ミュージカル『蜘蛛女のキス』観劇のため大阪まで遠征してきました。
また世の中新型コロナ禍の不安がじわじわと浸透してきていますが、そんな中でもこの作品を観ることができたことは実に幸運でした。
東京遠征で3公演観てきましたが、大阪公演は「全通」でございます(笑)。とにかく約25年前の震えるような感動が戻ってきてくれたことが嬉しくて…、大阪全4公演のうち3公演は買い足しました。こんな無茶観劇するのは久しぶり(しかも遠征の身で 苦笑)。
版権の問題もあってか映像もCDも出ないようなので、観れる限りは行き尽そうかなと思いきりました。それだけのものを提供してくれたカンパニーの皆さんには本当に感謝しかありません(涙)。
大阪の客席はやはり熱さがワンランク上かも。17日の大阪初日はカテコの音楽が鳴っている間もずっと手拍子が続いていて東京で観た時よりも1回多く出てきてくれたほど。石丸さんの腕に相葉くんがニコニコしながら嬉しそうに自分の腕を絡ませてたの、めっちゃ可愛すぎて萌えまくった(笑)。
安蘭さんもどうぞって石丸さんが腕を差し出してたんだけど、二人に遠慮したからか結局笑いながらおひとりで袖に入って行かれましたw。こんなところもめっちゃ男前だったわww。
そして18日マチネの相葉くん千穐楽カテコ。こちらの感想は後述にて。
以下、ネタバレを含んだ感想です。
2021.12.17ソワレ・18マチネ公演 in シアタードラマシティ(大阪・梅田) 相葉裕樹くん大千穐楽
主なキャストと、あらすじと概要については12月2日マチネのレポで少し詳しく書いたのでそちらを参照してください。
過去の『蜘蛛女のキス』ネタバレ感想はこちら↓
全体・キャスト感想
ドラマシティは後方席でも割と舞台が見やすいので好きな劇場なのですが、ステージは芸術劇場の時よりも横に広いなという印象が強かったです。それゆえ、両サイドが少し勿体ない空間になっていたのがちょっと気になったかな。でも、本編にはほとんど影響しなかったので個人的には問題ありませんでした。
以下、シーンごとの印象的だった場面を少し濃いめにw相葉バレンティン中心に振り返っていきたいと思います。超ネタバレに触れてますのであしからず。
オーロラ
独房暮らしが多かったモリーナの牢に、拷問を受け傷だらけで瀕死の状態のバレンティンが放り込まれる。相葉バレンティンのうめき声が本当に苦しそうでモリーナが思わず現実逃避しようとしてしまうのも納得。
オーロラの映画を振り返っている時の石丸モリーナは本当に幸せそうで楽しそう。彼の思い描く映画の中のオーロラはとても華やかで美しいのですが、安蘭さんがそれを見事に体現してるんですよね。特にオーロラがダンサーたちとモリーナに近寄って色っぽく触れるシーンが印象的です。彼女に触れられてるとき、石丸モリーナも悦に入ってて艶っぽい。
あ、でもそういえば、バレンティンが気付く前にオーロラたちの幻想が消えていく場面。東京ではダンサーさんがオーロラのヒラヒラを大胆にはためかせるように去って行ってたんですが、今回はちょっと控えめだった気がするw。
バレンティンの苦しげなうめき声が響いた時、我に返ったモリーナは彼を懸命に介抱します。この時の石丸モリーナ、なんだかとても切迫した表情するんですよね。「私にはお友達が必要なの」と藁にもすがりたいような顔をしてる。それだけ彼の精神状態が追い詰められていたんだなというのが伝わってきて胸が痛みます…。
しかし、そんなモリーナを上から所長が常に監視して利用しようとしてる。このあたりのヒリヒリするやり取りも印象深い。
ブルーブラッド
モリーナがバレンティンにオーロラを猛アピールする場面。相葉バレンティン、前回東京で観た時よりも少し感情押さえたかなという印象があって、比較的落ち着いて本読んでたかも。でも、石丸モリーナが以前にも増して乙女ドアップでグイグイくるとw、クワッと苛立ちを表に出して「あんたはうるさいっ!!」と怒鳴り気味に。この時の表情の変わりっぷりが、めっちゃツボるんだよねぇ、相葉バレンティン。
