ミュージカル『アメリ』を観に大阪遠征してきました。主演は元AKB48の渡辺麻友さんです。
黄色い壁が目印の森ノ宮ピロティホール、久し振りに行きました!
ピロティはどちらかというと古い建物という印象が強いのですが、客席内はリニューアルも経ているからかけっこう見やすくて個人的には少し気に入ってる劇場だったりします。
今回は元AKB48…しかもかつては総選挙で1位となりセンターも務めたトップアイドルのまゆゆこと渡辺麻友さんが主演、ということもあってか、男性率がかなり高い印象。最前列にもけっこう男性のお客さんが多く座っていたかな。
通常の演劇やミュージカルの舞台に行くとたいてい女性が8割近い感じなのですが、この日は男女比率としては半分半分くらい。なかなかこういう光景には出会えないのでけっこう新鮮。おかげでいつもは大行列となる女子トイレもすんなり入れたという(笑)。
まゆゆ目当てで来たファンの人の数人でも、これをきっかけにミュージカル好きになってくれたらいいなと思いました。
まゆゆへのお花もズラリ!!このあたりはさすがでございます😃。
大阪公演ということからか、NMB48のトップさや姉こと山本彩さんからも綺麗なお花が届いてました。
物販には久しぶりに舞台写真が登場!しかも1枚150円という良心的金額!!全部で20種類くらいあったかな。
ということで、こちらの3人の写真をついついお買い上げしてしまいました(笑)。
このほかに宣材写真セットやパンフレットもお買い上げで…予想外に散財してしまった😅。
以下の感想はネタバレを含んでいます。ご注意ください。
2018.06.09ソワレ公演 in 森ノ宮ピロティホール(大阪)
キャスト
- アメリ:渡辺麻友
- ニノ:太田基裕
- 植本純米
- 勝矢
- 伊藤明賢
- 石井一彰
- 山岸門人
- 皆本麻帆
- 野口かおる
- ヤング・アメリ:叶 英奈
- 明星真由美
- 池田有希子
- 藤木 孝
主演のまゆゆちゃん以外は皆一人何役もこなしてました。太田もっくんも最初出てきた時はニノ役ではなかった気がします。
とにかくみなさんセット動かしたり役を替えたりもう大忙し状態で、出演キャストの方たちが「今日もアメリ運動会頑張る!」って呟いていた意味がようやく分かりました😅。本公演は休憩なしの2時間ぶっ通しだったのでかなり体力使われたのではないでしょうか。本当にお疲れ様でした!
あらすじ・雑感
このミュージカルの元になったのは、フランス映画『アメリ』です。なので、宣材写真の雰囲気もあの映画を意識したものになってるのかなという印象ですが、日本版はどちらかというと柔らかい感じですね。
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公開当時はけっこう話題になっていたんですが、私はどちらかというとフランス映画が少し苦手だったこともあり一度も観に行くことはありませんでした。なので、今回のミュージカルで物語の内容を初めて知りました😅。
2017年にブロードウェイで上演されています。
あらすじは以下の通り。
想像力は豊かだが、周囲とのコミュニケーションが苦手な少女・アメリ(渡辺麻友)は “妄想の世界”が一番の遊び場だった。22歳になり、モンマルトルのカフェで働いている今でも、周りの人々を観察しては日々想像力を膨らませて楽しんでいたが、ある出来事をきっかけに、他人を幸せにすることに喜びを見出し始める。
彼女なりの方法で他人を幸せにしていくアメリだったが、自分の幸せにはまったくの無頓着だった。
ところが、スピード写真のボックスに残された他人の証明写真を収集している不思議な青年ニノ(太田基裕)に出会ったアメリは、たちまち恋に落ちてしまう!しかし、自分の気持ちを素直にうち明けることが出来ず――公式HPより引用
おそらく、映画を見ていれば色々な場面で「こういうシーンあったな」とか「ここが違うんだ」とか比較しながら楽しめたんじゃないかなと思うと…そこはちょっと惜しいことしたかもと思いました。
というのも、想像していた物語とは違って…なんというか、掴みどころがない不思議な空気感を持つ作品だなぁという印象が強かったからです。
主人公が空想好きということもあって、時々シーンごとに「これは現実なのか?空想なのか?」と混乱しかかることも😅。ストレートに客席に物語の主題が届く…というよりかは、なんだかフワフワした雰囲気の中にいつの間にか取り込まれていて宙を漂うような感覚にさせられるって感じだったかな。そういう意味では、今までにないような独特の作品だと思いましたね。
