ミュージカル『レ・ミゼラブル』東京公演 2025年1月28日マチネ感想 佐藤隆紀×小野田龍之介

2024年‐2025年公演ミュージカル『レ・ミゼラブル』を観に帝国劇場へ行ってきました。帝劇版は2回目になります。

本来は行く予定になかったのですが(ソワレにラブネバが入っていたのでw)、友人からのお誘いがあり観ることができました。感謝です。シュガーくんのバルジャンとトレンディエンジェル斎藤さんのテナルディエは2019年大阪公演以来約5年半年ぶり!ついこの前のような気がしていましたが、そんなにも時間が経ってしまったのかとビックリです(汗)。

ちなみに、今回も日比谷シャンテでレミゼコラボメニューを頂いてきました!

「やさいの王様」の鶏肉料理、めっちゃ美味しかったんですが・・・ネーミングがめっちゃ長い(笑)。ここのお店はタブレット注文方式なので名前を告げなくてもOKだからあえて長文にしたのかしらww。「しまね館」のイカカレーは前回美味しかったのでもう一度食べてきました!

そして、この2店舗で欲しかったコースターを一気にゲットできてしまった!!

バルジャンジャベール、ついにキターーー!!

前回はコゼットとアンジョルラスだったので、これでもう目的は果たせたかなとw。でもあと1回帝劇レミゼ残ってるのでコラボメニュー最後にもう一品行きたいかなと思ってます。

以下大いなるネタバレを含んだ感想です。

※過去の『レ・ミゼラブル』観劇の感想記事あり〼

スポンサーリンク

2025年1月28日マチネ公演 in 帝国劇場(東京・有楽町)

主なキャスト

  • ジャン・バルジャン:佐藤隆紀
  • ジャベール:小野田龍之介
  • ファンティーヌ:生田絵梨花
  • エポニーヌ:ルミーナ
  • マリウス:中桐聖弥
  • コゼット:水江萌々子
  • テナルディエ:斎藤司
  • テナルディエ夫人:森公美子
  • アンジョルラス:岩橋大
  • ガブローシュ:中井理人
  • リトルコゼット:井澤美遥
  • リトルエポニーヌ:平山ゆず希

男性アンサンブル

鎌田誠樹(司教)、丹宗立峰(工場長)、小林遼介(バマタボア)、深堀景介(グランテール)、杉浦奎介 (フイイ)、石津秀悟(コンブフェール)、島崎伸作(クールフェラック)、新井海人(ジョリ)、中村 翼(プルベール)、蘆川晶祥(レーグル)、町田慎之介(バベ)、増山航平(プリジョン)、土倉有貴(クラクスー)、松村桜李(モンパルナス)

女性アンサンブル

町屋美咲(ファクトリーガール)、宇山玲加(買入屋)、湖山夏帆(かつら屋)、三浦優水香(マダム)、青山瑠里(宿屋の女房)、荒居清香 (カフェオーナーの妻)、石丸椎菜 (病気の娼婦)、清水咲良(鳩)、吉岡花絵 (あばずれ)、吉良茉由子 (身代わりの妻)

概要とあらすじ

概要は2019年公演時の記事参照。 あらすじは公式HPに詳しく載っているので以下参照。

私の書いたミュージカル「レ・ミゼラブル」解説記事もよろしければ併せてご覧ください。

上演時間は1幕90分(1時間半)休憩25分2幕70分(1時間10分)。合計約185分(3時間5分)です。ただし、カーテンコールの時間によっては少し左右されると思います。

平日マチネの終演時間は予定通りに行けば16時05分前後

スポンサーリンク

全体・キャスト感想

シーンごとに印象に残ったこと、キャストについて以下挙げていきたいと思います。

1幕

囚人の歌

佐藤隆紀くんのバルジャン、良い感じのヤサグレっぷりなんだけど隣の囚人が歌い終わって倒れた時に、すぐオールを持つように促していたのがグッときました。見張りに見つからないように必死にサポートしてあげてたんですよね。シュガーくんバルジャンの優しさが垣間見えてウルっとしてしまった(←他のバルジャンもやってるかもだけど確認できてません 汗)。

