ストレートプレイの舞台『嘘と勘違いのあいだで』を観に東京六本木まで遠征してきました。
実は、この前日は大阪でレミゼ観劇をしておりましてw(詳細レポはこちらから)…最初は行くか迷ったんですが、4月のミュージカル『ハル』を観て栗原さんの芝居が好きだと確信したこともあり、大阪から東京へのハシゴを実行に移すことと相成りました(笑)。
六本木を訪れたのは舞台版『キャプテン翼』を観にブルーシアターまで遠征して以来。そのブルーシアターももう無くなってしまって寂しいなと思っていたのですが、なんと、知らない間にもう小劇場が出現していた!!関東から離れてから東京方面の演劇事情にすっかり疎くなってしまい新しい劇場ができたことも全然知らなかったのでビックリしました(汗)。
2018年3月オープンとのことなので、出来たてホヤホヤです。
六本木トリコロールシアターは芋洗い坂を下って行ったところにあります。ブルーシアターはけっこう急激な鳥居坂を登らなければならなかったけど(麻布十番から行く場合でしたが)、こちらは六本木駅を出たあと坂を下った先にあったので楽でしたw。
しかしながら、周りの建物と溶け込んだ感じに建っているので事前に地図でチェックしておかないと気が付かずに通り過ぎてしまうレベル(汗)。しかも1階部分はカフェ風のホワイエになっていたようなのですが、一見するとレストランのようで人がいないと劇場だって分からないかも。
この日は1階部分は基本的にスタッフさんのみが入れるようになっていて、お手洗いだけ貸すという感じになってました。なので、実質的にロビーなし状態w。
劇場は2階にあるので階段を上ることになるのですが、その入り口にはたくさんの楽屋花が飾られていて綺麗でした。
劇場へ通じる階段はちょっと狭いのですが、その足元にもたくさんのアレンジ花が飾られてました。ちなみに、2階まで行くとすぐに客席へ繋がるようになってます。
キャパ数は200人とのことで、一番後ろからでもオペラグラスなしで役者さんの表情がバッチリ見えます。3月に行った小山の会場にちょっと似てるかも。ただ、前後の列が相互に並んでいないので、前に少し座高の高い人が座ってしまうと視界がけっこう遮られて見づらいところがあったのが残念。段差はついてたけど、やっぱり相互席にしてほしかったかも(汗)。
以下の感想は大いなるネタバレを含んでいます。ご注意ください。
2019.07.19ソワレ公演 in 六本木トリコロールシアター(東京・六本木)
キャスト
グレッグ:辻本祐樹
ジニィ:新垣里沙
フィリップ:栗原英雄
シーラ:水夏希
※この作品は4人芝居です。
あらすじと概要
原作は1965年にイギリスの劇作家アラン・エイクボーンが発表したコメディ『Relatively Speaking』です。アラン・エイクボーンはアメリカのニール・サイモンと並ぶほど世界的に有名な喜劇作家と呼ばれているそうで、三谷幸喜さんは最も影響を受けた作家のひとりとして挙げてるのだとか。
簡単なあらすじは以下の通り。
グレッグ(辻本祐樹)とジニィ(新垣里沙)は結婚前提で同棲している。
ある日、グレッグはジニィに別の男がいるのではとヒッソリ疑い始める。
そして、「両親に会いに行く」というジニィの計画を怪しみ、コッソリ付いていくことに。
しかし、これはジニィの年上の不倫相手・フィリップ(栗原英雄)との関係をキッチリ終わらせる為の嘘だった。ジニィよりも先に「両親の家」にウッカリ到着してしまったグレッグが訪ねると、 そこにはフィリップの妻・シーラ(水夏希)がおり、ジニィの母親だとスッカリ勘違い。
何故かチャッカリ意気投合してる二人のところへジニィが到着、そしてジニィの突然の来訪にドッキリするフィリップ。それぞれがそれぞれを勘違いしつつ嘘でごまかしつつ、
そのはざまで揺れ動く4人の可笑しさと愚かさと愛しさと。公式HPより引用
翻訳版としてはまず、ホリプロ制作で2015年に『とりあえず、お父さん』という邦題で東京の銀河劇場で上演されました。
主演のグレッグには藤原竜也さん、相手役のジニィには本仮屋ユイカさん、フィリップ役には柄本明さん、シーラ役には浅野ゆう子さんといった布陣でこちらもけっこう豪華なキャスト陣。
水さん宛てに浅野さんから立派な花が届いていたのは、過去に同じ役を演じたご縁もあったからかもしれません。