テンポがすごく良くて物語がサクサクと進んでいくので、たまに「これはどういうことだったんだ?」と思うことも最初の方はあって。特にアメリの母親が突然亡くなってしまうシーンはあまりにもメルヘンちっくな独特の表現で、それに惑わされて何が起こったのか今ひとつ分からなかった。パンフレットを読んでやっと「そうだったのか」と腑に落ちたくらい😅ww。
あと、大人になったアメリが妻の死から立ち直れない父親を置いて独り立ちしていくまでの過程が、これまたえらいポップに描かれてて・・・あれ、いつの間にか一人暮らし始めてる!?とちょっとビックリもしたかな😅。お父さんのこと大好きって歌ってただけになおさらww。
こんな感じでちょいちょい独特な…メルヘン的要素も交じった表現が多いので、慣れないうちは戸惑うこともあったんですが、ストーリーが進むにつれてだんだんそれが心地良い感覚にさせられていったんですよね。
その要因の一つが、登場人物たちの不思議な温かさ。この物語の中には『悪』的な存在が登場してこないんです。変な人は多いんだけどww、なんだかみんなとても優しくて温かい。
この物語の中でキーになってたと思うのが「ダイアナ妃」。
ダイアナが亡くなったニュースを見た日に、たまたま借りていた部屋の中で見つけた小さな思い出の詰まった箱を見たアメリは、持ち主の元へ返すプロジェクトを思い立って一人で奔走。無事に手元へ渡した後、他人の幸せに貢献できた自分に喜びを感じて周りの人たちにもさまざまな幸せを届けるべく行動に移す。この行動がダイアナの”慈善事業”と重なるわけです。
アメリは自分もダイアナのようになりたかったのかもしれないですね。だけど、そのためには人と関わらなければいけない。他人と接することに極度に抵抗を感じるアメリにはかなりハードルが高い。
空想に生きてきたアメリにとって、人を幸せにしたい気持ちはあるけれども知らない他人とコミュニケーションを取ることは何よりも恐ろしいことだったりする。そんな最中に出会ったのが不思議な青年・ニノ。
一目惚れしたものの、面と向かって話すことが怖くてなかなか前に進めない。自分自身のことになると途端に消極的になって後ずさりしてしまうアメリの気持ちは、なんだかすごくよく分かってしまった。私もどちらかというとそういうタイプだったりするので(汗)。他人と直接かかわるって、最初のうちはけっこう勇気いるんですよね。まぁ、アメリほど後ずさりする方ではありませんが😅。
そんな彼女を親しい人たちは独特の優しさ表現で背中を押す。必死に勇気を出して、ついにニノと向かい合うことができた場面はグッとくるものがありました。空想の世界にしか生きられないみたいなところのあったアメリが、ニノという青年と関わり恋心を伝えられたことでこれまでとは違った大きな世界が開けていくような感動が伝わってきた気がします。
人が一皮むけて成長する瞬間を目の当たりにするって、やっぱりジーンとくるものあるんですよね。
舞台セットは可動式でキャストの皆さんが色々と動かすごとに雰囲気が変わっていく感じが面白かったです。
印象的だったのは、セットの壁面に描かれている模様には色が塗られていなかったこと。白い壁に黒い線でポップな線が描かれていたのですが、白と黒以外の色がないんですよね。そこに様々なシーンでさまざまな色を当てることによって独特のカラフルな世界が浮き出てくる感じがすごく面白かった。照明美術のアイディアが素晴らしいなぁと思いました。
音楽はライトでポップなものが多く、意外と曲数が多かったですね。ただ、シーンごとで流れるように歌う感じだったのでどちらかというと記憶に残るようなビッグナンバーはなかったかな。サラサラ~っと聴いてく感じ。ちょっと音楽劇に近いような印象がありました。
ミュージカル作品としてはどちらかというと好き嫌いが分かれるようなタイプのものかもしれません。万人受けはしないかもと思いつつ、不思議な世界感を楽しめる作品として見れて良かったなと。
ちなみに、私がなぜこのミュージカルを見に遠征したかといいますと・・・最近「科捜研の女」で成長著しい石井一彰くんを目の当たりにして気になったから・・・という不純な動機がありました(笑)。作品というよりかは、成長した石井君が生で見たいの一心で行きました😁w。
