劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』ジャポネスクver. 2023.06.29マチネ

劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター ~ジャポネスクバージョン~』を観に東京まで遠征してきました。

自由劇場、何年ぶりだろう!?と思って過去を遡ってみたら2018年の『恋に落ちたシェイクスピア』を見に行って以来だった(当時の観劇記録はこちら)。あのとき主演だった上川一哉くんは四季を退団しましたが、今いろんな舞台で活躍していて嬉しく思います。

劇団四季の『ジーザス〜』(以下JCS)はわりと頻繁に上演を重ねている印象があったのですが、2019年以降はぱったり公演がなくなってしまって。さらにいえば、2013年から19年まで上演されていたのはずっと「エルサレムバージョン」だったので、四季はもう「ジャポネスクバージョン」を上演することをやめてしまったのではないかと思ってしまったほどです(苦笑)。

それだけに、今年ついに「ジャポネスク〜」が上演決定したと聞いたときは驚きとともに”見捨てられてなかったんだ”とちょっと安堵しました。私が一番最初に『JCS 』の作品に触れたのは1998年のジャポ版だったのですが、あのときの衝撃は今でも鮮明に覚えてて・・・(柳瀬大輔さんのジーザスが本当に美しかった←当時の興奮の感想はこちら)それだけに思い入れが結構深いんですよね。

今公演はロングランではなく期間限定。6月22日(←木曜日スタートになったのはキリストの「最後の晩餐」を記念してるためだそう)〜7月16日とかなり短期な上に上演劇場も小さな箱の「自由劇場」ということで…前売りチケット戦線が非常に過酷でございました(汗)。これまでの経験だとJCSは比較的余裕でチケット取れる印象があったのですが、今回は本当に厳しくて(苦笑)。開始から約1時間ちょいでようやく繋がったときには後方しか残っておらず、なんとか購入にこぎつけられた数分後に全席完売という衝撃の知らせが入ってきてビックリ(汗汗)。もう本当に最後のギリギリのタイミングで確保できたのかと思ったらちょっと冷や汗が出ましたw。久々のJCS、しかも約10年ぶりのジャポネスクだったので後方席でも取れてよかったなと改めて…。
ちなみに四季の公式HPによると、24年2月には「エルサレムバージョン」の上演も決まっているそうです。こちらも期間限定とかになるとかなりチケット戦線が厳しくなることが予想されますね(汗)。

でも今回客席に座って思ったのですが、自由劇場は最後方からでもほぼ裸眼で役者さんの表情が見えるんですよね。2階席からの視界もかなり近いと思われます。JCSのジャポネスクは特に照明の芸術が素晴らしいので、少し離れた場所から見るのがベストなのかもしれません。

今回のグッズの”大八車”デザインがとても可愛い!テンション上がってトートバッグも買おうかと思っていたのですが、残念ながら売り切れになっていていました。まだ始まって1週間ちょいなのに早い(汗汗)。ということで、パンフレットとクリアファイルのみのお買い上げとなりました。

以下、タバレを含んだ感想になります。

コンサート版を含んだ過去のJCS観劇感想記事もあるのでよろしければ参考までに。飯田兄弟が出演した懐かしい回の感想もあります(当時はほとんど注目してなかった 汗)。

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2023.06.29マチネ公演 in 自由劇場(東京・浜松町)

主なキャスト

  • ジーザス・クライスト:神永東吾 
  • イスカリオテのユダ:佐久間仁
  • マグダラのマリア:江畑晶慧
  • カヤパ:飯田洋輔
  • アンナス:日浦眞矩
  • 司祭1:佐藤圭一
  • 司祭2:内海雅智
  • 司祭3:真田司
  • シモン:本城裕二
  • ペテロ:辻雄飛
  • ピラト:山田充人
  • ヘロデ王:大森瑞樹

【男性アンサンブル】

森健心、安東翼、大萬昇太、木谷光、劉昌明、佐藤幸治、平田郁夫、鈴木智之、横井漱、長尾哲平、葵野貴元、鈴木貴雅、平山祥

【女性アンサンブル】

加藤あゆ美、坂井菜穂、菩提行、小島由夏、廣本則子、辻茜、小松真美、濵嶋紗穂里、立花梨奈、森下薫

【大八車】

磯江拓也、香取直矢、柴田鴻洋、田野井大登、西村一輝、橋岡未浪、別當大地、眞柄成寿、緑川諒人、渡部斗希也

シングルキャストだったはずの高井さんと村さんでしたが、突然抜けられてしまい急遽予定外のキャストさんが入るという緊急事態となってしまったようです。もしも体調面であったなら心配ですが…どうぞご自愛いただきたいと思います。
で、ピラト役の山田さんは今週いっぱい出演されることが発表されていたのですが、カヤパ役が私の観劇日から未定状態で…それが当日朝まで続いていたため落ち着かずまともに眠れなかった(汗汗)。入るかどうか分からなかったキャストとは…なんと洋輔くん!!!これ本当に全くの予想外でして(汗)朝9時半くらいに確定したことが発表されたのを見たときには心拍数がえらいことになってましたw。まさかここで会えるなんて夢にも思わなかった(涙)。

概要とあらすじについては2021年コンサート版観劇時の以下の感想を参照してください。

上演時間は休憩なし約105分(1時間45分)となります。

1幕モノなので本編が始まる前にお手洗いを済ませておくことを強くお勧めします。

全体感想

JCSは2019年と2021年に海外のコンサートバージョンを観に行っていますが(ラミンが超素敵だった!)、四季版を見るのは2018年の大阪オリックス劇場で観たのが最後。ジャポネスクに至っては2011年以来なので…なんと12年ぶりの再会ということになります。ここまで長かった(汗)。

