ミュージカル『太平洋序曲』東京公演 2023.03.13マチネ

ミュージカル『太平洋序曲』を観に東京まで遠征してきました。ちなみに今回の東京は3演目観劇とけっこうハードなスケジュールです(汗)。太平洋~はその1演目目。

以前から『太平洋序曲』というミュージカルがあることは知っていましたが、見に行く決め手がなくてずっとスルーしてきてしまいました。でも今回はキャストが今の日本ミュージカル界のなかでもトップクラスの若手役者さん揃いだったのでチケットを確保。個人的にスティーヴン・ソンドハイムの楽曲は好みのものが多かったのも理由の一つに入っています。この方の音楽は本当に「嘘だろ!?」ってくらい難解な楽曲が多いのですが(汗)不思議と私にはそれがとても心地よく沁みてくるんですよね。

2023年版を観た人の評判も良かったので楽しみではあったのですが、やはり難解だったという声も耳にしていたので…初観劇作品ではありましたがアウトラインだけはある程度予習はして行きました。結果的に何も知らない状態で観なくてよかったなと思ったかも(汗)。ミュージカル初心者の方や歴史に興味のない方にはもしかしたら厳しいかもしれません。
幕末日本がどんな状態だったのか、ペリー来航から開国に至るまでの簡単な流れはあらかじめ頭に入れておいたほうが「こういう表現できたか」みたいな理解は進むのではないかなと。

物販は今回はパンフレットのみお買い上げ。ちなみに、Tシャツとクリアファイルは出演者の廣瀬友祐くんがデザインしたものだそうです!クリアファイル購入すればよかったかも(大阪公演も行く予定なのでその時にまた考えますw)。

で、グッズ紹介のガラスケースの中をふと覗いてみると…可愛いリスのぬいぐるみがちょこんと座っていらっしゃる(日生劇場の1階席と2階席の物販コーナーにて)。

表情も衣装もめっちゃ可愛い(ジョン万と香山をイメージしたリスさんかな)!!これが非売品であることがホント残念です。販売すれば売上アップにつながると思うんだけどなぁ。私だったら確実に買ってた(笑)。

以下、ネタバレをけっこう含んだ感想になります。

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2023.03.13マチネ in 日生劇場(東京・日比谷)

概要とあらすじ

初演が上演されたのは1976年のブロードウェイ。作詞・作曲はスティーヴン・ソンドハイムで、ジョン・ワイドマンが脚本を手掛けた作品です。初演の演出を担当したのはハロルド・プリンスでした。
ソンドハイム作品の中でもかなり技工を凝らした内容だったことから初演当時は半年あまりでクローズしてしまったそうですが、内容は高く評価されトニー賞に多くの部門がノミネートされました(装置デザインと衣装デザインが受賞)。ちなみに、同じ年に作品賞を争ったのは『コーラスライン』と『シカゴ』だったそうな(コーラスラインがミュージカル作品賞受賞)。

幕末の日本が開国を迫る外国の圧力に翻弄された歴史を描いたブロードウェイ作品。即ち、海外のクリエイターが日本を題材にして作ったミュージカルがこの『太平洋序曲』です。
日本での初演は2000年。宮本亜門さんが演出を担当されていましたが、この公演を見たソンドハイムから大絶賛されたのだとか。2004年から2005年には亜門さん演出版がブロードウェイで上演されトニー賞の最優秀再演ミュージカル賞などにノミネートされるなどの大きな功績を残しました(2011年公演まで亜門さん演出版が上演)。

2023年新たな日本版の演出を手掛けたのはマシュー・ホワイトさん。今回は2017年にオフ・ブロードウェイで上演されたバージョンに基づいた作品としての公演とのこと(2幕物がブラッシュアップされて1幕物となりました)。

簡単なあらすじは以下の通り。

時は江戸時代末期。海に浮かぶ島国ニッポン。
黒船に乗ったペリーがアメリカから来航。
鎖国政策を敷く幕府は慌て、浦賀奉行所の下級武士、香山弥左衛門と、鎖国破りの罪で捕らえられたジョン万次郎を派遣し、上陸を阻止すべく交渉を始める。
一度は危機を切り抜けるものの、続いて諸外国の提督が列を成して開国を迫りくる。

目まぐるしく動く時代。
狂言回しが見つめる中、日本は開国へと否応なく舵を切るのだった。

<公式HPより引用>

俳優の西川大貴くがめちゃめちゃコンパクトにわかりやすい『太平洋序曲』に関する動画をアップしていますので、こちらを観劇前に見ると良いと思います。特に初見の人にはオススメ。私はこれが大いに観劇の助けとなりました。ありがとう、西川くん!

