劇団四季ミュージカル『美女と野獣』2023.05.30 ソワレ

全体感想・主なキャスト感想 <2幕>

城を飛び出し狼に襲われてしまったベルを野獣が助けるシーン。初演バージョンよりもオオカミがよりリアルな姿で登場しているので、かなり迫力があるしベルが怯えるのもすごい説得力があります。ただ、ベルを追いかけてきたビーストが必死に狼を追い払う戦いを繰り広げているなかでベルが何もできずに佇むだけ…というリアクションになったのはちょっと残念。平田さんはちょっと助けに行こうかといった意志表示みたいなのは見せていましたが、演出的にその場にとどまったって感じだったかな。ここは、ビーストを助けようとベルも必死に小枝を切って参戦するっていう初期バージョンのほうが個人的には好きです。
戦いに傷つきその場に倒れてしまったビーストを見たベルは、いったんその場を離れようとするも見捨てることができずに彼を介抱するため城へ一緒に戻る選択をする。狼と戦うリアクションが無くなったのでここもそういった行動に変わりましたね。それがちょっと寂しかったりする。

ビーストがベルに怪我の手当てをしてもらう場面。最初に傷口に触れられた時の唯くんビーストの「ぎゃぁーーーー!!」という悲鳴が思いのほかすごくて吹いちゃったよww。一幕を見た限りだとここはグッとこらえるパターンかと思いきや、めっちゃ痛がってたのが意外でちょっとビックリ(笑)。
この後しばらく二人の口論は続くのですが、徐々に気持ちが近づいていく。二度目に触れられた時は痛みを決死の想いで我慢してたのがまた可愛くて萌えたよww。ベルは助けてくれたことに対して感謝の気持ちを素直に伝え、ビーストも「どういたしまして」と返事をする。ここの返事をするときの声色、これまでのビースト役者さんの殆どはちょっと抜いたような柔らかい音を出していたと思うのですが唯くんは力んだ状態「どういたしましてっ」とぶっきら棒に返してましたね。それがすごく新鮮で印象深かったです。彼の、素直になりきれない不器用さがものすごくリアルに伝わってきた。

召使たちが更なる後押しについて相談している間のベルとビーストのやり取りも好きなシーンのひとつです。ベルは野獣との距離感が縮まったことに心のトキメキを感じ初めて笑顔を見せるんだけど、ビーストは未だにどう接していいのか分からなくてアタフタしてるw。困惑したような表情で洗面器とタオルをそっと取り上げて片付ける唯くんビーストの戸惑いの仕草がこれまた最高に可愛らしかった(笑)。この時点でもまだ表情は硬いんですよね。それがすごくリアル。

♪何かが変わった♪の場面で最初に二人でスープを飲むことになるのですが、この時の唯くんビーストの椅子の引き方がめちゃめちゃ不器用すぎて平田ベルが思わず「あぁ、ビックリした」って目を丸くしてたのが萌えたww。この二人、気持ちが近づいていくにつれて萌え指数がどんどん高くなってくのでワクワクしかない(笑)。
それから、着替えるために席を立ったベルがビーストの口元に「何かついてる」と指摘する場面。ここの平田ベルのセリフが…すっごい自然体!まるでセリフではない言葉のように聞こえてますますキュンときちゃったよ。本当に楽しそうに笑いをこらえながら「ついてるっ」って言ってるの、可愛すぎるだろう!!これはビーストがさらに彼女に惚れちゃうの納得だわ(笑)。

ベルの新たな一面を知ってビーストのテンションが上がる場面、予想した以上にめっちゃ興奮してた(笑)。もう感情が抑えきれないって感じでほんとに「息ができないっ」って感じだったww。これまで感じたことのない心のトキメキ、恋心が一気にこみ上げてきて感情を抑えきれない唯くんビースト、可愛すぎかっww。平田ベルもそんな彼の姿を見て自然に笑いがこみ上げるって感じで二人ともめっちゃ良い雰囲気だった。

図書館にベルを連れていく場面、彼女の手を引くビーストはまだどこかぎこちなくてちょっと荒々しい。だけど、早く彼女に喜んでほしくて気持ちが踊っているのが伝わってくる。ここも私の好きな場面のひとつです。最初ちょっとビクビクしながら「気に入った?」って尋ねる唯くんビースト、超萌え(笑)。平田ベルが喜び笑顔全開になったのを確認するや喜び爆発。ここの感情の流れも実に自然でイイ感じ。

