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舞台『ウェンディ&ピーターパン』東京公演 観劇感想 2026.06.22マチネ

Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.16『ウェンディ&ピーターパン』を観に新宿歌舞伎町にあるTHEATER MILANO-Za(シアターミラノ座)まで行ってきました。

個人的には新宿歌舞伎町界隈は一人で近づきたくないゾーンなので、ここを訪れるのは10年以上ぶりになります(汗)。かつてこのあたりには新宿コマ劇場や東急文化会館があったはずなのですが(コマの下にあったシアターアプルは見やすい劇場で何度か足を運んだことがある)、閉館・解体後は再開発が行われ奇麗な商業施設巨大ビルが建設されました。歌舞伎町のゲートをくぐった先にこんな立派な建物ができたなんてと、ビビってしまった私です(汗)。
ちなみに、出てすぐの場所にはデカいゴジラの顔がドーンとある新しい東宝ビルがありました。

劇場の印象について

東急歌舞伎町タワー横にある長いエスカレーターを上ると飲食店広場があり、その横に劇場へ続くエスカレーターを6階まで上がっていくと劇場にたどり着きます。開場時間前から多くの人が並んでいましたが、それを見越して案内係の人が誘導して列を整理してくれるので混乱はありませんでした。

6階にたどりついたあと右手に進んでチケットを見せるといったスタイル。前日完売の超人気作だからか、もぎりの係りの方のチェックがけっこう念入りだったなという印象(持ち物検査とかはなかったけど)。

ロビーは劇場入り口前は狭かったのですが、奥に進んでいくとバーやプログラム販売所がある広い空間がありました。バーの前のカウンターからは新宿の景色を一望できます(渋谷のオーブみたいな雰囲気)。開演前にはバーの前にものすごい人が並んでてビックリ!後からSNSで調べたら、キャストのイメージカラードリンクが爆発的人気らしい。すぐに売り切れるとのことなので、余裕がある人は開場時間に合わせていくほうがいいかもしれません。

グッズはパンフレットのみで現金・クレジットでレジが分かれています。
パンフレット売り場の後ろには『ウェンディ&ピーターパン』のデジタルキービジュアルを撮影できるゾーンがあるのですが、ここもものすごい人だかりで順番がくるまでかなりの時間を要しました(汗)。皆さんアクスタやぬいやら写真やらを準備するのにけっこう時間かかってて…。なかには1分以上前列占拠してる人も(汗汗)。もう少し思いやりを持った撮影をしてほしいと思ってしまった。係りの人ももう少し呼びかけしてほしかったな…。

シアターミラノ座の全座席数は約900とのことで1階席から3階席までありますが、1階席に座った印象としてはけっこう見やすいなと。私は中央あたりの座席でしたが、オペラグラスを使わなくても十分キャストの表情が見えましたし、1階席なら最後列からもそんなに遠く感じないのではないかなと思いました。
2階席や3階席は実際座ったことがないので確かなことは言えませんが、ネットの情報によるとオペラグラスはあったほうが良いものの視界良好という高評価が多かったです。

椅子は…けっこう硬め(汗)。3時間座りっぱなしとかだと腰がちょっと痛むかも。休憩時間があるのでそこで一度腰を伸ばすことをお勧めします。

チケットを取った動機

実は…石丸幹二さん出演の情報がくるまでこの作品の存在を全く知りませんでした(汗)。石丸さんが出るなら観に行きたいなという動機でチケット確保したのですが、その時点でもどんな内容かはおろか、他の出演者の情報すら入れていなかった私(汗汗)。開幕1週間ちょっと前くらいにようやく情報を軽くチェックして事態を把握。全日程完売になった理由も納得した次第です。自分でもよく確保できたなと間際になってビビってしまったw。

1回きりの観劇だったこともあり、事前に軽く概要だけは頭に入れて行きました。改めて愕然としたんですが…、わたし、「ピーターパン」という作品の名前程度しか知らなかったんだなと(汗)。ディズニーランドでアトラクションに乗ったこともあるのに、まともにストーリー知らなかった自分が恥ずかしい(苦笑)。

