ミュージカル『四月は君の噓』兵庫公演 2022.06.17マチネ/06.18マチネ

主なキャスト別感想

有馬公生:小関裕太くん(17日マチネ)

最初に小関くんが公生の役だと知ったとき、すごくイメージぴったりだなと思ったのですが…それ以上でした。いつも何かに怯え引っ込み思案で壊れやすいほど繊細な公生が、徐々に感情を表に解放していくまでの芝居が本当に素晴らしかった。

母親への複雑な感情が強すぎてピアノが弾けなくなったときの絶望は痛いほどこちらに伝わってきて、彼がそこから心を閉ざしてしまうという展開をすっと自然に受け入れることができた。このあたりの表現力は流石だなと思いました。
さらに、人との接触を避けるように地味で冴えない高校生活を送る公生がかをりと出会い新たな世界に踏み出していくたびにどんどん感情を開放させていく過程の感情の動きがとても繊細で丁寧。彼女に強引に音楽の道へ戻されそうになり、それに反抗しながらも抗えない何かに導かれるように少しずつ、でも確実に惹き込まれていく様が手にとるように伝わりました。

特に泣けたのはやっぱり後半のシリアス場面。かをりの事情を知って大きく戸惑い泣き叫ぶ場面は涙なくしては見れなかった…。あまり人に感情を見せなかった公生が大声で本音をぶちまけ子供のように泣きじゃくる。この姿がもう本当に魂揺さぶられまくったよ!!
ちなみにカテコでそのシーンに触れてた小関くんによると、どうやら泣きすぎてコンタクトが外れたらしいw。「あのあと視界がぼんやりしちゃったけど、いつも以上に役の気持ちに入り込めたかも」とちょっとはにかんでた姿が可愛かったです。

小関くんの歌はすごく上手…という感じではないんだけどとても素直で聴き取りやすかった。感情のままに歌う姿とかもすごく胸打たれるものがありました。
あと、ピアノを弾くシーンになると音楽家の顔になるのもすごく良かったな。タキシードのボタンを外してスイッチオン、みたいに変わるのがとても印象深かった。

有馬公生:木村達成くん(18日マチネ)

初めてロミジュリで達成くんを見た時に”ものすごくいい目をしている”と大注目してから密かにずっと応援しています(ファンクラブに入ろうかと思ったほどだったw)。ここ最近は映像作品への出演も増えてきてますます活躍の幅が広がり嬉しい限り。

小関くんの公生はずっとビクビク怯えたような雰囲気がありましたが、達成くんの公生はピアノの音が聴こえなくなってからは心を閉ざしてスネているような印象を強く持ちました。友達の前でもムスッとした様子で、とにかく一人になりたいというオーラが出ていました。
そんな彼が前向きに自分自身を解放しまくる宮園かをりと出会い、振り回されながらも巻き込まれていく。最初はかをりに対しても暗い表情を見せることが多かったけれど、彼女の演奏を初めて見た日から惹かれていたことも確かで。そんなもどかしさの中で、どう彼女にアプローチするべきか戸惑う芝居がとても繊細に表現されていました。

最初は公生のキャラが目力のある達成くんに合うかどうか少し心配だったんだけど、全くそんなことなかったよ!自分の感情を表に出すことに不器用で、世間と関わることを避けるように下を向いている姿を見て「新しい公生」だと思えた。原作とは少しイメージが違って思えたんだけど、不思議とハマってたんですよね。

かをりと一緒に演奏したときピアノの音が聴こえず演奏を諦めてしまった場面。ピアノの前で俯いていた時握っていた拳も震えていて、彼のどうしようもない苦しみが手に取るように伝わってきた。それでも彼女の歌に背中を押され再びピアノと向き合う時、動揺した表情をしながらも見えない何かに導かれるようなリアクションをしていたのがとても印象深かった。

かをりへの想いが膨らんでいく後半。彼女に悟られないように気持ちを必死に押し殺してる姿が切ないのなんの…。さらに、彼女の真実を知って動揺のあまり渡の前で泣き崩れてしまう姿も涙無くしては見れなかったよ。
クライマックスの演奏シーンはこれまで見てきた彼の芝居の中で一番心打たれたかもしれません。あの表情、本当に素晴らしかった。

