ミュージカル『レ・ミゼラブル』2013.06.28ソワレ

予定では来月のはずだったのですが、運よくチケットが手元に舞い込んできたので行ってきました!前回観たのが今月初旬でしたから…かなりお久しぶり感がありますw。

ちなみに、今回の観劇で…主要キャストをほぼ全て観たことになります(来月の綿引エポでオール)。レミゼ始まった当初は"福井さんだけ観れればいいかな"くらいのテンションだったのに(爆)気が付けばトントン拍子に回数が増え、キャスト制覇までしてしまったという。前演出では色々と燻る思いが強かったこともあり思い入れも薄れていたこともあったので、ことのほか、すっかり雰囲気の変わった新演出のレミゼを受け入れやすくなっているのかもしれません。

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ただ、約1か月ぶりに見たせいかもしれませんが…1幕の音楽のテンポがやたら速く感じてしまった(汗)。なんか演奏が急いでる?と思う箇所が多々あり…。以前もこんなんでしたっけね。少し離れたせいか、新演出のレミゼってホントにテンポが速くなったなぁとちょっと思わなくもなかった。

さて、今回の目玉は…なんといっても、福井晶一さんのジャン・バルジャン!怪我でずっとお休みされてて…今月中旬に無事に復帰されたばかり。福井さんのミニコンサートステージは四季退団後も数回観に行きましたが、本格的な舞台ともなると…実に、約1年前の四季の『アイーダ』以来の再会となります。思えば、あの時のラダメスを観たのが福井さんのファンになるきっかけだったんだよな(BBはピンとこなかったので 爆)
キャストボードに福井さんの名前を見たとき…、あぁ、本当に舞台に帰ってこられたんだなとちょっと胸熱くなりました。

主なキャスト
バルジャン:福井晶一、ジャベール:川口竜也、エポニーヌ:笹本玲奈、ファンティーヌ:里アンナ、コゼット:磯貝レイナ、マリウス:田村良太、テナルディエ:萬谷法英、マダムテナルディエ:谷口ゆうな、アンジョルラス:上原理生、司教:古澤利人、工場長:石飛幸治、ガブローシュ:加藤清史郎 ほか

以下、ネタバレ感想です。

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今回は福井さんのバルジャンを観たいという大前提でチケットを入手したわけですが、実は、ひとつだけ不安なことがありました。それは…アンジョルラスを見てテンションが下がらないかということ(爆)。前回、たった2回だけではありましたが、杉山有大さんの演じるアンジョルラスに猛烈に恋焦がれてしまったのでww…違うアンジョルラスを見て果たして受け止められるかどうか不安がよぎってました。

ということで、まずはアンサンブルさんの話題から。

プリンシパルとアンサンブルを兼任していた杉山さん鎌田さんが今月中旬前からアンサンブルに本格的に戻ってしまいまして。鎌田さんはクールフェラック、杉山さんはコンブフェールを演じています。原慎一郎くんが別舞台の稽古で抜けてしまっているので、杉山さんはコンブフェール連投中です。

なんか、この二人があの学生たちの中に入ると…ものすごい存在感発揮してましたね。なんかえらい貫禄だった(笑)。なので、カフェのシーンやバリケードのシーンだと…アンジョルラスが2人(上原くんと杉山さん)にジャベールが1人混じってるように見えて仕方なかったwww。コンジョルラスとジャベラックって役名変えたほうがいいんじゃないかとか余計なことが頭をぐるぐる駆け巡り妙な気分だった(爆)。
しかも、杉山さんと鎌田さん、セットで一緒につるんでるシーンが多いんですよ。もう、そこだけがなんか達観した雰囲気と言いますか…wwめちゃめちゃ安定感のある二人。そんなわけで、目が離せなかったですね。

思ったんですけど…やっぱりせっかくプリンシパルキャストとして貫禄のオーラも出てきた役者さんをアンサンブルキャストに戻してしまうのはとても勿体ない事だなぁと。
たしかに、コンブフェールもクールフェラックも重要な役柄ではありますが、ソロも少ないし見どころは減ってしまう。最後までプリンシパルキャストでいてほしかったなぁと何度も思いました…。