とはいえ、原作の「ピーターパン」を知らなくてもストーリーは比較的分かりやすいので楽しめると思います。少し設定も変えているところもあるし。ただ、「ピーターパン」本編のあらすじやキャラクター設定あたりを頭に入れておくとさらに理解しやすくなるかもしれない。
ちなみに、子供さん向けのファンタジー作品…ではなかったという印象が強いです。7割以上はSnow manファンの方かなという客層でしたが、お子さんの姿はなかったですね(私は一人も見なかった)。ファンタジーでありながらもダークな部分や繊細な感情が核にあるので、見終わった感想としては、大人向けの作品だったかなと思いました。

ちなみに、この作品はミュージカルでも音楽劇でもなく「ストレートプレイ」の部類に入ります。歌は数か所口ずさむ程度でほぼ100%セリフ劇でした(←直前までミュージカル系かと思っていた 汗)。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。ご注意ください。

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上演概要

原作・翻案・演出など

  • 原作:J.M.バリーによる『ピーターパン』
  • 作・翻案:エラ・ヒクソン
  • 演出:ジョナサン・マンビィ
  • 美術・衣裳:コリン・リッチモンド
  • 音楽:かみむら周平
  • 主催/企画・製作:Bunkamura

※Bunkamuraが主催なので、本来であれば渋谷のコクーンで上演される作品だろうと思います。複合文化施設「Bunkamura」は2023年4月から2027年頃まで再開発計画によってオーチャードホール以外は長期休館となっているとのこと(←そのことすら知らなかった 汗)。

過去の上演

  • 初演:2013年イギリス(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)
  • 日本初演:2021年 Bunkamuraオーチャードホール(渋谷)

日本初演の主なキャストは黒木華さん、中島裕翔くん、石田ひかりさん、堤真一さん。現在朝ドラなど映像でも活躍する平埜生成くんや前原滉くん、富田望生さんも出演していました。

※日本初演当時はコロナ禍が深刻な事態になっていく時期でもあったため、中止公演も出た大変な年だったかと思います。時勢を配慮して”キス”シーンはなかったそう。

上演時間

  • 第一幕:80分(1時間20分)
  • 休憩:20分
  • 第二幕:80分(1時間20分)
  • 合計:約180分(3時間)※カーテンコール含まず

休憩時間の女性化粧室トイレは予想した以上の大行列だったので、私は行くのを断念しました(後方に並ぶと2幕開演に間に合うかかなり微妙な情勢)。導線も限られているので扉近くや通路側でないと相当後ろになる可能性大。
お手洗いが近くなるタイプの人はなるべく観劇前の水分を控えたほうがいいかもしれません。

ちなみに歌舞伎町タワーのトイレは開業直後”ジェンダーレス”を掲げた設計になっていたそうですが、方向性があまりにも見当違いだった故に大大不評を買い結果的に改修工事に踏み切ることになった過去があるらしい。
現在はきれいに整備されているので男女ともに不満は解消されています。

公式あらすじ

1908年のロンドン。ダーリング家の子供部屋。ウェンディ(芳根京子)、ジョン(鳥越裕貴)、マイケル(松岡広大)、そして体の弱い末っ子のトムが戦争ごっこをしながら部屋中を飛び回っている。そこへ両親であるミスター&ミセス・ダーリング(石丸幹二、池谷のぶえ)が子供たちを呼びに来る。家族が揃った姿は幸せそのもの。

その晩、熱を出したトムを医者に診てもらうも、診立てはあまりよくない。やがて皆が寝静まった遅い時間に子供部屋の窓からピーターパン(渡辺翔太)がやってきて、トムをどこかへ連れ去っていった…。

それから1年後のある日の夜、子供部屋の窓が開いて、再びピーターパンが現れる。驚くウェンディはジョンとマイケルを叩き起こし、トムを探しにいくため、ピーターパンたちと一緒にネバーランドへと旅立つのだった。