上演予定時間は1時間45分1幕モノです。休憩は無いので、開演前にできるだけお手洗いは済ませておいたほうが良いと思います。

上演時間の件に関して少し驚いた出来事があったので触れておきたいと思います。

東京公演初日の数日前に上演時間の情報が出た時にSNSが混乱して騒ぎになっていましたが、私はそもそもこの作品のことをほとんど知らない状況だったので(汗)一歩引いた目線で静観していました。ただ、2幕モノをご存じの方が”あの見たい場面が削られてしまうのかも”といった不安を感じてしまう気持ちも分かります(私もレミゼでそういう気持ちをイヤというほど味わったので)。主催側は公演が決まった時点で1幕モノでの上演というのは分かっていたはずなので、そういった情報はあらかじめ先に見る側にも伝えるべきだったと思います。

この件で、初日を目前にした時期にキャストの方にも精神的負担をかけてしまう事態になったことは本当に残念でした。出演する皆さんが気持ちよく舞台のことだけに集中する環境でなくなってしまったことに胸を痛めてしまった…。今後はこういったことが起こらないよう、伝えるべき情報はきちんと最初に観客側に提示してほしいです。

キャスト

  • 狂言回し:山本耕史
  • 香山弥左衛門:廣瀬友祐
  • ジョン万次郎:ウエンツ瑛士
  • 将軍/女将:朝海ひかる
  • 老中、ほか:可知寛子
  • たまて、ほか:綿引さやか
  • 漁師、ほか:染谷洸太
  • 泥棒、ほか:村井成仁
  • 少年、ほか:谷口あかり
  • イギリス提督:武藤寛
  • アメリカ提督:田村雄一
  • フランス提督:照井裕隆
  • アメリカ提督:杉浦奎介
  • ロシア提督:中西勝之
  • 水平:藤田宏樹
  • 少女:井上花菜
  • スイング:横山達夫
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全体感想

まず劇場内に入って目を惹いたのが舞台美術の洗練された美しさです。等間隔に「JAPAN」的な展示物の数々が静かに佇んでいて、それを様々な形に模られた木製の創造物が包み込んでいる感じ。あのセットはかなりお金がかかっているのではないかなと。今回チケット代は1幕ものにしてはちょっとお高め設定という印象がなきにしもあらずだったんですけど(苦笑)、あのセットを見せられては…納得するしかないかもと受け止めましたw。

特に舞台上手奥にある巨大な丸いセットはとても印象深く、ある時は月や太陽といった天体に、ある時は奥行きのある和室に、またある時は外国船を覗く窓に、と様々な顔を見せてくる。おそらく日本庭園でよく見られる丸い障子窓のような形をイメージしたのではないかな。こういったセットから日本愛みたいなものが伝わってきたのがとても良かったです。
あと、場面転換の時に数枚の木製の板がまるで動く障子のように舞台上を滑っていたのも印象的。あの装置があることで次のシーンへの繋ぎがとてもスムーズだった。

物語の冒頭は現代のシーンからスタートしました。洋服を着た人たちが次から次へとやってきて並んでいた「THE JAPAN」の展示物を眺めている。この演出を見て真っ先に思ったのがミュージカル『アイーダ』でした。あの作品も冒頭が現代の世界でエジプトにまつわる展示物を洋服姿のお客さんが眺めているところから始まるんですよね。
『アイーダ』と違うのは、そこに登場している人たちがこれから始まる物語に出てくる人物と関わりがあるといった描写がないこと。『アイーダ』は転生した主人公カップルといった設定があるので冒頭とラストの物語の繋がりに胸熱くなるのですが、『太平洋序曲』は特にそういった設定もなさそうだったし…なぜ現代の人たちを冒頭に出してきたのかが今ひとつよく分かりませんでした(苦笑)。

展示会場に一通り人が集まったところで、満を持して”狂言回し”が登場し幕末へと時代が遡っていきます。このあたりの展開はなかなか面白かった。
ここから鎖国前の日本の様子が彼の歌で語り継がれていくわけですが…、外国の人から見る鎖国中の日本の印象ってこんな感じなのかなぁといった雰囲気だった。滑稽なシーンとして描かれている部分も多く、ちょっと冷めた目線というか…そんな空気を感じたかも。

