ミュージカル『蜘蛛女のキス』大阪公演 2021.12.17ソワレ・18マチネ(相葉裕樹くん楽)

グッド・タイムズ

刑務所からの差し入れとも知らずバレンティンは豪華な食事に気分が上がっている。この時に彼が「げっぷ」をわざとやる場面があるんですが、毎回相葉くんのはめっちゃ可愛らしかった(笑)。石丸モリーナの反応も面白くて17日は「お・こ・ら・な・い♪」って乙女になってて、18日の相葉くん楽の時には「可愛いから許しちゃう♪」ってツンツンやってた(笑)。この二人の空気感がすごくよくて、本当にこの作品の中では数少ない癒しでしたね。

ロシア革命前夜が舞台の映画が見たいと頼むときの相葉バレンティン、チャカすモリーナにちょっとムっとしながらも「頼むよ!!」って懇願してるのもなんかすごく萌えたなぁ。すっかり心許してる感がたまらなかった。相葉くんのバレンティンってすごく母性本能をくすぐられるんですよね。強がってるのに弱さが所々で垣間見える。

そして「サンクトペテルブルクの炎」。たしか初演では「悲劇」だったのでまだそちらの記憶が濃かったんですけどw、こちらも回数見てるうちに馴染んできました。
モリーナの話が始まると、相葉バレンティンはまるで少年のように目をランランと輝かせてワクワクしながら映画の世界に没頭していくのがとても印象的で大好きだった。石丸モリーナは彼にこんなにも癒しを与えたのかと思うと…なんかたまらなく泣けちゃうんですよね。

でもやっぱり「グッド・タイム」の場面は…どうしても最後のモリーナの運命を知りながら見ると涙無くして見れなかったですね。あまりにもリンクしてるように思えてしまって…。オーロラが演じるタチアーナ、安蘭さんはちょっとコケティッシュに演じていらっしゃるので悲壮感みたいなのはないんですけど、本当に愛する人の腕に抱かれる場面はとても印象深いです。
その愛する人をバレンティンが代役として買って出るんですが、死の間際にオーロラが演じるタチアーナが彼を突き飛ばして舞台中央に走っていく。この時の飛ばされたあとの相葉バレンティンの「えぇ!?」っていう動揺顔は毎回ツボでしたw。

だけど、モリーナは死の間際のタチアーナを「彼女が全身から発してるのは痛みではなく喜び、顔に浮かぶのは恐怖ではなく勇気」と表現している。これを見るたび、あぁ…彼の身に起こることが、彼が最期に感じるであろうことが、この映画に詰まっているんだって思えてしまって…切なくて毎回涙が止まりませんでした(泣)。

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明日こそは

バレンティンはモリーナの映画の中にある「欠点」つまり「現実」が出てこないことを指摘する。彼はモリーナの存在に心地よさを感じ始めていたけれど、いつも非現実的な映画に逃避して現実から目を逸らし続けていることに違和感を感じていました。「現実世界で見つければいいじゃないか」と説得するものの、報われない現実を知ってしまっているためモリーナは諦めている。

この流れで、バレンティンは自分の「映画」を語り始める。モリーナに、妄想だけではない現実に立ち向かう勇気の尊さを伝えたいとすごく丁寧に歌い始めるんですよね。バレンティンの現実も極貧生活の連続で親を失い神に感謝することすらやめてしまうほどの絶望を味わっていた。
だけど、そこに差し込んだ一筋の光…、自分を奮い立たせる演説に出会ったことで彼は変わる。その変わった時の興奮と喜びを相葉バレンティンは自らの経験を語りながら石丸モリーナに一所懸命熱く語ってた。

最初は彼の話を聞くことを拒絶従っていたモリーナでしたが、体に雷が走るほどの衝撃の演説を聞いたと熱を帯びてくるバレンティンの話に次第に惹きこまれていく。「明日こそは、酷い世界も消える。勝利を掴め!必ず掴め!」その力強い言葉に、自らも共に革命の一員になったかのような高揚感がモリーナの体中を駆け巡り、最後は一緒に拳を握りしめ涙を浮かべていた。この場面は本当に石丸モリーナと一緒に胸振るえる瞬間だった…!熱量がホントすごかったよ、相葉くん!