ベルがビーストに「アーサー王伝説」の本を勧める場面。

余談ですが、今年の初めにやっとBB以外の作品で”アーサー王の伝説”を見ることができたので(ミュージカル『キングアーサー』の感想はこちら)ようやく二人が語るストーリーがちゃんと頭に入ってくるようになってきました(笑)。

ベルはビーストが本を読めないことを知らないのでグイグイ勧めるのですが、それに対してビーストは自分の至らない部分を知られたくなくて必死に逃げようとしてしまう。この時唯くんビースト、追い詰められて思わず怒鳴るような形でと拒絶してしまうんですよね。この反応も初めて見て…めちゃめちゃ新鮮だった。もう、トコトン不器用なんだなとかえって愛しくなる。自分の不甲斐なさを知られて彼女の心が離れてしまうんじゃないかとすごい怯えてる気持ちが伝わってきた。
観念したように本が読めないことを告白したビーストに、ベルはちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべながら彼を隣に座らせ読み聞かせを始める。この時の平田ベル、菩薩のような優しさが滲んでてグッとくるものがありました。そしてそんな彼女を目の当たりにしたときの唯くんビーストの驚いたような表情もすごく印象的だった。おそらくあの瞬間にベルへの想いが本物に変わったんじゃないかなと思ったかもしれない。

アーサーが岩から剣を引き抜くくだりをベルが読む場面、ここはすべてが可愛らしいww。っていうか、唯くんビースト、声がひっくり返る勢いで興奮しててめっちゃ面白かったよ(笑)。そしてそんな彼をなだめる平田ベルのちょっと呆れたような笑顔が素敵すぎる。心から笑顔になる二人の場面は見ているこちらにとって最大の癒しです。
本の楽しさに感動したビーストは興奮しながら「僕をどこかへ連れて行ってくれる」と喜びを爆発させるのですが、ふと自分が何者かという現実に立ち戻ると一転表情を曇らせてしまう。ここのシーンの時の「僕が誰か…、いや、僕が今、何かということを…」というセリフの間が唯くん、超絶妙だった。ビーストの心の孤独があの言葉と言葉の空間の中にこれでもかというほど込められてて思わず涙が零れたよ…(泣)。

そんな彼を目の当たりにしたベルは、自分も変わり者と町の人から噂されているから「人と違うって思う気持ちが分かるの。それがどんなに孤独かも…」と寂しそうに告げる。この時の平田ベルの暗い声色がまたすごく切なくてねぇ…。ビーストはベルがそんな想いを抱えていたことを初めて知って驚きを隠せませんでしたが、そんな彼女の気持ちにそっと寄り添おうとする。
そのぬくもりを感じたベルが「アーサー王」の物語の続きを語り、ビーストはその感想を楽しそうに告げる。ここ本当にめちゃめちゃ素敵な場面!!二人の気持ちが呼応し合ってゆっくり着実に結びついていく感じが唯くんと平田さんのお芝居から伝わってきてウルウルしまくってしまいました(涙)。感情の流れがホントすごく自然。

スポンサーリンク

ベルとビーストの距離がどんどん近づいていく姿を見た召使たちは、希望を感じ♪人間に戻りたい♪と歌う。ここの場面は初演バージョンとだいぶ演出が変わりましたが、個人的には今回の新演出のほうが好きです。”物”になった召使たちの後ろで”人間”たちが楽しそうにダンスをしている。”人間”には明るいライトが当たっていないので、あれはおそらくかつての召使たちの幸せだったころを投影しているのだろうなと思います。それを見せることによって、”物”となってしまった彼らの”人間”への憧れがより強く感じられ心に迫るものがある。

「アーサー王」を読み終えたベルは、改めてビーストに一緒に夕食を摂ってほしいと申し出る。この瞬間の唯くんビーストの驚き方と喜び方が半端ないハイテンションでww、もう見ていて微笑ましいしかなかったよ(笑)。心から”よかったねぇーーー!”って思えた。
ベルと心が通じ合うまでは自分の想いを素直に出せずにずっとイライラしてもどかしい想いをしてきただけに、解放された瞬間は抑えてたものが一気に溢れ出た形になったんだろうなと感じました。

ベルとの食事会の前、ルミエールとコグスワースから”告白を”と迫られるビースト。ここは新演出版になってからコミカルな部分がだいぶ削がれてしまったのがちょっと寂しい。今の唯くんだったらめちゃめちゃ可愛く演じてくれただろうになぁと思うと残念。でも、ルミエールからビクビクしてると指摘された直後の「してないっっ!!」って思わず声を荒げてムキになっちゃうシーンは子供っぽくて萌えた(笑)。