小野田龍之介くんのジャベール、登場した時は本当に冷酷無比。感情の動きも見られない感じなのが不気味でよかったです。歌い方は予想外にけっこう台詞っぽかったかも。

司教~バルジャンの独白

田村雄一さんの司教様、めちゃめちゃ紳士的で何事にも動じない寛大な聖職者っぽくて思わず見入ってしまった。シュガーくんバル、仮出獄したのはいいけど世間の冷たさに触れてどんどん気持ちが荒んでしまうお芝居がとてもリアル。それゆえ、銀の食器を盗んで逃げる場面も”そうなっちゃうだろうな”と自然に受け止められました。
田村司教から「正しい人になりなさい」と告げられた後、どんどん自分の罪の重さに押しつぶされそうになっていくシュガーくんバルジャンがめちゃめちゃ切ない!!♪バルジャンの独白♪はまさに絶唱!!ほとばしる激情からの叫び。歌い上げるというよりも、心の底から沸き起こるバルジャンの心のうねりを一気に吐き出すような感じで、本当に感動的でした。

ちなみに、ミュージカルではバルジャンがミリエル司教と出会った後改心する展開になりますが、原作では司教と出会った後に少年から硬貨を盗んでしまった自分を恥じて改心を決意するという流れになっています。ミュージカルだと、バルジャンが司教と出会う前に少年からコインを盗むシーン(その金で宿に泊まろうとする)がそれに当たるのではと。

一日の終わりに~夢やぶれて

生田絵梨花さんのファンティーヌ、すごい美人さん。ちょっとミステリアスな儚い雰囲気もあって…あれは工場長に狙われてしまうなと納得してしまった(汗)。生田さんはファンテ演じるにはちょっと物足りないかもしれないと少し危惧していたのですが、なかなか力強い歌声でファクトリーガールとの大喧嘩もすごい勢いで立ち向かっていました。
ファンテが騒ぎを聞きつけてやってきた市長に訴えようとした場面。シュガーくんは彼女の訴えをけっこうさらりと交わして立ち去ってしまうんだけど、階段を上っている途中で立ち止まって工場長の方を振り向いて「しっかり話を聞いてやれ」と目で訴えていたのが良いなと思いました。あのパターンは初めて見たかも。

♪夢やぶれて♪のシーンの生田ファンテは、これまで見てきたファンテのなかで一番恋を信じてるタイプだなと思いました。裏切った恋人を今でも信じて待つと歌う時も目がキラキラしてた。ペンダントを見つめる時も本当に乙女だった。

ラブリィ・レイディ

ファンティーヌはコゼットのためにお金を作ろうと必死になりますが、生田ファンテは縋るものがなくて呆然としながら流れに身を任せているような雰囲気でした。それがなおさら儚く見えてすごく痛々しい…。愛する人との娘を守るためという意識だけで動いているという感じ。
娼婦に堕ちたあとは絶望感から自暴自棄になっている様子がすごく伝わってきました。体はボロボロでも目力がすごかったな。一番グッと来たのがバルジャンに詰め寄る場面。今まで溜め込んできた恨み辛みを一気に吐き出し泣き叫びながらバルジャンを責めたてる生田ファンテ…。あんな激しい生ちゃんのお芝居初めて見たかも!

裁き

馬車の暴走の後バルとジャベが対峙する場面。小野田ジャベは「あなたを、見て思い出す」の部分、すごい溜めて歌ってましたね。目の前にいるのは市長だと分かっているんだけど、馬車を持ち上げる怪力を目の当たりにして疑念が生まれてきてしまっている。そんな心の揺れをあの歌い方で見事に表現していたと思います。めっちゃスリリングでした。
一方のシュガーくんバルはジャベに気づかれないよう必死に誤魔化してるんだけど、このときめちゃめちゃ息を詰めて芝居してるんですよね。ジャベが気づかずにその場を去った時、崩れ落ちそうになっててビックリ。まるで、水中で何秒間も息止めてた人が顔を上げた瞬間みたいになってたw。バルジャンの緊張感がめっちゃ伝わってきたよ。