だけど、今回は最初の「静かにしろ」のところで人差し指口に当てての「シーー!!」が無くなってたのがちょっと残念w。東京では2回やってたと思うので。あれめっちゃ可愛いんだよねぇ、相葉君。
ドレスアップ/一線を引く
何としてもバレンティンの気を惹きたいモリーナ。あまりに「私のこと聞きたいでしょ?」って猛アピールしてくるモリーナに思わず視線を送っちゃう相葉バレンティンがこれまた可愛いw。でもやっぱり鬱陶しくて本に集中しようとするんですが、なかなかできなくて片手で頭を抱えてしまう。この時の仕草がこれまためっちゃ萌えるんだよ、相葉君!!少し色っぽくてそれでいて可愛い、みたいなw。あれ、最高だったわ。
ドレスアップを歌ってるときの石丸モリーナのノリノリ度がさらにアップしてて楽しそうなのも印象的。でも彼が楽しそうにすればするほどバレンティンの苛立ちがMAXいってしまって、ついには「この線から出るな!!」と怒鳴りながら歌う。
ここでは「シーー!!」のリアクションあり。ムキになってるのがホント子供っぱくて可愛くて萌えるw。
さらに石丸モリーナの動きが予測不可能状態でw、相葉バレンティンが指さそうと思ったらそこにいない、なんてことも(笑)。あれ、いないぞって一瞬動揺した後振り返ったら背後でモリーナがニマニマしてたり、最終的には追いかけっこ状態。17日はソワレ二人がかなり激しく動いてて、思わず大事な”ポット”が倒れちゃうハプニングがww。中身入ってたらやばかったぞ、とか思っちゃったよ(笑)。
自分の定めた境界線に入ってくるなと怒鳴るバレンティンでしたが、石丸モリーナ、ふざけてるうちにあっさり線を踏み越えちゃうww。
それを見た相葉バレンティンが「越えてるじゃないかっ!!」と思わずツッコミ入れる一幕が(笑)。それに対して石丸モリーナが「越えてない!」と反論しつつも「あ、ほんとだ」って気が付いてww。このやりとり、前回東京で私が見た時にはなかったのでとても新鮮で面白かった。
モリーナがふざけて看守を呼んでしまう場面はこの作品の中でもけっこう肝だなと思ってます。この場面の看守・マルコスさんのドスが効いた恫喝が怖いんですよね(汗)。その時のやり取りでモリーナが怯えながらも言いなりになっているのを見てバレンティンは腹が立って仕方ない。
相葉バレンティンは今にも突っかかってやりたくなるほどの苛立ちを感じたなぁ。自分だったらあんな情けない反応はしないという想いが強すぎてなおさらモリーナに拒絶反応を起こしてしまうのが伝わってきた。でも、もしかしたらこの瞬間から彼はモリーナへの興味を抱いたんじゃないかとも思えるんですよね。彼を変えたいという気持ちも芽生えたのかも…なんて。
愛しい人
モリーナと話しているうちに気持ちが混乱するバレンティン。このナンバーの最初をバレンティンが歌うんですが、めちゃめちゃか弱くて今にも消えてしまいそうな哀しそうな声なんですよ、相葉くん(涙)。あれだけで観るこちらの涙腺スイッチが完全にオンしてしまう。
愛しい人(Dear One)は本当に何度も言うけど、名曲中の名曲。モリーナ、バレンティン、妄想の中のマルタ、妄想の中のモリーナのお母さんの「繰り返し嘘を言えばそれが真実になる」という哀しくて美しいナンバー。つまり、愛する人が牢獄に閉じ込められた酷い現実を、愛する人と離れて暮らさなければいけない生活を必死に忘れようと現実逃避しようとしてる。
だけど、妄想の中の2人は現実にはどう思っているのか分からないわけで…、そこを考えても非常に切なくなってしまう。モリーナのお母さんは息子を心配している気持ちに嘘はないと思えるけど、マルタはどうなんだろうと…。バレンティンは彼女の存在に救いを求めてますから、ここにすれ違いがないと祈りたいと毎回思っちゃう。
