劇団四季ミュージカル『美女と野獣』を観に舞浜(ディズニーリゾート内)まで行ってきました。
前回までは舞浜というと”飛行機遠征”しないと来れない遠い場所だったのが(汗)、千葉県に引っ越したので電車で日帰り観劇できる距離になりました。
本当は2月は海宝くんのコンサート公演のみの予定でしたが(詳細レポはこちら)、2月12日に飯田達郎くんがビーストデビューというニュースを目にし思わず前日予約で確保してしまいました。舞浜の前予なんて少し前まではやりたくてもできない環境だったので(遠征は交通費と宿泊費の調整が本当に大変なのです…)、なんだかちょっと不思議な感じですw。
舞浜BB、以前よりも客足は少し落ち着いてきたからか団体のお客さんの割合が増えてきた印象。私が観劇した日もS1ゾーン以外(全体の3分の1くらい)は小学生と高校生の団体さんが入っていました。1幕のプロローグと2幕冒頭の間奏曲で拍手が起こるのは団体さんが入っている回独特の光景。生オーケストラではないのが残念なところなんですけどね(苦笑)。
ちなみに、昨年5月の観劇時に惚れ込んだ小林唯くん(レポはこちら)は昨年末で劇団を退団。もう唯くんビーストに会えないのは非常に残念ですが、新しい世界でまた頑張ってほしいなと思います。
劇団四季ミュージカル『美女と野獣』これまでの感想一覧
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
2024.02.16 マチネ公演 in 舞浜アンフィシアター(千葉・舞浜)
※概要(開演時間等)とあらすじなどについては2022年11月24日観劇記事を参照。
ちなみに、マチネの開演時間は12時30分、終演時間は14時55分(1幕80分、休憩20分、2幕45分)です。カーテンコールの時間はその日によって異なりますのであしからず。
主なキャスト
- ベル:平木萌子
- ビースト:飯田達郎
- モリース:菊池正
- ガストン:金久烈
- ルフウ:肥田晃哉
- ルミエール:大木智貴
- コッグスワース:雲田隆弘
- ミセス・ポット:戸田愛子
- マダム・ブーシュ:河村彩
- バベット:朴悠那
- チップ:佐久間百花
【男性アンサンブル】
山口優太、水原俊、嶺山秀平、和泉澤広野、上野山僚太、玉井晴章、神田瞬、若山展成
【女性アンサンブル】
大中ゆかり、佐野奏実、林明梨、松元恵美、嶋本優美子、上田伶、大寺葉月、引木愛
キャストボードの位置が今までの外の景色が見える場所から奥の陽が当たらない場所に移動。逆光に悩まされることなく写真が撮りやすくなりました。ありがたい。
それから、キャスボ近くの展示物が「ベルの本」から「魔法の鏡」に変わっていました。
近くで見るとかなり凄い装飾が施されているのが分かります。実際に持ったらけっこう重そう(汗)。役者さんも大変だ。
全体感想・主なキャスト感想 <1幕>
昨年5月以来だいぶ間が空いてしまいましたが、改めてBBは良い作品だなぁと実感。今回は突発観劇だったので少し後方からの眺めとなりましたが、そのぶん全体像がとても見やすくダンスのフォーメーションの巧みさなど色々見所も多かったです。特に♪変わりものベル♪や♪ガストン♪の酒場シーンでのアンサンブルさんたちの動きは上からの方が見応え感じるかもしれない。見事に構成された綿密な動きが本当に素晴らしかった。
酒場のシーンについてはもうひとつ、ダンスの難易度がめちゃめちゃ高い!!オリジナル版の頃よりもそれぞれのアンサンブルさんたちの動きが細かくて緻密なものになってるなと感じました。
ガストンが座る動物の毛皮で作ったイスやバーのカウンターが簡素化されたことでスペースが広くなった分、色んな動きのフォーメーションや細かい動きが増えたように見える。そこからのあのマグカップアクションですから、見ているこちらの気持ちも昂り思わず一緒に手でリズムを取りたくなってしまいました。
