ブロードウェイミュージカル『RENT』25周年記念Farewellツアー来日公演 2022.05.18ソワレ

ブロードウェイミュージカル『RENT』25周年記念Farewellツアー来日公演を観に渋谷のシアターオーブまで行ってきました(1泊2日3連続観劇の2本目w)。

本来であれば2020年3月に上演されるはずだった来日公演。一度も海外版『RENT』を生で見たことがなかったことや(映画はあります)、オリジナル演出を見られる最後の機会という誘い文句にも惹かれチケットを購入していました。
ところが、そこに水を差したのが憎きコロナです…。遠征することをとても楽しみにしていたのですが、カンパニーの来日が不可能という事態に陥り中止に追い込まれてしまいました(舞台の中止も相次いだ 涙)。めちゃめちゃ良席をゲットできていただけに、本当にショックだった…。

その後、振替公演が12月に決まったというアナウンスもあり今度こそはと期待したのですが…一向にコロナ禍が収まる気配がなくこちらも涙の中止に。さらに2021年8月に調整するというお知らせもありましたがこちらも実現するには至らず。
いつまで続くか先の見えない事態に、もう来日公演そのものが実現することはないんだろうなと諦めの境地が生まれてしまいました(海外からの受け入れはつい最近までほぼシャットアウト状態だったし)。

ところが、昨年(2021年)11月に突然公式SNSが「2022年5月の来日が決まりました」というお知らせを打ってきた!

まだこのお知らせが来た時点では外国の方の日本受け入れが厳しい時期でもあったので心配もありましたが、「日本公演を諦めないでいてくれた」ということが本当に嬉しかったです。

そしてついに今回実現に至った。まだ来日そのものが簡単ではないこの時期に日本公演のために来てくれたカンパニーにはもう感謝の気持ちしかありません(交渉してくださった主催者様にも)。チケットも一番最初の前売りの時にGETしてとても楽しみにしていました。

私が観たのは初日。思っていたよりも多くのお客さんが駆けつけていて、グッズ売り場には長蛇の列ができていました(あまりにもすごい列だったので私はパンフレットのみで我慢 汗)。みんな『RENT』の来日チームが来てくれるのを心待ちにしていたんだなと思えて、なんだか嬉しい気持ちでいっぱいになってしまった。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

これまでのRENT感想(日本公演)

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2022.05.18 ソワレ公演 in 東急シアターオーブ(東京・渋谷)

主なキャスト

  • マーク:J.T. ウッド
  • ロジャー:コールマン・カミングス
  • ミミ:アイヤナ・スマッシュ
  • エンジェル:ジャヴォン・キング
  • コリンズ:シャフィーク・ヒックス
  • モーリーン:マッケンジー・リヴェラ
  • ジョアン:レイラ・ガースク
  • ベニー:ジャレッド・ベッドグッド

キャストは日によって微妙に交替がある形になっているようでした。私が観劇した初日は、メインのモーリーン役がマッケンジー・リベラさん(公式HPでメインでお名前が出ているのはリンディ・モエさん)。これまでアンサンブルを多く演じられていたようですが、モーリーン役も代役とは思えない圧巻のパフォーマンスで本当に素晴らしかったです。

私は今回が海外版初見ということもあり皆さん初めまして状態だったのですが(海外ミュージカルに疎くてすみません 汗)、メインからアンサンブルまで非常に高いレベルの役者さん揃いで本当に感動しました。やはり本場は役者の層の厚さが違うんだなぁと実感。それを目の当たりにできたのはとても幸せなことでした。

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あらすじと概要

これまでの感想のなかでちゃんと触れてこなかったので(汗)少し書いておきたいと思います。

『RENT』の下敷きとなっているのはプッチーニ作のオペラ『ラ・ボエーム』です。それを1980年代のアメリカに置き換えてミュージカル作品として完成させたのがジョナサン・ラーソン。作詞・作曲・脚本を約7年の歳月をかけてほぼ一人で作り上げたそうです。
ところがオフ・ブロードウェイでのプレビュー公演初日の未明、HIVを患っていたジョナサンは完成した舞台を見ること叶わずこの世から旅立ってしまった。まだ35歳の若さ(しかも誕生日の10日前)でした。もしもまだ彼が今も存命だったら、この混沌とした世の中をどう表現しただろうかとか考えてしまいます。