この直後にバレンティンの知人が囚われて目の前に差し出されるのですが、その様子を目の当たりにしたモリーナは「人殺しのゲス野郎!」と看守たちを罵ってしまう。
今まで見ないような行動をしたモリーナを見たバレンティンは「バカをやったな」と言ってしまうのですが、モリーナは「バカでポンコツ、それが私」と相変わらず自分を卑下してしまう。これを聞いた時、相葉バレンティンは「そうやって自分を卑下するのやめろよ!!」と本気で苛立ちながら彼の言動を責めるのです。モリーナを信頼できる人間として受け入れたいからこそ、自らを貶める姿が納得できないんだろうなって思えて…ここの場面はいつも辛かったな…。

その後のモリーナの「あんたといると悪い方に引っ張られる」という言葉も印象深い。こう言った時点で、モリーナはバレンティンの影響をかなり吸収しているのかもしれないって思えた。でもそれを怖いとも感じていて必死に拒絶しようとする自分もいる。
それでもバレンティンは連れてこられた囚人が仲間だったと情報を提供してくる。モリーナは所長からの”秘密任務”を抱えているのでどうしても情報を聞きたくない。お互いに信頼を感じながらもせめぎ合うこのシーンは本当に毎回胸が痛かった。

バレンティンはこの後「俺は一瞬で殺してもらえますように」と口走る。その言葉に衝撃を受けたモリーナは「そんなこと考えるのやめて」とバレンティンの肩に手を当てて寄り添うのですが、この時、相葉バレンティンはモリーナの手をグッと力強く握ったあと放し「自分の縄張りに戻れ」と苦しそうに呻いてました…。どうして変わろうと思ってくれないんだという苛立ちの気持ちが伝わってきてとても切なかったよ(涙)。

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ママ、私よ

所長はバレンティンに口を割らせるためにモリーナから彼の好みを聞いてそれを買ってこさせようとするわけですが、買い物リストを頼んでいる時の石丸モリーナは本当に楽しそうで可愛い。相葉バレンティンに気持ちが高ぶってて彼のために良いものを用意してあげたいという乙女心がひしひしと伝わってきました。この横に、妄想の中のモリーナの母親がいるっていうのがまた泣けるんだよねぇ…。モリーナにとっては妄想の中の家族との時間でもあり、大切な人を想う時間でもある。

でも現実は容赦なくモリーナを追い詰める。最終手段としてモリーナに母親と電話する機会を与えるわけですが、この内容が優しくて切なくて辛い…。この時点でモリーナの優先順位が母親に傾いても責められないなと思える痛々しい場面でもあります。

彼のためならなんだって

これまでにない豪華なディナーを楽しむバレンティンとモリーナ。相葉バレンティンはワインを飲んだ時のリアクションが「あぁ~~楽だぁ~~」とめっちゃフニャフニャ幸せそうにしててとても可愛らしい。あんな姿見たらモリーナはどんどん彼の虜になっちゃうの納得できるよなぁと毎回思ってましたが、大阪楽はこれまでのなかで一番可愛らしかったかもw。モリーナとの心の距離もすごく縮まってて、まるで友達のように接してたの印象的。

モリーナが出所すると聞かされた後の相葉バレンティンは男らしい声で「おめでとう!」と祝福する。力強いんだけどその言葉には優しさも感じられるんだよねぇ…。「寂しくなるなぁ…」という言葉も、寂寥感が詰まっててモリーナとの別れを本気で残念に思ってるのが伝わってきました。

印象的なのがその後の「バカでポンコツ、それがお前だもんな」と言うバレンティンにモリーナが怒ってしまう場面。初演の時にはモリーナはここで本気で怒って食って掛かってたと思うのですが、今回は傷つきはしたもののちょっとふざけた感じ「地獄に落ちろぉ」とおどけるようにバレンティンに迫っていってた。モリーナはバレンティンに完全に気持ちを持っていかれているんだなというのが伝わってきたなぁ。
相葉バレンティンはけっこうビビりまくってたんだけど、そのあとすぐ悪戯っぽい笑顔浮かべててとてもチャーミングでした。あんな表情されたらモリーナも怒れないよなって思うレベルw。

別れを惜しむモリーナに対して「あんたを想う気持ちは消えない」と告げるバレンティン。ここの相葉くんのセリフ回しも本当に真っすぐで嘘は全く見えなかった。彼のあの真摯さは見る者の気持ちを掴みますよね…。