今回は演出も担当した保科由里子さんが新たに翻訳しなおし、タイトルも『嘘と勘違いのあいだで』と変えての上演となりました。上演時間は約1時間45分、休憩なしノンストップで繰り広げられるシチュエーションコメディです。
全体感想
この作品のドラマが展開されるのは2つのシーンのみ。
まず最初にグレッグとジニィの一見するとラブラブなある1日から始まります。部屋のセットも可愛らしくて家具の置き場所などもけっこうリアル。小劇場で舞台が狭い分、生活感あふれた濃密な空間が感じられたのがよかった。
それにしても、グレッグもツッコミ入れてたけど…あの小さいベッドひとつで2人寝るのはかなり大変だと思ったぞ(笑)。一回寝返り打ったら確実にどちらかが落ちるなwwってくらいのコンパクトさで笑いましたw。
最初のうちは二人の仲はすごく順調で結婚間近の幸せカップルに見える。ジニィの行動一つ一つにグレッグが「かーわいぃ~~」って悶えるシーンが可愛くて最高(笑)。逆に言うと、ジニィの計算高さみたいな部分も垣間見えたりして面白い。男の萌えツボを見事に掴んでてグレッグがそれに踊らされちゃってる感じ。
ところが、平和な日常の朝を追って行くうちにジニィが何やらグレッグに隠し事をしているんじゃないかという雰囲気になってくる。グレッグもデレデレしながらもなんとな~くそれを感じてるんだけどハッキリ問い詰めたりすることはしない。
でも、「両親に会いに行ってくる」と言いながらも絶対に来ないで!って釘を刺したり、確実に見たことないスリッパがそこにあるのに巧いことはぐらかされたり、さらにはかかってきた電話に自分が出ると切られるのにジニィが出たら会話が成立したのを目撃したら、さすがにグレッグの不安も大きくなってくるわけです。
ジニィにはかつて付き合っていた年上の男性がいたということはグレッグも把握している。でも、その人とはキッパリ別れたという彼女の言葉を信じているんですよね。それだけに、他の男の影を疑ってしまったらそりゃ気が気じゃなくなるわな(汗)。
これが最初の一場になるわけですが、とにかく台詞量がハンパないことにビックリ!!少人数のストプレは過去にも観に行ったことありますが、その中でも三本の指に入るくらいの二人の言葉の掛け合いがすごくて「よくこれを覚えられたな」と感心してしまいました。
グレッグとジニィのポンポンと出てくる膨大なセリフの中から、観ているこちらは「どこに”ウソ”が隠されているんだろうか」と推理する。
ただ、明らかにジニィの様子に綻びも出てきて怪しいなって思う部分はたくさん出てくるのですが、けっこうテンポが早く進んでいくので初めて見ると今ひとつ「核」となる部分が見えづらかったっていうのはあったかな。
クスってなる部分は何カ所かあったけど、ちょっと頭をフル回転させることもあったので、最初の一場はコメディとは正直なところあまり感じられなかったかも。2回目に観た方が味わい深いのかもしれません。
ジニィが「両親に会いに行ってくる」と出かけた直後、グレッグはどうしても不審に思っていたジニィの残しているいくつかのアイテムを鞄に詰め込みこっそりと彼女が向かったであろう場所へと出かけていきます。
この時に持ち出した「チェックのスリッパ」がラストシーンで大きな意味をもたらすとは、この時は想像もつかなかったわ(笑)。
そして第二場にむけて舞台が暗転して次のセットへと切り替わるわけですが、舞台上は薄暗くなる程度だったのでどのようにして次の場面が作られていくのかが客席からもバッチリ見える。たぶんこれも演出のひとつだと思うんですが、こういう魅せ方も面白いなと思いました。
それにしても、舞台のスタッフさんの手際の良さには頭が下がりますねぇ。あれよあれよという間に室内セットから洒落た庭先テラスのようなセットへと変化していく。個人的にはベッドが上手く畳まれて舞台袖に入っていく様子がけっこう面白かった(笑)。
転換作業が後半に差し掛かったあたりで二場から登場するフィリップとシーラ夫妻がごく自然に登場してテラスの椅子に座り向かい合う。下で作業してるスタッフさんたちが庭の整備士みたいに見えてw切り替わり方がすごく自然でうまい魅せ方だなぁと思いました。
フィリップとシーラの最初のシーンはグレッグとジニィに比べるとだいぶ落ち着いた感じ。長年連れ添ったいい感じのご夫婦と一見すると思えるのですが、会話を聞いてみるとどうも微妙にズレがあるw。