ジョナサンが亡くなってから約1か月後の1996年2月にオフ・ブロードウェイで正式に開幕した『RENT』は大きな話題を呼び、4月にはブロードウェイに進出して大成功を収めるに至ります。トニー賞では4部門受賞、ピューリッツァ賞のドラマ部門では最優秀作品賞を受賞。そのほかにも多くの部門で大きな評価を受け数々の賞を取りました。

2005年にはクリス・コロンバス監督で映画化(私が初めて観たRENTも映画だった)。6名のオリジナルブロードウェイキャストが出演したことでも大きな話題となりました。

ロザリオ・ドーソン (出演), テイ・ディグス (出演) 形式 Blu-ray

日本カンパニーでの公演が始まったのは1998年。翌年にも再演されています。この初演公演でマークを演じたのは、ドラマや舞台で大活躍中の山本耕史くん。ロジャー役にはTMNの宇都宮隆さんが配役され大きな話題を呼びました。
その後2008年に東宝が版権を得てコンスタントに上演を重ねています。そこから演出が新しく変わったようですね。

「25周年フェアウェルツアー」は『RENT』上演20周年を記念して立ち上げられ2016年にスタートしたそうです。これまで全米を中心に回ってきたそうですが、その間日本にも2016年と2018年に来日。
ジョナサン・ラーソンと共に『RENT』を制作したマイケル・グライフのオリジナル演出版が見られるのは、今回の日本ツアーで最後になるとのこと(つまり、最終公演地が日本)でした。そんな貴重な公演が見られるなんて本当にありがたい…。

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簡単なあらすじは以下の通り。

舞台は20世紀末のNY-イーストヴィレッジ。

荒廃したアパートに住み、家賃(レント)も払えない貧しい生活を送るマークとロジャー。
映像作家を目指すマークは女性弁護士ジョアンと付き合い始めた元恋人のパフォーミング・アーティスト、モーリーンに今も振り回されている。

シンガーソングライターを目指すロジャーは、曲が書けず悶々とした日々を過ごしているが、ナイトクラブダンサーのミミと出会い、互いに愛し合うものの、心はすれ違う。
共にHIVポジティブのエンジェルとコリンズは永遠の別れを迎える。

ある日、行方不明になっていたミミが手遅れの状態で発見される。
真っ直ぐな気持ちでミミに向きあうロジャーが、やっと書き上げたラブソングを捧げると……。

<公式HPより引用>

上演時間は休憩時間を合わせて約2時間35分

今、この時を全力で懸命に生きる人たちの愛とエネルギーに満ちた心震える素晴らしい作品です。

予備知識なくまっさらな状態で見ても楽しめる作品だとは思いますが(ロックでソウルフルな音楽がとにかく素晴らしいし)、映画版、または日本語版を知っていた方が入り込みやすいというのはあると思います。

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全体感想 -1幕-

私がこれまで見てきた日本語版『RENT』は新演出になってからのものだったので、オリジナルのマイケル・グライフ版が観れたことはとても貴重な体験でした。

セットの雰囲気的には今のものとあまり大きな違いはありませんが、中央の椅子と机をシーンごとに動かす以外はほぼ固定されてるなという印象が強かった。あと、上手の上部セットに今では見られない廃材で作られたクリスマスツリーが飾られているのは斬新でした。この物語はクリスマスに始まりクリスマスに終わるので、その季節が来てピカピカ光る場面はなかなかカラフルで面白かった。