煌びやかに着飾ったベルの傍に恐る恐る近づいていくビースト。ドキドキしながら隣に並んだあと、安心したようにルミエールとコグスワースは袖に帰っちゃってww。唯くんビーストが空いたほうの手で必死に彼らに助けを求めてたんだけどスルーされちゃってたのが面白かった(笑)。
緊張しながら食事を楽しむんだけど、二人ともどんな顔をして向き合っていいか戸惑っているのが可愛らしい。特にビーストが何かリアクションしなきゃと焦って固まった笑顔で手を振るもののその後が続かず凹んでしまうシーンは最高です(笑)。ここは初演バージョンの時からのお楽しみポイントでもありますねw。

潮﨑ポット夫人の優しく包み込むような♪美女と野獣♪の歌声に合わせてベルとビーストはダンスを踊ります。最初は動きがぎこちなかったビーストでしたが、ベルの優しいアドバイスによって次第に華麗な動きへと変化していく。
このシーン、毎回とてもうっとりしてしまうんだけど…今回はなんだかすごいこみ上げてきてしまって落涙。平田ベルと唯くんビーストの二人があまりにもキラキラして幸せそうに踊ってて…それ見ただけで涙が溢れて仕方なかった。唯くんは『ロボ庭』の時のダンス姿がとても印象的だったので期待していたのですが、今回の踊れるビーストになった時の立ち姿は予想以上に美しく軽やか。カッコよくて衝撃受けました。

ダンスの直後に「素晴らしかった」と感想を言うシーンは新演出になってからビーストも一緒に告げるようになりましたね。それによってより二人の心の距離が縮まったように感じられ感動的です。
この後ビーストは勇気を振り絞ってベルに「心のままに」想いを告白しようとするのですが、彼女が父親を心配するあまり暗い表情になってしまったのを見てしまう。何とか元気づけたくてなんでも見える鏡を渡すのですが、そこに映ったのは森で迷い弱っているモリースの姿だった。ここのシーンは毎回”残酷だなぁ”と思いながら見てしまう。

父親のことが心配で動揺するベルを目の当たりにしたビーストは「行ってやりなさい!!」と彼女の背中を押す。唯くんビーストはなんとか彼女の助けになりたいという一心でごく自然にあの言葉を発してました。それだけに直後の「君はもう囚われの身じゃない。ずっと前からそうじゃなかった」というセリフがものすごく胸に迫ってきて泣けました(涙)。ビーストの心からの真心なんだよね。
ベルもそんな彼の気持ちに触れたから、ギリギリまで告白してくれるのを待とうとしたんだろうなと…。彼女的には「好きだ」っていう一言だけでも欲しかったと思う。平田ベルはモリースのことも心配だけどビーストと離れるのが辛い気持ちも大きかったからか涙声になってて…それがまた切なくてたまりませんでした(涙)。

ベルが去ってしまった後、初めてベルと別れた実感が押し寄せてきて打ちのめされてしまうビースト。そんな彼にポット夫人が「やっと、愛することを知ったのね」と告げるセリフは何度聞いてもグッときます。
孤独を噛みしめながらビーストが歌う♪愛せぬならば(リプライズ)♪がこれまた切ないんだよなぁ。唯くんの歌声がそれはもう本当に哀しげで哀しげで…それ聞いてるだけで胸が苦しくて泣けて仕方なかったです(涙)。

何とか森でモリースを見つけて一緒に帰ることができたベル。モリース的には牢屋に閉じ込められて娘と無理やり引き離された時の野獣の記憶しかないので「返してくれた」というベルの言葉をすぐに受け入れることはできないんですよね。無理もないよなぁと(苦笑)。そんな父にベルはビーストと心の距離が近づいたことへの喜びを歌う。新演出版から新しく加わったナンバー♪チェンジ・イン・ミー♪がなければ、あのモリースの野獣への警戒心を少し説く術はないよなとも(汗)。
それにしても、平田さんは本当に表現力豊かな歌を歌われますよね。朗らかに、そして高らかにビーストへの恋心に対する喜びを歌い上げる姿は実に感動的です。