で、楽曲がもう本当にめちゃめちゃ難曲揃い!!噂には聞いていたけれど想像以上でした。流れてくる旋律はソンドハイム独特の不協和音的な音階のオンパレードだし、オーケストラの演奏からは主旋律がほとんど聴こえてこない。
それを、ものの見事に歌いこなしている全キャストの皆さん…超人的にすごいです!!あれ歌いこなすのにどれだけ苦労したかと思うともう…それだけでも胸が熱くなってしまう。というか、相当ハイレベルな歌唱力がないとこの作品には出演できないと思う。ちょっとでも音がズレたら全く違う音楽に聞こえるだろうし、作品そのものが壊れてしまいかねない。そういった意味でもすごくハードル高いし怖さもあるのではないでしょうか。しかも歌いながらきっちりとお芝居もしなきゃいけませんしね。そういうことを想像するだけでも非常に刺激的で挑戦的な作品だなと思いました。

ソンドハイム楽曲のすごいところは、最初の方にも少し触れたのですが不協和音なのに何故か心地よさを感じてしまうこと。特に声が重なるハーモニーには不思議な美しさが宿っている。こんな作曲家はなかなかいない。惜しくも2021年にお亡くなりになってしまいましたが、本当に天才的なすごい方だったのだなと改めて驚愕させられました。
が、思っていたよりもスローテンポでまろやかな旋律が多く…、すみません、所々で意識が飛びました(汗汗汗)。ちゃんと聴かなければっ!!と必死に耐えてはいたのですが、あまりにも美しいゆるやかなナンバーが多くて…堪えきれずな場面がちょいちょい(苦笑)。その結果、ある境地に至りました。

満腹状態でこのミュージカルを見ないほうが良いな、と(笑)。

これは私個人の感想なので他の皆さんはそんなことないと思いますのであしからず。そんな中でも覚えている印象的なものを少し挙げてみます。

香山と、妻・たまてのデュエット曲♪他に道は♪。妻との慎ましくも平和な日々を過ごしていた香山が幕府の命令である日突然外国との交渉役を突きつけられてしまう。この使命に失敗すれば命がないことも十分あり得るなか、香山とたまてはお互いの不安な気持ちを必死に抑えながら前に進むしかなかった。そんな二人の切ない歌声が印象深かったです。この時点でたまてさんはもう覚悟を決めてしまっていたのかも…。

突然やってきた黒船に庶民が混乱し騒ぎになるナンバー♪四匹の黒い竜♪。アンサンブルの染谷くんと村井くんのスコーンと突き抜けるような歌声がとても聴き心地が良かったです。

このナンバーは朝の情報番組『スッキリ』に海宝くんとウエンツくんが出演した時、「自分たちのナンバーではないけど」と特別バージョンとして熱唱してくれていたので聞き馴染みがありました。

♪ウェルカム・トゥ・カナガワ♪は異人対応のために準備に精を出す遊び女たちのドタバタ劇が歌われてました。ここはけっこうドギつい感じ(苦笑)。

♪木の上で♪は香山らが異国人との交渉を行っている現場を目撃したと騒ぐ人たちのナンバー。このシーンのハーモニーもすごくキレイで個人的に好きな楽曲だったのですが…気持ち良すぎてちょっと記憶が…(汗汗汗)。

♪やぁ、ハロー♪はアメリカ以外の外国船が次々と日本に押し寄せて自分たちとも取引しろと迫る場面。各提督を演じたアンサンブルさんたちの歌唱力のたくましさに脱帽!素晴らしかった。

♪プリティ・レイディ♪は今回の観劇の中で一番頭に残った楽曲かもしれません。日本に上陸した水兵たちが若い女性を見つけて「僕達と一緒に遊ばないか」と迫っていく。最初はけっこう穏やかな雰囲気だったのが、なかなか彼女がなびかないことに業を煮やし強引にモノにしようと獣的な側面を見せていく水兵たちの姿がちょっと恐ろしかった。
でも、そこで歌われる旋律は何故か本当に美しくて惹き込まれてしまう。怖いのに美しい、そんな独特の感覚にさせられる印象的なナンバーでした。しばらく頭の中で「プリティ・レイディ」のワードがぐるぐるしていたほどです(笑)。

ここまでは比較的静かでなだらかな雰囲気のナンバーが多い印象が強かったのですが、最後の♪次なる高みへ♪だけは動的で勢いがありました。その先の日本の激動の歴史を思い起こさせるような激しさがあって心の中がザワつく感じ。最後の最後にすごいのが来たなと思った。ここのダンスシーンがちょっと劇団四季のソンダン風にみえたかも。

