さえたり、未来の光景で墓前で泣き崩れたり…その涙の芝居には何度も涙腺を刺激されました。
田代万里生くん(ハリー/若き日のスクルージ)
万里生くんは二役演じていますが、スコーンと明るく楽しい朗らかなハリーと、どこか鬱々とした気持ちを抱えていた若き日のスクルージの演じ分けが見事でした。4年前に見たときよりもその違いがはっきりしていたような気がする。相変わらず歌声も奇麗でほれぼれします。
実咲凜音さん(イザベル/ヘレン)
実咲さんは『スクルージ』は今回が初参加となりますが、張りのある素敵な歌声がとても印象的でよかったです。イザベルの時にもう少し哀愁ある雰囲気があればよかったかな。
畠中洋さん(トム)
畠中さんは今回さらに表情豊かに演じてましたね。特にスクルージに借金返済の期限を延ばしてもらえないかと頼むシーンでは、考えている合間にすごい顔芸しまくってました(笑)。ますます表情筋が増えちゃうよw。でもそんな畠中さんが好き!歌声はもう絶品です。♪サンキュー~♪の歌いっぷりは見事です。
そういえば、ハリーのクリスマスパーティーのなかにも友人役としていましたね。前もいたっけ?
安崎求さん(マーレイ/ハーティ)
安崎さんのマーレイはユーモアがあって面白い。♪精一杯~♪ナンバーの時のノリノリっぷりは今回特に楽しそうで笑えました。安崎さんのフライングもこれからもずっと見たいです。それにしてもあのメイクから慈善事業のハーティさんのメイクに変わるのって大変そうだなぁ(汗)。
愛原実花さん(過去の精霊/クラチット夫人)
愛原さんも二役演じてますが、第一の精霊の時はどこか哀しみを秘めたような雰囲気でちょっと神々しい。スクルージが思わずデレっとしてしまうのも納得の美しい精霊でした。ラストも切なかったし。
クラチット夫人は明るくて活発な可愛い奥さん。スクルージに対する嫌味を言いまくるシーンは思わず笑ってしまうほど勢いがあって面白かった。でも、最後の最後にスクルージに頭を下げて別れを告げるんですよね。あのシーンがとても感動的だった。
今井清隆さん(現在の精霊)
豪快で大らかな雰囲気が今井さんにピッタリ。特に深みのある歌声は迫力満点でスクルージを圧倒する説得力があります。コミカルで楽しい雰囲気の中にも、時折言い放つトゲのようなセリフがとても印象的でした。
今陽子さん(フェジウィッグ夫人)
今さんは出番的には多くはないのですが、やはり出てくると存在感があって思わず目が行きますね。阿部さん演じるフェジウィッグ氏といいコンビでクリスマスパーティシーンを盛り上げてました。
特別カテコのレポは次のページにて。