工場長は石飛さん。これまでほとんど田村雄一さんで観てきたのですごく新鮮でした。田村さんに比べると石飛さんのほうがちょっとソフトかもしれませんw。そういえば、石飛さんは例のアクシデント(苦笑)の影響でバマタボアも新たに配役されたんですよね。私は予定的に石飛バマタボアは見られそうもないのでちょっと残念。
今回のバマタボアは宇部さん。私たぶん、全5回のこれまでの観劇の中で4回が宇部さんなんですよね。残る1回は…(苦笑)ですが、あまり記憶がない。宇部さんは見た目の可愛らしさと残虐さのギャップが面白いです。

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以下、プリンシパルキャストさんの感想。

川口竜也@ジャベール
今回が本当に最後の川口ジャベールとなりました。ドッシリとした前半のジャベールもいいのですが、私はどちらかというと後半の追い詰められた芝居がすごく好きでしたね。特にバリケードの中でバルジャンに逃がしてもらったあたりからの混乱っぷりが…見ていてなんだか萌える(笑)。陥落後にバリケードに登ってきてバルジャンを見付けられず、「バルジャァァァァン!!」と絶叫する姿も好きだったなぁ。そのあと逃げ道を発見して「分かったぞ、分かったぞバルジャン」みたいにうなされた様に呟きながら駆け出していく姿も印象的。
自殺シーンではもう泣きそうな顔して追い詰められてて、なんだか感情移入してしまう。どちらかというとヘタレ系のジャベールなんですがw、こういう役作りも面白くて良いと思います。好きでした、川口ジャベ!

笹本玲奈@エポニーヌ
笹本さんのエポニーヌも今回で最後。これまで昆さんや平野さんのエポを見てきましたが…やっぱり笹本エポが個人的には一番しくっくりくるし大好きでしたね。彼女の場合はもう歌も芝居も達観してしまったような部分があるので、正直新演出には貫禄が出てしまって浮いてしまうのではないかと始め思っていたのですが、きっちりと新演出版に相応しい初々しさや可愛らしさを出してきていてさすがだなぁと感心させられました。決して前に出すぎない存在感ながらも、エポニーヌの無邪気な可愛らしさや切ない恋心を繊細に演じていて…ほんと、完璧でした!
笹本玲奈はやっぱりすごいミュージカル女優だ…と今回改めて思いました。

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里アンナ@ファンティーヌ
お初にして最後の里さんのファンティーヌ。他のファンテ役者さんから比べると見た目がすごく若々しいなと思ったのですが、歌はかなり上手いですね!ものすごく安定した歌唱力に驚きました。ただ、少し残念に思ったのはファンティーヌの儚さ、ボロボロ感みたいなものがあまり感じられなかったことです。綺麗に歌いすぎて、ファンティーヌの悲壮な状況が伝わってこなかった。なので、娼婦に身を落とした時にもサラっと見れてしまったし、死の間際にコゼットを呼ぶシーンもグッとくるものがなかった…。ただ、若々しいファンティーヌだな、みたいな。
歌は本当に問題ないので、もう少しファンティーヌの感情表現が出てくればいいなと思いました。

田村良太@マリウス
田村君のマリウスもついにマイ楽となりました。歌声がちょっと弱いかなぁと思う部分はありましたが、それよりも何よりも、ドン臭いマリウスっぽさが逆に新演出の中でものすごく生きていてとても好きでした。「あそこにいるのは貧乏学生」というテナ夫人の歌がぴたりと当てはまるような純朴さがすごく良い。コゼットに恋焦がれてカフェでみんなに話しているときの能天気さもリアルw。あれはアンジョも仲間もイラッとくるよね、みたいな臨場感があった(笑)。
初々しくて可愛く優しい田村マリウス、大好きだったよ!