電話のシーンの演出も面白かった。今ではほとんど電話機そのものが登場してこない感じだけど(マークとロジャーの部屋にあるくらい)、家族から留守電が入るシーンになるとアンサンブルさんがおもむろに固定電話を舞台に向かって投げ入れてくるんですよねw。そのアナログな感じが逆に新鮮。
それから、ポスターは新演出では壁に貼られているけどオリジナルではキャストさんが手に持っている形になってるところや、マークたちの部屋の薪ストーブが大きなバケツになってるのも面白いです。

個人的には、舞台中央に横長に並んだイスとテーブルがなんだか胸アツだったな。オリジナル演出版の舞台写真でよく見る光景だったので、あぁ、こんな風に作品の中に登場してたんだと実際に目の当たりにできて嬉しかった(ちなみに、綺麗に並んでいた椅子と机はシーンによって色んな形に変えられていきます)。

全体を見て感じたことについて。

やはりオリジナルの英語版で見ると歌のフレーズに余裕があって耳心地がいいなというのは思いました。どちらかというとアップテンポの曲が多いので、日本語に直すとどうしても早口に歌わなければ間に合わないみたいなシーンもちょいちょいあるんですよね。当たり前なんだけど、英語だと日本語よりもフレーズが少ないのできっちり音楽に当てはまってる
私は英語が苦手な方なので字幕の助けはどうしても必要になってくるのですが(汗)、英語って短いフレーズの中に濃い内容が含まれてることが多い。日本語版で聞いていた内容との違いなんかもちょいちょいあって、そのあたり比べる楽しみもあったりしました。

それからキャストの皆さんの雰囲気ですが、良い感じに力が抜けていて熱くなりすぎるようなところがなかったのも印象的でしたね。息をするように自然にその世界に存在して作品の中の言葉を発しているといった感じ。ソウルフルではあるんだけど、ぐいぐい引っ張ろうとするような強引さがなくリアルにその時の感情を伝えている。このあたりの技術も素晴らしいなと思いました。

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以下、印象に残ったシーンについて少し触れたいと思います。

♪Rent♪

静かに登場したあと、部屋の電源が落ちてその瞬間に超ノリノリのロックな雰囲気に転換するこのシーン。何度見ても本当に痺れます!!心の中に熱いものがこれでもかと湧き上がってくる!!それにとにかく来日キャストの皆さんのパワーが素晴らしくてのっけから鳥肌っ。
このロックナンバーのシーンでは幾重にもドラマが展開されていくのですが、誰と誰が繋がっていてどんなドラマが起こっているのかなどがとても分かりやすくシンプルに演じられていたと思います。

個人的には、コリンズとエンジェルが出会うシーンと、マークが振られたモーリーンの頼みをあっさり引き受けちゃうシーンが好きですね。

ちなみに、タイトルロールでもある『RENT』の意味は2つあると言われています。1つ目は英語訳そのものの「家賃」。マークやロジャーたち芸術家の卵はNYのとある一室を借りて住んでいますが、彼らはお金がなくて”Rent=家賃”を払えない状況。
そんな彼らに圧力をかけ今の場所から出ていくようけしかけていくのがかつての仲間だったベニー。彼はお金持ちの娘と結婚してマークたちとは一線を画す存在になってしまっていました。そのあたりのドラマがこの最初のナンバーで展開していきます。

もうひとつの意味は”Rend”の過去形、つまり「引き裂かれた」というニュアンスなのだそうです。この作品は、貧困・差別・偏見・病(HIV)といった1980年代アメリカの社会的問題が背景になっています。その波に揉まれ翻弄され時に”引き裂かれて”しまう人間関係がロックな音楽に乗せて繊細に描かれている。これを念頭にして観るとさらに『RENT』の世界観に没頭できるかもしれません。

♪One Song Glory♪

HIVに冒されているロジャーが「生きているうちに心に残る一つの歌を作りたい」と切々と歌うシーン。恋人を同じ病で亡くしてしまった過去の傷から立ち直れず、引きこもりがちになっているロジャーの翳りをコールマン・カミングスさんはとても繊細に演じ歌っていて見ているこちらの胸が痛むほど切なかったです。背中の哀愁が特に泣けたなぁ・・・。
このナンバーはジョナサン・ラーソンの切なる想いも反映されているそうで、このことを思いながら聞いたらさらに泣けると思います(涙)。