主なキャスト別感想
渡辺麻友さん(アメリ役)
AKBでトップアイドルだったまゆゆの初舞台。アイドル上がりでミュージカルの主演というにはちょっとハードルが高いのでは…という気持ちもなかったわけではありません。
が、麻友ちゃんがミュージカル大好きだっていうのは知っていたし、今回主演するにあたって彼女自身「ミュージカルファンという立場から見たら許せないという気持ちが湧いたと思う」って語ってたのを見て、この子はやってくれるんじゃないかなっていう期待は持ってました。
結果・・・個人的にはかなりの好印象でした。
アメリの持つ天真爛漫な笑顔や、他人とのコミュニケーションを恐れて後ずさっちゃう繊細さみたいなものが麻友ちゃんの持つ魅力と繋がってて見ていて違和感がなかった。なんというか、全身で「ミュージカルが好き!」っていう気持ちを滲ませながら生き生きと舞台に立っていた姿がとても印象的でしたね。
歌も、上手い…とは言えないんだけど😅、でもミュージカル歌唱としてはすごい可能性を感じさせるようなもので。特に良かったと思ったのが、声が後ろの席の方までバーンと開放されていたこと。気持ちが乗りきってないなと思うようなシーンもチョイチョイあったけど、声を前面に出した歌い方はすごく好印象でした。今まで見たアイドル系の人の中では一番今後の可能性を感じたかも。
これからも色んな経験を重ねて、良い舞台女優さんになってほしいなと思いました。
太田基裕くん(ニノ役)
太田もっくんがこの作品でヒロインの相手役を演じると知ったのは観劇する直前。これまで舞台でもっくんが相手役になる作品を観たことがなかったので、なんだか見ていてすごくドキドキしてトキめいてしまいました(笑)。
人付き合いが極度に苦手でいつも寸でのところで逃げて行ってしまうアメリに振り回されて、そのうちにどんどん彼女が気になってしまってドツボにはまってしまい思い悩む後半が特に最高に萌えた😍!!恋に苦悩するもっくんの芝居、最高ww!!
そんな苦難を乗り越えてようやくアメリと対面できた時の、「静」の芝居もすごく良かったです。はやる気持ちを抑えて、ゆっくりと彼女の気持ちが自分に寄り添ってくるのを待ってるニノはジェントルマンでカッコいい。アメリとのキスシーンも自然で、甘く柔らかい雰囲気で・・・ドキっとするよりかはホンワカ見守るって感じになってたのも印象的です。
歌は相変わらず甘く綺麗な声を響かせていてすごく良かった。この作品の出演者はどちらかというとミュージカルよりは芝居系の人が多かったこともあって、歌唱という点では慣れている印象だったかな。
石井一彰くん(リュシアン役ほか)
石井くんの舞台を見たのは何年振りだろうか…!ミュージカルアカデミーの一期生で、卒業したばかりの頃に出た「ミス・サイゴン」のトゥイ役の頃から彼のことは知ってて。まだ出始めで頑張っていた頃にはよく舞台で見かけたのですが、その後ちょっとご無沙汰になってしまった。
そんなある日、ドラマ「科捜研の女」に土門刑事の相方として抜擢されたと知って時々見ていたんですが、石井くん、映像の仕事慣れてないはずなのにこれだけいい芝居できるんだ!と感動。そこからムクムクと、今の彼の舞台を見てみたいと思い始めるように。それからだいぶ時間経っちゃいましたけどねw。
今回は主演の二人と子役ちゃん以外は一人で何役もこなし、さらにはセットの移動なども担当していたので石井くんも様々な場面でかなり登場してました。あれだけのことを一つの舞台でこなすのは本当に大変だったと思います。
そんな中で印象的だったのが、八百屋さんと亡くなった恋人の役。
八百屋の青年はいつも笑顔で爽やか青年なんだけど、おっちょこちょいなところが多くていつもオヤジさんに怒られてる。そんな彼が歌い上げるシーンがあって、けっこう抑揚が大きくて難しそうな曲だったのですが・・・爽やかに綺麗な歌声で歌いこなしていて!最初に「サイゴン」のトゥイで見た時の物足りなさがなくなってたことに感動😃。石井くん、めっちゃ歌も上手くなったし感情表現もバラエティに富んでて…あ~~、ホント成長したなぁと感慨深いものがありました。
飛行機で亡くなった恋人役では、静かで穏やかな青年の顔をしていて、凄い優しい歌声で恋人への愛を歌っていました。その歌声がまたジーンと胸に響くようなもので…すごく良かったです!!