公式HPより引用>

『ウェンディ&ピーターパン』は、J.M.バリーの名作『ピーターパン』を、ウェンディの視点から描き直した舞台作品となります。原作に登場しなかったウェンディの末弟であるトムが物語を通したキーパーソンに。
原作ではピーターに導かれネバーランドへ向かうウェンディたちが描かれていますが、この作品では突然姿を消してしまったトムを取り戻すためにウェンディたちがネバーランドへ向かうところから物語がスタート。夢や魔法はあれど、家族の喪失と再生が核になっている点が原作と異なるかなと思います。

公演スケジュール

  • 東京公演(THEATER MILANO-Za)
    2026年6月12日(金)〜7月5日(日)
  • 大阪公演(フェニーチェ堺 大ホール)
    2026年7月13日(月)〜7月20日(月・祝)
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キャスト(配役)

  • ウェンディ:芳根京子
  • ピーターパン:渡辺翔太
  • ジョン:鳥越裕貴
  • マイケル:松岡広大
  • ティンク:富山えり子
  • タイガー・リリー:天野はな
  • 海賊 スミー:玉置孝匡
  • ミセス・ダーリング:池谷のぶえ
  • フック船長/ミスター・ダーリング:石丸幹二

山本圭祐(カーリー)、小日向春平(エクストラ・スモール)、富永海仁(トゥートゥルズ)、木村風太(トム)、宮下雄也(ドック・スウェイン)、富川一人(ノック・ボーン・ジョーンズ)、坂本慶介(マーティン・ザ・キャビン・ボーイ)、粕谷吉洋(マート・ザ・バット)

シャドウ:宮河愛一郎(ドク・ジャイルズ/ワニ)、乾直樹(スカイライツ)、小川莉伯、木原萌花、吉﨑裕哉、渡辺はるか

観劇感想/キャスト感想

本編感想

最初にも書きましたが、この作品はミュージカルでも音楽劇でもなく”ストレートプレイ”です。石丸さんが出演されてるので最初歌があるのかと思ってしまいましたが(汗)、実際見てみたら鼻歌シーン以外はすべてセリフ劇でした。

ただ、物語を彩る劇伴(音楽)が本当に素晴らしくて最高でした!ストーリーの世界観にマッチしていたんですよね。空間を優しく包み込むような美しい旋律が多く、劇中何度も心を掴まれウルッとさせられた。

そして舞台セットも可愛らしい。特に目を惹いたのがウェンディたちの寝室。セットというよりも本当にあの場所に部屋が出現したんじゃないかというほどリアルだった。古き良きイギリスの家庭の温もりが感じられたのもすごくよかった。
個人的には寝室奥にある大きな窓とその外に映し出される風景美術がとても好きでした。ピーターパンの登場シーンとしても大きな効果を発揮。現実世界とファンタジー世界との境界線といった意味でも非常に大きな役割を果たしていたと思います。

ピーターやロストボーイズたちが暮らす”ネバーランド”の森を想像させる空間(舞台中央奥に大樹のセットが降りてきたり)や、フック船長たちが乗り込む巨大な海賊船の迫力もすごかった。舞台のほぼ7割から8割を占拠するほどの大きさがあってビックリ。あのセット作るの大変だっただろうなぁ。

それから、やはり「ピーターパン」ということでフライングシーンがとても多い演出だったのも印象深いです。飛ぶシーンがあるのはピーター、ウェンディと弟たち、妖精のティンク。芝居の中でアンサンブルさんたちがさりげなく背中に2本のワイヤーを取り付けるのですが、その手際の良さが素晴らしい。皆さん、お芝居しながらこれやってますからね。
それにしても…太いワイヤーとはいえ、たった2本で浮くうえさらに動きをつけながらお芝居するわけですから、フライングする役者さんたちは大変だったと思います。相当訓練したのでは!?よほど体幹鍛えてないとあのシーンは成立しないはず。ワイヤー設置からフライングまでの一連の連係プレイも素晴らしかったです。

ウェンディやピーター、弟たちにロストボーイズたちはまだ無邪気な子供たちという設定。本来ならば子役さんたちが演じる年代のキャラクターがメインとなっています。それをこの作品は成人した大人のキャストさんたちが演じている
正直ちょっとその光景に慣れるまで時間は要したのですが(汗)、物語に惹きつけられていくにしたがって不思議と少年少女に見えてくるんですよね。役者さんってすごいなと改めて実感させられました。