♪裁き♪のナンバーはバルジャンの複雑な心の動きを歌った名曲。最初は「長い年月苦労の果てに勝ち得たものを捨てられるか」と現状に固執しようとしますが、どうしても自分の身代わりで裁かれそうになっている人のことが頭をよぎって離れない。次第に、自分は罪のない人を罪に落とすようなことをしていいのだろうかという葛藤が生まれ、それが彼を勇気ある行動に導いていきます。シュガーくんはそんなバルジャンの気持ちの揺れを見事な力強い歌唱で歌い上げていてとても感動的だった。最後に驚いて固まってる小野田ジャベールを見据える目力もすごかった。

そういえば、旧演出では裁判官の中にマリウス役とアンジョルラス役のバイトが入っていたはずでしたが…いつの間にか裁判長一人体制になってバイトが消滅してたw。

スポンサーリンク

ファンティーヌの死~対決

生田ファンティーヌがコゼットの幻を見つめながら歌う場面はグッときました。すごく母性が出ていたし儚くて切ない。そんな彼女を抱きしめた時のシュガーくんバルの温かな包容力も泣ける!とても丁寧に優しく包み込むように抱きしめていて…ファンテの人生は不幸ではあったけれど、最期にあの腕に包まれて点に旅立つことができたのは幸せだったよなぁと思いました。

シュガーくんバルと小野田くんジャベの対決は迫力満点。シュガーくんはファンテと接している時とはまるで違う野生のような目をしてジャベに挑んでいたし、小野田くんはバルへの執着心に火がついて追い詰めていく芝居がホラーのようだった。
この対決シーン、旧演出よりも凶暴性が増したなぁという印象なんですが(汗)…武器がヤバいですよね。ジャベが持ってきた長い鎖付きの手錠を力づくで奪い取るバル。その後ファンテに「誓いを果たそう」とコゼットを引き取る決意を語るわけですが、そのさなかに鎖を手にグルグル巻いてるわけですよ。あれ、ジャベを●しにかかる勢いやんか(汗)!?あんなんで殴られたら、ジャベ召されちゃってもおかしくないレベルよ(汗汗)。でもバルジャンは倒れた彼に見向きもしないでコゼットを探しに旅立つわけで。このあたりの非情さがこんかいけっこうゾクッとさせられました。

宿屋の主人~取引

森公美子さんのテナルディエ夫人、相変わらずのド迫力!あの揺ぎ無い安定感がすごいです。幼いコゼットをしかりつける時の迫力とか並じゃないw。コゼットが「暗くて怖いわ、どうか出さないで」と歌う時にバカにしたように一緒に歌うっていうのも加わってw怖さと若干のコミカルさが微妙に絡み合ってる雰囲気もいい。
トレンディエンジェルの斎藤司さんのテナルディエ、5年ぶりに見たけど…歌唱力がまたさらに進化したのでは!!斎藤さん、めっちゃ歌ウマになってる。あと、モリクミさんとのコンビだとちょっと尻に敷かれた感になるかな…なんて最初思ってましたがそんなことなかったですね。上手いこと奧さんを煙に巻くというか、すごい要領がいいw。凸凹なんだけど対等の夫婦関係に見ええるのが面白いなぁと思ってみてました。

♪宿屋~♪は新演出になってから人間の汚れの部分がより鮮明に見えるような演出になって、個人的にはまだ見慣れない(苦笑)。ただ、「便所など、2度入りゃ」の歌詞の部分はいつもクスッとなってしまいます。あの上乗せ額、日本の消費税率とまんまリンクさせてるんですよねw。赤版青版のCDでは「3%」、私が初めてレミゼを観た97年6月には「5%」、そして2017年以降から「10%」となり今に至るw。この数字が将来さらに上がらないことを祈るのみです(苦笑)。

バルジャンが森で偶然出会ったコゼットと宿屋に戻ってくる場面。前回は見逃していましたが、この時夫人、テナに促されてめっちゃ香水を自分に撒き散らかしてるんですよね(笑)。バルジャンはその”悪臭”に顔をしかめていたことを今回初めて確認しましたww。ありゃそうなるのも分かるw。
バルジャンが金を渡してコゼットと去るシーンでは、テナルディエが「バイバぁーーイ!」と叫んでたな(夫人だったか定かではないんだけど)ww。貰うもの貰ったらもういいや的な小物感が出てて面白かった(笑)。
バルジャンとコゼットが”親子”となって立ち去るシーンは新演出になってから下手側に捌けるようになりましたが、個人的には周囲のたかってくる人々に怯えながら舞台中央に消えていく演出のほうが好きだったんだよな…。