そのあとバレンティンはモリーナに出所後ある場所に電話をしてほしいと切り出すのですが、東京で観たときよりもだいぶ迷った末というのが伝わってきて心がぎゅっと痛くなりました(涙)。あの時の「間」にすごい葛藤が見えたんだよね…相葉バレンティン。
それでも「やってくれたら助かるんだ」と必死に説得しようとしますが、モリーナは全力で拒否する。このやり取りの中で、相葉バレンティンは自分の行動に一度躊躇うような表情を見せていたような気がする。モリーナに向けた背中が本当に頼りなげで…。村井くんも言ってたけど相葉くんって本当に背中の演技が切ないよなぁって改めて思いました。

蜘蛛女の存在も感じつつ、モリーナは「ただ私だけを見てほしい」と切実な気持ちで歌いますが、バレンティンは「俺のためならあいつは何でもやる」と歌う。
これ、字面だけ見るとバレンティンは本当にかなりひどいこと歌ってるよなぁと思っちゃうんだけど(汗)、相葉バレンティンはやっぱりずっと眉間にしわ寄せて苦しそうにしてるんですよね…。モリーナを人間として認め受け入れたからこそ、彼を自分の都合に巻き込んでしまうことに対する迷いが生じているのが手に取るように伝わってきて本当に泣けました(涙)。

そして迷いに迷った後、やはり彼は「革命」に気持ちが傾いてモリーナの望むことをやることになる。でも、あの相葉バレンティンのバックハグはめちゃめちゃ泣けたんだよねぇ…。そこにはやっぱり打算みたいなもの感じなかったんだよ…。男らしい逞しい腕でグッと強く…それでもそこには優しさに溢れてた…(涙)
この場面見た時、バレンティンはモリーナと接している時は「手段」とは考えてないんじゃないかなって思ったなぁ。本気でモリーナを抱きしめていたってすごく信じたくなる。囁き方も本当に色っぽいというよりも優しかったから…。「不幸にならないかもしれないよ」は特に温かみがあって、あれを聞いたら何も考えずに身を委ねてしまいたくなるのすごい理解できた(涙)。

でも、キスは…しないっていう設定なんだよね、この時点では。そこの複雑さがこの作品のニクイところだなぁとも思います。

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蜘蛛女のキス

二人が体を重ねることになった直後に暗転(相葉くんの美しい肉体は薄暗さの中でもとても綺麗に見えました)し、下手から階段の上に寝そべりぎみな蜘蛛女がバーンと登場。

私は今回の『蜘蛛女のキス』を本当に素晴らしいと思ってて大絶賛しているわけですが、一カ所だけずっと違和感を感じ続けてたところがありますw。それが、このベッドシーン直後の演出です。

蜘蛛女登場のインパクトはすごいんだけど、その反対側で抱き合った直後の二人がスーーっと舞台袖にベッドから立ち上がって下がっていく姿が見えてしまってたんですよねww。あの去り際は、もう少し工夫できなかったかなぁと。せめてカーテン引いて隠すとかね。
見ないようにしてても、直前までベッドでの二人の繊細なやり取りに注目してしまってるのでどうしてもそちらに視線向いちゃうわけで(苦笑)。再演する時には客席からは分からないように退場する工夫がほしいなと思いました。

安蘭さんの歌と存在感はもう圧巻の一言です。この蜘蛛女ににらまれたらもう逃げられないなという諦めの気持ちが自然と沸いてくる。最後の「逃げられない」のフレーズのところの迫力で一気に客席の心を鷲掴み。まさにこの作品のタイトルを歌ってる感じがすごかった。

翌朝、モリーナは出所のための準備をしているのですが、石丸モリーナ、ハミング気味に荷物詰めてるのがめっちゃ乙女で可愛かったなぁ~。オーロラとお母さんの写真をカバンに貼り付ける時「私のディーヴァ♪」と言いながらルンルン気分になってて、それを穏やかに笑みを浮かべながら見守ってる相葉バレンティンがとても印象深かった。

面白かったのはモリーナがオーロラよりも美脚でしょって自慢する場面。相葉バレンティンは「おお…」ってちょっと微妙な表情して苦笑いしてて、それを見た石丸モリーナが「嘘でしょ」って見破っちゃう(笑)。このあとの何とも言えない困ったような笑顔してた相葉くんがホント可愛らしかったw。

