シアタークリエで上演された『SHOW-ISMS ~Ver. マトリョーシカ(Underground Parade・TATTOO14・ピトレスク )~』公演をストリーミング配信で観劇しました。
前回は「DRAMATICA/ROMANTICA(ドラロマ)」バージョンを視聴しましたが、その時に2曲だけ披露された「マトリョーシカ」バージョンがついに満を持して85分版で上演されることに。どんな物語なのか気になったので、千穐楽公演の配信を購入してみました(この日しか都合がつかなかったというのもありますが)。
初日と千穐楽をチケットの苦労なく観れるというのは、ストリーミングの利点ですかね。楽公演の配信は特にありがたいです。
※ドラロマバージョンの配信観劇レポはこちら↓
ただ、前回はすごく良いところで配信の調子がかなり悪くなり見れなくなった…という苦い経験もしていたので(苦笑)…今回もちょっと見る前は不安もありました。
「ここで止まるなよ~~」と念じながら見る状況ではありましたがw、千穐楽は全編ストレスなく観ることができました。よかった…(汗)。
今回も配信限定で開演30分前からのミニトークコーナーがありました。
最初に登場したのが美弥るりかさんと夢咲ねねさんのコンビ。お二人は宝塚の同期ということで仲良しな様子が伝わってきました。ふんわり和み系な雰囲気でちょっと癒されちゃったw。
続いて登場したのが小林香さんと彩吹真央さん。「世の中をよくするために1ミリでもそれに近づけるような作品を作っていきたい」という演出の小林さんの言葉が印象的でした。
最後は1分間チャレンジコーナー。最終日は彩吹真央さんと水夏希さん。
#水夏希 さんと #彩吹真央 さんのISMSチャレンジの結果は…水さんが逆転勝利!
毎回上演前からたくさんのコメントをありがとうございました!!#SHOW_ISMS #UndergroundParade#TATTOO14 #ユイット pic.twitter.com/UIBlfrz26n— SHOW-ISMS (@SHOW_ISMS_TOHO) August 4, 2020
いつの間にか「勝った方には景品」という特典が付いてて勝負も盛り上がってましたw。どちらが先にビニールボールに空気をパンパンに入れられるかってやつで、見事、水さんが勝利を収めて歓喜していらっしゃいました(笑)。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
『SHOW-ISMS ~Ver. マトリョーシカ(Underground Parade・TATTOO14・ピトレスク )~』Streaming+
2020年08月04日(火)マチネ<千穐楽> 12時00分~ シアター・クリエより生配信
演出:小林香
セットリストですが、「マトリョーシカ」以外のショーについては公式のほうに上がっていたのでそちらを参照してみてください(復活バージョンの時のものですが、おそらくこれと変わりないと思います)。
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DRAMATICA/ROMANTICA復活祭 ISMS Version
開演前イベントキャスト&セットリストを大発表!
\明日18:10から開演前イベント、18:45から本編開演です。楽曲権利の都合により、アーカイブ・追っかけ配信は致しかねます。たった一夜限りの奇跡の公演。お見逃しなく!#SHOW_ISMS pic.twitter.com/RMe0S51HtQ
— SHOW-ISMS (@SHOW_ISMS_TOHO) August 1, 2020
マトリョーシカ
出演者:美弥るりか、平方元基、夢咲ねね、樋口麻美、下村実生、今拓哉、保坂知寿、ほか
【公演レポート】美弥るりかが想像力で生徒たちを導く「SHOW-ISMS」マトリョーシカ版開幕(写真32枚)https://t.co/yjkgQz77BU
#SHOW_ISMS #マトリョーシカ pic.twitter.com/oNMnWpoRPI
— ステージナタリー (@stage_natalie) July 28, 2020
あらすじ:
これは、幾重にも重なったあなたの心の真ん中に眠る「希望」に出会える物語。