スポンサーリンク

乞食たち

岩橋大くんのアンジョルラス、登場した時から気合の入ったすごい熱い雰囲気が出ていてとても良い!あの熱血漢っぷりが学生たちを惹きつけてるんだろうなと思いました。前回フイイ役の時の歌声もすごいと思っていましたが、アンジョはそこからさらにギアを上げた迫力で「おぉっ!!」と感動させられました。

ルミーナさんのエポニーヌ、めちゃめちゃ可愛い!動画で歌声を見た時、この子はすごいぞ!!と思い見るのを楽しみにしていましたが、生で聴く歌声はとても凛としていてエポニーヌの意思がリアルに伝わってくる感じ。ジャベールがやって来た時の声の伸びとか本当に驚異的で、一気に彼女の世界観に惹きこまれました。

中桐聖弥くんのマリウス、お坊ちゃま的なか弱さも垣間見えつつ革命に熱を上げてる学生感がすごく良い。エポニーヌのことを本当に可愛い妹としか見ていない鈍感さが本当に可愛らしくて萌えます。なんだろう、あの、ホワッとした笑顔が良いんだよねぇ。この時点から革命に燃える学生たちとは一線を画す雰囲気がある。

施しにやって来たバルジャンたちを騙すためにテナルディエ夫妻がやる”芝居”はめっちゃ面白い。特にモリクミさんの「赤ちゃん泣いてます」な演技が最高に面白くて客席からも笑いが起こるほどww。新演出版のこのシーンのモリクミさん、めっちゃ好き。
あと、バルジャンが立ち去った後の斎藤テナルディエの芝居も笑えるww。特に「被害者無しなら帰っていいね?」「いいね?」だけのフレーズをイケメン風に歌ったのはさすが芸人魂と思いました(笑)。あの落差をつけた歌い方が最高すぎたwww。そのあと、警棒の中に納まりわざと苦しそうな表情してる(警官はそこまで強く締め上げてないww)のもアザといなと思いましたw。

星よ

小野田くんは歌唱力抜群の俳優さんですが、このナンバーは朗々と歌い上げるというよりもバルジャンを必ず捕らえてやるという強い意志を芝居風に歌っているのがとても印象的でした。ところどころ歌ではなくセリフとして楽曲に乗せてきたりして、ジャベールの執念がより明確に伝わってきたと思います。

ABCカフェ~民衆の歌

岩橋アンジョはここでもかなりの熱血漢で目がギラギラしているんだけど、学生たちを一人一人よく見ているなぁと思いました。岩橋くんは学生の一人でもあるフイイも今回演じているということで、彼らの気持ちをより敏感に感じ取ったお芝居ができるのかもしれない。

中桐マリウスはコゼットに出会ってからは恋愛モードにどっぷりですw。学生運動をしている時からちょっと他の人たちとテンションが違う雰囲気を出していたので、コゼットのことで頭がいっぱいになってしまうキャラという説得力がすごくある。
一度はアンジョルラスに窘められて革命への気運を高まらせていたマリウス。ところが、ラマルク将軍が逝去したというニュースをきっかけにアンジョルラスを中心とした熱が一気に盛り上がっていくなかで、彼はその波に乗れていないんですよね。グランテールを除く学生たちが熱狂的になっていくなかで中桐マリウスは一人離れたところでコゼットとの別れを予感してか苦悩してた。私は今回中桐くんのマリウスのみなので他の役者さんがどう演じているかは分からないのですが、このお芝居が非常に印象に残りました。

スポンサーリンク

♪民衆の歌♪の時も中桐マリウスは一人あの熱気に溶け込めておらず行進に参加しながら複雑な表情をしていました。それゆえ、エポニーヌに引っ張り出されて列から離れコゼットの居る場所へと急ぐくだりがとても自然に感じられたかも。
あと、熱狂的な列の中にいた少年ガブローシュをグランテールがグイと外に引っ張り出していたのも非常に印象深かったですね。グランテールは革命運動には懐疑的だったので、可愛いガブにはその色に染まらず自由に生きてほしいという気持ちが強かったのかなと思うとなんだかとても切なかった。