歌も本当にどんどん魅力的になっていくよね。公生の想いがすごくストレートに伝わってきてボロ泣きさせられちゃったよ。最高の達成くんを見れて本当に嬉しかった。

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宮園かをり:生田絵梨花さん

かをりは原作では最初の頃特にものすごく破天荒で乱暴な女の子という印象が強かったのですが、ミュージカル版では年齢設定が上になったこともあってかかなり落ち着いていて明るさの中に儚さを感じさせるキャラでした。これが、ものすごく生ちゃんにハマりまくっていた!!彼女が演じたかをりだったからこそ、今回の作品がキラキラと輝く爽やかで繊細な世界観を創り出していたと思います。

これまで何度か生ちゃんの舞台を見てきたけれども、正直今ひとつ感情移入できないことが多かったんですよね。歌声は綺麗なんだけど気持ちが前に届いてこない感覚があって…。でも、かをり役はもうドンピシャで私の心を大いに揺さぶり続けてくれました。特に、明るい笑顔の下で自らの境遇を必死に受け止めようと懸命にもがいているお芝居が切なすぎて涙が止まらなかった…!!

それから、歌声がこれまたものすごくかをりのキャラにピッタリと当てはまりまくってた。あの難しそうな楽曲をこんなにも美しく繊細に歌えるなんて…正直びっくりしました。初めて生ちゃんの歌で泣いた。本当に素晴らしかった。今後もしも再演されることがあればまたかをりとして戻ってきてほしいです。

澤部 椿:唯月ふうかさん

椿は女の子なのに「オッス!」とか男の子の言葉を使うことが多いキャラですが、ふうかさんが演じるとめちゃめちゃ可愛らしくて思わず笑顔になってしまう。原作よりも柔らかい温かみのある椿に思えたのは、彼女が演じたからこそだなと思いました。

椿は最初は公生への想いが「恋」なのかはっきりしないんだけど、かをりと彼の関係を見つめていくうちに自分の気持ちを抑えきれなくなってくる。その時の椿の心情をふうかさんはとても繊細に演じていて、思わず「その気持ちわかるよ!!」と共感してしまうことも多かったです。なんだかすごく応援したくなるような女の子だったと思う。

歌は相変わらずとても安定しているし、気持ちもちゃんと乗ってる。可愛い声質をしているので余計に椿の愛らしさが感じられてとても良かったです。

渡 亮太:水田航生くん(17日マチネ)

昨年配信で見た「東京原子核クラブ」でのストプレのお芝居ではすごく大人っぽい落ち着きのある雰囲気だったけど、今回の渡亮太役はその逆路線を行くキャラクター。
性格もオープンでクラスの人気者だし女の子にもモテモテ状態。最初は、年齢的にこの若さは大丈夫だろうかと少し思うところもあったのですが(ごめんw!!)その心配は全くの杞憂に終わりました。めっちゃ明るくてカッコいい高校生だったよ!!水田くん、すごいなぁ。

亮太はお調子者だけど友達想いでとても優しいし、仲間たちをまとめる力もある素敵な子。水田くんはいつも明るくはしゃいでいながらも、常に周りをよく見る冷静さも感じさせるような…みんなの頼りになるお兄さん的雰囲気も感じました。彼がいるとなんだかどこかホッとする、みたいな感じ。

印象的だったのはサッカーの試合に負けてしまったときの亮太の場面。いつも明るくみんなを引っ張る立場だった彼が、一人になったときに初めて自分の不甲斐なさを悔いて涙を流す。この姿があまりにも切なすぎて思わずもらい泣きしてしまった…。今は無理しなくていいよって声かけてあげたくなっちゃったよ(涙)。
それから、かをりに会いにいくのを躊躇う公生に檄を飛ばすシーンもとても良かったなぁ。多分早い段階でかをりの気持ちも察してたけど、それを承知の上で彼女に合わせてたんじゃないかなとも感じた。公生へのアシスト…的な。そんな親友を大切に思う気持ちもなんだか伝わってくるようで泣けちゃった…。

歌声はとても爽やかできれい。歌詞も聞き取りやすいし、小関くんとの歌声のハーモニーもとても心地よかったです。

渡 亮太:寺西拓人くん(18日マチネ)