「マトリョーシカ」は入れ子構造のお人形。
バンビ先生(美弥るりか)が教鞭をとる野原高校の夜間コースに通う生徒たちはみな、それぞれ悩みを抱えていた。
貧困、女性差別、学歴差別、モラハラ、家庭内暴力――
バンビの授業は型破りで、生徒たちに反発されてもちっとも手綱を緩めない。
誰かにわかってほしい。抱きとめてもらいたい。そう思うなら、まずはその誰かをわかってやれ。抱きとめてやれ。この舞台の最後――私たちは生徒たちの「真の姿」を知り、自分の中にすでにあった「希望」に涙する。
<公式HPより抜粋>
本来ならば2時間半で上演されるはずだったものが85分に短縮しての披露ということになりました。
物語の舞台は野原高校の夜間学級コース。そこに通う生徒たちは年齢層もバラバラでそれぞれ心に大きな悩みを抱えている人ばかりです。そんな彼らの教室に飛び込んだのが美弥さん演じる「バンビ先生」。どんなに外野から反論されても決してぶれない芯の強さを持つ女性。はじめはそんな彼女に戸惑いを感じ反発していた生徒たちも次第に彼女の意見へ傾倒していきます。
前回のドラロマで「翼をください」を歌唱するシーンが披露されていたのですが、私はてっきり物語の最期のクライマックスに登場するとばかり思っていました。それが、かなり序盤…しかもまだ生徒の心がバンビ先生に寄り添い切れていない頃に歌われていたのでちょっとビックリしてしまいました。「え!?もうここで!??」みたいなww。
ラストにこの歌聞いてウルウルするんだろうな~なんて想像しただけに出鼻くじかれた気持ちになりましたw。
ということで、物語が本当に動き出すのは合唱コンクールの後からって印象でしたね。バラバラだった生徒たちがコンクールで銅賞を獲得したことで絆ができつつあるっていう雰囲気にはなっていたものの、プライベートで抱えている問題はその時点では殆ど解決していません。
ある者は同居人からのDVに怯え行き場を失っているし(樋口麻美さん演じる番長)、ある者は日雇いの仕事で路上生活を余儀なくされているし(今拓哉さん演じるおやっさん)、ある者は読み書きすることに障害がありうまくコミュニケーションを取れず娘との関係に悩んでいるし…(保坂知寿さん演じるのりちゃん)。
そんな彼らの心に、バンビ先生はさりげなく寄り添っていくことになります。金八先生のような熱血先生みたいに親身にコンタクトを取るのではなく、あくまでもクールに、少し俯瞰した立場から彼らが困難に立ち向かう気力を引き出す方向で導いていくっていうスタイルが逆に心を打ちました。
色んな訳あり生徒たちが登場するのですが、個人的には今さんが演じた「おやっさん」が一番印象に残ったかな。
ドラロマの時にも披露されていた元基くんとのやり取りのシーン。あまり良い関係ではなかった二人が寄り添うきっかけになる場面でもあるのですが、「あんなにひどいことやって来たのに彼に寄り添ってもらえるなんて」と歌うおやっさんにグッとくるものがありました。ただ、短縮バージョンなのでそれまでの二人の諍いみたいなシーンがほぼなく(苦笑)歌詞の信ぴょう性がちょっと薄かったなと感じてしまったのは残念だったかも。
あと、おやっさんには重い病の奥さんがいるっていう設定で…日に日に弱っていく奥さんを目の当たりにして(そう言うシーンはないのですが)苦悩していくシーンはとても切なかった。一番大切な行事の直前に取り乱すところは特に泣けたなぁ…。ここももっと掘り下げて描いてほしいシーンだった(時間の関係で仕方ないんですけどね)。
もう一つグッときたのは、バンビ先生が描いたサークルを使った授業。「~したことがあるか、ないか」で「ある」場合にはサークルに一歩入るっていうもの。最初のほうはサークルに入る人と入らない人の差が出ていたのですが、バンビ先生が生徒たちの心の芯の部分…核心部分に触れたときには全員がサークルの中に一歩踏み入れていて。それはみんな「負」の感情をなんらか抱えているっていうことの証明にもなっていた。それを正直に表に出していったことで、皆の気持ちが一つにまとまっていくっていう印象だったな。
誰しもそういう「ほの暗い」感情は持ってるし、それを必死に隠そうとして生きてるところがありますよね。自分自身にもあるなぁと気づかされるシーンでもありました。
圧巻だったのは、それぞれが得意分野を披露して堂々とパフォーマンスしていく場面。特に保坂さん演じる「のりちゃん」がソーラン節を歌い踊るシーンはとても感動的でした。今まで下を向いて生きていたような彼女が、この時初めて自我を放出して強烈な輝きを放っていた。その姿を、今まで彼女を否定してきた娘が見つめ受け入れていく。そんなドラマも詰まってて印象的でした。
やっぱり保坂さんの歌とダンスはパワフルでカッコいいな~と改めて実感。今さんや樋口さんもその周りでパフォーマンスしてて…なんか、私がよく観ていた劇団四季が蘇ってきたような感覚にすらなりました。
最後は普通コースの生徒も交えた学芸際の発表会。これがクライマックスだったのか~と納得。娘からの理解も得られたのりちゃん、よかったねぇと。バンビ先生も交えてのショーは圧巻で…ラストの「最後の人形の名は希望」っていう歌詞がとても心に響きました。
そして卒業式の日。生徒たちがバンビ先生に感謝の気持ちを伝えるシーンは思わず涙だった。
短縮バージョンでドラマ的には色々と物足りないシーンも多かったけど、それでも、「物語」としてのミュージカルを久しぶりにがっつり見られたなっていう満足感はすごくありました。やっぱり私はミュージカルの物語が好きだなぁって…。とても良い時間でした。
TATTOO14 / Underground Parade
出演者:シルビア・グラブ、水夏希 / 中川晃教、藤岡正明、彩吹真央
「TATOO14」は女性だけの出演者の作品だったそうで、7人の孤児が姉妹としての絆を深めて活動していく物語だったとのことです。
この日参戦したのはシルビア・グラブさんと水夏希さん。あと、保坂知寿さんも当時出演メンバーだったとのことですが、「マトリョーシカ」終わったばかりで多忙とのことでww今回は2人だけのパフォーマンスということに。
でも、シルビアさんもこの当時ほかの舞台と掛け持ちしていたので出演されない日もあったらしく、水さんが「私一人で看板背負わされてるようだったわ」と笑いながら愚痴る一幕もありましたw。
最初にお二人のトークがあったんですが、面白かったのが水さんが当初、宝塚を卒業したばかりだったというエピソード。「性転換の真っただ中だった」とのことでww女性を必死に勉強していた時に、シルビアさんが本番15分前にマニキュアを塗っていて驚いたんだとかww。「私が前日から必死にやっていたことをあんな本番間際に済ませるなんて!」と衝撃受けたって語ってました(笑)。
ちなみに今では本番前にチャチャっとできるようになったそうですw。
「TATOO14」からはデュエットと水さんソロの2曲が披露されました。どちらもとてもカッコいいナンバーでした。
「Underground Parade」はニューヨークの地下鉄で繰り広げられる人間模様を描いた作品だったとのこと。
この日の出演者は、中川晃教くん、藤岡正明くん、彩吹真央さん。アッキーと藤岡くんは『ジャージーボーイズinコンサート』の真っただ中での参戦ということで、この日も午後には帝劇でジャージーやって来たらしい!!みんなタフだな~。
トークで盛り上がってたのは、彩吹さんがご自分の役に影響されて実際に「世界一周旅行」へ行ったというエピソード。アッキーも藤岡くんもビックリしながらこの話に食いついてました。ちなみに井上芳雄くんにもこの話をしたら「それって晩年にやることだよね」ってツッコミ入れられたそうです(笑)。芳雄くんらしい返しだなと思ったww。
この作品は2011年の東日本大震災の後に上演されたとのことで、3人にとってもとても思い入れが深いとのことでした。
披露されたのは、地下鉄でホームレスが身を投げたということを聞いた時に歌うナンバーだという「again and again」。今の状況と重なるものがあるとても印象的な歌詞でした。
ピトレスク
出演者:クミコ、中川晃教、JKim、保坂知寿
「ピトレスク」とは絵にしたくなるほど美しい風景という意味があるそうで、第二次世界大戦下でのドイツに占領されていたパリを舞台にした人間模様を描いた作品とのこと。
オープニングはクミコさんによる圧巻の歌声でスタート。終わって舞台の明かりがついたところで着替え終わったアッキーと保坂さん、そしてKimさんが登場しました。保坂さん、マトリョーシカで気弱な「のりちゃん」を演じていたとは思えないほどカッコイイいでたちで!!いや~、やっぱり女優さんてすごいなと思いました。
ドイツ占領下でのパリが舞台ということで、それぞれが演じた役柄もかなりヘヴィだったようですね。特にアッキーが演じた青年がしている赤いマフラーが印象的。ユダヤ人のフィアンセが彼のために編んでいたらしいのですが、強制収容所へ連行されてしまったことで途中までしか編めていないという…。なんとも背景を聞くだけでも胸が痛むエピソードです。
「ピトレスク」ではアッキーが作曲した楽曲もあったそうで、それをKimさんがとてもドラマチックに歌い上げていました。そして全員で歌ったベートーベンの第9の曲に乗せて書いたもの。これがまたすごく感動的でグッとくるものがありました。これは本編見てみたかったかも…。
カーテンコール
最後はキャスト全員が舞台上に勢ぞろいして全員が一言ずつ挨拶していました。
全部はメモしきれなかったのですが、印象に残ったキャストコメントをいくつか。
藤岡くん「いつもは不真面目なコメントばかりしているのですが、今回は真面目に。舞台に立たせてもらえたことに感謝してるし、舞台芸術の灯を絶やしてはいけないと感じました」
Kimさん「携わってくださった全ての方に感謝します」(一生懸命日本語で言葉を探しながらも精一杯の感謝の気持ちを伝えられてる姿に胸打たれるものがありました)
シルビアさん「自粛期間中、どれだけ自分がお客様からエネルギーをもらっていたかを痛感しました。本当にありがとうございました」
アッキー「ピトレスク当時のままの衣装を着て、その時の記憶がよみがえりました。みんながいたから記憶がよみがえってきたと思います。美弥さん、次回はぜひ一緒に舞台に立ちましょう!」(美弥さんに頭下げてるアッキー、可愛かったw)
樋口さん「また希望を持って劇場で皆さんと会える日を心から待っています」
今さん「僕はエンターテイメントが大好きだし、人が、そして劇場という場所が大好きです」(今さんがいかに舞台で演じることに情熱を感じていたのかがヒシヒシと伝わってきてぐっとくるものがありました)
夢咲さん「自粛期間中に中止になる作品もたくさん出てとても哀しい想いをしたのですが(ここで思わず感極まって泣いてしまわれてた…涙)、皆さんに見てもらえるようになって、無事に千穐楽を迎えられて、それらすべてが奇跡だと思います」
元基くん「マトリョーシカは今日で終わってしまいましたが、皆様の心の中でこの作品がいつまでも生き続けていきますように。次は劇場で会いましょう」
保坂さん「一日一日が本当にスリリングな毎日でしたが、千穐楽を無事に迎えられて本当に幸せでした」
美弥さん「舞台上で表現することが難しい時代になってしまったけれど、皆さんの熱い想いで幕を開け千穐楽を迎えることができました。皆様には感謝の気持ちでいっぱいです」(映像で美弥さんがアップになった時、後ろでアッキーが変顔しててww。「?」となってしまった美弥さんに「俺が変顔しちゃったから、ごめーん!!」って平謝りしてたアッキーがめっちゃ面白可愛かったww)
最後は全員で♪漕げよマイケル(ハレルヤ)♪歌詞はオリジナルバージョンで楽しく明るく歌って楽の舞台は幕を閉じました。
SHOW-ISMS全公演終演いたしました!!
ご来場いただいた皆様、LIVE配信をご覧いただいた皆様ありがとうございました。#SHOW_ISMS pic.twitter.com/KmzHR8t6af— 藤岡正明スタッフ (@fujiokaschool22) August 4, 2020
#SHOW_ISMS 終演いたしました!
シリーズ10年の歴史が詰まった特別な公演となりました。劇場にいらっしゃった方、配信をご覧下さった方、エールを送って下さった方、誠にありがとうございました😊「みんなでハッピーになろう。」
皆様の心に希望と幸せが残っていますように…❤️ pic.twitter.com/jiyFWeg9Ez
— SHOW-ISMS (@SHOW_ISMS_TOHO) August 4, 2020
最初は見るかどうか迷った作品でしたが、見れて本当によかったです!とても良い時間でした。美弥るりかさん、とても可愛らしい方でちょっとファンになりました。いつか生で『SHOW-ISMS』観てみたくなりました。皆さん、ありがとうございました。