Q7. プレシャスな思い出の舞台は?(柿澤勇人編)
2012年『海辺のカフカ』(演出・蜷川幸雄)
カッキーは2012年の初演と2014-2015年の再演に出演していますね。2012年には大河ドラマ『麒麟がくる』で主人公を演じている長谷川博己さんとも共演していました。長谷川さんも蜷川作品にはよく出演していました。
カッキーはこの当時を「蜷川さんに役者としての考え方を180度変えられた」ことが一番深く印象に残っていると語っていました。劇団四季を退団して外部舞台に出られるようになった初期の頃だったと思うので、色々と衝撃も大きかったんじゃないかな。芝居へのアプローチが四季と蜷川さんとではまるで違うという話を聞いたことがあるので。
現在新しいドラマの撮影に入っているというカッキー。隣のスタジオに勝地涼くんがいたって話してたけどどこの局だろう(勝地くんはハケンの品格ですね、たぶん)。
その時に二人で蜷川さんのことに触れる機会があって「今もしも蜷川さんが生きていたらどうしていただろう」と話したんだそう。あ~、それは私も思うかも。戦う演出家だったからね。今のコロナ禍の演劇界をどう喝入れていたんだろうかとかホント気になります。
他の舞台をやっている時も、常に蜷川さんの教えというのはカッキーのなかで息づいているようでいつも意識しているそうです。
稽古の時は「ボロクソ言われまくった」というカッキー。物が飛んでくることはなかったけれど、言葉による檄が相当激しかったようです。
蜷川さんの稽古風景が垣間見える映像を何度か見たことあるけど、あれだけでもホント私だったら立ち直れなくなりそうって思ってしまうレベルだからなぁ。だから、蜷川さんのそんな厳しさにも食らいついていけてた役者さんっていうのはものすごく尊敬します。役者への熱い愛情があるからこそって皆感じているからこそ食らいつけるっていうのもあると思いますけど、それでもやっぱり誰にでもできることじゃないと思う。
そんな蜷川さんとの出会いと、2014年公演の時に海外公演を経験したことも印象に強く残っているそうです。
2016年『ラディアント・ベイビー』(演出・岸谷五朗)
この作品に触れられるとカッキー思わず苦笑いw。なぜかというと…「役者としての挫折」…アキレス腱断裂してしまったからとのこと(汗)。役柄に近づけようと相当ハードなトレーニングして体を絞ったらしいのですが、あと少しで東京楽というところでやってしまったと(しかも本番中)。
元基くんはその現場を客席から目撃していたらしく、本番では気づかなかったものの幕間休憩の時間がやたら長いことで「何かあったな」と勘づいたと語ってました。
その長い休憩時間の間、カッキーは必死に治療して2幕に備えようとしていたとのことですが、絶対やめたほうがいいというお医者さんに対して「早く何とか治療してくれ!」と鬼気迫る感じで主張してたらしい。アドレナリンが上がってたこともあり、痛みもその時は殆ど感じなかったそう(汗)。
結局東京楽まではやり切ったものの、地方公演(大阪)は中止になってしまったと…。あ~、それは辛いね。役者も辛いしお客も辛いわ(汗)。その時の悔しさが未だに強く自分のなかに残っているというカッキー。
2019年『愛と哀しみのシャーロックホームズ』(演出・三谷幸喜)
これはもう、とにかく、セリフ量の多さがハンパなかったと(役者人生で1番らしいw)。三谷さんの舞台はセリフ劇でもありますからね。それにカッキー主役だったから相当大変だったと思います。
でも、すごく辛いことも多かった分、それと同じくらい楽しかったことも多かったとカッキー。
三谷さんはミュージカル『メリー・ポピンズ』でのカッキーが演じたバートを見てシャーロックホームズにピッタリと思ったそうです。「僕のなかで二つは全くリンクしていなかったのでそれを聞いた時は驚いた」と語ってましたが、確かにそうだよね。『愛と哀しみ~』はストレートプレイだし、この舞台観れなかったけどあまりバートとリンクするものはパッとは思いつかないから。
台本をもらって読んだ時には「当て書きされてる」とビックリして嬉しかったんだとか。
バート役の時には「タップダンスしたかったわけじゃないのに」と最初思いながらも必死にダンスの稽古をしていたらしいのですが(カッキー正直だね 笑)、その時の舞台を三谷さんが見て抜擢してもらえたということで「努力したことは無駄にはならなかったんだな」と実感したそうです。
Q8. プレシャスな思い出の舞台は?(加藤和樹編)
2014年・2017年『レディ・ベス』(演出・小池修一郎)