ストーリーはウェンディの末弟”トム”というオリジナルキャラクターを登場させたことによって、オリジナルとは見え方が違う作品になったのではないかなと思います。原作ではウェンディたちがピーターに導かれるように冒険へと踏み出していくのに対し(←と言っても私はほとんどないよう知らないんですが 汗)、この舞台ではある日忽然と姿を消してしまった愛する弟がネバーランドにいるはずと信じたウェンディたちが半ば強引にピーターについて行くという意味合いが強い。
親はトムの命が消えたことを理解しているのですが、ウェンディや弟たちは誰かに連れ去られてしまったという認識なんですよね(ピーターが瀕死のトムの前に現れて自分の世界へと導いていく描写もある)。

トムが”消えて”から一年経っても母親はその喪失感から立ち直ることができない。父は息子を失った悲しみを抱えながらも社交界などへ顔を出し必死に前を向こうとしているように見えます。妻にも早く立ち直ってほしくて同行するように言葉をかけますが、お互いの意思疎通が全く嚙み合わず険悪な雰囲気になってしまうのが哀しい…。ミスター・ダーリングは妻のことを思いやろうとしてるんだけど不器用だからなかなかうまく伝えられなかったんだよね。
家族の絆が崩壊しかかっていたこのタイミングでトムを連れ去ってから一年ぶりにピーターがウェンディたちの前に現れるわけで(ピーターは一年前に置いてきた影を捜しに来る)。ここが物語の大きな分岐点になったんじゃないかなと思いました。

ウェンディがピーターに弟の居場所を教えてもらいたい一心で「キス」を承諾する場面も印象深かったです。二人にとっての「キス」の形は大人が想像するものとは違っていて。オリジナルの「ピーターパン」を知らなかった私は最初見たとき”???”状態でした(笑)。それほど二人はまだ何も知らない”子供”だったんだなと後から腑に落ちるんですけどね。
この時に登場する”アイテム”が2幕後半に大きな意味合いを持つ展開はグッときました。

ちなみに「キス」シーンは違うパターンで2回あります。2回目のときは二人が精神的に一歩成長して知らなかった感情を受け入れたんだと私は感じました。

ウェンディはピーターと一緒に空を飛んだときは無邪気にはしゃいでいますが、ネバーランドに到着した後はトムを探し出すという大目的を果たそうと必死になる。ところが、弟たちはロストボーイズたちと打ち解けてキャッキャはしゃぐばかりでウェンディが孤軍奮闘していくような雰囲気になっていきます。ピーターはウェンディの存在に興味は抱いているのですが、”永遠の子供”という設定どおり無邪気で相手の気持ちを慮るといったことをまだ知らない状況なんですよね。

ウェンディとピーターやロストボーイズたちのやり取りはハイテンションでポンポン台詞の応酬が続いていく感じ。なんか、小劇場の演劇を見ているかのような感覚にもなったかも(全速力でセリフの応酬が繰り広げられていくシーンとか特に)。
ただ、これがお互いの意思疎通ができない状況で続いていくのは見ていてちょっとグッタリしてしまう…というのは何度かありました(汗)。弟を一刻も早く見つけ出したいという切実な想いのウェンディに感情移入して見ていたというのもあったので、まるで”暖簾に腕押し”状態な彼女が気の毒でねぇ。誰かちゃんと話を聞いてやれよ!!と心の中で何度かツッコミ入れながら見てたのでちょい疲れた(苦笑)。まぁ、そういうところが”子供”という所以なんだろうけれども。子供は純粋である一方、だからこその”残酷”さも持ち合わせてることってありますからね。

ピーターの子供だからこその”残酷さ”が顕著に表れるのが、フック船長ら海賊にウェンディが襲撃される場面。ピーターはフック船長と戦いを繰り広げますが(殺陣のシーンは迫力あり)、それは彼女のためではなかったということが明らかになる。あっさりとウェンディを見捨てるピーターのシーンはちょっと背筋が冷たくなった(怖)。

