ヒュッゲ
2幕冒頭にオーケンの山の雑貨店が出てくるのですが、ここではお客さんの反応とのキャッチボールをするシーンから始まります。1回目に見に行った時は手を振るように指示されて「お花畑みた~~い」とのほほ~~んとした空気感に包まれていましたがw、今回は「皆よくトイレから帰ってきてくれたね」とか「カサカサになるまで消毒してくれてありがとう」とか「よく玄関から出る決心してくれたね」とかw、色々と現実的な感謝の気持ちがポンポンと飛びだしてきました。でもこれって、役者さんもお客さんも、「また会えてうれしい」っていう気持ちは同じだよなぁって思えてちょっとジーンときちゃった。こういう想いを共有できるのも生の舞台だからこそ。
アナとクリストフは冬山への備えのためのグッズを買いに来るわけですが、オーケンはの~んびりした性格で「みんなでヒュッゲを満喫しよう」って呑気に歌い始めちゃうw。ちなみに”ヒュッゲ”とはデンマーク語で「居心地のいい生活」という意味。
オーケンのお店にはなぜかサウナ施設も隣接されていて、途中でそこから大勢の人がわらわらと出てくる(笑)。アナは楽しくなっちゃって彼らと一緒に歌い踊るんだけど、クリストフは時間の関係もあって気が気じゃない。この二人の心の余裕の差も面白いです。
で、ビックリするのはやっぱり♪ヒュッゲ♪のラスト。スーツ着てると分かっていても、みんな生まれたての姿で大事なとこだけ葉っぱで隠して踊ってる(笑)。あれは最初観たとき衝撃でしたww。女性の人も…ですからなおさら。しかも葉っぱで大事な部分を隠す動きがこれまた絶妙(笑)。ちょっとズレたらめっちゃ危険!!ってハラハラしながら見てしまうww。
あなたを失いたくない
エルサの城に辿り着いたアナとクリストフたち。アナは美しい氷のお城に大感激(氷売りのクリストフも)しますが、このセットの氷の部分はスワロフスキーのクリスタルがふんだんに使われているというだけあって客席から見てもキラキラ光ってとても美しいです。
エルサはアナの来訪を快く歓迎。オラフの存在もあって、二人で仲が良かった頃の思い出話に花を咲かせる。オラフのおかげでアナは消えていた記憶を少し取り戻すことができたようでしたね。
ところが、姉妹が別れ別れになるきっかけの出来事の話に及ぶとエルサは気持ちを取り乱してしまう。大切な妹をもう二度と傷つけたくないエルサは、これからは一人で生きていくつもりだと語りましたが、アナはどうしてもそのことに納得できない。
エルサは妹を傷つけたくない気持ちが強くて、アナはそんな事情を把握したうえで以前のように一緒に仲良く暮らしたい気持ちが強い。お互いをこれでもかってくらい思いやっているのに平行線になってしまうのがとても切ない新曲のナンバーです…。守ってあげたいがゆえに気持ちがすれ違ってしまうのが哀しい。このナンバーでは姉妹のお互いを大切に想う気持ちが切々と歌われてて、映画よりもドラマチックに描かれている印象が強いです。
国を凍らせてしまったことを知らされたエルサは混乱。アナは必死に一緒に解決しようと訴えますが、エルサはどうしていいか分からなくて気が動転してしまい、近づこうとしたアナを拒絶する魔法を使ってしまった。蘇る、子供時代の悲劇…。
クリストフは慌てて駆けつけて何とか意識を取り戻したアナを連れて城から脱出。で、その後の展開が面白いw。オラフのシーンは巧い具合に演出考えたなぁと思います。
誰でも完璧じゃない