心は愛に溢れて

水江萌々子さんのコゼットはとても可愛らしく少女時代の面影が残っているなという印象でした。歌声はもう少しハリがあるとなおいいかなとは思うけど、声質はとても奇麗。バルジャンに昔のことを教えてと迫る場面も臨場感があって良かったです。

中桐マリウスはコゼットの家に着いたとたん、全く革命のことが飛んじゃって恋愛一直線モードに突入するのがいい(笑)。テンションが全然違うものww。そんな彼を忸怩たる思いで見つめるルミーナさんのエポニーヌがこれまた切ない。ルミーナさんはなかなかマリウスが自分に振りむいてくれないことに沸々と怒りのような感情が沸いてきているのを感じますね。それを必死に抑えてる、みたいな。そういうところがなんだか新しいエポニーヌだなと思いました。それに、凜とした歌声の力強さが本当に凄い。

前回、マリウスは何故コゼットが2階にいるのが分かったのだろうかと思っていたのですが、彼はバルジャン家の柵に勝手に上ってちゃんと彼女の居場所を確認していたことが判明しましたww。普通に見たらあれ、住居不法侵入罪ですけどねwww。さらに、コゼットがいきなり上手に現れたように見えた謎も判明(そんなバカなと思いつつ前回不思議に思ったのでww)。コゼット、ちゃんと家の扉から出てきてました(←当たり前ww)。扉から出てきたときに勢い余ってマリウスの前を通り過ぎて上手側まで行っちゃったっていう感じでした。

テナルディエ達が襲撃してくる場面でエポニーヌが大声を上げますが・・・、たぶん今も世界共通の音声を使っていると思われます。毎回あの声出してたら役者さんの喉潰れちゃい兼ねないですからね(汗)。

♪ワンデイモア♪は何度聞いても文句なしに心が震えます。

スポンサーリンク

2幕

マリウスからの手紙をエポニーヌがバルジャンに手渡す場面、エポはバルから疑いの目をかけられた早い段階で帽子を脱いで長い髪の毛を見せてますね。彼女が女の子だと知ったシュガーくんバルの声色は優しい。エポニーヌが去った後は息がやっとできるみたいなリアクション取ってましたね。シュガーくんバルは相手と対峙している時は常に緊張しまくっていて、一人になった時にようやく息ができるといったお芝居が多かったように思います。
マリウスの手紙を読む場面は最初は早口で読んでいるんだけど「きみの愛を知った今死ぬのは辛い」という文面のところでいったん声を止めてましたね。さらにその先に進んで最後の「君の恋人」という部分でかなり衝撃を受けていたようでした。

オン・マイ・オウン

素晴らしかったです、ルミーナさんのエポニーヌの歌いっぷり!!まるで海外のミュージカル俳優さんが歌っているかのような劇場の後ろのさらにその先まで届くような歌声が本当に凄い。あの迫力に、知らず知らず涙が溢れてしまいましたよ。
ルミーナさんが演じるエポニーヌは、恋心が届かないことへの苛立ちの気持ちがすごく強く出ていると思います。こんなにアプローチかけてるのになぜ気づいてくれないの!?といった焦燥感が痛いほど伝わってくる。マリウスに対しても、そして自分自身に対しても、もどかしくて仕方がないといった感じ。エポニーヌの心の痛みがこれでもかというほど伝わってきて本当に切なかった。

バリケードの戦い

いやぁ…、なんか本当に、超激アツでした、今回のバリケードの場面!!岩橋アンジョが学生一人一人にちゃんと向き合っていい感じに熱さを盛り上げていってる感じ。あのリーダーだったら一緒に戦いたいと思わせる雰囲気がとても良い。皆の団結力がこれまで以上に強固に見えました。

学生を騙すために今公演から変装してバリケードに入ってくるジャベール。彼らが自分を信じて作戦を聞く気になっていることに「バカどもが」みたいに一瞬不敵な表情を浮かべてた小野田くんの芝居が印象深かったです。でも結局ガブローシュの機転で捕らえられちゃうんですけどね(汗)。

恵みの雨

旧演出ではバリケードに戻ってきたときに敵の銃弾を受けてしまうエポニーヌでしたが、新演出になってからバリケードの中にいるマリウスを庇って銃弾に倒れるという展開に変わりました。エポニーヌのマリウスへの気持ちがストレートに伝わってくるので私は今の演出のほうがしっくりきます。