ところがピーターが油断した隙に事態が悪いほうへ向かってしまう。ピーターはウェンディに対する自分の行動の違和感をあの時初めて感じたのかもしれない。
でも個人的に一番グッと来たのはフック船長の表情。大願成就を果たしたかのように見えたのに、実は本心では違う結末を求めていたことに気づいてしまうんですよね。それがめちゃめちゃ切なくて一気に感情移入させられた。あぁ、そうだったのかと思えた瞬間フック船長が愛しく思えた。

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海賊船に囚われの身となったウェンディは、一緒に囚われ傷ついた友達になったタイガー・リリーのために究極の選択を迫られる。フック船長からピーターの住処を教えるようにと圧力を受けたウェンディはタイガーリリーを救いたい一心で話してしまう。
そのあとウェンディたちは隙を突いて海に飛び込んで脱出に成功するのですが、この時のシャドウ役の皆さんとの連携した動きがとても面白かった。本当に海の波に乗って脱出しているように見えてきましたからね。そのほかのシーンでもシャドウ役のダンサーさんたちの動きが随所で色々と光ってたと思います。

あともう一つ、フック船長と”ワニ”との関係性も面白い。フック船長が片手を切り落とされていることは知っていましたが、ワニに食われたという詳細までは知らなかった(汗)。
この作品の中でもフック船長は随所にワニの存在に脅かされています。ピーターに勝つことへの執念は燃やしてるんだけど、ワニの気配を感じると途端にヘタレになってびくびくしだすのがちょっと可愛らしかったw。

ちなみにワニが近づくたびに時計の音がするのは、時計を一緒に飲み込んでいることに由来するのだとか。いったいどういう状況だったのかオリジナルを知らないので”?”状態だった私(苦笑)。時計はフック船長の老いていく時間を象徴しているとのこと。なるほどなぁ。

ピーターの住処に現れたフックはピーターの相棒でもある妖精のティンクと対峙(ピーターは彼女に隠されている状態)。善戦するものの倒されてしまうわけですが、このシーンの時にピーターと客席との間で”コール&レスポンス”的な演出がありました。ピーターが客席に呼びかけて観てる側が拍手で反応するって感じ。ここは結構盛り上がってましたね。

一度は見捨てたウェンディを助けに行く決意をしたピーターは海賊船へ向かい、それを知らないウェンディは女子(タイガーリリー、ティンクル)3人共闘の協定を結ぶ。「ロストボーイ」はあるのに「ガール」がないのはおかしいというウェンディの意見はごもっとも。たしかにあの無邪気な子供たちの中には女の子いなかったですからね。でもまぁ、ピーターに片思いしてるティンクだけはまだウェンディに心開いてない感じでしたけど(←ピーターはティンクを頼れる相棒としてしか見てくれないからね…)。

そしてあれやこれやテンポよくクライマックスに向かっていき、海賊船でのバトルが華々しく展開。ピーターの登場はちょっと「ライオンキング」のアレと似てたw。
この戦いのシーンは少年漫画のような展開を見せますが、メインキャラの犠牲者が数人出るので結構シビアでした。「ピーターパン」の物語をよく知らないので、”え、あの人もここで…”とけっこうショック受けてた私。ファンタジーのように蘇ることもなく、負ければサヨナラな世界だったのでね。

印象深かったのはピーターが淡々としながらウェンディに自分の過去を打ち明ける場面。ウェンディからすれば胸が痛むようなエピソードなのですが、ピーター本人は特に傷ついた様子もなく、それどころか「嬉しかった」と告げる。まだ成熟しきっていない感情を持っているピーターに何とも言えない気持ちになりました。
その延長線上に、ロストボーイズの真実があったわけで。この事実を知ったときにウェンディは受け入れなければいけない現実を突きつけられてしまったんだろうなと。それがなんだか切なかったです。