そんな彼の前にミミというかつての彼女に似た女の子が現れて、ロジャーの運命が少しずつ動き出していく。”落し物”を探してとミミが強引に誘惑しようとするシーンはとてもキュートでかつ色っぽさもあり見応えがありました。ミミもまた哀しい宿命を持った女性ですが、ロジャーはこの時はすげなく追い返しちゃうんだよねぇ。

♪Today 4 U♪

このシーンの見どころはなんといってもエンジェルのショー!!ジャヴォン・キングさんは非常に美形でエンジェルの派手な扮装がとてもよく映えていて見応え充分でした。あれは登場した瞬間に拍手したくなっちゃうよ!それに、身体能力も非常に高くてビックリ。舞台の板の上から机の上にヒョイッとジャンプして飛び乗るシーンは特に驚いた。すごい跳躍力!!ここは最高に盛り上がりました。

※朝の情報番組にカンパニーがゲスト出演した時に明かしてましたが、このシーンの時に客席から手拍子が起こるのは日本だけなのだそうです。これにはちょっと驚いたし、日本のファンのこと好意的に感じてくれてるんだなって思えて嬉しかった。

歌詞自体はあまり意味はないので(アキタ・エビータのくだりは考えると可哀そうになっちゃうけど、あれは言葉遊び的なものらしいので深く考えずに見たほうがいい 苦笑)ここはただただエンジェルのパフォーマンスに浸るのが一番だと思います。

ちなみに、マークとジョアン(日本語版だとジョアンヌ)のタンゴシーンは前の席の人が大きすぎてほとんど見えませんでした(汗)。それがちょっと残念!オーブは席によってこういうことあるんだよなぁ。

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♪Life Support♪

ライフサポートは下手上のエリアで行われていて、発言するゴードンだけ舞台上手側下に立っているという位置関係になっていました。オリジナルの英語訳を見ると、日本語版よりもゴードンが病気のことで大きく気落ちしている様子が伝わってきて胸が痛んでしまいました…。より死と向き合いながら懸命に生きる人々がリアルに感じられたな(涙)。

♪Out Tonight♪

舞台中央の一番奥にある階段を上ったところでミミが圧巻のパフォーマンスを魅せる場面。アイヤナ・スマッシュさんは華奢ながらとてもパワフルでさらにとても可愛らしい。見ているだけでワクワクするようなパフォーマンスが本当に素晴らしかったです。特に、身体能力の高さにまたビックリ!

新演出のミミもかなり高度なギリギリのパフォーマンスをするのですが、オリジナルはそれよりさらにギリギリのところで歌い踊っていて見ていてちょっとハラハラ手に汗握ってしまった。鉄骨の上に立って両手放しで激しく歌うシーンは見応えだらけ!全く体の軸がぶれていないので危なっかしく見えないのが本当に凄い。髪の毛のキラキララメも派手に振りまいてて客席から軽く歓声が上がっていたくらい盛り上がりました。

♪Another Day♪

『RENT』の中でも特に大好きなナンバーのひとつ。このシーンは引きこもりがちなロジャーの前にミミが再び現れて「今この時を懸命に生きる」ことを必死に説き外へ連れ出そうとするのですが、ロジャーは過去のトラウマや自分の環境を嘆くあまりその勇気を出すことができない。
ミミの必死の説得に対して「昔だったら君に惹かれていたかもしれないけれど、今は違う」と背を向けるロジャーがとにかく切なくてたまりません…。心のどこかでは今の状況から抜け出さなければと分かっているのに、どうしてもその勇気が持てないんですよね。この時の彼の苦しい心情を思うと本当に泣けて仕方ないのです。