そしてバレンティンは再度モリーナに伝言を頼もうとする。「あんたみたいに度胸ないから」と逃げるモリーナに「ある!!ずっと見てきたんだ!!」と迫る相葉バレンティン。その言葉には一点の曇りがないことが伝わってきて泣ける…。
そんな彼にモリーナはつい「放っておいて、じゃないと私裏切るわよ」と告げる。それを聞いた相葉バレンティン、少し間を置いた後に「分ってる」と力強く石丸モリーナの肩を両手で握ってた…。モリーナが密告屋を任されていることをバレンティンは勘付いていたけど、それでも彼の人としての温かさに心惹かれ信じたんですよね(涙)。あの「分ってる」は「俺はおまえのことを信じてるんだ」と告げているようで思わず涙があふれてしまいました…。

それでもモリーナは彼の要求を断ってしまった。そんな彼を見て約束してほしいことがあると切り出すバレンティン。「もう誰からも侮辱は受けないと約束してほしい」…、それは、彼の心からの願い。たとえ自分の願いを聞いてもらえないと悟っても、バレンティンはモリーナを最後まで思いやるんですよね…。

そこからの初めてのバレンティンからのキス…。モリーナの唇へ想いを伝えたい気持ちが昂っているからか、相葉バレンティンのキスは少し強引にも見えるんだけど、そこにモリーナへの溢れんばかりの思慕と優しさが込められているのが痛いほど伝わってきました。あの真っ直ぐで熱い気持ちがモリーナの全身を一気に駆け巡っていくのが見ているこちらにもはっきりと伝わってきたよ…。
キスをした後、相葉バレンティンは少し寂しそうな表情でモリーナを見つめながらゆっくりと背中を向けてたなぁ。あの背中がホント泣けるわ…(涙)。東京公演で観たときよりもモリーナへの人間愛がさらに深まってたよね。

全身でバレンティンの想いを受け止めたモリーナが感極まって号泣する場面も涙なしには見れない(泣)。石丸モリーナ、声を上げて泣いてたもの…。そしてその間、相葉バレンティンはとても寂しげに俯きながらそんなモリーナから目を逸らせてた(涙)。この時彼の中では伝言を頼むのは諦めようという気持ちが感じられましたね。
でも、モリーナはバレンティンのキスでこれまで抑えていた気持ちが一気に崩れ彼の頼みを聞くことを決意するわけで。その言葉を聞いた時の驚いたような嬉しそうな相葉バレンティンの表情がとても印象的だった。

あの時彼は、モリーナが自分の頼みを聞いてくれたことに喜んだというよりも、自分を変えようと勇気を出してくれたことが嬉しかったんじゃないかなと思えてならなかったです。初演の時にはそこまで思いに至る余裕がなかったので、すごく心揺さぶられました。

立ち去り際にモリーナを固く抱きしめる時も、赤いスカーフを首に巻かれた時も、相葉バレンティンは石丸モリーナに熱い信頼を寄せてるのが伝わってきて泣けたなぁ…。モリーナを見つめる目が一段と輝いて見えたし。
モリーナが牢を去った後、「漢になれ!!!」とバレンティンは叫ぶのですが、相葉くんはここにすごく全神経を集中させてるのがひしひしと伝わってきました。あの時彼は、革命の成功よりも、モリーナが自分の殻を破る勇気を持ってほしいと心から願ってたように見えて仕方なかったよ。それほど彼のなかではかけがえのない存在になっていたんだろうなぁというのを強く感じました。

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牢を出た後のモリーナを所長の冷酷な目が追い続ける。鶴見さん、東京公演の時に見た時からすごく歌に安定感が出たなぁと感心いたしました。所長がソロを歌うタイミングはここしかないんですけど、あの音程めちゃめちゃ難しそうですからね。

その後ろで相葉バレンティンはずっとモリーナから首に巻いてもらった赤いスカーフを握りしめて祈るような気持で座ってたんですよね…。あれを見たときホント涙が出ました(泣)。赤いスカーフはバレンティンにとってのモリーナの分身のようなもの。そこに必死に願いを込めてるのが伝わってきて心が震えた…。

モリーナがアウレリオのガールズトークを聞く場面、ここ、演じてる藤浦さんはけっこうアドリブ入れてて面白かったなw。トマソンの話題になったあと「お願いされる前にひげ剃らなきゃ」みたいなこと言ってて涙してた私も思わず吹いたwww。
でも、モリーナはずっと心ここにあらず。表情も最初に登場した時と全然違うんですよね、石丸さん。バレンティンにすごく影響を受けて気持ちに変化が生じたのが手に取るように伝わってきました。このあたりのお芝居は本当にさすがとしか言いようがない。

