ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』大阪公演配信観劇 2021.01.23マチネ

主なキャスト別感想

明日海りおさん(エドガー・ポーツネル役)

3年前の宝塚時代にエドガーを演じられ、原作者の萩尾さんからも絶大な信頼を得たという明日海さん・・・納得です!!私は原作を知らずに今回の作品を見ましたが、エドガーはまさに明日海さんが演じられたまんまのキャラなんだろうなというのが容易に想像できました。開演前のメッセージ動画と舞台の上とではまるで雰囲気が変わったのも驚きでした。

立ち姿、歌、お芝居、どこをとっても美しく凛々しく完璧でしたね。ここ最近の宝塚出身女優さんの中でも3本の指に入るくらい素晴らしいと思います。
特に、バンパネラとして生きるエドガーが自分の運命に苦悩しながらも、エナジーを吸う欲求に駆られたときには全く別世界の氷のように冷たい表情で迫っていたシーンがとても印象的でした。人間とバンパネラと両方の感情やあり方を実に繊細に演じられていたと思います。

この作品の中ではもうエドガーは彼女以外考えられないという域に達していると思いましたが、オールマイティに様々な役柄を演じられそうな予感もするので、今後違う舞台で違う役としての明日海さんも見てみたいなと思いました(テレビでは朝ドラにも出演されるようなので注目です!)

千葉雄大くん(アラン・トワイライト役)

今回この舞台を観ようと思った最初のきっかけは、千葉くんがミュージカルに初挑戦するということを知ったからです。千葉くんとミュージカルってなんだか想像がつかなくて…っていうか、千葉くんがミュージカルに興味を示していたことも知らなかったので情報を知った時にはとても驚きました。
ドラマで見る千葉くんの芝居は私けっこう好きでして、最近ではNHKの「いいね!光源氏くん」のひかる君の演技がとても印象深かった。それに最近では可愛い系だけではなく、ちょっとダークな役柄にも挑戦したりと確実に演技の幅も広がってきていますよね。そんな千葉くんがミュージカルという異空間でどのような魅力を魅せてくれるのかとても興味がありました。

千葉くんのアランは本格登場が遅かったのですが、その美貌はもう折り紙付きと言いますか…めちゃめちゃ舞台映えしておりました!!明日海さんのエドガーと同じく、原作を知らない私でも「アランはこういうキャラなんだな」というのが明確にピンときました。
アランは綺麗なだけじゃなくて性格的に色々と紆余曲折がある青年。最初は生意気盛りでかなりお高く留まったようなところがあるのですが、それでも表情の端々にどことなく影も忍ばせていたりして憎めない雰囲気が出ていました。このあたりの繊細な表現力はさすが。ちなみに私は千葉くんアランが口角を右にツンと上げながら笑う仕草がツボでした(笑)。

エドガーに心を許した後はどんどんと本来の少年らしい純粋な部分も見せていって。目の輝きも全然違う。キラッキラしていて思わず引き込まれそうになりました。あんなに無防備に慕ってこられたらこっちも心開きたくなるよねぇ。あと、メリーベルに初めて会った時に恋心を発動させてるシーンも可愛くて萌えました(笑)。このあたりはやっぱり千葉くん上手いなって思った。

アランはそんな純粋さの裏に自分を取り巻く環境に対して暗い気持ちも抱いています。特に大好きな母親に関する出来事で苦悩するシーンなどはとても印象的だった。エドガーがバンパネラだと知って感情を爆発させるシーンもグッと来たなぁ。千葉くんはこういった感情をグワっと前面に出していくお芝居も非常に魅力的です。

歌は…ミュージカル初挑戦ということもあり正直上手くはありませんでした。でも極端に音を外したりということもなかったし、声もすごくよく出ていた。複数回見た人によれば初日に比べると格段に進化していたとのこと。ものすごく頑張っているというのが見ていても伝わってきたし、公演が終わる頃にはもっと上手くなっているような気がします。
ダンスシーンもちょっと固いかなと思うところもありましたが、クラスメイト達と踊るシーンで両足揃えてピョン、ピョンって移動するシーンとかはめちゃめちゃ小動物感が出て可愛くて萌えちゃいましたww。

これをきっかけに、またミュージカルの世界でも頑張ってほしいです。期待してるよ、千葉くん!