フィリップはシーラに別の男がいるんじゃないかと疑っているのですが、シーラとしては全く身に覚えがなさそう。なかなか”本性”を出そうとしないシーラにフィリップは苛立ちを覚えるのですが、どうやら自分にも”やましい隠し事”があるようで深くは追及できない様子(笑)。
この会話劇を観た感想としては、シーラには本当にやましいところがないようでフィリップが一人で右往左往しているように思えました。シーラとしてはなぜ夫が奇妙なことをまくし立ててるのか本当に分かっていない様子だし(笑)。そのあっけらかんとした天然さがこの夫婦を支えてるのかなぁとも思ったかも。
妻との会話に出口を見出せなくなったフィリップが「穴を掘るより鍬で耕したい気分だ!」とスネて庭の手入れに向かって行く場面は可愛くて面白かったw。
シーラが一人で片づけをしていると、グレッグが訪ねてくる。やたらと庭をべた褒めする見知らぬ青年を不思議に思いながらも普通に会話しちゃうシーラが好き(笑)。
さらに「ここは”柳のある家”ですよね?」と尋ねられると確かに間違いないので「まぁ、いっか」的にあっさりと受け入れてしまいます。不思議に思いつつも不審には思わないのがシーラの面白いところ。
ちなみに、”柳のある家”というのは、ジニィがこの日に尋ねると言っていた”両親の家”のこと。つまり、グレッグは「絶対に来ないで!」と釘を刺されていたにも拘らず、ジニィの両親の家まで勝手にきてしまった…つもりなのです(笑)。シーラからすれば、急に見たこともない青年が現れて落ち着いちゃってどうしたんだろうか?となるわけですが、グレッグから聞いた住所が確かに自分の家だと分かるとまるで知り合いのように受け入れてしまう。
グレッグの思い込み突撃が、そもそもの「勘違い」で(笑)、そこから会話は予期せぬ方向へと飛びまくっていくわけです。
グレッグはシーラがジニィの母親だと思い込んでいるので、「娘であり恋人でもあるジニィに内緒で訪ねてきてしまいました」と嬉々として語るわけですが、シーラからすれば、見知らぬ青年が彼女を連れて自分の家に来ることになっていた・・・みたいに受け取っちゃう(笑)。
会話の意味としては全くズレているのに、グレッグがアウトラインの説明しかしないのとシーラが天然キャラということもあって、なぜか巧いこと成立しちゃってるのがこの作品の面白いところです。シーラが天然じゃなければ「あんたなんか知らないわよ!」とグレッグは追い出されてるはずww。
こういった会話のズレがありながらも不思議と成立してしまう作品というのは観ていて面白いです。芸人さんのコントでもたまにありますよね。思い当たるのはアンジャッシュかな。
あと、宅間孝行さんの作品のお芝居でもこういった「勘違いもの」があって、ちょっとそれを思い出したかも。宅間さんも会話のズレをうまくコントロールして書くのが上手い方なので。
シーラが将来の義理の母になると思い込んでるグレッグは、気に入られたいという思いもあってかすっかり懐いてしまっている様子。シーラも、グレッグの話に興味を持って好感を抱いて完全に打ち解けてる。
さらに、彼女的にはグレッグが恋人とどうなろうと自分には関係のない話なのであっさり「交際OK」と言っちゃうわけでww、グレッグとしては母親に認められたと舞い上がって喜んじゃう(笑)。なんか、どちらも天然というか、単純というか・・・それでいて愛しいなw。
グレッグとシーラがすっかり打ち解けあってると、庭に出ていたフィリップが戻ってくる。
グレッグはフィリップを”ジニィの父親”だと信じ込んでいるので嬉々として挨拶をしに行くのですが、フィリップとしてはシーラに他の男がいるのではないかと疑っていた節があるので急に慣れ慣れしく接してきたグレッグに不信感を抱くことに(笑)。
グレッグの話の節々から、彼は妻の恋人で自分のところに突撃しに来たと勘違いしてしまうフィリップw。しかし、グレッグとしては”娘の”ジニィとの結婚を認めてほしいと思って熱くプレゼンするわけで・・・このズレながらも成立してしまっている会話がなんとも滑稽で面白い。
さすがのフィリップも「結婚」と聞いたときにはめっちゃビビってたしねwww。そりゃ、妻の男と思い込んでる奴が堂々と結婚申し込んでることまで知ったら衝撃だわ(笑)。
特に笑ったのは、フィリップが「結婚は許さないけど同棲なら許す」と言った場面。まぁ、彼の立場としてはそうなるわけですがw、グレッグとしては恋人の父親が「結婚ではなく同棲ならOK」と言い出したことに不信感を覚えてしまう(笑)。逆ならありうる話からなおさらだよねww。
