劇団四季ミュージカル『美女と野獣』舞浜公演 2024年2月16日マチネ感想

全体感想・主なキャスト感想 <2幕>

2幕でまずオリジナルと変わったなと思うのが、ベルが狼に襲われるシーン。以前は助けに入ったビーストに加勢するような行動を取ることも多かったのですが、新演出になってからは身を潜めて事が収まるまで動けないといった感じになってます。それから、狼が去ってビーストが倒れた後も最初はそのまま逃げ出そうとしてしまい、途中まで行きかけるところで戻ってくるといった演出になった。
そちらのほうが1幕からのベルの心境とリアルにリンクしていて自然だよな、というのは頭では分かっているのですが…なんかちょっと彼女が薄情になったように感じて寂しくもある。前のバージョンを知ってるとつい比べてしまいがちになっちゃうんだよなぁ(汗)。

ベルに手当てしてもらう時の達郎ビースト、城に到着したばかりの時はまだ彼女との壁を感じておとなしめな印象。でも、最初に塗れたタオルを充てられた時の痛がり方はかなり派手に叫んでてめっちゃ可愛い(笑)。このあたりから、達郎くんらしさみたいな部分がお芝居に反映され出したかなといった印象がありましたね。
ポット夫人たちが二人の関係をさらに進展させようと相談している間、ベルと向き合うのが恥ずかしいからかずっと暖炉に向かって手を温める素振りしてる不器用さも萌えるww。

平木ベルはビーストが最初と印象が変わったことで明るい表情が増えていくのが良い。これまで恐ろしく近寄りがたい存在だったのが、実は愛らしく優しい一面があることを知ってどんどん心を開いていくんですよね。スープを飲んだあと着替えるため席を立つ時にビーストの顔を見ながら「(口元に)ついてる」と楽しそうに笑うお芝居とかすごく自然。

ベルへの印象が自分の中で変化していることに気づいた時の達郎くんビーストの反応(♪何かが変わった♪)がこれまた実に愛らしい!!初めて生まれた感情にビックリした様子で、「ドキドキして胸が苦しい!!」とルミエールたちに訴える時などは本当に息ができないかのようなリアクションを取ってて実に感情表現が繊細。
ベルへの恋心を意識した後の達郎ビーストのテンションはうなぎ上りで(笑)、もう可愛いが大渋滞でしたよ!

図書館へ移動するまではまだベルに対してどう自分を見せて行けばいいのか分からない様子でちょっとぎこちない。それでも彼女に理解してほしい一心で一生懸命向き合おうとする姿勢が実にいじらしい。ドレスの色について最初に「ピンクだ!」と言っちゃうときも、言い直した後も、彼の緊張というか…心臓の音が聴こえてきそうなくらいドキドキしてる気持ちが伝わってきて見ているこちらも応援したくなってしまいます。
図書館に大喜びしてるベルを見た時のビーストの幸福感の表現も本当に素直。嬉しさが態度やセリフにダダ洩れてて思わず「よかったねーー!」と肩を抱いてあげたくなるw。

さらに萌えるのがアーサー王の物語を読んでもらう場面。本が読めないと打ち明けるとき彼女に向けた達郎ビーストの背中は孤独の色がとても強い。自分の至らない部分を知られてしまった事でベルの気持ちが離れてしまうんじゃないかという恐怖心みたいなものも伝わってきました。でもベルはそんな彼の心に優しく寄り添い読み聞かせを始める。眼鏡をかけて本を読む平木ベルはなんとも母性愛に満ち溢れていてホッコリ温かい気持ちにさせられます。
アーサー王が剣を引き抜くくだりになった時の達郎ビーストの無邪気な反応がこれまた激萌え!!特に「三度目、彼はついに剣を引き抜き」のくだり、達郎くん、「彼が王様だーー!!」と大興奮した後に「やったぁ!」って満面の笑みを浮かべガッツポーズみたいなリアクション取るのが最高すぎた。あんな無邪気に大喜びするビースト初めて見たかもしれない。もうあれは達郎くんならではだよなぁと。ほんと、見てるこちらが幸せに包まれちゃうレベルだよ、本当に。