アナの髪がエルサの魔法でおかしくなっていることを悟ったクリストフは、自分を育ててくれた”隠れ人”なら何とかしてくれるかもと彼らを呼ぶ呪文を唱える。1幕では国王夫妻が彼らを呼ぶシーンがありましたが、2幕でクリストフがそれをやると…なんかどこか滑稽で面白いw。それを見たオラフが「あいつクレイジーになっちゃったのかも」みたいにツッコミ入れる気持ちも分かる(笑)。
そして出てきたクリストフの育ての親でもあるバルダとパビー。二人はすっかりアナと彼が恋仲になっていると勘違いして大喜び。必死にカップルじゃないと説得を測り本題に入ろうとするクリストフでしたが、バルダたちはアナに何とか彼を気に入ってもらおうと「クリストフの良いところリスト」みたいなのを次々と歌い始め盛り上げちゃう。
ここは映画版でも出てきたナンバーでしたが、ミュージカル版のほうが個人的には盛り上がりを感じられて好きですね。めちゃめちゃハッピーな雰囲気だし、二人がなんやかんや戸惑いながらも気持ちの部分で共鳴していくのを感じるのがいい。
クリストフ・ララバイ
お祝いムード一色になったところでようやくクリストフがアナの状況を説明。アナも魔法の影響が体に及んで倒れてしまい、バルダたちは慌てて呪文で助けようとする。
この時に、クリストフはアナへの恋心をハッキリと確信するわけで…「君は俺を変えたね、とても」っていう歌詞がめちゃめちゃ切なくて泣ける!!!ここは本当にミュージカルならではのドラマチックな展開で、映画で観たかった場面を見事に補填してくれていました。彼のなかでアナの存在があり得ないくらい大きくなっているのが痛いほど伝わります。本当の”愛”はこうやって生まれていくんだろうなぁ…って実感できるシーンでもあるかな。まぁ、それは人それぞれとも思いますがw。
そして自分の恋心を歌うなかで、アナと出会ったばかりの頃に文句言いながら歌い合った「愛の何がわかる」のフレーズを切なく歌うわけで…これがまたグッとくるのです。自分も”愛”についてなにも分かっていなかったんだと、本当に愛する人を見つけた後に歌うわけでそれが泣けるんですよねぇ。
バルダたちの魔法では心を凍らされたアナを救うことができず、唯一の救える方法が「真実の愛のキス」だと分かるとクリストフは必死に彼女をハンスの元へと送り届けようとします。
モンスター
ハンスはアナ救出のために吹雪のなかを突き進み、ウェーゼルトンはエルサ退治のために攻撃も辞さない構え。このあたりの展開は『美女と野獣』で城を襲うために村人たちがガストンに先導されてやってくる場面と少し重なるものがあります。
追手の存在を感じたエルサはもう隠れることはできないと覚悟する。それと同時に、自分の意思に関係なく人々を苦しめる吹雪を巻き起こしてしまう自分の存在は”モンスター”でしかないのかもしれないと絶望感に襲われてしまいました。このナンバーはそんなエルサの苦しい胸の内を訴える切ない旋律もあるのですが、それと同時に彼女の持つ魔法の迫力の脅威を感じさせるような激しい旋律も含まれていてどこかカッコいい。
歌っているうちに自我に目覚めていき、魔法の力で世界を救うという思想に変わっていくエルサは見応えあります。モンスターになどなるものかと必死にあらがおうとする姿を盛り上げる音楽が最高でしたね。
また、エルサが追手を退けるために使う魔法のシーンも見所の一つになっています。特にハンスたちが巨大な氷に行く手を阻まれていく場面は迫力あり!