平木ベルはこれまで見てきたベルキャラの中で一番”地味さ”が際立っていたなぁという印象。お顔立ちは華やかですが、眼鏡をかけた時の”少し影のある真面目少女”感がなんとも儚げで惹きつけられるものがありました。
自分をあまり表に解放せず田舎で平和に穏やかに暮らしてきた少女といった雰囲気が強く、「いつかこの町の外へ行きたい」と歌いながらもそれは”自分の心の中に秘めた憧れ”といった漠然とした願望で、何とか今の状況から脱したいといった気概はあまりないのかなといった印象。これはこれでなかなか新鮮だなと思ったし、そんな素朴さにリアルを感じました。
あともう一つ良いなと思ったのが、1幕でのガストンとの場面。これまでのベルはどちらかというと最初から彼のことを毛嫌いしているように感じることが多かったのですが、平木ベルはそんなに嫌がってるようには見えなかったんですよね。
ガストンの言動に「冗談でしょ!?」と驚いた時も、嫌悪感というよりかは「ホント呆れちゃうわよ~」みたいな表情しててどことなく柔らかい。彼の嫁になるつもりは毛頭ないんだけど、最初から拒絶反応を見せてたわけでもないタイプのベルはあまり見たことがなかったので、なんだかちょっと癒されてしまいました。
金久ガストンはお久しぶりの再会でしたが、以前見た時よりもちょっとコミカルな可愛らしさが加わった魅力的な青年になったなと思いました。♪ひとりよがり♪でベルにプロポーズする時も、超俺様キャラながらも乱暴的一直線キャラっていうのではなく、自分本位だけどなんか憎めないおバカな奴といった微笑ましさすら感じてしまったw。
肥田ルフウとの相性も良く、子分っていう関係性ではなく「弟分」みたいな雰囲気が可愛らしくて良いなぁと。ルフウはオリジナル版ではボコボコにされまくってたキャラなので(汗)、新演出になってからはガストンからの当たりも弱くなって良かったね~という目で見てしまうww。ボコってやられるのは酒場の1回くらいだしね(足をかじられるのも他の人に変わったし)。
ガストンはもともと皆から崇められまくる環境にどっぷり浸っていて自分大好きな勘違い野郎になってしまいましたが、ベルにフラれるという思いもよらない人生最大の屈辱を味わったことでどんどん歯車が狂ってしまうんですよね。ある意味とても気の毒な奴だなぁとも思ってて。
でも酒場でショボくれながら飲んだくれてビールで皆とウサ晴らししてる時はまだ”困ったちゃんな奴”程度だったような気がします。彼が「悪」に憑りつかれた瞬間はたぶんモリースが「娘を助けてくれ!!」と駆け込んできたときではないかと。ベルに対して愛情ではなく「村一番の良い女だから」といった”自分の勲章”という目でしか見ていなかったことが、彼をどんどん悪い方へと向かわせてしまったのかもしれない。ガストンは”人間の弱さ”を一番体現してるキャラなんじゃないかなと今回改めて思いました。
菊池モリースは見た目からして本当に可愛らしい癒し系のおじいちゃんって感じ。平木ベルのお父さんとしてはピッタリだなと。でもお城に迷い込んでバベットからの歓待を受けてる時はなんだかちょっと照れたような雰囲気もあったりして萌えましたww。
そのお城ですが…、やっぱりまだ新演出のセットに慣れてなくて(汗)。あの壮大で重厚なお城登場ミュージックにそぐわないなぁと思ってしまうんですよね(出てきた瞬間どうしても「ショボっ」と言いたくなってしまう←コラッww)。簡素式セットになったことで、周囲の景色もなんか殺風景に見えてしまい「お城」のイメージが湧きづらいんだよなぁ。
オリジナル版で観ていた時期の方が長かったから、こればかりは見慣れるまでにもうちょっと時間がかかるかもしれないなぁ。
大木ルミエールと雲田コグスワースのコンビは初めて見ますが、なんか”アイドルと芸人”みたいな関係性に見えて面白かったです(笑)。大木くんが”アイドル”ちっくで、雲田さんが”芸人さん”って印象。この凸凹っぷりがなんとも良い味を出しておりました。