マルタへ電話を入れる前、モリーナとお母さんのやり取りは涙無くして見れません(涙)。いやな予感がした母は必死に止めるのですが、息子の「ママが言うならやらない」という言葉を聞いて彼が信念のために何かを成し遂げようとしているというのを肌で感じてしまう。モリーナがやめようとしたタイミングの時に「やるべきことをやりなさい、私の気持ちが壊れないうちに」とその背中を押す場面はもう涙涙でした…。初演で観た時より泣けたかも…。

そのマルタですが、伝言を聞いた瞬間には「ハッ」とした表情をするんですが、「彼元気よ」というモリーナの声を聞くと急に怪訝な表情をして「関わりたくないの」と拒絶反応を見せてました。バレンティンがあんなにも彼女を愛していた姿をずっと見てきただけに、現実世界との残酷なギャップが本当に辛かった(涙)。小南さんは現実と妄想とのマルタの存在の違いをとても繊細に演じられていたと思います。

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そして、バレンティンとモリーナが再会する時がやってくる。私はこの時点でもうあり得ないくらいゴーゴー涙してるんですが、本当に哀しすぎるんですよね、この場面…。10年前に見た時、ここを全く違う意味に見えるよう塗り替えられたことに本当にショックを受けたのですが、元に戻って本当に良かったと心から安堵するシーンでもありました。

拷問を受けて瀕死の状態になっているモリーナと再会したバレンティンは衝撃のあまり狂ったように彼の名前を泣き叫んでいる…。相葉くんのこの時の悲痛な声が今も耳に焼き付いて離れないよ…(涙)。
モリーナは命の危機が迫るなかでもバレンティンに笑顔を見せている。これ、2幕頭のオーロラの映画のシーンとものすごくリンクしてるんですよね…。死を前にした彼には、映画の中のオーロラと同じように「苦しみ」よりも彼の愛に殉じることができる「喜び」が溢れている。石丸さんの表情もまたホントに泣けるんだよ…(涙)。

バレンティンは信頼できる人間として受け入れた相手を窮地に陥れてしまったと自分を責めるんですが、「俺はなんてことを…」というセリフ、相葉くん、本当に心が潰れてしまう想いで言葉詰まらせてて辛くて辛くてたまらなかったよ(泣)。
所長たちが知りたいと思っていることを言えと叫ぶバレンティンですが、モリーナはそれを頑なに拒否。たまらず自分が言う!と叫んだ時「そんなことしたら私を裏切ることになるのよ」とモリーナに告げられて思い止まってしまう。このやり取りは本当に思い出すだけでも心が抉られる。

バレンティンはあの時言おうと思えば言えたんだけど、モリーナの気持ちを裏切りたくないという想いがこみ上げてしまってそれを飲み込んでしまったんですよね…。相葉くんはモリーナに不器用ながらも少しずつ心を寄せていって最終的には熱い信頼感を抱いていたことがものすごく伝わってきたので、あの時本当のことを言えなくなったことがすごく腑に落ちて泣けて泣けて仕方なかったです(涙)。

そしてモリーナは、死の瞬間、初めて自らバレンティンへの愛の気持ちを告白する。その姿を目の当たりにしたバレンティンの激しい悔恨と慟哭。何度も何度も気が狂ったようにモリーナの名前を泣き叫びながら連れ去られていく相葉バレンティンに号泣しまくりました…。

映画の夢

その直後、突然後ろに映画館のシート席が並べられて次々に登場人物たちが入ってくる。ここの場面は、初めて見る人にはけっこう驚きかもしれないなと毎回思って見ていました。あまりにも悲惨すぎる結末の直後ですからね(汗)。

でも、よく見ていると…、この作品には絶対に必要な場面なんだっていうのが伝わると思うんです。あれは、モリーナの人生の集大成。最後の晴れ舞台。このクライマックスの思い切り明るくて楽しい場面の何が素晴らしいかって…、それまで「敵」側に回っていた人たちもみんな笑顔でモリーナの人生の最後を祝福しに駆けつけてくれていることだと思うんですよ。それだけでもう、涙が止まりません、あのラストは…(泣)。