香山と万次郎のシーンはこの作品の核にもなっていたと思うのですが、楽曲が心地よすぎて今回ちょっとじっくり堪能できなかったというか…あまり記憶が…(汗)。廣瀬くんとウエンツくんのコンビ、すごい癒やし系でほっこりしてて微笑ましかったのでもっとしっかり見ればよかったなぁとちょっと後悔。
でも、後半の意外な展開はかなり衝撃的でした。前半の二人の関係があってからのあの結末でしたからねぇ…。残酷というか、運命だったのか…というか、なんとも言えない気持ちになってしまった。

今回のストーリーは一応大筋では幕末日本の歴史を描いていましたが…どちらかというとフィクション的な展開もちょいちょい多かったなといった印象でした。2幕もののときには老中の阿部正弘が将軍になるというくだりがあったらしい(汗)。
1幕ものの今回ははっきりとした将軍の名前や老中の名前は殆ど出てきません。クライマックスのあの場面は色んな幕末エピソードを混ぜてあのようになったのかな、みたいな。

ちなみに、時を同じくして劇団四季がジョン万次郎を題材にして描いたミュージカル『ジョン万次郎の夢』を上演。こちらの作品のほうが物語として観るにはわかりやすいのではないかなと思います(←私はまだ見たことないんだけど 汗)。

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主なキャスト感想

狂言回し:山本耕史くん

耕史くんは本当になんでもできちゃう役者さんだよなぁと改めて驚愕させられました。狂言回しはラストシーン以外は”語り部”として一人だけ現代風衣装を纏っての登場なのですが、後ろの髪の毛を束ねた姿がなお一層カリスマ性を引き立てていてすごく色っぽい。

冒頭の日本を紹介するナンバーを歌う時の力強さに観る方はどんどん惹きつけられる。ただでさえ難しい楽曲だというのに、あの吸引力はほんとすごいです。それから、もう一つ驚かされたのが、舞台上での佇まい。狂言回しとして舞台で起こるアレヤコレヤを緩急つけた表現で進めていくのですが、決して前に出すぎない。あくまでも語られるストーリーを引き立てる存在としてあり続けていて、ドラマが展開していく中でさり気なく姿を消していく姿なども実に自然。
それ故に、ラストシーンでのあの姿や言葉がなお一層強烈な輝きを解き放っているように見えたんですよね。そこを計算した上でのこれまでの流れだったのかと思った瞬間にちょっと鳥肌来ました。

それから、耕史くんはここ最近大河ドラマなど本格的な時代劇に出演が続いているということもあってか言葉にすごい歴史の重みを感じましたね。彼が語るとそこから日本の歴史が見えてくる…みたいなワクワク感があった。その他にも見どころ満載で、特にファンの人にはこの演目での彼をぜひ一度見ていただきたいなと思いました。

香山弥左衛門:廣瀬友祐くん

廣瀬くんはスラリと背が高くいつ見ても舞台映えしていて美しい。昨年末に見た現代風青年の役もとっても素敵だったけど、和物姿の彼もめちゃめちゃ素敵でしたよ。特に、冒頭の奥さんであるたまてと仲良く釣りをしてる時の表情が最高!優しさと温かさがにじみ出ていて、見ているだけで癒やされてしまった。

万次郎と初めて会った時は彼の奇想天外な行動に翻弄されたりしてアタフタしてるんだけど(これがまた可愛い!)信頼関係を築いてからはちょっと大人の余裕というか懐の深さを垣間見せるお芝居になって、すごい安心感を覚えたかも。廣瀬くんの内面から出てくる懐の深さというか包み込む優しさというか、そういうのが香山というキャラクターに染み込んでいたように思います。

泣けたのは、愛する人との突然の別れの場面。あそこの演出もすごく鮮烈で美しかったんだけど、そこでショックのあまり慟哭する香山の涙がもうたまらなく切なくて胸締め付けられるような気持ちになってしまった。廣瀬くんの泣きのお芝居、最高すぎた!!全てにおいて本当に魅力の塊でした。ファンの方は必見かも。

ジョン万次郎:ウエンツ瑛士くん

イギリス留学から帰ってきてから舞台でのお仕事が増えているウエンツくん。観るたびにミュージカル俳優としての貫禄が大きくなっているように感じられてとても嬉しい。今回驚いたのは、ソンドハイムのあの手強い楽曲を伸び伸びと歌い演じていたことです。彼が歌うたびに透き通った爽やかな風が通り抜けるような心地よさを感じました。