嘆きの壁のシーンでモリーナが所長に呼び出されていく場面。牢を出る瞬間にモリーナとバレンティンの視線が合うんですが、ここでの二人はまだ分かり合えてないので冷たく突き放した印象になってる。相葉バレンティンはモリーナを睨みつけながらもなんとなく不安を覚えたような雰囲気だったな。
このあと、脱走した囚人が最後に発見されて哀しい最期を迎えるのですが…その一部始終を見つめるようにバレンティンと囚人たちが歌う。この時の相葉バレンティン、恐怖に耐えながらもすごいギラギラした目をしてた。あの目に吸い込まれそうになったよ…。相葉くんのあんな攻撃的な表情初めて見たかも。すごい衝撃で心をギュッと掴まれました。
少し時が経つとバレンティンが少しずつモリーナの話に耳を傾けるようになっている。このちょっとした変化が感じられるのもすごく好き。相葉バレンティンは相変わらずいら立ちを前面には出しているんだけど、初期のころのトゲトゲしさはなくなってるのが分かるんですよね。
それが分かるからかモリーナは自分の身の上をルンルン気分で語りまくってる。この時の石丸モリーナの「映画だぁいすきっ♪」っていう乙女ちゃんなところがめっちゃ可愛いw。
囚人が拷問されている時の叫びを聞く時の相葉バレンティンはものすごく怯えている。怒りながらもいつ自分の身にそれが回ってくるかビクビクしているように見える。
でもモリーナは「今はオーロラの話をしてるのよ」とバレンティンを諫めて語り続けるわけですが、そのなかで唯一怖かった映画『蜘蛛女』の話が出てくる。蜘蛛女は冒頭から不吉なシーンになるとちょいちょい登場してるのですが、ここでようやくその存在理由が見えてくるわけです。バレンティンの不安(2度目の叫びが聞こえた時はもう泣きそうになるくらい怖がってる相葉バレンティンなんだよなぁ…)と蜘蛛女の話の不気味さが重なって見ていて心がぞわぞわするシーン。
このあと、モリーナがバレンティンが寝言で口にしていた恋人「マルタ」のことをイジるのですが、それに対してムキになっちゃう相葉バレンティンがこれまた可愛らしいw。完全に翻弄されちゃってる感がたまりません。
そんな彼をさらにからかおうと「ストライクゾーンはいつも広くしておきたいのよ」と両手を広げてバレンティンに迫るモリーナ(笑)。それを見て言葉を失って立ち尽くしてしまう相葉バレンティンのリアクションも非常にかわいく面白かった(村井君は一歩引いてるw)。
で、これを面白がったモリーナが「バリケードに突進するような熱い男はごめんこうむりまぁす」とバッサバッサ旗を振る仕草をするわけですが、これ、レミゼの旗振りシーン意識した演出じゃね!?といつも思ってた(笑)。相葉くんがバレンティンやってるとなおさらね(彼はアンジョルラス演じてますからw)。
夢の中なら
モリーナはどんなにひどい傷ついた囚人の姿が現れても「自分は見ない」と語る。そして再びオーロラの映画の話に没頭していく。ここに出てくるオーロラはキラッキラの真っ白スーツなイケメンで、安蘭さんが演じてるのでまさに宝塚のトップスターご登場みたいな華やかさがまぶしい。
辛く暗い現実があるからこそ、こういった華やかなシーンに救いを感じるし心奪われるんですよね。そこの部分は絶対変えてはいけないと改めて思いました。
この場面ではいつも酷いことしてるマルコスやエステバンも囚人たちと一緒に仲良くニコニコしながら踊りにやってくる。モリーナのこの映画の妄想ではみんながお友達状態でとても楽しくて、そして優しい。
東京で観たときの相葉バレンティンはけっこう笑顔見せるタイミングが早かったように感じたのですが、大阪で観た時はモリーナに促されて同じ振り付けの動きはするものの、戸惑ってる時間が長いように感じました(銃のところでモリーナから連打されたあとのリアクションが可愛くて萌えるけどw)。
でも、「幸せになれるわ、夢なら」のところでオーロラから幸福オーラ浴びるとホワァ~~って力が抜けてフニャ笑顔になってちょっとビックリしながらも楽しそうに一緒に踊ってた。もうそれ見ただけで私は号泣してしまうんだよなぁ。笑える時間があってホントよかったって思っちゃう(涙)。すごく愛しいんですよ、相葉バレンティン。