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小西遼生くん(フランク・ポーツネル男爵役)

今回のキャスティングの中でもう一人楽しみにしていたのが小西くんです。実は私、小西くんのファンクラブに入ろうか悩んだ時期もあるほどw好きなんですよねぇ。久しぶりに舞台に立ってる姿を観れるということでけっこうテンション上がってました。

まずスゴイと思ったのが、シーン的に元宝塚の女優さんたちに囲まれて登場することが多かったにもかかわらず、ちゃんとその中に溶け込んで存在感を発揮していたことです。ちゃんと宝塚的な華やかな色に上手く対応しながらそこに立ってたよ。なんか、小西くん演じる男爵が登場するたびにホッとしていた自分がいましたw。

エドガーに対しては常に厳しい態度で接してきた男爵。時には思い余って手を挙げることもあるんだけど、そのたびに苦悩していて…。育ての親としてどう彼に接していいのか悩む姿がとてもリアルで繊細で印象的でした。小西くんの苦悩するお芝居って本当に良いんだよねぇ。
一番グッと来たのはクライマックスでシーラが瀕死の重傷を負って現れた場面。シーラは先に銃で撃たれてしまうのですが、その直前に男爵だけ逃がそうとします。そんな彼女に「ずっと一緒だと約束したじゃないか!!」と愛の言葉を叫びながら銃弾に倒れるわけですが…この時の芝居が本当に切なくてたまらなかったですよ(涙)。小西くんの愛を叫ぶシーンはもう胸アツ…っていうか、絶品!!配信でも見れてよかったと心から思いました。

中村橋之助くん(ジャン・クリフォード役)

未だに「橋之助」というとお父さんの顔が真っ先に浮かんでしまうのですが(汗)、もう25歳になったんですねぇ。お子さんの頃から見ていたので時の流れの速さを実感してしまいます。
橋之助くんも今回がミュージカル初挑戦とのことですが、実は無類の宝塚ファンだそうですね。出演者が元ジェンヌさん多数ということで橋之助くん的にはさぞかしテンション高かったのではないかなとw。

彼が演じたのは見た目誠実そうなお医者さんのクリフォード。清楚な婚約者もいてとても幸せそうに見えたのですが、実はかなりの女好きでシーラやアランの母や婚約者にまで色目使ってしまうというダメ男(笑)。そんなキャラを見て、お父さんのようにはなるなよ…と心の中で念じてしまったのはここだけの話www。

それにしても、歌舞伎役者の橋之助君ですが…西洋系の役柄も実によくお似合いの色男でございました。なんかミュージカル初出演というのが信じられないくらいその場にすごくなじんでいたのが驚きです。お芝居も歌舞伎的ではなくちゃんと現代劇に対応したものになっていたし、シーラやメリーベルを手にかけてしまう場面などは素晴らしい熱演でした。
歌だけがちょっと微妙なのが残念なんだよなぁ。歌の精度が上がればもっとミュージカルで見てみたいなと思いました。

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夢咲ねねさん(シーラ・ポーツネル男爵夫人役)

夢咲さんはここ最近の作品の中でもこのシーラ役が一番ハマリ役ではないかなと思うほどでした。登場した時には”人間的”な温かさを感じさせていましたが、進んで男爵の妻となりバンパネラへの道を選んだあとはどんどん表情が冷たくなっていって。エドガーに接している時にも優しさの中に無慈悲な一面をのぞかせていたりと、ドキリとする場面が多かったです。