トムはウェンディや兄弟たちと感動の再会を果たしますが(ジョンやマイケルとのハグシーンは泣けた)、その時点で彼らとは住む世界が違う存在になっている。無邪気にロストボーイズの仲間に入り楽しそうに遊ぶトム。ウェンディたちはその姿を見てもう彼とは一緒の世界にいられないことを悟ってしまうんですよね…。
トムは永遠に子供のままネバーランドで幸せに暮らす。ウェンディに関心を持っていたピーターもネバーランドにとどまり”こども”のままでいる選択をしますが、彼にはウェンディたちがなぜ自分と同じ道を選ばないのかまだ飲み込めていないように見えました。

”ピーターパン”は永遠に子供のままだという設定は有名ですが、この作品での解釈を見てその意味が少し腑に落ちたような気がした。ピーターがネバーランドにあり続ける理由、ウェンディたちがその場にとどまってはいけない理由、そういったものが最後に説得力を持って迫ってきました。

ウェンディたちが現実世界に戻ってみると、父と母の様子が変わっていることに気づく。1幕では不器用極まりなく自分の気持ちを伝えきれていなかったミスター・ダーリングでしたが、ラストシーンでは妻と数刻会わなかっただけで打ちひしがれていた。2幕冒頭で妻を必死に探すシーンもはさまれていたので、ここの場面はとても自然な流れに想えます。
妻であるミセス・ダーリングも1幕では夫を見限って出ていったように見えましたが、蓋を開けてみればそうではなかったことが判明。なんだかんだで二人はちゃんと繋がっていて、ただ哀しい出来事に直面して意思の疎通がうまくいかなくなってしまっただけなんだなということが分かりホッとした一幕でしたね。

それでもミセス・ダーリングは息子がいなくなったことの悲しみからまだ完全には立ち直れていません。そんな母にウェンディがかけた言葉が本当に感動的で思わずボロボロ涙がこぼれてしまった。ピーターパンと共にネバーランドで冒険を繰り広げたウェンディは精神的にも一歩大人の階段を上ったんだなと。なので彼女も、もうトムにはこの現実世界では会えないことも分かっている。
でも、それだからこそウェンディは母親に”トムの喪失感”を静かに受け入れることの意味を語れたんじゃないかな。「失った人を忘れるのではなく、失った悲しみを忘れていくのだ」というセリフがものすごく刺さって涙が止まりませんでした。一度でも大切な人を亡くした経験がある人にとっては、このセリフはものすごく胸に深く刺さるし前を向けるきっかけにもなるワードじゃないかなと思います。

家族の絆を取り戻したダーリング家が去った後の演出も非常に印象深かったです。

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主なキャスト別感想

ウェンディ:芳根京子さん

ドラマではよく見ていた芳根さんですが、舞台でのお芝居も本当に素晴らしかったです。まだ大人になり切れていない無垢で世間知らずな女の子が、ネバーランドでの冒険やピーターとの出会いによって少しずつ影響され成長していく内面をとてもアグレッシブかつ繊細に演じられていました。何よりもめっちゃ可愛かったよ!!大人の入り口にたどり着こうとする過渡期の少女といった雰囲気もとても良く出ていた。

ピーターパン:渡辺翔太くん

アイドルSnowManとして縦横無尽に活動する渡辺くん。私はあまり拝見したことがないけれど、さすが人気者というだけあって舞台上でもひときわオーラがありました。ピーターパンのフライングをものの見事に美しく魅せていたのもさすが!2本のワイヤーでしか吊るされていないのに、体幹をピシッと維持し”ピーターパン”としての説得力を持たせるお芝居をするのって本当に並大抵じゃない努力があったと思います。
ただちょっと気になったのはセリフの語り方。ピーターは”子供”という設定もあったからだと思うんだけど、けっこうクセの強い話し方で最初はちょっとびっくりしてしまった(汗)。海外映画の外国人吹替の声みたいな感じ?どのピーターもあんな語り口なんだろうか。途中から聞き慣れてきたけど、もしかしたら声の出し方や芝居に関しては少し苦労があったのではと思いました。

渡辺くんは今を輝くアイドルですから彼の出演舞台を観に行けることは貴重です。歌の評判が良いようなので一度ミュージカル的なものも観てみたいとは思うのですが、難しいかな(汗)。