ハンスは自ら投降したエルサからアナの話を聞いて城へ戻るのですが…このあたりからだんだん雲行きが怪しくなる(汗)。でもまだここでは信じられるハンス王子でもあるんだけど…。
クリストフに無事にしろに送り届けられたアナは、戻って来たハンスと再会して”真実のキス”を交わすはずでした。ところが、ここでビックリ仰天な展開が待っていた(汗)。いや、もうほんと、このシーンだけは何度見ても「どうしてそうなった!???」と思うだろうな(苦笑)。少なくとも前半は本当に惹かれ合ってたと思いたいし共鳴も確かにしていたと思いたい。
っていうかほんと、これ、杉浦ハンスの自分の中の好感度が高すぎて人間不信になるレベルですよw。
そんなアナを助けに来たのはオラフ。このあたりは映画と同じ展開ですが、パペットだと暖炉の火で溶けかかるっていうのはさすがに無理(汗)。でも、オラフが実際に火をつけるシーンはけっこうリアルでした。
そしてアナはオラフからクリストフの本当の気持ちを伝えられる。「本当に愛のことを知らないんだね」っていう彼の言葉が沁みます…。
そんな時、どうしてもアナを諦めきれなかったクリストフがスヴェンに乗って引き返している姿をオラフが確認するわけですが…、このシーンは映画のほうが詳しく描かれてるんですよねぇ(苦笑)。ミュージカルでここの演出をするのは難しかったかなぁ。
つのる寒さ
嵐がやまぬ中、ハンスは民衆にアナがエルサに殺されたと宣言。アナとの婚約は成立しているので自分が新しい国王だというハンスに対し、人々はエルサを一刻も早く対峙してほしいと乞い願う。うーーーん、もうここあたりは個人的にまだ信じられない…って感情が強く残ってるので「なんでそうなってる」っていう感想のほうが強い(苦笑)。人間ってちょっとのタイミングで悪魔に憑りつかれてしまうものなんですかねぇ。私にはどうしても最初から…には思えなくて。
アナは必死にクリストフの姿を探し求めて雪の中をさまよう。クリストフもまた然り。エルサはなんとか魔法をコントロールして吹雪を終わらせようっと突き進む。ハンスはその姿を必死に追う。4人それぞれの心情を、♪ありのままで♪の旋律を時折挟みながらドラマチックに展開し、観る者の心をとらえて離さない。このナンバーは見事の一言ですね。
そしてエルサに追いついたハンスは自らの計画の仕上げを行おうとする。そこへ駆けつけたアナにまた悲劇が!!と、このあたりも映画とほぼ同じ。ただすごいのは、アナの悲劇をアンサンブルさんたちとプロジェクションマッピングの融合で表現した演出です。あのドンピシャ感はすごい!
フィナーレ
ラスト、全てが良い方向に急展開するところはディズニーらしいw。エルサとアナの絆も戻り、アナはクリストフとの真実の愛にやっと気が付く。
映画ではウェーゼルトンが罰を受けるみたいな展開になってましたが、舞台ではそうなりません。これはちょっと不公平じゃないのか!?と思わなくもない(笑)。まぁ、よくよく考えてみれば計画性がなかったという点では彼に罪は着せられないって展開になるのも分かるんですけどね。
そしてハンスの顛末。ここはもう、致し方がないとは思うわけですが(この時点でも信じられないと混乱が残る私ww)、映画よりもソフトランディングな終わらせ方になっていたのは救いかなぁと。なんていうか…、杉浦ハンスがめちゃめちゃ好印象男子だったもので、あのくらいでよかったよと思わずにはいられんのですわ(笑)。個人的には、ハンスにはあの後セカンドチャンスを与えてあげたい気持ちでいっぱいですよ、ほんとに。
主なキャスト別感想
三井莉穂さん(エルサ役)
三井さんはメインの役として見るのはこれが初めて。岡本さんと比べると女性らしい柔らかさみたいな雰囲気があって、アナとの関係で悩み苦しむお芝居はとても繊細で印象深かったです。歌声は最初少し弱いかなぁとも思うこともあったのですが、ビッグナンバーでの歌い上げや盛り上げどころの部分はしっかりと声が出ていて迫力ありました。