スポンサーリンク

ベルは自分のビーストへの想いを父にもっと語りたいところだったと思いますが、そのタイミングでガストンやルフウが町の人を引き連れて現れる。そのなかに悪徳医師のムシュー・ダルクがいるわけですが、降って湧いて出てきた感が半端ない(笑)。
ダルクは初演バージョンの時はその前にガストンたちと悪だくみするシーンで登場していたのですが、それがごっそりカットされてしまった為に”あなたはどなたですか??”状態ww。初めて見た人は急に濃いキャラの人物が出てきて驚くかもしれないw。そう思うと、今回のダルクさんは気の毒だよなぁと思う。メイクも相当気合入ってるだけになおさらねぇ(苦笑)。

そして、あれよあれよという間にベルが野獣の存在を明かしてしまうのでダルクさんの活躍はほぼ0のまま終了ということに。
モリースはベルの♪チェンジ~♪を聴いてちょっとはビーストのイメージが改善されかかっていたような雰囲気がありましたが、鏡に映し出されたその姿を見るとまた恐怖心が湧き起こってきて町の人たちに「あいつだっ!!」と恐怖心を植え付けてしまう(苦笑)。でも怖い記憶の方が色濃いわけだから、あの反応は致し方ないよなぁ・・・と今では理解できるようになりましたw。

ガストンはベルが自分の思い通りにならないことに直面しさらに闇落ちしてしまう。元々彼女に対しては”外見”しか見てない雰囲気だったから、拒絶されたことでプライド傷ついて悪の道に走ってしまったんだろうなぁと。ガストンは人間の弱さをより具現化した存在かもしれない。酒井ガストンは道を間違えなければもっと爽やかで素敵な男になってたかもと予感させる雰囲気があったので、この転落はなんだかちょっと悲しく映りました。

このあとガストンは暴徒を引き連れてお城に突入していくわけですが、召使たちとの格闘シーンがまるまるゴッソリ無くなってしまったのは未だにちょっと違和感しかないです(苦笑)。何のために暴徒がベルの家の前に集まったのかがよく分からないようになってしまった。突入した後の彼らのことは想像にお任せします…ってことなんだろうけど、なんだかなぁ(汗)。
それゆえ、城の門を破ってからすぐにガストンとビーストの闘いシーンになってしまうのが唐突すぎるように見えちゃって入り込めない(苦笑)。やっぱり召使と暴徒のドンパチは半分くらいは残しても良かったんじゃないかなぁと思ってしまいます。

ガストンとの戦いで深手を負ってしまったビースト。そんな彼にベルが心からの想いを告げるシーンは感動的です。そしてグルグル、からの変身!いやぁ~~~、唯くん王子、キラッキラしてましたわ!!きっとカッコイイだろうなと思ってたけど、想像以上に爽やかな王子様でかなり衝撃受けました。推し(洋輔くん)は別格としてもw、石丸さんに次ぐ煌びやかな魅力があったんじゃないかとすら。変身したばかりの姿で愛しそうにギュッと平田ベルを抱きしめる姿なんか最高に萌えた!!!あれは推せるっ!!
さらに王子として正装した姿がまた…何とも眩しいではないですかっ!ベルを愛しそうに見つめる瞳のなんと優しいこと。ダンスをするときの形も非常に美しいです。

最初から最後まで本当に楽しめたBBでした。

後述

カーテンコールも大いに盛り上がり、スタンディングオベーションのなかキャストが全員揃った時に唯くんが隣の酒井くんと目を合わせた後小さく「よしっ」って言ってたのがとても印象的でした。今回の舞台も彼の中で納得のいく熱演だったということですよね。それがなんか嬉しかったな。

小林唯くんは「ロボットインザガーデン」のカトウ役で初めて見た時にピンときた若手の役者さんでしたが、今回のビースト役のハマリっぷりを見てますます期待値が高まりました。沼落ちは洋輔くんだけど、それに次ぐくらい推せるっ!
劇場がかなり難儀な場所なのでなかなか今季BBは足を運びづらいのですが(汗)唯くんのビーストには何度か会いたいなと思いました。前もってキャストが分かっていれば計画立てられるんだけど、それができないのがなんとももどかしい(汗)。

これでしばらくBB観劇はお預けになります(チケットのストックが切れた 苦笑)。年末近く位にはもう一度行きたいところですが…あとはお財布と遠征予定の調整によるかなぁ。色々カットされたシーンも多くて慣れないところもあるけど、やっぱり素敵な作品だし大好きだなと実感できたひと時でした。

error: Content is protected !!