私が舞台で会えない間に、すごい成長したんだなぁと思えてとても嬉しかった。次は「宝塚BOYS」に出演ということなので…また遠征します(笑)。
藤木孝さん(デュファイエル役 ほか)
藤木さんも久し振りに舞台で拝見したのですが、さすがの存在感で目が離せませんでしたね。石井くんと一緒に八百屋さんをやってる場面でも、叱ったりしながらもそこには確かに愛情があるって分かる温かみがあったのが印象的です。
一番印象深いのはやはり絵描きのデュファイエルさんでしょう。
アメリのいい相談相手になるのですが、自分自身も有名画家の模写をしてばかりでオリジナルの絵を描くことへの戸惑いを持っています。アメリがあと一歩のところで自分の殻を破れないことと、デュファイエルの心境というものが重なるような場面があるのですが、その時の藤木さんの表情がとても印象深かったですね。アメリに自分を重ねている部分があったのかなぁと思えてなんだか切なかった。
ついにアメリが一歩前に進む決意をしたときに、初めて模写ではない絵を手掛けるシーンもとても感動的でした。
出番的には多くはないのですが、ピンポイントでジンワリと心に沁みるような芝居を魅せてくれるところはさすがだなぁと思いました。
そのほかのキャストの皆さんも超個性的でいろんな場面で楽しませてもらいました!
特に植本純米さん(いつの間に改名されたんですねw)のノーム像や、野口かおるさんのテンションの高いいかがわしいショップ店員ww、あと山岸門人さんのアメリの空想に出てくるエルトン・ジョンはかなりの濃さでめちゃめちゃ面白かったです😆。
子役の叶英奈さんもアメリの雰囲気に合ってて、歌もすごく上手かった。最近の子役は本当に歌が上手い子が多くてビックリです。
後述
カーテンコールではランダムに挨拶する人がまゆゆから指名されていたようで皆さん当てられないようにドキドキしまくってたのが面白かったw。私が観劇した日は伊藤明賢さんが選出。「ありがたいお言葉がこれからありますので」というまゆゆの最初のコメントにさらにプレッシャーがかかっていたようで最初オドオドされてたのが笑えたのですが、
「僕はココリコの田中ではありません」
と最初の挨拶が出てきてみんな爆笑ww。あ~~、誰かに似てると思ったら、ココリコ田中だ!「色んな人に似てるって言われるんで」ってご本人談。さらには「元・吉本クリエイト所属だった伊藤明賢です」と重ねてきて、勝矢さんに「その情報、必要?」って突っ込まれてたのがまた笑えましたww。こんな感じで掴みはOK。
作品に関しては思い入れも深いということで「定期的にまた皆とアメリを一緒に上演できたらいいなと思ってる」と語っていました。アメリの出演者の皆さん、本当にこの作品を愛しているようで、その気持ちがひしひしと伝わってきたんですよね。
最後に、この日に大千穐楽を迎えた子役の叶英奈さんがご挨拶。とても大人っぽい挨拶だったので出演者の皆さんも「おぉ!!」とビックリw。最近の子役さんは本当によく教育されてる。
こんな感じで、大盛況の中幕が下りました。
麻友ちゃんは初ミュージカル出演でしたが、今後の可能性を感じるものが多々あったので今後も頑張ってほしいなと思います。