町島智子さん(アナ役)
町島さんも初めましての女優さん。前回見た元気の塊のような三平さんに比べると、ちょっと落ち着いた女性らしい雰囲気だったのが新鮮でした。アナのイメージとしてはもう少し明るさが欲しいかなと思わなくもなかったのですが、王女としての気品を随所に垣間見せていたのは逆にリアルでよかったんじゃないかなと思います。少し温かみを感じさせる歌声も素敵でした。
神永東吾さん(クリストフ役)
神永君のクリストフは2度目ですが、どちらかというとこれまではあまり感情を表に出す役を見たことがなかったので個人的には新たな発見といった感じで好印象です。特にアナに振り回されて感情が取っ散らかるようなお芝居がすごく新鮮で面白い。それとは逆にアナへの恋心に目覚めるシーンは甘く切なくグッときます。このあたりの緩急の付け方もよかった。
杉浦洸くん(ハンス役)
杉浦君のハンスも2度目なんですが、前回見たときよりも萌え要素が大きくていつの間にか彼に目を奪われるシーンがとても多かったです。なんといっても1幕の表情がどこを取ってもめっちゃ可愛くて母性本能がくすぐられる(笑)。沼落ちしないように自分を抑えるのに必死になっちゃったよww。いや、四季の俳優さんを好きになると色々と大変だっていうのは経験上悟っているので(なにせ四季は役者の予定をほとんど教えてくれないし)。それくらい彼の演じるハンスは超魅力的だし、何度も会いに行きたいです(遠征だしそんなにチケット取れないけど 汗)。
あと、歌声が最高に良いですよね。なんというか…、サカケンさんの鋼の歌声と重なるものを感じた。すっごい安定感。こんな完璧に歌いこなせる若手の俳優さんが四季にいたことが嬉しい。将来、ラウルとかカジモドとかも行ける気がする。これから色んな役でどんどん見てみたいです。
山田充人さん(オラフ役)
前回は女性キャストの小林英恵さんでしたが、今回は男性キャストの山田充人さん。山田さんは以前CATSで観たことがあるのですが、それ以来なのでかなりお久しぶりです。女性と男性とではオラフのキャラが全然雰囲気変わって面白いですね。山田さんのちょっとコミカルで優しい声がオラフ役に上手くハマっていて見ていて何度も癒されました。
阿部よしつぐくん(オーケン役)
よしつぐくんはノートルダムのクロパン役以来。クロパンはかなり黒に近いギラギラした印象で怖さすら感じさせましたが、今回のオーケンはその対極にいるキャラクター。ふんわり優しい呑気な可愛さが見事によしつぐくんにハマっててめっちゃ癒されました。四季に入る前にも大きな舞台に何度も出演しているだけあって、セリフ回しもスムーズだしごく自然にその空間にいる感じも良い。2幕冒頭でお客さんに感謝の気持ちを伝えてくれたのも嬉しかったな。
後述
10月はこの1本だけの観劇ですが、非常に充実した時間を過ごすことができて本当によかったです。夏には色々な舞台観劇を諦めて我慢したこともあってか、劇場に足を運べることに対する喜びもひとしおだった。
あと、2回目にしてミュージカル版アナ雪にかなり心を奪われました。心の中でずっと「この作品好きだ!」と何度も自覚させられたし。あと個人的には…、ハンスを演じてる杉浦君にめちゃめちゃ心惹かれてしまったというのも(笑)。好きになりすぎないように自分を抑えるのに必死でしたがww、洋輔くん以外に”この役者さんをもっと見ていたい”と思えたことはすごく嬉しかったです。3回目にもしもまた会ってしまったら…けっこう危ないかもw!?
次のアナ雪は12月の予定。12月はそれ以外にもけっこう予定詰めてしまっているのでww、なんとか今回のように遠征できることを切に祈るしかありません。舞台観劇は私の生きる糧でもあるので…神様、どうか、お願いします!
帰りに見た夜の竹芝ふ頭の明かりがとても奇麗でした。