バレンティンに「あなたが私の人生を変えた」って歌うモリーナの場面もホント、涙無くして見れない。相葉バレンティンは「え?俺?」みたいな感じで少し恥ずかしそうにハニカミながら彼の元に近づいてくんだよねぇ…。もうそれだけで号泣。
そして、モリーナの人生の最後の瞬間が再現された後、ちょっとおどけて立ち上がったモリーナの人生賛歌の言葉がこれまた胸を打つ!!初演では「ビバ!あとは分からないけど」みたいに濁らせた感じだったと思うのですが、今回は「ビバ!この世の全て!!」と叫んでるんですよ。そしてバレンティンとこの上なく幸せなハグを交わす。この時も相葉バレンティンは優しい眼差しを向けながらすごく熱く固くしっかりとモリーナ抱きしめてた。大号泣です、それだけで(涙)。

そしてみんなと一通りダンスを踊るモリーナ(所長さんと看守さんたちとのダンスはめっちゃ萌える)。満を持して蜘蛛女ともタンゴを踊る
最後の最後、バレンティンが「彼はモリーナ」と高らかに歌う。この時、ステージの下に降りて一番モリーナの傍にいるのがバレンティンとモリーナのお母さんなんですよね。つまり、モリーナが一番愛した人たちが、蜘蛛女にキスされる瞬間を一番近くで見守っているんですよ…。私の涙腺大崩壊(涙)。蜘蛛女と熱いキスを交わす姿を、他の登場人物が全員熱い拍手で見守ってる。相葉バレンティンは最後まで満面の笑顔で大きな拍手を送り続けてました。

終わった後、もう、放心状態な私ww。ソワレ、マチネと連続でこれを浴び、さらにこの後もう一度村井くんで観ましたから、完全にヤバい状態になってました(笑)。

見終わって想うのは、その後のバレンティンの運命。相葉くんのバレンティンは半狂乱で泣き崩れ精神が崩壊したようになっていましたから、そのあと何も食べられずにこの世を去るんじゃないかなと思ってしまう…。そして、魂となった後、必死にモリーナを探すんじゃないかな…。せめて二人の魂が安らかであってほしいと願わずにはいられなくなります。

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後述

相葉くんの大千穐楽のカーテンコールも客席オールスタンディングで盛り上がりました!最後の音楽が鳴っている間、大阪のお客さんはずっと手拍子熱くし続けてるのでそのタイミングで2回キャストの皆さん登場してくださいました。

石丸さんが「相葉くんが千穐楽です!」と彼の手を上げて祝福すると、相葉くんが達成感で満ち溢れた表情で「ありがとうございましたぁ~~~」と両手あげて歓声にこたえてたの、めっちゃ可愛かったなぁ。
(実はこのカテコの時私の席の近くでちょっとしたトラブルがあって、じっくり見ることができなかったのが本当に悔やまれます…。ちょっと信じがたい出来事だった。せっかくのハレの瞬間だったのに…あれはホント可哀そうだった)

最後は4人で腕組んで袖に下がっていこうとして、安蘭さんだけ「お先に」みたいにスーッと抜けて最終的には石丸さんと相葉くんのラブラブ状態って感じになってたかな。

今回、相葉くんのバレンティンを東京と大阪で合わせて4回見ることができました。最初はあまりにも初演の宮川バレンティンのイメージが強く残りすぎていたので、相葉くんのが想像できなかったんですけど…、こんなにも心惹かれる最高のお芝居魅せてくれるなんて感激と感謝しかありません。見終わった後、もう一度逢いたい!!と求めたくなるバレンティンだった。

不器用で感情を剥き出しにすることも多いけど、強がりながらもいつもどこか怯えているようで、時々子供のような幼さも感じさせる。後半はまっすぐ純粋にモリーナと向き合い、彼のことを真剣に想う気持ちや優しくて温かいまっすぐな気持ちが痛いほど伝わってきた。ものすごく母性本能を刺激してくるバレンティンだったと思います。

そして、歌声がまたすごく良かった!!相葉くんってこんなにも感情豊かな力のある歌が歌える役者だったんだと驚くことも多かった。一番心震えたシーンは「マルタ」かな。孤独と苦しみのなかで愛する人を求め泣きそうになる気持ちを表現した切ない美しい歌声は、この先も私の心の中にずっと残り続けると思う。

公演を重ねるごとにどんどんと歌も芝居も進化していく様を見ることができたのはこの上ない幸せ。私が特に心の中で大切に想ってきたこの作品に相葉くんが出演してくれたこと、本当に本当に嬉しかった。再演が実現したらまた必ず会いたいです。そう思わせてくれて感謝の気持ちしかありません。ありがとう!

次は大阪での大千穐楽公演についてのレポになります。今回よりもさらに暑苦しくなる可能性あり(笑)。

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