そしていよいよ楽しみにしていた達郎くんビーストが本格的に登場(冒頭も出てくるけど台詞ないからね)。最初の「誰だそいつは!!?」の第一声を聴いた時、洋輔くんの声にそっくりだったのでビックリしました。以前から飯田兄弟は歌い方のタイプは違うけど声質は似てるよなぁ、なんて思っていましたが・・・ここまで重なるとは思わなんだ。一瞬、洋輔くんビーストが再来したのかとも思って心臓跳ねあがりそうになっちゃったよ。
そんなわけで達郎ビーストの声にドギマギしながら見ていたのですがw、1幕はどちらかというと感情表現はあまり表に出していないように思いました。ベルとモリースの仲を引き裂く時も、けっこう冷淡で野獣の怖さが前面に押し出されている感じ。洋輔くんの時は「来い」とぶっきらぼうにベルに手を差し出し拒絶された時に傷ついたような仕草をちらりと見せていたけど、達郎くんはあまり動揺を見せず部屋に案内した後まで威圧感を見せていたのがとても印象深かったです。特に最後の「これは命令だ」の一言が低く呻くような感じで静かに発してて背筋がゾクッときた(汗)。”ホントにあそこにいるの達郎くんなの!?”と疑いたくなるほどでしたよ。
かつてお兄さんのビースト稽古にずっと付き合っていたそうですが(その時彼はベル役として相手してたらしいww)、自分の演技プランはそれとは違う雰囲気で組み立てたんだろうな。演出が大きく変わったことも影響してると思いますけどね。
平木ベルの♪わが家♪は孤独になったことへの悲壮感に溢れていて、いつも以上に物悲しく聞こえました。どちらかというと大人しく影が濃い印象があったので、なおさらそう感じたのかもしれません。モリースを想いながら必死に今の状況に耐えようとする姿が泣けました。
戸田ポット夫人は”温かいお母さん味”が出ていて思わず身を委ねたくなるレベル。笑顔がとても優しいのがとても良い。河村マダムは快活でどこかちょっとプライドが高そうな印象。
このお二人、大阪『オペラ座~』でかなり多く見てきたのでBBで再会できてなんだか嬉しかったしテンション上がりましたね。河村さんはこれまでカルロッタ役でしか見たことがなかったのですごく新鮮。「かつてはヨーロッパオペラ界の華、舞台で燦然と輝くスターとまで言われたのに」っていうセリフの説得力が半端ないよ(笑)。もうオペラの話題が出てくるたびに”カルロッタ”がチラつきまくって仕方なかったwww。
ビーストがベルが食事に来ないことで腹を立てる場面。ここの演じてる達郎くんの声が本当に洋輔くんにそっくりでドキドキしてしまうw。特に「どうしてこんなに時間がかかっているのだ!?」というセリフ回しとか本当に似てる。
ポット夫人から諭されてスネるときの達郎ビーストは、ベルにどう接していいのか分からなくて困惑してる気持ちがとてもストレートに伝わってきました。彼女への感情の持って行き方が掴めず本当に戸惑っちゃってる感じ。で、コグスワースに「それで?」と尋ねる時は考えがまとまらなくなったからか投げやりみたいな言い方になっちゃってたのが面白かったですw。
ベルとの直接対決の場面。ここは達郎くんはコミカル路線でいくのかな?と思ってたのですが、予想していたよりも抑え気味でどちらかというと硬派でぶっきらぼうな雰囲気が前面に出ていたように思います。これはちょっと意外だったかもしれない。ベルのモノマネ「失礼よっ」も控えめだったしねw。でも最後の歯を食いしばったままの「よろしくお願いします」は最高だった(笑)。