ジョン:鳥越裕貴くんマイケル:松岡広大くん

ウェンディの弟二人はストーリー冒頭から超全速力なハイテンション演技を披露してますので、相当カロリー消費激しいのではないかなと。特にジョン役の鳥越くんはガキ大将的キャラクターで運動量半端なかった!マイケル役の松岡君もジョンに促されるままワーーっと騒いでるんだけど、彼は少し知的な雰囲気も漂わせていて個性があって面白かった。

ティンク:富山えり子さんタイガー・リリー:天野はなさん

「ピーターパン」に登場するティンカーベル(ティンク)といえば、細身でちっちゃい女の子の妖精といったイメージが強かったのですが、このストーリーに登場するティンクは体形がデカくて迫力ボイスでまくし立てる女の子キャラになってて最初見たときビックリしました。富山さんのティンクはとにかくどんなことにも物怖じしないズケズケした雰囲気が最高に面白い(フックについてはビビりでしたけどw)。ピーターとの凸凹なやり取りも彼女が渡辺くんの引き出しを誘引しているようなお芝居もあったりして見応えがありました。
タイガー・リリーの天野さんはとにかくカッコいい女子!って感じ。ピーターパンのオリジナルを知らないのでそちらはどうか分かりませんが、天野リリーはクールで勇敢な男前で見ごたえありました。結末があっけなくてもったいなかったなぁ。もっと生かせるキャラに見えたのに。

海賊 スミー:玉置孝匡さんミセス・ダーリング:池谷のぶえさん

スミーを演じた玉置さんは初演からの続投組だそうです。フック船長にどれだけド突かれても一貫して忠誠を尽くしている姿は滑稽でもあり頼もしくもありました。芝居の随所に”フック船長大好き”オーラが感じられたし、2幕クライマックスでの最後のセリフにも説得力があったと思います。
池谷さんのミセス・ダーリングはストーリーの冒頭とラスト、あと2幕冒頭の数秒間にしか登場しないのですが、確かな存在感を放っていたのはさすがでしたね。やんちゃな子供たちをしっかりと支えるビッグマザーといった感じ。落ち着いた優しさに満ち溢れた一家の大黒柱的な貫禄もありました。家族をとても大切にしていたがゆえに、トムが消えた事件をずっと引きずってしまう姿は何とも哀しかった…。それゆえに、ラストシーンでウェンディから掛けられた言葉に救われていく姿はとても感動的でした。

フック船長/ミスター・ダーリング:石丸幹二さん

石丸さんはウェンディたちの父親であるミスター・ダーリングとネバーランドのフック船長の2役を演じられていました。ミスター・ダーリングは家族をとても大切に想っている優しいお父さんといった雰囲気。石丸さんだからこそ醸し出す温かみもあって癒されました。
そんな彼がトムの事件を機に心のバランスを失っていく姿は何とも哀れで…。特にトムが消えて1年が経ってもなかなか立ち直れない妻を前にして、どう振舞えばいいのか迷宮入りしてしまいイライラしてるお芝居は見ていて胸が痛みましたよ。表向きは社会の体裁を守ると言っていましたが、本心では何とか妻を立ち直らせたいけど方法が分からないといった戸惑いも見えていた。このあたりの芝居のさじ具合が石丸さん、さすがでしたね。

ミスター・ダーリングは妻の姿が見えなくなってから自己崩壊のような状態になってしまって。2幕冒頭で妻を捜す姿が”情けない男”を体現していて人間らしくも哀しい。それが顕著に出るのが2幕ラストシーン。あの時の石丸ダーリングは…意外性があってめっちゃ可愛かった。でもあの時の彼が、本当の姿だったんだよねという説得力はすごくありました。

一方、もう一役のフック船長。ネバーランドで初めて登場した扮装姿を見て…心の中で超テンション上がっちゃいましたよ(笑)。めっちゃカッコいい!!!!想像していた以上に石丸フック船長のビジュアルが最高すぎた!!!プロマイド発売してほしいレベルwww。
フック船長にはいろいろな出来事がありましたが、あのビジュアルを観れているだけでもホント幸せモード全開だった私です(笑)。これまで見てきた石丸さんのキャラの中でも3本の指に入るくらい最高だった。