傷ついた囚人を見せられた時、バレンティンは「知らない」と答えますが内心は恐ろしさで震えてるのが伝わってくる。そんな彼を元気づけようとしたモリーナが思わず「あんな顔にされたら私も袋を被りたくなってしまうわ」と無神経なことを口走ってしまった。
それを聞いた時の相葉バレンティンの怒りと怯えに震えながらモリーナを責める後ろ姿が痛々しすぎてめちゃめちゃ泣けました(涙)。そこからの「俺を見ろ、震えてる…。お前と同じ哀れなクズだ…」と崩れ落ちて震えながら嘆く言葉が究極に哀しくて思い出すだけでも涙が出る…(泣)。
嘆きの壁3(マルタ)
狭い牢獄にすし詰め状態のまま数日間立たせるという酷い拷問を受けるモリーナやバレンティン達。相葉バレンティンは本当に苦しそうに顔をゆがめているんだけど「こいつのせいでこんな目に遭っている」というほかの囚人たちの罵詈雑言が聞こえるとものすごい鋭い目線で抗議の意思を示してました。苦しみながらもギラギラした戦う男の目をしてる相葉バレンティンに心つかまれる。
でも、自分のすぐ後ろの囚人が息絶えたのを知った時に「死」を身近に感じてものすごく怯えてしまう。相葉バレンティンはこういう「弱さ」をちょいちょい見せてくるめちゃめちゃ切ない…(涙)。そんな彼を横にいるモリーナはずっと気遣ってくれてて…。
この状態からの「マルタ」への想いを歌うナンバーなので本当に切なくて切なくて仕方がない。これ歌ってるときの相葉くん…、彼のあんな哀しげな表情初めて見たよ(涙)。「でもいつも夢だ」と最後伸ばすところは特に歌声が泣いてて…思い出すだけでもボロボロ涙が出てしまうほどのレベル(泣)。
もう一つの泣けるポイントが、マルタを強く想って歌声が強くなった瞬間のバレンティンが思わず隣のモリーナの手をぎゅっと握ってしまう場面です。あの瞬間、モリーナのなかにバレンティンの温度と想いが駆け巡ったように見えるんですよね。あ、確実に恋心自覚したなと。
そしてバレンティンが最後にその手を放したとき、石丸モリーナは握られた手を自分の口元に当ててひっそりと彼に気づかれないように涙していました(泣)。相葉バレンティンに愛されたいという石丸モリーナの強い気持ちを感じさせる一場面で、あれは涙なくしては見れなかった…。
所長からバレンティンの持ってる秘密を探り出せという任務を与えられてしまうモリーナ。愛する母親の病気をチラつかせられてそれを引き受けざるを得ない。そのころバレンティンは酷い拷問を受けて立ち上がれないほど傷ついている。それでも屈しようとしない彼の姿に衝撃を受けたモリーナは怖さのあまりオーロラを呼び出す。
愛は奇跡
この時に登場するオーロラって、映画の”役”ではなくて”オーロラ自身”なんですよね。怯えるモリーナに「馬鹿だね、愛の力だからだよ」と優しく諭す姿はまるで聖母。温かくてとても優しい。この演じ分けが安蘭さん、本当に巧みでいらっしゃる。ちょっと前まで「蜘蛛女」として囚人にかぶりついていた人物と同じとは思えない。
「愛は奇跡」と歌うオーロラに落ち着きを取り戻したモリーナはバレンティンの介抱をする。この時の石丸モリーナが母性の塊のような愛情感じる抱きしめ方してて…。そのなかで彼に抱かれてると知らずに無意識に身をゆだねる相葉バレンティンが子供のように小さく頼りなく見える。この場面、いつまでもあの時間が続いてほしいとすら思ってしまう(涙)。
でも途中で彼の想い人のマルタの存在を感じて彼女にその役割を譲ってしまうモリーナ。自分が最後まで世話をしたくても、いつもバレンティンの心にはマルタが一番で。オーロラに抱かれながらその光景を見つめている石丸モリーナが切なくて涙が出ます(泣)。オーロラがそんな彼を優しく癒してる姿も泣ける…。