2013年のロミジュリ公演中に受けたオーディションとのことですが(元基くんも受けたらしい)和樹くん曰く「人生のなかで一番ダメなオーディションだった」とw。
グランドミュージカルの経験が浅かったので、オーディションでどう自分を魅せるためのパフォーマンスをしていいか分からず何もできなかったらしい。とはいっても選ばれたんだから光るなにかは見せられていたと思うんですけどね。
さらに超ビッグネームな方々(小池さんを始めリーヴァイさんなど)が一列にズラーーっと並んだ状況でのオーディションというのも初めてだったとのことでかなりの緊張感だったらしい。聞いてるだけで身が縮むよw。でもあの和樹くんが「足が震えた」っていうのは意外だったかな~。
右も左も分からないまま、とにかくヤケクソになりながらもシチュエーション通り歌ったら、リーヴァイさんから「グッド!グッド!」と褒められたそう。でも海外の人の「グッド」はどういうグッドなのか見極められずその時は「もう終わった」と撃沈を覚悟したという和樹くん。
「信用してないわけじゃないんだけどね!」というのは何度も必死に強調してて、元基くんも「分る、分かる」って頷いてたな(笑)。
ちなみに、オーディションを受けた後の気持ちは、和樹くんと元基くんは「もうだめだわ…」みたいな脱力感に襲われるそうですがw、カッキーは「やりきった!もういいや」と割り切るタイプらしい。「モヤモヤしないんだ~」と感心する和樹くんに「そういう時には赤い靴履いていかないの?」とツッコミ入れるカッキーに笑ったww。さすがにその勇気はなかったらしい(笑)。
2016年・2018年『1789』(演出・小池修一郎)
初めて帝劇で主演した作品として印象深いと和樹くん。
初演の時に初めて小池さんと食事に行く機会があったそうですが、その時に自信がなかなか持てない和樹くんに対し「お前はそろそろ自信をもっていい」と言ってもらえたことで吹っ切れるものがあったと。勇気をもらったとも言ってたかな。
いつも厳しいことしか言われたことがなかった故に、なおさら心に響いたんだそうです。
「怯えているように見える」とも指摘されたそうで、迷いながらやっていることを見透かされていると感じた和樹くん。そこで目が覚めて、だんだん自分が演じたいように自由に振舞えることができるようになったそう。
ちなみに一番探り探りだったのは「歌」だったということで。たしかに、初期の頃の和樹くんのミュージカル歌唱はまだ未完成な感じあったもんね。ずっと「歌」に自信が持てなかったそうですが、小池さんの言葉で気にすることをやめて伸び伸びとやるようにしたそう。そんな経験があったからこそ、今の歌唱力アップに繋がったんだなぁとちょっと感動しました。ほんと、観るたびに和樹くんの歌は進化していくのでね。
その話を聞いていた元基くんが羨ましそうにしてて「そう言ってもらったことないの?」と和樹くんに聞かれると「いつも浮かれてる」って言われてしまうんだとか(笑)。これにはみんな大爆笑ww。
「なんで僕にはみんな良い言葉言ってくれないのかなぁ」と笑いながらもちょっとイジけモードに入ってしまった元基くんを見た和樹くんがすかさず「いるだけで回りが明るくなる存在だから、浮かれていてほしい」とフォロー入れてましたw。相変わらず優しいね~和樹くん。
『レディ・ベス』『1789』共にDVD化されています(私も2本とも買いましたw)。興味がある方は東宝モールまで↓
と、ここまできて1幕最後の歌唱コーナーへ。和樹くんとカッキーはミュージカル『フランケンシュタイン』で共演していたということで、そこからナンバーを披露することになるわけですが・・・「どちらが歌うことに?」と元基くんが尋ねると、和樹くんが元基くんを指差してきて「僕が?」とちょっと嬉しそうに驚く元基くんに爆笑www。そのあとすぐに「僕は歌わないので安心してくださいっ」って慌てて否定してたの可愛かった。元基くんのも聴いてみたかったよ。
結局歌うのはカッキーということで。『フランケンシュタイン』の2幕最後のほうに歌われる♪後悔♪。カッキーのなかで一番好きな楽曲とのこと。
でも本当は『デスノート』のナンバーも歌いたかったらしいのですが「今の時期、あまりにも縁起が悪いから(タイトル的にw)」ってことで自分で却下したらしい(笑)。たしかにねww。
久しぶりに人前で歌うので緊張している、とコメントしてましたが、そのブランクを感じさせないほど素晴らしい歌唱でした!やっぱりプロの舞台俳優は期間が開いてもちゃんと鍛錬してるんだなぁと思いました。
2幕レポはまた次のページへ。