磯貝レイナ@コゼット
正直なところ、コゼットは誰が演じていてもあまり個性を感じないなぁと思っていたのですが(汗)、今回の磯貝コゼはマリウスに出会った後、門の前でヤキモキしている芝居がなかなか良かったです。本当に一目ぼれした相手にドギマギしている様子が伝わってきました。
ただ、高音の部分があまりきれいに響いていないのが気になったかなぁ。特に2幕で傷ついたマリウスを励ますときの、最後の高音がちょっとキンキン声みたいになってた(汗)。もう少しきれいに響かせてほしかったです。

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萬谷法英@テナルディエ谷口ゆうな@テナルディエ夫人
萬谷さんのテナルディエは最初の予定だと見られないはずだったのですが、今回こうして出会うことができてよかったです。長らくアンサンブルとして名前が掲載されることが多かった萬谷さん。今回のレミゼもアンサンブルのクラクスー役とのWで頑張っていらっしゃいますが、やっとプリンシパルキャストで活躍している姿が見られた!最初はなんだかそれだけで感動しちゃってw。萬谷テナルディエは見た目がとても若々しい。これまで見てきたテナルディエの中で一番若々しく見えるかもしれません。雰囲気的には、お調子者でセコイ奴って感じ。ちょこまかと上手い具合にいろんなことを切り抜けてきたんだろうなぁみたいな(笑)。それでいて夫人にはどうしても頭が上がらない感じが可愛らしいwww。そう、萬谷テナって憎たらしいんだけどどこか可愛らしくて放っておけない感じなんですよね。歌も迫力あったし、ちょっと親しみやすい雰囲気もあってとても良かった。想像していた以上に弾けていてとても印象に残りました。もう一度テナルディエで見たかったなぁ。

谷口さんも見た目が本当にとても若々しい。萬谷テナとだとホントに釣り合いの取れた夫婦って感じかな。基本的にマダムは怖いんだけど、時折見せる笑顔が愛嬌たっぷりでこちらも本当に憎めない感じ。ふてぶてしいのにどこかチャーミングで好感度大w。歌も申し分ないし、とても楽しませてもらいました。

上原理生@アンジョルラス
お久しぶりの上原くんのアンジョルラス。以前見たときに好感度が高かった上原アンジョですが、前述したとおり、前回と前々回に杉山アンジョに恋してしまったので(笑)…正直、今回の上原アンジョに感情移入できるかどうか不安でした。
だけど、そこはさすが上原くんですね。骨太な歌声でグイグイとみんなを引っ張るカリスマ性はやっぱりすごい。ラマルクが死んだと知った後、みんなを鼓舞するシーンなんかは目がギラギラしていて・・・ちょっとイッちゃってる感じ(笑)。口数は多くないけれども力強いオーラでみんなを盛り立てていく上原アンジョは非常に逞しく見えました。
が…、やっぱり目が自然と杉山さんを追ってしまっていた私(汗)。コンブフェールとしてではなくやっぱりアンジョルラスとして見てしまう自分が…。

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福井晶一@ジャン・バルジャン
やっっと、福井さんの舞台姿を見ることができました!アキレス腱断裂という大怪我でレミゼ登場が大幅に遅れてしまった福井さんですが、こうして元気な姿で復帰できて本当に良かったと思います。
囚人姿はキムバルと同じく長髪系でしたが、見た目はジーザスというよりもユダに近いなと思いましたw。仮出獄中の福井バルは強がって生きてるけど、ちょっと小心者って感じかな。暴れたりするのもビクビクしながら彷徨っていたから。司教と会った時のビビリ方も他の2人のバルジャンよりもオーバーアクションで面白かったw。ただ、教会から走り去るときの「逃げたぁぁぁぁ」の部分がシャウトになっててちょっと笑ってしまった(笑)。福井さん、やっぱり高音部分はまだちょっと辛いところがあるのかな。
だけど、銀の燭台をもらってからの『独白』の部分はとても感動的で良かったです!!!バルジャンの自分自身を責める気持ちが痛いほど伝わってきて心をぐっと掴まれる感じ。ちょっと泣きました。

改心した後の福井バルジャンはとても誠実です。工場ではファンテの言うことをサラッと流してしまっていましたが(劇中で)、病院ではとても真摯に彼女の願いに耳を傾けている。人の目を見て、一言一言丁寧に聞いてあげるバルジャンって感じ。人の言葉を受けて自らの気持ちを発している姿にとても好感が持てましたね。特にチビコゼに初めて会った時が印象的。「さぁ、もう、怖がらないで」の歌い方が本当に優しくて、コゼットが自然に自分の名前を発するのが納得できる。あのシーン、知らないおじさんに少し優しくされたからと言ってもよくコゼットは警戒心無く自分の名前を言えるなぁと毎回思っていたのですが(爆)、福井バルジャンになら名前を伝えたくなる気持ちが分かる。初めてここのシーンで納得できた気がします。
だけど、福井バルジャンは力持ちという点では一番弱いかもですねw。馬車を持ち上げる時もジャベを締め上げる時もかなりの労力を使ってました(笑)。逆に、ものの重さが感じられてリアルで良いなとも思います。