寺西君は今回初めましてだったのですが、とても誠実なお芝居をしてるなぁと好印象でした。

水田君がちょっとチャラい印象で演じていたのに対し、寺西君は明るくてお調子者だけど根はとっても真面目という感じ。真っ直ぐな青年で、誰に対しても誠実に向き合ってるのが伝わってきました。
サッカーの試合のシーンでのダンスも全力投球。スポーツ少年らしさが随所に見られてカッコ良かったです。

一番印象的だったのはかをりの見舞いに行こうとしない公生を窘める場面。寺西君の渡はかをりのことをもしかしたら本気で好きだったんじゃないかなって思えたんですよね。彼女の気持ちが自分に向いていないと歌う時、すごく苦しそうな表情してたし…。その上で「自分の気持ちをちゃんと伝えろよ!」と檄を飛ばすシーンは、とても熱くて切なくて泣けました。
最後まで誠実さが滲み出るお芝居がとても良かったと思います。

かをりの母:未来優希さん/かをりの父:原慎一郎さん

出番は多くないけれど娘のことを案じながらも温かく見守る姿がとても感動的でした。かをりのコンサートの傍らでいつも見守り、ハンディカメラを回し続けるシーンの笑顔がもう、結果を知りながら見ると泣けて泣けて仕方ない。あの時どんな想いで彼女を見守っていたのだろうと思うと尚更ねぇ…。

そして2幕で歌われる♪映画みたいに♪がもう…堪らなかった(涙)。友達とワイワイ楽しそうにケーキをつまむかをりの姿を優しく見つめながら、今の時間が永遠に続けばいいのにと祈るような気持ちで歌われてて…。メインで歌があるのはこのシーンだけですが、もう本当にこのお二人の優しく切なく愛に溢れた歌声が素晴らしすぎてボロ泣きさせられました。

審査員役:ひのあらたさん・三木麻衣子さん

ひのさんと三木さんは色々な役で登場されていますが、「審査員」はひたすら厳しく第三者的な立ち位置を貫いている姿がとても印象的でした。この作品の中では”敵役”みたいな立ち位置だったかな。世間の冷たい声代表みたいな感じで異色な存在。これがとてもいいスパイスになっていたと思います。

ひのさんは亮太たちのサッカーチームの監督も担当。こちらは打って変わっての熱血っぷりでw一緒に試合してるようなハイテンションさが面白かった。三木さんは後半、かをりの担当看護師で登場。友だちの前で明るく振る舞う彼女の気持ちを察して優しく見守ってる感じがとても印象深かったです。

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後述

カーテンコールは両日共に大いに盛り上がりました。カテコではメインキャストの二人から挨拶もあって、この作品に対する熱い想いを直接聞けたのがとても嬉しかったです。小関君と達成君は違う日だったけれど二人とも「一度中止になってしまったこの作品を、こうして皆様にお届けすることができたことが何よりも嬉しい」と同じようなコメントをしていました。達成君は「公演できたことが奇跡だと思う」って言ってて感動的だったな。それくらい思い入れが深い作品なんだなと思ってこみ上げるものがありました。

生ちゃんはなんと、兵庫公演に参加するのは今回が初めてだったとのこと。大阪はあっても兵庫はなかったそうで、なんだかそれが意外だったな。「もっと兵庫にいたかったけど、次の公演もあるので一度充電してまた頑張ります」と決意を語っていました。

18日の兵庫最終公演の最期のカテコでは、4階席まで総立ちになっている光景を見て達成くんと生ちゃんが「うわぁ~~~!!」と感嘆の声を上げていました。「近いようで遠くて高い」みたいなコメントしてた生ちゃんが可愛かったなw。
会場の感想を聞こうとした生ちゃんに「今は話せない時期だから」と慌ててツッコミを入れる達成君も面白かったww。ということで、拍手で反応を聞く二人。もちろん大音量の拍手が送られていてとても嬉しそうにしていました。なんか、グリブラの時のような明るい達成くんが見れて私も嬉しかったよ!

もう本っっ当に、全てが「Perfect」「Colorful」な素敵な素晴らしい舞台でした。これはぜひとも定期的に公演してほしい。できれば今回のキャストで円盤化もしてほしかったなぁ。

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