で、憤ったグレッグは「彼女」の過去の男遍歴をフィリップに暴露してしまう(笑)。グレッグはジニィのことを話しているのに、フィリップからするとシーラの過去の男遍歴と聞こえてしまう滑稽さww。
さらに面白いのが、「彼女の過去の男」が30も年上だったと暴露されたこと(笑)。ビビりすぎて思わず飲んでいた紅茶をブホっと吹きだしたフィリップに思わず爆笑してしまったwww。
この会話の一番面白いところは、グレッグが語った”30以上年上の男”の正体を客席が察してしまっていることです(笑)。こういうところはよくできた会話劇だなあと思いました。
すっかり疑心暗鬼になったフィリップの動揺は激しくなるわけですが、会話の内容を全く知らないシーラとしてはなぜダンナが急にいらだちを募らせているのか分からないw。グレッグは”父親”にかましてやった優越感でニコニコしてるし、3人の関係はますます複雑化。
そしてなんやかんや会話が続いた後、いったん3人は舞台の上から姿を消すことになります。その一瞬の静寂な空気のなかに現れたのがジニィ。この登場のさせ方も上手いなと思いました。
ジニィはグレッグに”ウソ”をついてこっそりとフィリップに会いに来たようですが、最初に出会ってしまうのは妻のシーラという皮肉がまた面白い(笑)。グレッグに続いてまたしても見知らぬ人と対応することになるわけですからねw。
でも、自己紹介で「ジニィ」だと知るとシーラにはピンとくるものがww。それまで散々グレッグが彼女のことについて熱く語っていたわけだからすっかり情報がインプットされてる(笑)。でも、ジニィからすれば、「もしかしたらフィリップが自分のことを打ち明けたのかもしれない」と捉えてしまい動揺を隠せなくなる。そうとは知らないシーラは「すべてが上手くいくよう願ってるわ!」って応援しちゃうわけで、事情を察したこちらとしては笑うしかないのですww。
シーラに呼ばれて現れたフィリップは目の前にジニィがいてビックリ仰天。
それもそのはず、フィリップはジニィがかつて付き合っていた年上の恋人だったからです。つまり、グレッグが語っていた「30以上も上の恋人」っていうのは実はフィリップのことを指してたことになるんですよね(フィリップの認識としてはシーラの恋人がってことになってるけどww)。
その後フィリップとジニィが二人きりになってからようやくリアルな会話となるわけですが、最初の時点ではグレッグが訪ねてきていることをジニィは知らないので不可思議な内容に聞こえてしまう。
フィリップとしてはすっかりグレッグがシーラの恋人だという感覚になっちゃってるので、自分も大腕を振ってジニィと関係を続けられると余裕の表情(笑)。ジニィとしてはグレッグとの交際を真剣に考えてるようなのでフィリップとは別れたい気持ちが強いようですが、フィリップとしては関係を続けたくてベタベタしてくるww。
いやぁ、これ、しょーもない男の典型みたいな奴だなと(笑)。あれは簡単に別れてくれそうもないぞ!?って思っちゃったよ(苦笑)。
そして物語が佳境に入った時についに4人が勢ぞろい。ジニィとフィリップだけが事の真相を把握するなか、グレッグに悟られまいと芝居を打つ二人ww。そしてやがてシーラも・・・という展開になるのですが、一番最後に「チェックのスリッパ」が事の真相を語る場面はとても印象的でした。
最初はその意味がピンとこなかったんですが、後から考えると・・・あーーー!!となる感じww。
だけど、この作品は最終的に真実を明かして大騒動にするのではなく、あえてそれをうまく丸め込んで何事もなかったかのような日常を取り戻していくという印象が強い。問題解決を目的とするのではなく、人生色んなトラブルはあるだろうけど、それでもなんとか前に進みましょうやといったような温かさも感じました。
キャスト感想
辻本祐樹くん(グレッグ役)
辻本君はテレビドラマではよく見かけていましたが(個人的には『ちりとてちん』の小草々役が一番印象深いです)、舞台でお芝居を見るのは今回が初めてでした。
台詞も聴き取りやすいし屈託のない明るい表情が本当に無防備で可愛らしくてついつい応援してしまいたくなるグレッグだった!恋人のジニィに疑いは持っているものの、彼女を愛する想いには一点の曇りもなくて、その純粋さが見ていてとても愛しく思えました。