でも、男爵とのシーンでは彼への愛情を惜しみなく表現されていて。クライマックスで男爵を思いやる場面の説得力がすごくあり感動しましたね。

メリーベルを演じた綺咲愛里さんはとにかく可愛かったです!元宝塚娘役トップだったというのも納得の可憐さ。エドガーが一目で恋に落ちてしまうのも納得だし、エドガーが必死に守りたくなるというのも納得でした。

ジェインを演じた能條愛未さんは元乃木坂46メンバーだったとのことですが、一歩引いた奥ゆかしい女性らしさが光っていて感情移入しやすかったです。歌もお芝居もしっかりされていたので今後が楽しみな女優さん。

レイチェルを演じた純矢ちとせさんは病弱なアランの母親を熱演。ただの弱い女性ではなく、時には医者のクリフォードと良い仲になりかけたりとけっこう不安定なところもあったりして興味深いキャラでした。

大老ポーとオルコット大佐の二役を演じた福井晶一さんは貫禄たっぷり!特に大老ポーのどっしり構えた存在感はさすがでしたね。歌声にも迫力がありました。対する大佐はどちらかというと尻に敷かれるタイプww。この演じ分けの落差が非常に面白かったです。

老ハンナとブラヴァツキーの二役を演じた涼風真世さんもさすがの存在感。老ハンナ役の時には優しさと冷酷さが入り混じった複雑な人物像を見事に表現。歌声も芝居も安心安全な安定感がありました。対する降霊師のブラヴァツキーはとにかく奇天烈なキャラでww。霊が下りてきた時のお芝居がかなりイッちゃってて面白かったです。

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後述

本公演後にちょっとしたアフタートークがありました。明日海さんと千葉くんがエドガーとアランの扮装のまま素でやり取りする様は何とも不思議でwwそれでいてとても可愛らしかったです。配信カメラにも手を振ってくれて嬉しかった~。

で、明日海さんは千葉くんに聞きたいことがあるということで質問を。

「もし千葉くんがアラン役じゃなかったら何役をやってみたいですか?」

これに対する千葉くんの答えが「メリーベル」(エドガーの妹)だったのが面白かったです!なんていうか、期待を裏切らないお答え(笑)。いや、千葉くんならビジュアルだけだったら十分メリーベル役行けると思うよ!!めちゃめちゃ可愛く仕上がる姿が目に浮かぶものw。
明日海さんも開演前に「千葉くんだったらメリーベルって答えるかも」って予想していたんだとか。以心伝心みたいで素敵w!

千葉くんも明日海さんに同じ質問をしていましたが「エドガーにしか見えないから他が浮かばないです」って戸惑い気味だったの可愛かったなww。いや、たしかに明日海さんはエドガー以外考えられないってほどハマってたよ!
でも、ご本人的にはいくつかあるらしく(笑)なかでも初演からずっとやりたいと思っていたのが「マーゴット」(アランの従姉で婚約者)って言ってたのが意外でした。なんでも、ストーリー公判でアランに「あんたが殺したのよーー!!」って叫ぶシーンをやってみたいんだとかww。千葉くん的にはそのセリフを毎回浴びるたびに「刺さるんですよね…」と神妙な表情をしてました(笑)。

なんかふたりのちょっとお茶目な可愛らしさが炸裂したアフターミニトークショーで面白かったです。

緊急事態宣言に伴い夜公演の時間がずれ込んだりということもありましたが、大阪公演を無事に完走できて本当に良かったと思います。今のご時世、すべて順調に公演できるといったことも難しくなっていますからね…。まだ東京、名古屋と続くようですが(東京と名古屋の配信もあり)、どうぞカンパニーの皆様、健康に十分気を付けて走り抜けていただきたいです。

ちなみに、今回の『ポーの一族』のDVD化がすでに決まっています。観てから買うか考えようと思っていた私ですが、配信が終わった後即予約しました(笑)。今から届くのが楽しみです。

ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』|梅田芸術劇場
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』の公式サイトです。公演スケジュール・チケット情報などはこちらから。大阪:2021年1月 梅田芸術劇場メインホール/東京:2021年2月 東京国際フォーラム
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