アーサー王の物語に大感激した後、ふと自分の現実を見つめながら「僕が何かということを」と寂しそうにつぶやいた時の達郎ビーストも非常に胸打たれるものがありました。なんていうか、台詞の間の取り方がとても印象深いんですよね。次のセリフを絞り出す前の「・・・」の部分に滲み出てくるビーストの心の闇の部分が鮮明に浮かび上がってくる。このあたりのお芝居の繊細さは達郎くん、本当に巧いなと思うし魅力的だなと感動させられます。
そんな彼にそっと寄り添い自分も「変わり者と呼ばれているからあなたの孤独が分かる」と同調してくれる平木ベル。彼女もこれまでずっと笑顔の奥に孤独を秘めた雰囲気を纏っていたので、ビーストの哀しみに自分自身を重ねていく表現がとても自然だなと感じました。さらに、ベルの本当の姿に触れた達郎ビーストがゆっくりと彼女に心を委ね気持ちを寄せてそっと手を重ねるシーンがめちゃめちゃ泣けた。平木ベルとの相性とてもいい感じ。

ベルとビーストの関係が進展していく姿を見ながらルミエールたちが歌う♪人間に戻りたい♪。ここは「物」に変わりゆく彼らの後ろで「人間」たちが楽しそうに踊るといった新演出がとても素敵で気に入っています。早く人間に戻りたいという彼らの切なる気持ちがよりリアルに伝わってきて美しく感動的。

アーサー王の物語を読み終わった後、ビーストがベルから食事の誘いを受ける場面。最初はあまりに予想外の提案を聞いて「ゆうしょく?」と理解が追いつかないといったような言い方をしてた達郎ビーストの反応がとても自然で可愛らしかったです。「僕と君が!??」の聞き方もビックリしまくっててw。でもベルの表情を見ていて本当のことなんだと飲み込んだ後「それはもちろん、イエスですっ!!」と喜びを大爆発させる。このあたりの気持ちの流れの芝居、達郎くんすごく繊細に愛らしく演じていてめちゃめちゃ良かった!!まさに期待以上!

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ルミエールとコグスワースからベルとのダンスに行くよう説得される場面。ビク付く姿はどことなく洋輔くんの演じたビーストの雰囲気と重なる部分も感じられて愛らしかったな。
そんななかで印象的だったのが、「やらなければ!」と強く言われた後に本音が漏れてしまうシーン。「彼女に・・・笑われてしまうかもしれない」と言葉を絞り出すまでの台詞のがすごいグッとくるんですよ。今の自分の姿へのコンプレックスや、食事のマナーを学んでこなかった自分への悔恨といった気持ちがあの数秒のセリフの「溜め」のなかに込められているのが伝わってくる。達郎くんはセリフのないところにすごく神経を注いでお芝居をしてるなと思った。

戸田ポット夫人が歌う♪美女と野獣♪の歌声は本当に慈愛に満ちていて感動的です。
さらに平木ベルと食事のテーブルを挟んだ時の達郎ビーストの不器用な愛らしさが超激萌えレベル(笑)!どんな表情して向き合えばいいか分からなくて落ち着きがなく、顔の毛づくろい始めちゃったり、チラッと目が合ったらドキっとしながら硬い表情で下の方で手をヒラヒラしてみたりww。もうその行動一つ一つが可愛くてたまらない(笑)。ベルからダンスに誘われた時などはビクビクしまくってて心臓の鼓動が聞こえてくるかと思うほど。そこからの月の輝く夜空の下での流れるようなダンスシーン。平木ベルの優しさに包まれながら幸せそうに喜びをかみしめながら踊る達郎ビーストの姿が本当に感動的でした。

ビーストが思い切って告白を決意する場面、ベルから「とっても」という言葉を聞いた直後の何とも言えない幸せそうな無垢な笑顔を浮かべた達郎くんビーストがこれまた最高!!あんな表情見たらこちらも嬉しくて胸いっぱいになってしまう。
でもその直後に魔法の鏡でモリースが窮地に陥ってることを知ってしまったベル。動揺して泣きそうになっている彼女に「彼の元へ行きなさい」と背中を押すビースト。この場面での達郎くんのセリフ回しが柔らかくてねぇ。本当は傍にいてほしいっていう自分の気持ちをグッと押し殺しての言葉だっていうのがヒシヒシと伝わってくるのですよ。ベルへの思いやりに溢れてる。