成長したコゼットに対してもとても温かい愛で接している福井バルジャン。街中で襲われそうになった時にもしっかりと彼女を守っていて、逃げる時にも「さ、行くよ」みたいに声をかけていました。あと、エポニーヌがマリウスの手紙を持ってきたときにも、最初は警戒してても事情を知った後はしっかりと相手の目を見て丁寧に接してました。本当にすごく誠実で好感度大な福井バルジャン!

バリケードの中でマリウスを発見し、彼を見て歌う「彼を帰して」。他のバルジャン役者さんから比べると高音部分の歌唱力がやっぱり少し落ちているのが残念なのですが、マリウスに対する真摯な想いは十分すぎるほど伝わってきて泣けました。他の学生たちに対してもちゃんと誠実に接している福井バルジャン。あと印象的だったのはガブローシュの死の場面ですかね。学生たちと同じように「早く登ってこい」って祈るように食い入るようにその行方を見守ってて、無事に登り切った瞬間には"よかった"という安堵の表情も見せていたのが印象的。それだけに、直後の彼の死を目の当たりにしたときにはショックのあまり表情が固まっていて泣けました(涙)。

絶望したアンジョルラスが死をみんなに告げたシーン、ここでは福井バルジャンは必死に皆に思いとどまるよう説得しようと試みています。ところが、銃撃戦が始まると…一生懸命逃げ道を探し出すんですよね。あそこで学生たちと最後まで戦わずに逃げ場を探してるバルジャンはおそらく初めて見たかもw。これまでの福井バルはとても誠実な雰囲気だったのでその意外な行動にちょっとビックリしてしまいました。
下水道でマリウスを担いでいるシーン、やっぱり福井バルジャン、ちょっと重そうにしてたなw。だけど、ジャベールと遭遇して瀕死のマリウスを助けたい一心で訴えるシーンはまさに迫真の芝居でものすごく感動的!!あのバルジャンの必死の懇願だったら、思わずジャベが道を譲ってしまうのも納得できるなと思いました。

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秀逸だったのは死の間際のシーン。福井バルジャン、もう出てきたときから死相が漂っていて…。コゼット達が駆けつけなかったら間違いなくあのまま天に召されていただろうなと思えるほど臨場感たっぷりです。コゼット達がやって来たことで、少しだけ生きる気力を取り戻す福井バルジャン。だけど、もう長生きできないと悟った上での、あの、「最後の告白を書いた」の歌詞ですから…もうここからボロ泣き(涙)。静かにやってくる死の足音を感じながら、最後に力を振り絞ってコゼットに真実を告げる姿は本当に泣けました。このあたりの芝居がやっぱり福井さんは上手いと思います。
そして、役目を終えた後にフッとこの世に別れを告げ・・・そして魂になるシーン。弱々しかった生命力が魂となってパッと輝く瞬間が見事に表現されていて感動的!このあたりのメリハリもすごく良かったです。

ここまで見てきてちょっと思ったのは、なんとなくですが、滝田栄さんのジャン・バルジャンを連想させるなぁということ。ビジュアル的にも、醸し出す雰囲気も、なんとなく滝田さんと重なるところがあるような。役作りとかは違うんですけど、なんかそう思ってしまいました(私のほかにももう一人同じことを想った方がいてホッとしましたw)

福井バルジャン、歌の迫力といった点では他のバルジャンに比べるとちょっと物足りない気はしたのですが(歌声が前に出てこないシーンがいくつかあったので)、それでも十分に感動させられました。初めての大劇場で緊張されていると思いますが、これから回数を重ねていくにしたがってそういった部分も克服されていくんじゃないかなと。
四季生活が長かった福井さんですが、セリフ回しとかはあの劇団にいたにしてはかなり自然に聞こえる話し方をされているので違和感なく今後も見れるんじゃないかと思いますし、本当に楽しみです。福井さん、本当にお帰りなさい!

次回は来月の最初で最後の福井ジャベール。とても評判が良いので楽しみです!

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