そんな石丸フック船長でしたが、ピーターと対峙するシーンは非常に人間的でなんだか愛しさすら感じましたね。ピーターとの戦いの中で剣が彼の体を貫いてしまったシーンでの怯えたような表情は特に印象深かった。その後彼はピーターと自分の関係について語るシーンがありますが、あの表情を見ればその気持ちもすごく理解できたんですよね。彼はただの荒くれものの殺し屋ではなかったんだなと。
その後もピーターにとどめを刺そうとすれば簡単にできたのにできなかったシーンもあったりして、いつの間にかフック船長にものすごく感情移入してる自分がいました(石丸さんが演じていることを抜きにしても)。

ウェンディとの会話の中で二人の距離が少し近づく場面もあったりしたので、このまま良好な関係であればいいのにとも思った。それゆえに戦いに敗れていくフック船長のシーンはめちゃめちゃ切なかった…。「ピーターパン」のオリジナルを知らないのでなおさらショックでした。
このあと、パパダーリングとして再登場する石丸さん。ホッとしたけどフック船長にも違う未来を用意してあげたかったなと思ってしまうほど好きキャラでした。渡辺くんとの殺陣も迫力あったしお芝居の説得力も深いし、観に行けて良かったなと思いました。

ワニ:宮河愛一郎さん

フック船長の天敵でもあるワニを熱演されていた宮河さん。ガタイが大きく体の動きもキレキレな方なので、ワニの迫力がめちゃめちゃすごかった!!登場するだけでフック船長じゃなくても観てるこちらまで背筋がゾワゾワッと凍ってくるレベルの怖さがあって。じわじわとフック船長に迫っていく(フック船長は最高の餌として認識してるらしいので)シーンは、時計の針の音の効果も相まってまるでホラー映画のようでした。

そのほかアンサンブル役者の皆さんの熱量たっぷりなアクションとお芝居、そしてピーターのシャドウとしての表現を見事に体現して見せた皆さん、見どころたくさんで本当に素晴らしかったです。

ちなみに、エクストラスモールを演じた小日向春平くんは、小日向文世さんの二番目の息子さんですね。可愛いお芝居が光っていました。

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後述

カーテンコールでは、キャスト全員が音楽に合わせてダンスする楽しい一幕があります。その最後に銀テープが客席に放たれたのですが、私の席にも数枚落ちてきたので記念にいただいてきちゃいました。

カーテンコールはその後も2回くらい続いてスタンディングオベーションにもなったのですが、渡辺くんが3回目くらいの時に客席に向かって苦笑いしながら大きく手で「もういいから」みたいなリアクションしてて。カテコで主演級の役者さんがそういう仕草を見せる光景はあまり見たことがなかったのでちょっと驚いて戸惑ってしまった。あれは恐らく、大勢来ていたファンの人向けにやったものだと思うのだけど(お約束的な??)。まぁ、カテコはだらだら長くやるものではないと思っている私にとっては良かったと思う点もあったんですが。ただ、彼のファン以外の人もあの場にはいるので…そのあたりはちょっと微妙だったかも。

ストーリーに関しては前半から後半にかけて、だいたい7割くらいは小劇場っぽい会話の応酬が続いている感じ(常に全速力みたいな)だったので正直ちょっと疲れたというのはありました。
特にネバーランドのみんなはトムを見つけ出したいという切実な願いをずっと持ち続けていたウェンディの話をまともに聞こうとしない人ばかりでしたからね(トムなんかは途中でウェンディ見捨ててるし 汗)。最後のほうに感動エピソードが組み込まれていますが、作品のテイストとしては…個人的には1回でよかったかなという印象です。テーマとしては「生と死」が根底にある繊細な作品なんですけどね。

ただ、キャストの皆さんはじめカンパニーの熱量は素晴らしかった。私としては石丸さんのフック船長が見れただけで満たされてましたし(笑)。ミュージカルとして見てみたい作品だったかなとは思ったかもです。

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