しばらくしてバレンティンが回復したある日、食事が運ばれてきますが所長のたくらみで「多い方」に毒が仕込まれている。それを知ってるモリーナはバレンティンに差し出そうとするのですが、そうとは知らないバレンティンが「こっちの方が多いじゃないか」と強引に交換。それをやり切って少ない方の皿を手に取りちょっとドヤ顔する相葉バレンティンがめっちゃ可愛いww。
男らしく大胆に食べて同じようにふるまうようモリーナに迫るんだけど、このあたりから彼はモリーナの自己否定する性格をなんとかしたいという気持ちが見え隠れしてるんですよね。
根掘り葉掘りマルタのことを知りたがってくるモリーナにバレンティンは苛立ちを見せるのですが、以前のようにそこでシャットアウトせずにモリーナの恋の相手について聞き出そうとする。彼の中でモリーナの存在が大きくなってるなというのを感じるシーンでもあります。口調も柔らかくなってきている。
ガブリエルの手紙
モリーナは自分が片想いしているウェイターのガブリエルのことを語ります。でも、そこに出てくるガブリエルはあくまでもモリーナの妄想であって、実際は彼がどう思っているのかが分からない…。それでも幸せそうに世界に浸る石丸モリーナが切なくて…特にバレエを一緒にと誘う場面は涙が出てしまう(泣)。
次第に体調の異変を感じるモリーナに気づかず、バレンティンは少し懐かしそうに「初めての女」のことを思い出す。「彼女が俺に教えたこの世のミステリー」のところ、相葉バレンティンの歌い方がとてもソフトで奇麗。ガブリエル役の伊藤広祥さんとの歌のコラボもとても儚く美しく優しい。
そしてモリーナが腹痛で苦しんでいることに気づくバレンティン。最初は馬鹿にしてましたが、ただ事ではないとわかると少し近づきつつ「どうしてほしいのか言ってくれ」と戸惑いの色を見せる。看守を呼びに走る時には激しく動揺して必死。不器用ながらも、なんとかモリーナを助けなければという気持ちが痛いほど伝わってきてグッときます、相葉バレンティン。
モルヒネタンゴは妖しいのになんだか見てるとフワフワした気持ちになる不思議なナンバー。この時の穏やかで楽しそうな石丸モリーナの表情がとても印象深いです。
恥だなんて
ここはもう、香寿さんの優しくて温かい歌声にひたすら涙…!!これまでの公演では比較的年齢の上の女優さんが演じられていたのを見てきたので最初に見た時は「ちょっと若いかな」という印象もあったのですが、もうその違和感は全くありません。モリーナに対する無償の愛が本当に泣けました…。
訪問
モリーナに迫る蜘蛛女の場面。最初のうちはモリーナは彼女のことを恐れて逃げてるんだけど、最後のほう、ちょっとの間だけ彼女と気持ちがリンクする瞬間がある。そしてハッとしたようにまたモリーナは逃げようとする。このあたりの駆け引きがとても刺激的で印象深かったです(次の記事でもう少し思ったこと書く予定)。
3日間何も食べさせてもらえていなかったバレンティンはふらふらしながらも最初にモリーナの体調を気遣う。この時の相葉バレンティン、本当に心配そうにしててなんか泣きそうになっちゃったよ…。
でもそのあと、看守から馬鹿にされながら食事を与えられるとそっちに気を取られて「お願いしますは?」とマルコスに言われると、悔し涙を浮かべるかのように「くたばれ!!!」と悔し泣きするように叫んで必死に飛びついてた…。それがもう痛々しくてたまらなかったよ(涙)。石丸モリーナもすごく哀しそうな目で見つめてた…。
「私がいなくて寂しかった?」と尋ねられたバレンティンは素直に「ああ」と答える。それを聞いたモリーナは「襲わないでよ」とおどけて見せるのですが、バレンティンは本心からモリーナがいないことに寂しさを覚えてる。相葉くんからはそれをひしひしと感じた…。
だからこそ、そのあと自分の辿ってきた出来事を話したんだろうなというのが自然に納得できました。特にモリーナがゴリザのことを知っていたと分かると、目を輝かせて逮捕された日のことまで語ってしまう。そこに彼の単純さみたいなものも感じるんだけど、純粋なんだろうなぁというのもすごく思いましたね。自分を分かってくれる人だとこの時始めてモリーナを認識した感じ。