面白いなと思ったのが平木ベルのビーストへの反応。特に「私がお腹が減ったと言えばお前も減るんだ!」というビーストの苛立ちに対する「なんてバカなこと!?」のセリフを笑いながら言っていたのが非常に印象深かった。ここのシーン、今までのベルは怒り心頭の様子で責め立てるように返すことが多かったのですが、平木さんは理不尽な要求をされたことに対してちょっとあざ笑うように対抗してたんですよね。それを見た時、ひょっとするとこの対決場面では平木ベルが一番最強なのかもしれないと思ってしまいましたw。
ベルの態度に怒り心頭で西の塔へ戻ったものの、やはり彼女の気を惹きたい達郎ビースト。そんな彼が歌う♪絶望♪は戸惑いと焦りと悔恨と…色んな負の感情が入り混じっていてとても切なかったです。ここで初めてビーストが歌うことになるわけですが…、台詞以上に歌の方が洋輔くんの声に本当に似ててまたビックリ!!特に「たった一度の間違い」のフレーズの歌い方とか本当に似てて鳥肌がきてしまったほど。達郎くんと洋輔くん、本当に”兄弟”なんだなぁと改めて実感してしまった(今更感満載ですけどw)。
大木ルミエールと朴バベットのラブラブシーンは今回もめちゃめちゃ艶っぽかったのですが(朴さん、可愛らしさもあって最高)、ルミエールの蝋燭の灯がちょっと不調であまり炎が出てなかったように見えました。あれ、オリジナル公演の時から調子がいい時とそうでない時とがあるんですよね。ルミエールが蝋燭の灯を出す場面のたびに「ちゃんと炎が出てくるかな」って妙に緊張してしまうww。
まぁでも、大木ルミエールのイケイケなお芝居で炎がなくても十分アツアツだからいいんだけどね(笑)。
BBの中でも一番の盛り上がりどころとなるのが♪ビー アワ ゲスト (おもてなし)♪。新しい演出になってからはベルがちゃんと食事を楽しんでるといった雰囲気が出るようになって良いなとは思うのですが…、あの”色合い”と”デザイン”には未だにちょっと納得がいかないんですよね(苦笑)。個人的に一番引いちゃうのが、ベルにかけられる”前掛け”。あれってディズニー本家からの指定があってアレになったんですかねぇ…。あまりにも品がないというか(苦笑)。
ダンサーさんの見せ場のシーンとかは本当に迫力があって最高なので、あの色とデザインの品のなさだけは本当にもったいないなと思ってしまいます。これはあくまでも個人の感想なので悪しからず。
ベルが西の塔へ入ってしまう場面。ここの見栄えについて…オリジナル演出の記憶がまだ色濃く残ってるせいか未だに「お城の塔」として見るのが難しい(汗汗)。やはりもう少し重厚感が欲しいよなぁと思ってしまいます。
ベルがバラの花に手を延ばそうとした時、ビーストは塔の下からそれを目撃して「触るな!!」と叫ぶ。オリジナルでは彼女の後ろから突然現れて(つまり塔に最初からいた設定だった)毎回心臓に悪いビクビク感があったのですがw、新演出になってからは普通に観れるようになりました。そこから駆け上がってベルを責めたて、逃げる彼女を追ってまた螺旋階段を駆け降りるのでビーストの運動量は増えて大変になってるかも。
ベルとビーストの1幕最後のやり取りの芝居はとても切ない。怒りのあまり自分を見失い「ここに居る権利はない!!」と図らずもベルの服を破いてしまった時の達郎くんビースト、ハッと我に返り逃げ去ってしまった彼女に追いすがるように「すまない、悪かった!!」と叫ぶ声が悲壮感に溢れていて胸がギュッと苦しくなりました(涙)。ベルが消えてしまった後一人になって「私にはもうわずかしか時間がないんだ」と嘆くシーンは、もう今にも泣き崩れてしまいそうな哀しそうな表情してて…思わず感情移入してしまう。
そこからの♪愛せぬならば♪は本当に圧巻でした。ベルを失った悲しみを噛みしめながらも、城から逃げていく彼女の姿を塔の上から見送ってからは”失いたくない”といった本音の感情が溢れだしてて…。その切なる想いが観る者の心をこれでもかというほど揺さぶってくるんですよね。最後の「この身を」のロングトーンとかもう鳥肌もので思わず涙が零れましたよ!!達郎くん、ホント素晴らしかった!
2幕の感想は次のページにて。