大きなリアクションも厭らしくなく、舞台全体に活気を与える存在でしたね。辻本君がこんなに舞台で映えるとはあまり予想していなかったので嬉しい驚きでした。ネットで調べるとこれまでもかなり多くの舞台に立っているようなので、その立ち居振る舞いっぷりも納得です。
新垣里沙さん(ジニィ役)
新垣さんを舞台で見るのはこれで2度目。最初は2.5系の『暁のヨナ』という作品で見ているのですが、これまでモー娘。の新垣さんしか知らなかった私としては、その演技力の高さに驚いたのを思い出します。なにせ、モー娘。のオーディション風景での彼女も見ているのでなんだかちょっと親目線なところはあるかもw。
あれから数年経ったわけですが、ますます舞台女優として貫禄を増していることに驚きました!何よりすごいと思ったのが、一度も台詞を噛んでいなかったことです。膨大な台詞量なので、皆さんちょいちょい詰まるところもあったのですが、そんななか、新垣さんは淀みなくチャキチャキとスムーズにすべての台詞をこなしていたので本当に感動しました。
ジニィは一歩間違えると「嫌な女」に映ってしまう危険のある難しい役だと思うのですが、それを全く感じさせず可愛くちょっと小悪魔で魅力的な女性として演じていたのは素晴らしかったです。
栗原英雄さん(フィリップ役)
今回の遠征を決めた大きな理由というのが栗原さんのお芝居をじっくり観たいという想いがあったからでした。春に観たミュージカル『ハル』(シャレじゃないけどw)でのお芝居がすごく好きだったんですよね。たぶん、ここまでガッツリしたストプレで栗さんを見るのは初めてだと思う。
最初に登場した時にはちょっと気難しいタイプの男性かなって雰囲気だったけど、会話を進めていくうちにちょいちょい隙があって結局は妻の掌の上で転がされてるようなキャラだなって思えていくのが楽しかった。
表向きは平静を装ってるんだけど、都合が悪くなってくると庭の手入れに逃げちゃうところとか可愛かったなぁw。
特に面白かったのはグレッグと勘違いの連鎖の会話を続けているとき。優位に立とうとするもののフィリップにとっては衝撃の”真実”ばかりが襲い掛かってきてどんどん表情が崩れていく。気が気じゃなくなって目が泳いで動揺しまくる栗原さんの表情の芝居が絶品でめっちゃ萌えました(笑)。
あと、ジニィに甘えまくる場面も面白かったww。っていうか、心の中では「喝だ!!」って思いながら見てたんだけど、なんか憎めないんだよねぇ~(笑)。そう思わせる余韻をちゃんと残して演じているのはさすがだなって思いました。やっぱり栗さんのお芝居好きだな~。
ちょっと心が疲れていたようなツイートを拝見して心配していたので、舞台上での元気そうなお姿を見れて安心しました。
水夏希さん(シーラ役)
水さんは元宝塚のトップスターだった方とのことですが、退団後の舞台をこれまで見たことがなかったので今回の舞台が初めてです。
どちらかというと天然で多少のことには動じないような大らかなシーラを実に魅力的に演じられていました。水さんは見た目的にはクッキリしてカッコいい女性という雰囲気なのですが、華やかさみたいな部分は感じさせずに、どんな人をも包み込んでしまうような懐の大きさを感じられるお芝居だったと思います。
ちょっと鼻にかかったような声がまたシーラというキャラに合っていて可愛い。どちらかというと女性に好かれる女性っていう雰囲気もあったかもしれない。すぐにでも友達になりたいって思えたので。水さんの演じるシーラだったからこそ、この作品に温かい優しさみたいなものを感じたのかもしれません。
今度は全く違うカッコいい女性役の水さんも見てみたくなりました。
後述
膨大な台詞量に最初は驚くことも多かったのですが、ストーリーが進むにつれて色んな「勘違い」が発生して絡みあい笑いどころも増えていきました。客席の反応も、最初は探るような空気だったのが、後半に行くにしたがって笑い声も増えて少し張りつめた空気が変わるのを感じました。
原作は1965年とだいぶ前の作品ではありますが、古さを感じさせずむしろ新しくポップでオシャレな楽しい舞台になっていたと思います。実力派の役者さんたちの会話劇としても十分に堪能できました。やっぱりプロはすごい!!
この日は本編の後にトークショーも行われました。少しメモったので次の記事でレポします。