ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』を観に日生劇場へ行ってきました。
2025年ラブネバ観劇通算3回目になりますw。最初チケット手に入った時は”取りすぎちゃったかな”と思ったのですが、蓋を開けてみれば”足りない…(汗)”という心境にww。
この作品、私的にはすごい中毒性が高いのです。ストプレだったら1度でお腹いっぱいになりそうな内容なのに(笑)ロイドウェバー卿の音楽が加わることでこんなにも魅了されてしまうとは…。足したい気持ちをグッと抑えてのw、14日観劇となりました。
ちなみにこの日はバレンタインデーでしたが、特別何かがあったわけではなく。それでもこの作品そのものが極上のチョコレートのような・・・そんな感じの公演で大満足でした。
『ラブ・ネバー・ダイ』の観劇感想一覧
以下ネタバレを含んだ感想になります。
2025年02月14日マチネ公演 in 日生劇場(東京・日比谷)
概要とあらすじについては以下リンクを参照↓。
上演時間は、休憩・カーテンコールを含み約145分(2時間25分)です。
内訳は、1幕65分(1時間05分)、休憩20分、2幕60分(1時間)、になります。平日マチネの終演時間はだいたい16時00分前後。
キャスト
- ファントム:石丸幹二
- クリスティーヌ:平原綾香
- ラウル・シャニュイ子爵:加藤和樹
- メグ・ジリー:星風まどか
- マダム・ジリー:香寿たつき
- グスタフ:後藤海喜哉
知念紗耶(フレック)、辰巳智秋(スケルチ)、加藤潤一(ガングル)
<アンサンブル>
⻘木美咲希、石川剛、尾崎豪、川島大典、神澤直也、木村つかさ、咲花莉帆、白山博基、菅原雲花、鈴木満梨奈、高瀬育海、髙田実那、⻑瀬可織、光由、村上すず子、安井聡、吉田玲菜
<スウィング>
熊野義貴、小峰里緒
全体・キャスト感想
1幕
♪君の歌をもう一度♪
石丸幹二さんのファントム、本当に見れば見るほど沼る!!!クリスティーヌへの飽くなき愛情が前回以上に押し寄せてきて一気に世界観に引きずり込まれました。今回実感したのですが、ラブネバは石丸さんのクラシカルな超美声を最大限堪能できる作品なんじゃないかなぁと。相性抜群だと思います。だからこそ石丸ファントムが歌う♪君の歌を~♪は何度でも永遠に聴いていたくなる。
ちなみにふと発見したのですが…、ラブネバのファントムって”右利き”なんですよね。たしか『オペラ座の怪人』のファントムは”左利き”という設定だったはずで…w。続編という立ち位置にこの作品があるとしたら、パリからアメリカに渡ってから矯正したんだろうかと思ってしまった(←どうでもいい疑問 笑)。
♪コニー・アイランド・ワルツ♪
音楽もちょっと不気味だし、個性的…というかクセがめちゃ強めのキャラがこれでもかというほど出てくるんですが(笑)、あの、「コニーアイランド、ここはキラキラ光の宮殿」という加藤潤一くんの低音ヴォイスが聞こえてきた瞬間から妖しい世界観に深く惹きこまれてしまいます。スケルチ、フレック、ガングルの3人のパフォーマンスも奇妙奇天烈で不思議ワールド全開なんですが、あの絶妙なバランスパフォーマンスが素晴らしいのですよ。支えてる加藤くんや辰巳くんもすごいし、二人に支えられながら上がり見事なバランスを取ってる知念さんも圧巻!!よほど綿密なお稽古を重ねなければ、あの絶妙なコンビネーションを築くのは難しいと思います。
そしてもう一つの見どころは、コニーアイランドの妖しい世界観が展開されている上の世界も客席に見せているところ。サーカス小屋みたいな施設の頂点の部分にファントムの部屋があって(というか、♪君の歌~♪が終わった後にUFOみたいに部屋が昇ってく)、彼がそこを支配しているのが視覚的にも伝わってくる演出になっています。
これはたぶん、後ろの方から見たほうがその迫力が伝わってくるかもしれません。私は最後列のほうだったので、石丸ファントムの支配者っぷりに心が踊りまくっておりました。
♪あなただけに♪
星風まどかさんのメグ・ジリー、めちゃめちゃ可愛らしいんですよね。キャピキャピっとした笑顔で見ている人たちを悩殺させていくような雰囲気がとても良い。
「オペラ座の怪人」のメグはまだ世間をよく知らない純粋な少女って感じですが、ラブネバで見るメグは少し”軽薄”な印象を感じます。複数回ラブネバを見ていると、あの輝かんばかりのメグの得意げな笑顔がなんだかとても切なく思ってしまうんですよね。
ショーが終わった後に展開されるメグとマダム・ジリーによる♪この10年♪。この二人のやり取りを聞くと、メグがあの場所に辿り着くまでの”黒歴史”が見えてきて胸が痛みます。このシーンの時のマダム・ジリーのメラメラとしたファントムへの執着がけっこう怖い。香寿たつきさんのジリー夫人、ほんと迫力あるんですよ。メグのことを娘として想う気持ちよりも、野心のほうが大きそうだなと感じてしまう。
っていうか、「オペラ座~」では娘のようにクリスティーヌを想っていたはずのマダム・ジリーが「彼女は裏切っただけ!!」と怒りを露にするシーンがめっちