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ミュージカル『SIX -シックス-』東京公演 ネタバレ感想 2025年2月20日マチネ

ミュージカル『SIXーシックスー』を観に六本木にあるEXシアター六本木へ行ってきました。

六本木EXシアターを訪れるのは2016年3月以来(松下優也くん見たさに遠征した→当時のレポ)、約9年ぶりになります。六本木に行くこと自体久々だったので危うく迷子になりかけましたw。
この日は人員整理のためからか(1階ロビーが狭いので)わざわざ2階まで階段で上って開場時間に下に降りるという二度手間入場スタイル(汗)。段が多くけっこう上まで上るので、体が不自由な方にはキツい仕打ちだったのではないかなと思います…。せめてエスカレーターつけてほしい。

初めてミュージカル『SIX』の存在を知ったのは2年前のトニー賞(WOWOW中継で見た)。この時の印象は、物語じゃなくて”ライヴ”。イカした格好の6人の女王たちがガンガンにロックを歌いまくっていて、演劇界に新しい風がまた吹いてきたなと感じたのを覚えています。

ただ私個人としては物語性のある作品をじっくり見ることを好む傾向があるので、発売当初は予定に入れていませんでした(ラブネバの予定も詰まってたのでww)。ところが、ある日SNSに日本語版キャストの皆さんが歌うPR動画が流れてきた。なんとなく興味本位に再生ボタンを押したところ…

これ、絶対私の好き系な音楽じゃないかっ!一度は観に行かなければっ!という感情がグングン盛り上がってしまいまして、気が付いたらそこそこ詰まっていた予定の合間に強引にねじ込んでいましたww。

なにやら今公演は色々な企画が日替わりであったようで。でも、ドレスアップとかシングアロングだけはどうも私の性に合わないのでそこはパス(苦笑)。ノベルティ配布Dayは興味あったのですがどうしてもその日に合わせることができず(汗)考えた結果、何も企画がない通常公演日をチョイスすることにしましたw。奇しくもそれが『SIX』東京公演の前楽日に当たったというわけです。

この作品が私にとって吉と出るか凶と出るか(ハマるかハマらないか)分からない緊張感のまま劇場へ。そこそこのお値段は出したので、あとはもう祈るのみな心境でしたねw。

結果、沼にハマるほど大好き…とまではいきませんでしたが観に行って良かったという満足感を得ることができました。新しいタイプのミュージカルですが、とても良い作品だったと思います。

以下ネタバレを含んだ感想になります。

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2025年2月20日マチネ公演 in EXシアター六本木(東京・六本木)

概要(原作・上演時間など)とあらすじ

作品についての簡単な概要

原作はトビー・マーロウ&ルーシー・モス
2017年、スコットランドで行われた世界最大級の芸術祭(エディンバラ・フリンジ)で、ケンブリッジ大学の学生により初演。マーロウとモスはケンブリッジ大学のミュージカルサークルに所属していた学生でした。

彼らが芸術祭で発表した『SIX』は瞬く間に人気を集め、ウエスト・エンドのプロデューサーの目に留まることとなり、二人はプロデビューに至ります。その人気は留まるところを知らず、以降、ブロードウェイや海外のプロダクションにも進出し大きな注目を浴びました。

2022年に開催された第75回トニー賞でミュージカル楽曲賞と衣裳デザイン賞を受賞。さらにそれも含め世界各国で35の賞を受賞しました。

初演:2017年・イギリス/日本初演:2025年2月(制作:梅田芸術劇場)
演出:ルーシー・モス&ジェイミー・アーミテージ / 日本版演出補助:アレクサンドラ・スペンサー・ジョーンズ/西祐子
脚本・作詞・作曲:トビー・マーロウ、ルーシー・モス

2025年1月22日初日(東京) / 2025年3月2日千穐楽(大阪)

あらすじ<公式HPより引用>

16世紀の英国、テューダー朝。長兄の早世により王位を継承することとなった弟ヘンリー。
その在位38年間、”ヘンリー8世”は離婚と処刑を繰り返し、6度の結婚を経験する。
「英国史上最も有名でスキャンダラスな暴君」として知られるヘンリー8世…
ではなく、その元妻たち 6人がマイクを握る!
王妃たちは現代に蘇り、歴史上最もパワフルなガールズバンドを結成。
しかし、誰がこのバンドの主役になるのか——
それぞれの愛と喪失、共通する悪名高い元夫の物語、そしてこれまでの王による王のために語られてきた歴史ではない「彼女たち」の歴史を語り継ぐべくテューダー朝のヒストリーを、力強く書き直す!

1509年から1547年にかけてイングランド王に君臨したヘンリー8世は、英国を大国に発展させる礎を築いた半面、人物的には残虐非道な暴君としても知られています。彼は妻を次々と取り替えていきましたが、ほとんどの女王は彼に翻弄され悲劇の運命をたどりました。
英王室史を学ぶ学生たちは、ヘンリー8世に翻弄された6人の妻たちの運命を「離婚、斬首、死亡、離婚、斬首、生存(ミュージカルでは”死別”」と覚えるのだそうです。

上演時間

約80分(1時間20分)。休憩はありません。

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キャスト

  • アラゴン:鈴木瑛美子
  • ブーリン:田村芽実
  • シーモア:原田真絢
  • クレーヴス:エリアンナ
  • ハワード:豊原江理佳
  • パー:斎藤瑠希

キーボード:田中 葵、ギター:中村 芽依、ベース:shizupi、ドラム:山内 楽

この作品のバックミュージシャンも全員女性。6人のクイーンといっしょにパフォーマンスをするシーンも多く、”10人”(6人のメインキャスト+演奏4人)のレディースバンドといった雰囲気でした。

全体・キャスト感想

全体の印象

最初にも書いた通り私はどちらかというとじっくり物語と歌が紡がれていくミュージカルを好むので、ライヴ・ショー形式のこの作品についていけるかといった不安の方が大きかった。でも、始まってしまえば一気に『SIX』の世界観へ惹きこまれ彼女たちの”語る”ストーリーに夢中になっていきました。

観劇環境も私向けだったのが大きい。というのも、基本的にミュージカル系作品で声を上げて盛り上がるというのがどうも苦手な体質でして(汗)。『SIX』はまさにその要素が強く、音楽が始まったと同時にそこかしこからテンションあげあげなお客さんからの「ひゅ~~!!」という掛け声が上がり劇場内のボルテージが一気に上がるのを感じました。
ところが、私の周囲の方はどちらかというと落ち着いて舞台上を見入るタイプの方が多くて。これが一番大きな助けになりました。もしテンション高めの方に囲まれていたら…もしかしたら置いてけぼり感食らって集中できなかったかも(汗)。本当は声を出してハイテンションで盛り上がるのが正しい楽しみ方だと思うのですが、そこから一線を画したタイプの方が周囲にいたことで安心感が生まれ世界観に入ることができたのは幸運でした。

さて作品についての感想ですが、まず驚かされたのが・・・この作品を生み出したのがプロの創作者ではなくアマチュアの大学生だったということです。英国王ヘンリー8世の6人の妻たちをテーマに据えて彼女たちを”ガールズバンドのロックシンガー”として蘇らせるという発想がすごい。しかも劇中を彩る魅力的なロックナンバーも彼らが考えたんですよね!?それが演劇のプロの目に留まってついにはトニー賞を受賞するところまで行ってしまったなんて・・・本当にびっくりです。

もうひとつこの作品の中ですごいなと思ったのが、ライブコンサート仕立てでありながらもちゃんとヘンリー8世の妻たちの”物語”がそこにあったことです。最初は、ストーリーより歌の迫力が重視される内容かと思っていたのですが、彼女たちが生きた時代のドラマもしっかり盛り込まれていた。設定的には現代にクイーンたちの魂が蘇ってきたということにはなっているんだけど、一人一人が自ら辿ってきた人生をしっかりと嚙み砕いて歌っていたのがとても良いなと思いました。
聴いている私たちも、いま目の前で熱唱しているのはヘンリー8世に翻弄された妻たちなのだと実感できたしそこに想いを馳せることができる。なのでこの作品は”ミュージカル”という位置付けで正しいのかもしれないなと思いました。

キャストの皆さんは”本気”のオーディションを勝ち抜いた真の実力者揃い。ノリノリなロックを歌いながらも歌詞が本当に聴き取りやすかったので、ストーリーがとても分かりやすく伝わってきました。予習をしなくてもけっこうすんなり理解できる内容にはなっていたかと思います。
ただ、あらかじめアウトラインだけでも知っておいた方がより『SIX』という作品に集中できるのではないかとは思いました。ソロで自らを語るシーンが多いので、そこに感情移入するためにはある程度はクイーンたちの歴史を頭に入れておいた方がいいです。彼女たちのプロフィールを掲載したパンフレットを読むだけでもだいぶ違うはず(パンフ色々と読み応えあるのでおススメ)。

また、ヘンリー8世とその妻たちを描いた漫画『セシルの女王』もあるので興味があればこちらもぜひ。

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ストーリーとキャストについて

Ex-Wives:6人のクイーンズ

登場する時の演出がめっちゃカッコイイ!!特に6人が勢揃いした時は鳥肌ものです。

私はこのナンバーをネットで聴いてチケット取りたい気持ちに駆られたのですが、生の迫力はまたさらに格別でした。とにかく6人のクイーンズの歌の音量が半端ないし、4人のガールズバンドによるバリバリなロックサウンドも最高!

まずここで歌われるのは、6人の王妃の自己紹介といったところ。それぞれヘンリー8世に翻弄されて残酷な運命をたどる内容ばかりなのですが(汗)、これをロック仕立てにするとこうもノリノリでエネルギッシュなドラマに変身してしまうものなのだなと。パワフルな彼女たちの中には悲壮感がなく、競うように不幸自慢で盛り上がりまくるのが面白い。
バチバチなライバル関係でもある彼女たちですが、歌う時の息は嘘みたいにピッタリでハーモニーも実に見事。ピリつきながらも絆で結ばれてるクイーンズたちの歌うナンバーは爽快感に満ち溢れていました。

このあと6人は「この中で誰がリードボーカルになるの?」とワチャワチャ揉めだすw。その結果、一番不幸だと判定されたクイーンがトップに君臨するということになり、最初に王妃に選ばれた人から順番に”不幸な人生”が歌で語られていく構成になります。
基本的にはそれぞれソロで歌うのですが、それ以外のクイーンたちはコーラスで参加しているので皆ほぼ出ずっぱり。時には冷たい視線でツッコミ入れたりもするんだけど、ソロで歌う女王の邪魔になるどころかその歌をより華やかに盛り上げることになってる。バラバラなようでチームワークばっちりなクイーンズたちが最高でした。

 No Way【キャサリン・オブ・アラゴン】:鈴木瑛美子さん

鈴木さんは『ムーラン・ルージュ』や『RENT』などで拝見してきた女優さんですが、メインキャストとして見るのは今回が初めてです。非常にパワフルな歌唱をされる方で、少しハスキーな声がちょっとセクシー。6人の王妃ソロのトップバッターに相応しい圧倒的な存在感とパフォーマンスで大いに観る者を魅了してくれました!めちゃめちゃカッコよかったよ!!

このナンバーで面白いのは歌詞。ヘンリー8世と結婚したあとは理不尽な出来事にもずっと耐え続けてきたのに、新しい女ができたという理由で邪魔者扱いされついには離縁されるアラゴン。その時の悔しさを「あり得ない!!!!」と何度も歌うのですが(そりゃそうだっ!!)、ここのフレーズが「あーーりりりりりりえーーないっ」ってめっちゃファンキーなロック歌詞になってるんですよね。これがけっこう聴いてるとクセになるww。

 Don’t Lose Ur Head【アン・ブーリン】:田村芽実さん

芽実ちゃんはここ最近ミュージカルのメインキャストで見る機会も多く、さらにはドラマでも存在感が増してきている女優さん。特に朝ドラ『おむすび』でのギャル役は異色の存在を放っていて見事でした。
今回のアン・ブーリン役は6人の王妃の中で特にぶっ飛び娘っぷりがすごい(笑)。彼女の辿った運命はかなり過酷でドラマチックなものですが、それをああもアッケラカンとコケティッシュに歌いきるとは!まさに怖いものなしの弾丸娘って感じ。終始キャピキャピしまくっているのにどこか憎めないキャラクターを見事に表現していたと思います。

ヘンリー8世には、アン・ブーリンに首っ丈となり書くのが苦手だった手紙を何通も送り続けて口説いたというエピソードがあります(今でも数通現存しているのだとか)。それ故ブーリンは自分がヘンリーを虜にした武勇伝を意気揚々と歌い他の女王たちを見下しまくってましたね(特にアラゴンに対するマウントが凄いww)。

印象深かったのが、ブーリンの末路を歌う場面。狂ったように「どうすりゃいいの!?」と狂ったようにまくし立てながらも最後は「そんなに私の頭が気に入ったのかしら」とオチをつけるところ(笑)。そう来たか!と思わず吹き出しちゃいました。言ってる内容はめちゃめちゃシビアなのに、なんだか面白い。

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 Heart of Stone【ジェーン・シーモア】:原田真絢さん

原田さんはミュージカルのアンサンブルとしてお名前を見ることが何度かあったのですが、メインキャストとしてしっかり歌を聴くのは今回が初めてになります。
派手でイケイケな雰囲気のクイーンが多いなかで大人の色香を匂わせた素敵な女性といった雰囲気。ちょっと儚いオーラもあって何故かとても惹きつけられました。透明感のある歌声もとても素敵。

ここまではノリのいいロックナンバー中心で構成されていましたが、シーモアのナンバーはしっとりとした壮大なバラード仕立てになっていて少し驚きました。
シーモアはアン・ブーリンが処刑されてからすぐにヘンリー8世と結婚した女性。彼に従順であったというエピソードもあるからか、他の王妃たちとは違いヘンリーに対するラブソング色の強い内容になっていたと思います。歌う前に「彼ってかわいいところもあるのよね」みたいな擁護するセリフもあるしw。そういう意味では、シーモアは”不幸自慢”という趣旨からは外れる存在になるのかなと思いました。

彼女の最大の悲劇は、待望の息子を出産したものの間もなく亡くなってしまったこと。その悲しみがこのナンバーでたっぷり歌われていて切なかったです…。

 Haus of Holbein:6人のクイーンズ

ここではドイツ出身の画家”ハンス・ホルバイン”について歌われるのですが、皆サングラスして奇抜な格好に変身します(バンドメンバーも)。すごいコミカルなロックナンバーで客席も手拍子で大盛り上がりでした。

ハンス・ホルバインは様々な国に赴いて美人の肖像画を描いていた人物だそう。皆きれいに描いてもらうために涙ぐましい努力と我慢をしていたというような内容が歌われていました。彼が描いた絵に纏わるドラマが次のナンバーに繋がっていくのが面白い。

Get Down【アナ・オブ・クレーヴス】:エリアンナさん

エリアンナさんは『ファントム』のカルロッタ役がとても印象深い。
パワフルでダイナミックな歌声がこの作品にピタリとはまっていましたね。背格好も大きいので存在感もすごいんですが、目立ちすぎず引くところはちゃんと引いてソロの人を惹き立てていたのも素晴らしいなと思いました。

クレーヴスはヘンリー8世の4番目の妻になる人物ですが、この前に歌われていた”ハンス・ホルバイン”が描いた肖像画を見たことで嫁入りしたのに、実際に会ってみたら「絵と違うじゃないか」と理不尽なダメ出しを食らって早々に離縁されてしまったエピソードが残っているそうな(←実際のところはそれ以外にも離縁の原因があった説があるらしいけど 汗)。
エリアンナさんのクレーヴスはすごくダイナミックでヘンリーをも圧倒してしまいそうな雰囲気なのにw、「肖像画と違うと言われてしまった」と凹む時の可愛さが半端なかった!

でもそこから「クイーンは私だよ!!」と女王様としての威厳と迫力をアピールしまくる歌いっぷりは圧巻。途中で他のクイーンたちが衣装をバッと掴んで”変身”するシーンも迫力満点です。

このナンバーの後、クイーンズたちが「私の方が不幸よ」合戦を展開。アラゴンは争うクイーンズの仲裁に入ると見せながらも「だから私が一番不幸」とドヤ顔するしww、ブーリンはギャルも真っ青な積極性でグイグイ「不幸」自慢ぶっこんでくるし、しっとりとしたバラードを歌ったシーモアも「息子を生んでちゃんと育てたかったのに私死んじゃったし!!」とすごい剣幕で大変(笑)。
そんな争いのなか、クレーヴスは「私は戦線離脱するわ」と自ら身を引きます。一番乗り気に見えていたのでw意外な展開でしたね。

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All You Wanna Do【キャサリン・ハワード】:豊原江理佳さん

豊原さんは2018年のミュージカル『タイタニック』で見て以来ですが、その時はあまり印象に残らなかったので(ごめんなさい)、メインとして見るのは今回が初めてになります。

ほっそりとした体形に可愛らしい見た目の女優さんで、ロック色の強いこの作品の中で大丈夫かなと少し心配があったのですが・・・見事な歌唱力と見た目以上にパワフルな歌声に驚かされました。本当に美人さんだし、もっとメインキャストとして活躍してもいい女優さん。

ハワードは歌う前に他のクイーンにマウントしまくるというしたたかなキャラw。特にブーリンに対して「首ちょん切られるなんてかわいそう…って、あ、私も同じだった」と盛大なドヤ顔と冷ややかな笑みを浮かべてたのがめっちゃ面白かったw。シーモアに対しての「あなたは自然死だから勝負にならないわよね」って嫌味かますのもすごかったなw。

彼女の歌は自由奔放でノリの良いロックで、最初の歌詞はセクシー…というかR指定されてもおかしくないようなものばかりw。歌い方も男を悩殺するような仕草があったりw(豊原さん、セクシーなんだけど可愛らしいんですよね)。
でも、次第に彼女の心の奥底に潜んでいたヒリヒリする孤独が観る者の胸に重く迫ってくるんですよね。ハワードは年齢も若く自由奔放な女性に見えるのだけれど、実はずっと”本物の愛”を渇望し続けていて。そんな彼女がヘンリー8世に見初められてしまったのは悲劇でしかなかったんだなと…。明るくイケイケに歌ってるけど、次第に涙声になっていく彼女を見ていたら切なくて泣けました…。

ハワードが歌い終わった後はアラゴンとブーリンの”不幸自慢”が過熱して泥仕合の様相にww。特に「流産記録」を競ってるシーンは、この作品だからこそ許されるやりとりだよなぁと思いながら見ちゃいました(キャサリン・パーも後から「正気?」とツッコミ入れてたし)。

I Don’t Need Your Love 【キャサリン・パー】:斎藤瑠希さん

斎藤さんを拝見するのは初めて。ディズニー映画「ミラブルと魔法の家」で主役の声優を演じたこともあるそうですね。舞台もいくつか出演されているようですが、これまで一度もお目にかかれず。
スタイルもいいしダンスもキレキレ!そして歌声がソウルフルで本当に素晴らしかったです。キャサリン・パー役は一番最後のソロを担当しますが、そこから他のクイーンズに影響を与える存在でもあって。その説得力を圧巻の歌声で表現していたのが本当に凄いと思いました。もっと多くの舞台で見たい女優さんです。

不幸自慢でガツガツする王妃たちの中、そことは一線を画した存在だったのがパー。音楽が始まって自分の番が来ても「私はパスするわ」と放棄しようとしてしまう展開には少し驚きました。それでも他の皆が「私たちがバカみたいじゃない」とブーブー文句言い出したのでww、私も歌わなきゃねと彼女たちを納得させるためにマイクを取る大人な対応が印象深かったです。

さらに彼女の歌はそれまでのクイーンズたちの内容とは少し路線が違う。ヘンリーへの恨み節というよりも、本当に愛しながらも別れざるを得なかったトマス・シーモアへ向けたラブレターの意味合いが濃い。彼への切なる愛情が伝わってくる斎藤さんの歌いっぷりには本当に胸打たれるものがありました。
でも、彼女はそれだけじゃない。パーはヘンリー8世を看取ったクイーンとして知られています。死別した後のパーは生き生きしていて、その後自分が成し遂げた功績を胸張ってロックに歌いきる。これが実に爽快。

そんなキャサリン・パーの生きざまを聴き、これまで”不幸自慢”に夢中になっていたクイーンズの気持ちに変化が生まれていく展開が印象的でした。

SIX:6人のクイーンズ

ヘンリー8世から受けた仕打ちを競うようにぶつけ合ってきたクイーンズ。でも彼女たちはそれがいかに”空しい”ことだったのかということに気づかされていきます。それぞれ苦難と向かい合い必死に生きてきたクイーンズ。対立することより協調を。だってみんな、厳しい環境の中でも懸命に”生きた戦友”でもあるのだから。

再び結束したクイーンズたちはついに”ヘンリー8世”の呪縛から解き放たれ、それぞれ輝かしい未来を思い描きながら歌う。そんな彼女たちの輝く笑顔を見ていたら、急にこみ上げてきてしまって…。気が付いたらボロボロ涙がこぼれ落ちていました。皆、こんな風に生きたかったんだろうなって思うとなんだか切なくてねぇ…。
でも、この作品を通して悲劇の最期を遂げていった6人のクイーンズたちの”生きざま”を知ることができた。彼女たちも少しは報われたとあの世で胸をなでおろしているかもしれない。

『SIX』はワクワクするようなロックでカッコいい作品ですが、”深みのある物語”もちゃんとそこに存在しているミュージカルだったなと思います。

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後述

The MegaSIX:クイーンズ

カーテンコールは写真・動画ともに撮影OKということになっていたので、私もチャレンジしてみました。が、舞台を観に行ってこういう機会はめったにないので手元が狂いっぱなし(汗)。それでもなんとか撮影できた動画を2本挙げてみます。

芽実ちゃんのアン・ブーリンの弾けっぷりがすごいw。

エリアンナさんの迫力も最後まで際立ってました!個人的にはカテコラストの「離婚!打首!死亡! 離婚!打首!死別!」の全力パフォーマンスがめっちゃアゲ~~~!!でした(ワードは極めてセンシティブなものばかりだけど)w。

カーテンコールはパフォーマンス後のお手振りのみ。皆が捌けてしまった後も拍手が凄かったのですが、アンコールはありませんでした。それでもアツアツなパフォーマンスで大満足。この日は東京楽のキャストもいたので、最高に盛り上げてくれました。

最初に思っていたよりも『SIX』を楽しめて本当に良かった。世間的ネームバリューがある人はいないけれど、それ以上に真の実力者(しかも女性メンバーのみ)によるパフォーマンスを存分に堪能することができました。
以前よりミュージカル人気が高まってきたとはいえ、日本はまだ”有名人”頼みのキャストになることが多い。そんな世の中に風穴を開けた貴重な作品だったと思います。今後も少しずつでもいいのでこの流れが業界に根付いていくことを願います。

パンフレットだけ買うつもりが、クイーンズのPINがカッコよくてついお買い上げしてしまいました。

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