ルミーナさんエポ、マリウスの腕に抱かれた時に「やっと自分の方を見てくれた」という喜びが表情に浮かんでてグッときましたね…。この瞬間をどれだけ待ち続けてきたことか…。エポニーヌの切なる想いが報われる瞬間がリアルに伝わってきて泣けた。
中桐マリウスはエポが苦しい息の中で自分に必死に向けられている笑顔を目の当たりにしてようやく彼女の気持ちを察した雰囲気がありました。エポが事切れた後、その想いを受け止めたように彼女の額に涙ながらにキスをするシーンはとても感動的だった。あの時の中桐マリウスの哀しみっぷりが本当に痛々しくて抱きしめてあげたくなるレベル…。ガブローシュからエポニーヌの遺した帽子を手渡されて蹲る中桐マリウスはひたすら切なかった(涙)。

そういえば、ファンティーヌ役のバイトは少年じゃなくて女性に変わったんですね(←今さら気が付いた 汗)。生ちゃんは顔立ちがけっこうはっきりしているのでどこにいるかすぐに分かりました。

スポンサーリンク

バルジャンがバリケードにやって来た時に最初の攻撃が始まりますが、この時の岩橋アンジョの各学生への指示がとても的確でカッコよかった。「まだだぞ」「もう少し待て」とか常に彼らに声をかけ引っ張って行ってる感がすごくいい。

バルジャンが狙撃兵を見事に仕留める場面は新演出になってから非常に視覚的に分かりやすくなりました。旧演出の時は光と音だけの表現だったので最初見た時は何が起こってるのか分からなかった(苦笑)。

バルジャンとジャベールの対峙する場面。シュガーくんと小野田くんの緊張感あふれるセリフの応酬が非常にスリリングで見応えありました。小野田くんは逃がそうとするバルジャンに対して歌というよりもほぼセリフで混乱する感情を表現していましたね。特に自分を殺せと迫るところは狂気的で見ていてゾクゾクしました。
それに対するシュガーくんもめちゃめちゃ熱くて。「違う!!」といった時の台詞の力強さがジャベールを圧倒してた。決死の想いで「恨みなどないぞ!!!」と訴えてたなぁ。小野田ジャベはその言葉を信じることができなくて自分を撃て!と盛んに挑発しまくってて。結局バルジャンの圧に負けて砦を出ることになるわけですが、小野田ジャベは立ち去るまですごい時間をかけてた印象が強い。自分の中でバルジャンに逃がされることの現実を受け入れることがなかなかできずに体が動かない、みたいな感じだったかな。あの時彼の精神的破滅は始まっていたんだろうなと思いました。

共に飲もう~彼を帰して

中桐マリウスはエポニーヌを目の前で失ってしまったショックから立ち直れなくてすっかり憔悴してしまっている姿がとても痛々しい。それだけに「今は空しい人生、僕が死んだらコゼット、泣いてくれるか?」という歌詞が悲しく響いてきます。この歌を聴くと、マリウスはエポニーヌの死に酷いショックを受けているけれど、最期が迫る中で思い出すのは結局コゼットなんだなということも思い知らされ切なくなりますね。

グランテールは「死など無駄じゃないのか?」と革命そのものへの疑問を率直にぶつけていて、それに対して他の学生たちがいきり立って行きます。この時のアンジョルラスの反応は役者さんによって違いますが、岩橋くんは思い切りグランテールの胸ぐらを掴んでました。久しぶりに見たな、あの場面で胸倉掴み合って二人が睨み合う場面。私は旧演出の時からこのリアクションを取る二人の姿にものすごく胸打たれていたのでグッときまくってしまった。
アンジョルラスとグランテールって表向きは相反する立場にいるように見えるんだけど、実はすごく通じ合ってると思うんですよね。アンジョは実は「死」に対する恐怖心もあるのだけれど、その気持ちを心の奥底に必死に抑えつけて革命に邁進してる。グランテールはそんな彼の弱さを察して心配する気持ちがある。対立しているように見えて実は深く分かり合ってる二人感がすごくあのシーンから感じ取れるのです。