その後、食べ物の毒にやられてバレンティンは大変な苦痛を味わうわけですが、モリーナはそれを聞いても一切動揺を見せずに世話を始める。この場面、村井くんは口数がけっこう多いんだけど、相葉くんは恨み言を言いながらも苦しさのあまり言葉を発する力も失ってるような感じだったかな。バレンティンの言いようのない悔しさと苦しさとがリアルに伝わってきて切なかったし、それを癒すように懸命に世話をするモリーナの温かい愛情も感動的だった。
彼女は女
このシーンも毎回涙なしには聞けません!石丸モリーナは本当に相葉バレンティンへの愛情を切に求めているように見えたので、彼が苦しみの中で無意識のうちに呟いた「マルタ」という言葉にどれだけ傷ついたかと思うと泣けて泣けて仕方なかった。もしも自分が女性だったら愛されたかもしれないのに…という切実な気持ちが痛いほど伝わるんだよねぇ…(涙)。
愛し合おう
バレンティンの愛情を切実に求めながらも、所長から彼と通じている人物の名前を聞き出すようにと脅されていたモリーナ。この時点ではモリーナは母親のことを優先するべきかもしれないと考えているように見えるんだけど、バレンティンの苦しむ呻き声を聞くと彼を救うことに全神経を傾けてしまう。このあたりの彼の複雑な胸の内が本当に毎回見ていて辛かった…。
そして介抱する中で一瞬モリーナは蜘蛛女の影を見る。バレンティンに近づこうとする彼女を必死に遠ざけ隠そうとする姿は泣けるんだけど、大事にしている人形「ケメ子」(←石丸さん命名w)だけは「この子は投げたらダメ!!」と思い止まるのはちょっとかわいくて面白かったw。
どんどん重症化していくバレンティンを演じる相葉くん、本当にリアルだった。苦しみのあまり泣きそうになりながら診療所へ連れて行ってくれと懇願する姿は痛々しすぎて涙が出たよ…。それを必死に思いとどまらせようとする(すべて白状させられることが分かってるので)石丸モリーナの決死の行動も胸打たれました。
なんとか愛する人の苦痛を和らげようとモリーナがオーロラの映画の話を始める。そして「鳥の楽園」を思い出すバレンティン。私は未だに初演の時の「極楽鳥」というネーミングが記憶に濃く残ってるんですけどw、さすがに7回も見ると「鳥の楽園」というフレーズに慣れてきました(笑)。
東京公演3回目を見に行ったときにこの場面で初めて手拍子が起こるのを目撃したのですが、大阪では全公演手拍子が起こってました。もしかしたら、あの日を境に東京でも毎回手拍子起こっていたのかもですね。
とにかく逞しいダンサーさんとオーロラ役の安蘭さんの華やかで艶やか、そして迫力のあるダンスが本当に素晴らしい!!あんな心躍るような内容を語られたら、バレンティンも苦痛を紛らわせてしまうかもしれないという説得力があります。
でも私はこの場面見ると、もうなんでか分からないけど涙があふれて仕方なかった。ほとんどのお客さんがノリノリの安蘭さんたちのダンスに手拍子をして盛り上がってる中、私だけはもう涙拭うのに必死で大変なことに(←東京公演から 汗)。
痛みに耐えるバレンティンと、彼を乗せるべく無邪気な笑顔でそれを再現し最大限楽しませようとしているモリーナの姿を見るともう、無条件で涙溢れてくるんですよね。相葉くんはリバースはしないんだけど、本当に苦しげ。でも、モリーナの世界観に没頭しようと無理やりにでも楽しそうな笑顔を浮かべてた。その表情見るたびに私の涙腺は崩壊しまくってました(泣)。
看守たちが様子を見に来た時、モリーナの助けもあって朦朧としながらも平然を装うバレンティン。モリーナが看守たちの気を惹いてる間、相葉バレンティンは意識が遠ざかりそうになるのを必死にこらえてて…、彼らが去った後に電池が切れたように崩れ落ちてた。それがまた泣けて仕方なかったよ(涙)。
2幕感想は次のページにて。