そして魔法の鏡をベルに託す時のセリフ。絞り出すように「私を…忘れないように」って彼女に伝えてて。声がこの時点で震えてるんですよ、達郎くん…。ベルへの気持ちを必死に抑えようとしてるのに制御できなくてどんどん涙が溢れてくる感じ。あんなん、もう、泣くしかないではないかっ(涙)!!
さらにベルが去った後の♪愛せぬならば(リプライズ)♪ではポロポロ涙を流し鼻をすすりながら歌っていて涙腺決壊しちゃったよ(泣)。達郎くんのビーストは本当に感情表現が豊かで、そしてすごく素直。彼らしさが溢れているようにも感じられて本当に心揺さぶられました。

新演出から加わったベルのソロナンバー♪チェンジ・イン・ミー♪。これが加わることによってベルと再会したモリースがビーストへの印象を少し変化させるきっかけができたように思います。今回特に注目した歌詞が「もう子供のころの夢、手放してもいいわ」のくだり。最初は今住んでいる場所を飛び出して広い世界へ旅立ちたいという夢を語っていたベルでしたが、ビーストと心を通わせたことによって彼自身が彼女の居場所へと変わったんだなと思いました。

モリースはベルが熱くビーストへの気持ちを託すように歌う姿を見て、次第にそれを尊重してやりたいと心が動いたようにも見えました。
でもそのタイミングで悪魔に魂を売ったかのようなガストンが登場。村人たちから狂人扱いされたモリースが野獣について興奮気味に訴えてしまうわけですが、彼はこの時点でまだベルとの関係についてほとんど知らない状況でしたからね。ほんとタイミング悪い時にガストン来ちゃったなと思う(苦笑)。

野獣への憎しみを煽り立て村人たちに恐怖を吹き込んでいく金久ガストンはかなり怖い。特に目つきがギラギラしてて完全にヤバいキャラ(汗)。1幕で見せたちょっとチャーミングな一面は全くなかったですね。このあたりの演じ分けがすごかったです。
ダルクはねぇ、見せ場があのワンシーンだけっていうのが本当にもったいない。オリジナルではガストンたちと悪巧みする場面が挟まっていたので存在意義もあったわけですが、新演出で見ると登場しなくても問題ないんじゃない?的なキャラになってしまったのが惜しいです。せっかく個性的なすごいメイクしてるのにねぇ。

ガストンたちがお城に突入してからの展開は本当にあっという間で、オリジナルの印象が抜けきれない私としてはまだあのスピード感に追いつけない(汗)。特にガストンがビーストのところに辿り着くまでがあまりにも早すぎて戸惑ってしまいます(苦笑)。突入後のシーンがごっそりカットされてしまったことで2幕の上演時間がめちゃめちゃ早くなりましたからね。
ビーストとガストンが決闘する場面とかも本当にあれよあれよと展開が進んでて、ハラハラする間もなくガストンがああなっちゃった、みたいな(汗汗)。なんかもう少し余韻みたいなものが欲しいかも。

♪夢叶う♪♪美女と野獣(リプライズ)♪

クライマックスのビースト大きな見せ場。ここでやっとあの、天真爛漫な可愛い達郎くんの素顔が登場。ベルを抱きしめる時の愛しそうな優しい表情に癒される。挑発姿はまだちょっと見慣れないけどww、ラストシーンで結んだ姿になった時はイイ感じになってたな。素敵っていうよりも、可愛らしい王子様って印象。何より本当にあの笑顔に癒されました。

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後述

カーテンコールでは団体のお客さんからも「ブラボー」が飛んできたりしてとても盛り上がってました。

今回、突発で舞浜BBに足を運びましたが観に行けて良かったです。
かつて洋輔くんのビーストに沼落ちして通いまくっていたので(過去記事参照w)、その弟の達郎くんがどんなビーストを演じてくれるのか本当に楽しみにしていました。最初1幕を見た時は雰囲気がお兄さんと重なる部分が多々あるなという印象が強かったのですが(特に声が想像以上に似てたのには驚いた)、2幕からは達郎くんらしさが役に投影されていて見応え充分でした。個人的には、1幕ももう少し感情を解放してもいいんじゃないかなと思う部分はありましたが、今後回数を重ねていくうちに色々と変わってくるかもしれないですね。もう少し時間を置いてからまた進化した姿に会いに行きたいです。

まだデビューして日が浅いですから、今後公演が続く限り出演機会も増えてくるのではないかと。飯田達郎くんのファンの方はぜひとも時間を作って彼のビーストを目撃してほしいですね。前日予約も取りやすくなってきましたし、どの席からでもいいから一度見てほしい。これまで以上に達郎くんを愛しいと感じるのではないかと思うので、ぜひ。

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