シュガーくんバルジャンの♪彼を帰して♪、久しぶりに聴いたけど・・・やっぱり絶品です!とても丁寧に、柔らかく優しく、時折感情を溜めたようにじっくりとマリウスへの想いを歌う。自分はやがて果てるからというくだりのところはとても力強く、今残されている自分の命をマリウスへ与えたいという親心にも似た愛情がひしひしと伝わってきてとても感動的でした。

最後の戦い

今回本当に学生たちの団結力と熱さがすごすぎて…(とにかくみんなマイクに入らない声が本当によく出ていた)、彼らの運命が迫るにつれて涙が止まりませんでした。銃弾を取りに行くとアンジョに迫る時の中桐マリウスも半狂乱になってて圧倒されてしまったし…、ガブローシュが銃弾に倒れる場面は何度見ても辛くて仕方がないし…。
そして、事切れたその小さな体を受け止めた瞬間の岩橋アンジョの表情も衝撃的で本当に胸が痛かったです。あの瞬間、彼の中で張り詰めていた前向きな革命が音を立てて崩れ落ちていったかのように思えた。彼の目に見えていたのは絶望であり、残されている道は自分たちの破滅しかないと悟ってしまったんだろうな…。

一番泣けたのは、マリウスが銃弾に倒れた瞬間に岩橋アンジョと深堀グランが見つめ合いながら無言でうなずき合ってた場面。言葉はなかったけど、あの瞬間に共有した想いは同じだったというのが痛いほど伝わってきて本当に泣けた(涙)。今回特に二人の繊細な結びつきのドラマがすごく感じられるシーンが多かったのでなおさら切なかったです。

スポンサーリンク

下水道

斎藤テナルディエ、めちゃめちゃ小者感が出てて憎ったらしかった(←誉め言葉ですよw)。ナヨナヨしてるんだけど顔が悪人、みたいな(笑)。それにしてもほんと、斎藤さん、歌上手くなったなぁと感動。

バルジャンとジャベール最後の対峙場面。シュガーくんも小野田くんもものすごい気迫で思わず息を止めて見入ってしまいそうになるレベルでした!特に小野田ジャベール、「待つぞ、さぁ!!!」の叫びが彼自身の最期の雄叫びのような鬼気迫るものがあって凄まじい。そんな彼を見つめるシュガーくんバルジャンの視線もなんだかすごく哀しかったな…。もっと違う出会い方をしていたら協力関係でいられたかもしれないのにと思わずにいられなかった。

ジャベールの自殺

小野田ジャベのクライマックスは絶品だと噂には聞いていましたが、想像を越える凄まじさで瞬きもできないくらいだった。あんな激しい芝居してる小野田くん、初めて見たよ!!まさに”破滅”そのもの。最初の「あいつはどんな悪魔だ!?」という歌い出しも独特で。「あいつは!!!」と叫んだあと泣き崩れそうになってその後の言葉がなかなか出てこないんですよね。オーケストラも彼の芝居のテンポにきっちり合わせているので、よりドラマチックな場面になっていたと思います。
この場面はジャベールが自らの正義感がバルジャンによって打ち砕かれたことで自分自身を見失い破綻していく様が描かれているのですが、小野田くんの芝居は今まで見てきたジャベの中で一番壮絶に見えたかもしれません。前半の冷徹さが嘘のような狂いっぷりで見ていて胸が張り裂けそうになる。最後の「俺には行く場所、辿る道もない」という叫びの説得力もすごかったです。破滅を選ぶしかなかったジャベールの哀しさがひしひしと伝わってきて本当に泣けました(涙)。

カフェソング~バルジャンの告白

中桐マリウス、歌っている間も仲間たちのことが頭から離れなくて虚しさと痛みで苦しんでいるのがとてもリアルに伝わってきて切なかったです。「あぁ、友よ聞くな‼!」の叫びはホント痛々しかった。場面的にもマリウスの後ろにアンジョルラス達の魂が現れてじっと見守っているからなおさら哀しいんだよね…。一番最後、岩橋アンジョの魂がマリウスの背中を見つめる寂しそうな眼差しもグッときた(涙)。