ジョン万次郎は最初は水兵のような制服姿で現れるのですが、これがウエンツくんにめちゃめちゃ似合ってた。ハーフの顔立ちなのでなおさら”日本人だけどどこか西洋的”みたいなキャラクターがドンピシャでハマってる感じ。
屈託のない人懐こい笑顔で香山と交流していく場面はウエンツくんの人柄が出ているような雰囲気で見ていてすごく癒やされました。

印象深かったのはクライマックスで立場の違ってしまった香山と対峙する場面。中盤までの人懐こさが全く消え冷酷な武士の顔になってた。その時のギラリとした鋭い目の輝きにドキリとさせられます。何が彼をそこまで駆り立ててしまったのか…、あの目の中に色んなドラマが隠されていたような気がしてすごく切ない。そしてその末路も…。
このクライマックスでの目のお芝居がウエンツくん、本当に素晴らしかったです!

将軍/女将:朝海ひかるさん

朝海さんは主に”将軍”として登場する回数が多かったのですが…あの姿形には本当に驚き…というか、衝撃を受けましたね。え!?この役をあの美しい朝海さんが!??みたいな。衣装は金ピカでちょんまげも必要以上にデカいw。遠目から見たらちょっとバ●殿に見えてしまうような、そんな滑稽な姿だったので最初は戸惑ってしまったのですが、見ていくうちに目が慣れていったかもw。

移りゆく時代のなか要所要所に登場する”将軍”でしたが、パンフを読むとどうやら皆違う人物らしい。そういえば、一番最後に登場した”将軍”の雰囲気はそれまでとは違って聡明さがあったなと。でもどちらかというと、この演目の中では”将軍”は滑稽な人物として描かれている印象が強かったので、なぜこの役をトップ女優の朝海さんが?という疑問はありました。これまで見たこともない斬新な役柄という意味では面白かったと思うんですけどね。

もう一役の”女将”は、これぞ朝海さん!といった見応えある姿で登場。奇抜なメイクと衣装ではありましたが、遊び女たちを鍛えて(?)いく場面などは圧巻の存在感。キャストを知らないで見たら”将軍”と同じ女優さんが演じているなんて気づかなかったのではないかと思うレベルw。本領発揮とばかりに生き生きと強欲女将演じてる朝海さんが素敵でした。

アンサンブルさんたちについて。

メインキャスト以外の皆さんはたくさんの役を掛け持ちして演じられていましたが、この演目の中ではけっこうソロやメインとしてナンバーを歌う機会が多かったです。あれだけガッツリとアンサンブルさんたちが前に出て歌うという演目も珍しい。もうほんとに皆さんの歌の巧さが際立ちまくってて最高でした。

個人的に印象に残ってるのは村井成仁くんの超低音ヴォイスの歌と、武藤寛さんのおじいさんながらも爽やかな歌声ですかねぇ。お二人共元劇団四季ですから歌唱力はお墨付き。照井くんも良かったなぁ。それから、可知寛子さん!!相変わらずキャラが濃くてどこにいても目を惹きます!特に老中は最高w!

観劇前にSNSでこの写真を見ていたので、登場したときには心の中で「キターーーぁ!!」と叫んでしまいました(笑)。

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後述

ここまで思うままをツラツラ書いてきましたが、くっきりとしたストーリーがある作品ではないので全体を理解するのはちょっと難しすぎたなぁと。どこか浮足立ったような雰囲気もあり、掴みどころがない。一つ一つのエピソードにはドラマ性がほとんどないし、作品全体にどっしりとしたテーマがあるわけでもないといった印象。

なので、1幕物に凝縮されたことでカットされてしまったシーンというのはいったいどんな感じだったのだろうか?というのは率直な疑問として浮かんできました。削いだということは、今回見たエピソード以上に制作側が省いたわけだろうし……さらに意味がない場面だったということとか?逆に気になるんだけど、かといって見てみたいという欲求が湧いてくるわけでもないかな(苦笑)。

これはたぶん、1回見ただけでは難しい演目だと思います。これまでいくつかソンドハイム作品見てきたけど、私の中ではその中でも1−2を争うほど手強い作品。好きな人はすごく好きだろうし、ダメな人は避けちゃうかなと…。好き嫌いが分かれる作品かもしれません。玄人志向って感じかなぁ。
私は正直、途中で「うーーん」と思って来月の大阪公演どうしようかなという気持ちにもなったんですけど(汗)、もう1回見ればなにか違うものが見えてくるかもしれないので行ってみます。

※結局予定していた大阪公演は行かれないまま終わってしまいました(汗)

終演後にはアフタートークショーがありました。聞きながらメモはしそびれてしまったのですが(汗)思い出す限りをメモったので次の記事で少し紹介します。

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