オリジナル演出では、ライフサポートのメンバーやそこに参加していたマーク、エンジェル、コリンズが下手上の方からロジャーとミミのほうに向かって歌ってる。彼らが上から歌うことによって、さらに強くロジャーの背中を押そうとしているというのが伝わってきてボロ泣きしてしまった…。すごい一体感を感じたんですよね。私はこちらの演出のほうが好きだなと思いました。

ミミが居たたまれなくなってその場を立ち去った後、ライフサポートメンバーたちが静かに♪Will I♪を歌う。その声はまるで天から降ってくるような美しさで胸が震えます…。そして、彼らの歌声に励まされるようにロジャーはついに扉の外へ出ることができた。このあたりの展開は非常にドラマチックで感動的。

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♪I’ll Cover You♪

エンジェルとコリンズが二人きりの時間を楽しむナンバー。二人ともHIV陽性という事情もあって、一瞬一瞬を愛しむように心の距離を近づけていく様子が伝わってきて心が温かくなりました。コリンズ役のシャフィーク・ヒックスさんは大きな体ながらも懐が深くて優しく温かい雰囲気をうまく表現されています。エンジェルが彼と生きたいと思うのも納得。

このナンバーは2幕でも歌われるんだけど、この1幕の幸せな場面を想いながら聞くとものすごく泣けるんですよね…(涙)。

♪We’re OKay♪

ジョアンが複数の電話応対にアタフタする場面。日本版だとここは本当にせわしなくて、よくあれだけのフレーズを早口で歌えるなと感心してしまうんですよね。でも、オリジナルで聴くと言葉に余裕があってあまりせわしない印象がなかった。なので、けっこう落ち着いて聞いていられる(笑)。

ジョアン役のレイラ・ガースクさんはとても大柄な方で歌声にも迫力があります。ちょっとコミカルな表情も魅力的でクールさも兼ね備えたキャラがとても面白かった。

♪Over the Moon♪

立ち退きに反対する集会でパフォーマンスするモーリーン。新演出では舞台中央の上で行われていますが、オリジナルではセットではなく舞台の中央でやってましたね。後ろのジョアンのサポートも実にアナログ感満載でw、月の上を牛が歩いていく様子を主導で表現してたのがめっちゃ可愛かったです(笑)。

これがコロナ禍じゃなければなぁ・・・。あの場面はモーリーンの「ムーー!!」に合わせて客席もそれに応えて「ムーーー!!」って返すのが魅力なんですけど、今回はそれが禁止になっちゃってて。モーリーンが一人で「ムーーー!!!」と叫んで終わってしまうという何とも勿体ないシーンになってしまいました。2020年の日本公演の時みたいに何かしらのリアクションができればよかったんですけど…。せめてパフォーマンス後に盛大な拍手で盛り上げるくらいしかできなかったのが残念でした。一緒に叫びたかったよ、「ムーーーーー!」!!

ちなみにこの場面はあまり字幕を追わなくてもいいかなと思います。モーリーンの発言はすごい抽象的で独特なのでね。字幕読んでも日本の人は特にあまり理解できないかもしれない。ここは素直にモーリーンのパフォーマンスを楽しめばいいんじゃないかなと。

♪La Vie Boheme♪

モーリーンのパフォーマンスが終わった後、仲間たちがカフェに集って大騒ぎする場面。このシーンには字面にしづらいワードがわんさか出てきます(笑)。それに交じって世界的な芸術家の名前も入ってきたりするんですが、「クロサワ」の名前が入ってることがすごいなといつも思ってしまう(黒澤明)。ここは疾走感あふれるキャストたちのエネルギーを素直に浴びてワクワクしながら見るのが一番かな。どんな差別や偏見にも屈するもんかという、すごい生命力に満ち溢れたナンバーだと思う。

この最中にロジャーとミミが気持ちの距離を縮めることになります。ミミになかなか本心を打ち明けられなかったロジャーが、彼女と自分が同じ立場であることを知ったことで急速に惹かれていくわけで。自分の気持ちを共有できる相手としてミミを受け入れるんですよね。初めて彼が他人に心を開くシーンでもあって非常に印象深いです。

2幕の感想は次のページ。

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