コゼットが立ち去った後にバルジャンがマリウスに過去を語る場面。もう何年も何度も言い続けてるけど(苦笑)前置きがなく過去を語るのはやっぱり唐突すぎて慣れないんだよなぁ。中桐マリウスは必死にバルジャンの言葉に耳を傾けてるんだけど、頭の中には「??」っていうのが浮かんでてw。一生懸命自分の中で話を整理して咀嚼して、「旅立つ時が来た、姿を消さねば」というフレーズを聞いてようやく「あっ」と勘づいてました(汗)。そりゃ、そうなるわなとw。
ここのシーンは本当に大好きだったので、もう長いこと違和感を抱きながら見続けてしまってる自分が悔しくて仕方ない。97年、99年を実際に通い詰めて観てしまっているのでなおさらなんですよね(←それがなければ違和感なく見れてたと思う)。

結婚式~エピローグ

結婚式の場面には給仕役としてアンジョルラス役の人がバイトで登場するのが楽しみのひとつでもあるのですが、新演出になってから出てくるタイミングが遅くなってしまいちょっと残念ではありますw。

宴会乞食の場面での斎藤テナルディエとモリクミさんテナ夫人、凸凹ながらも対等な悪徳夫婦感が出ていてとても面白かったです。ちなみに、盗んだ食器やお盆を落としちゃうのはテナルディエの役割だけになったのかしら(見逃しただけかもだけどw)。一番笑えたのはテナルディエが招待客の男性を「こいつは○○」と見下すシーン。モリクミさん、一人一人に「ほぇ~」とか違う反応しててこれがなんだかめっちゃ可愛らしかった(笑)。

バルジャンの臨終シーン、シュガーくんの弱々しいお芝居がすごくリアルで見てるだけで切なくなってしまいます。さらに歌声が…召される間際ということですごく細いんだけど…、天から降ってきたかのような美しい音色で聴いていて自然と涙がこぼれて仕方ありませんでした。
コゼットが駆けつけた時の「あぁ、主は赦し給うたのか」と告げた時のシュガーくんバルジャンも泣けます。二度と会えない覚悟で彼女との別れを選んだけど、ずっとずっと頭から離れず想い続けてきたんだなというのがひしひしと伝わってきた。最期に会えて本当に良かったと思ってしまう。

「最後の告白を書いた」と手紙を託すシーンはどのバルジャンを見ても必ず涙腺が壊れてしまう。あの時のバルジャンの心情を想うと切なくて切なくて仕方ない。ファンティーヌから託されたコゼットを本当の娘と想い続けてきたのに、最後の最後に彼女に”真実”を告げるなんてねぇ…。でもそれがバルジャンの生き方なのかもしれないとも思えるし、何度見ても色々と考えさせられます。

天に召されたバルジャンがその入り口でミリエル司教に出迎えられる演出は最近から加わりました。バルジャンの人生に大きな影響を与えた司教様が万感の想いを以て彼を出迎える姿は何度見ても泣ける!そして、亡くなった人の魂たちが見つめるのはバルジャンの手紙を抱きしめるコゼットと彼女を守るマリウス。この二人は、「レ・ミゼラブル」という作品の中の唯一の”希望”なんだなと強く感じました。

スポンサーリンク

後述

帝劇公演が始まってから気づけばもう後半戦。ついこの前始まったばかりだと思っていたのに早いものです。キャストさんたちの一体感が前回以上に感じられ、カーテンコールでもみんなでスクラム組んでいたような、そんな強い絆が垣間見えたような気がしました。
シュガーくんがリトコゼ役だった井澤美遥ちゃんを1幕のように抱き上げてくるくる回してたのがめっちゃ可愛いくて萌えたw。テナルディエ役の斎藤さんがカテコで「斎藤さんだぞ」のリアクションしてくれたの、めっちゃ和みましたw。

そうそう、可愛いといえば、入口のところに並んでたシアターベアーズ!

SNSでも紹介されてましたが、実際に見ると本当に愛らしくて…チケット切ってもらったあと思わず写真撮らせてもらっちゃいました。あれみたら、ベアーちゃんと着せ替え洋服セット買いたくなるよね(私は耐えたけどw)。商売上手やなぁ、東宝さん(笑)。

いよいよ私の現帝劇での観劇は2月の1回のみとなりました。

色んな意味で、また泣いちゃうかもなぁ(汗)。

error: Content is protected !!