ジャポネスクバージョンはロイド・ウェバーの旋律とティム・ライスの歌詞以外はオリジナルのJCSとほとんど別物だと思ったほうがいいかもしれません。ちなみに四季ではエルサレムバージョンより3年も前にジャポ版が上演されてるんですよね。作品が誕生した1971年の2年後(1973年)に浅利慶太さんがオリジナル演出として世に送り出したもので、徹底的に”和”にこだわった雰囲気になっているのが大きな特徴です。

照明の色によって茶色く見えていますが、実は板全体は”白色”。舞台セットは無く、まっさらな板とその後ろで稼働する5台の大八車が肝になります。

舞台がスタートすると大八車を縦横無尽に動かしていくキャストさんたちが静かに登場(新人俳優さんが多いと以前聞いたことがあります)。歌舞伎では”黒衣”と呼ばれている立ち位置の皆さんで、JCSジャポ版では白装束に身を包んだ”白衣”スタイルになっているのが特徴。10人のメンバーがサッと白い布で顔を隠し、しゃがんだのをきっかけに音楽が鳴り出す光景は非常に美しいです。久しぶりにそれを見て心の中で「そうそう、これよこれこれ!!」とちょっと興奮してしまいましたw。

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前方に近い席から見るとかなりの傾斜舞台を感じることができると思います(今回私は後方だったのでそのあたりはリアルに見えなかったんだけど)。大八車のセッティングとかもかなり凄い角度で組み立てられることもあるので見ているだけでハラハラしてしまう(汗)。あれ、一歩間違えたら大怪我に繋がりかねないですよ、本当に。そういった意味でも、大八車を担当するキャストさんたちの仕事は非常に重要だし、彼らがいなければジャポネスクバージョンは全く成り立たないわけで。
どの舞台もスタッフさんを含め全カンパニー神経使ってると思うのですが、ジャポ版はその中でも特に胃が痛くなるような苦労を重ねているんじゃないかな。全員の気持ちがガッチリ一つにならないと上演できない作品ではないかと。

いかに大八車演出が大変そうかということが伝わってくる動画がYouTubeに上がっています(劇団四季公式)。

2013年当時のものですが、演出はこれとほぼ同じなので興味がある方はチェックしてみてください。これを毎日のようにやってる四季の俳優さん…ほんとすごいと思う。

また、2009年に観に行ったジャポネスクバージョンのバックステージイベントに参加した時のレポもあるのでよかったら参照してみてください(大八車の斜度とかも実際生で見てきた)。

音楽はエルサレムバージョンで使っている音に和楽器を融合させている感じになってます。和と洋の音の交じり具合が絶妙で本当にカッコイイ。
和楽器の響きが印象的なシーンは♪序曲♪♪裏切り♪ですね。三味線と笛と和太鼓の音が静まり返った空気に凛と響き渡る感じがすごく心地いい。あの旋律を聴くたびに、自分にはちゃんと日本人の血が流れているんだなぁと毎回実感してしまうのです。その瞬間が本当に堪らなく好き。

動きも随所に日本の伝統芸能の動きを取り入れています。舞台奥から大八車で形成された板を伝って静々とキャストが登場するシーンはとても印象深い。
特に♪裏切り♪の場面でユダが歩みを進めてくる姿は”和”そのものです。中腰すり足でゆっくりと舞台中央に近づいていく。あれは歌舞伎というよりも能狂言の動きと言ったほうがいいかもしれません。日本の伝統芸能特有の型がしっかりした見え方になっているので、演じる役者さんにとっては相当キツイ体制じゃないかなと(汗)。

そしてもうひとつジャポネスクバージョン特有のものというのが、メイクです。大八車さん以外のキャストはみんな白塗りと隈取。歌舞伎と違うのは、顔だけが装飾されてるという点かな(つまり、顔だけが歌舞伎風で首から下は白く塗ってません)。洋物メイクと違って素の表情は分かりづらいのですが(むしろそれを狙ったのがジャポ版)、一人一人違う隈取メイクが施されているのが面白い。顔にたくさん線が描かれているキャラから必要最小限のところ以外は白多めのキャラまで様々で、その違いによって人物像が見えてきたりするのが歌舞伎っぽくて良いなと思います。

JCSはイエス・キリストの最期の7日間を描いた物語。私は長らくキリスト教系(ほぼカトリック)の学校に通っていて「宗教」の授業があったりミサに参加したりというのが日常だったので内容がすぐ頭に入ってきたのですが、キリスト教徒と接点がない方にとっては少しわかりづらい場面もあるかもしれません。現に、劇場から出た時に「ちょっと内容が難しかった」といった感想をチラホラ耳にしました。ジャポネスクは演出も独特だしメイクも普通よく目にする演劇のものではないので初めての方にはちょっと難しいと感じるところはあるかもしれません。
ただこの作品は教訓めいたシーンとかないし、ロックな音楽が本当にカッコイイ(個人的にはエルサレムよりジャポの旋律音のほうが好き)ので、そこに没頭するだけでも十分楽しめると思います。物語としては、”ジーザスとユダの関係”を中心に見るのが一番分かりやすいんじゃないかなと。2018年のJCSイベントに参加した時、舞台監督さんが「ラブストーリー」とおっしゃっていたくらいなので、そこを中心に見ていくと入り込みやすいかもしれません。ご参考までに。

※2018年のJCSの世界についての美術セミナーレポはこちら

少々長くなってきたので(汗)好きな場面やキャストについては次のページでいくつか振り返ります。

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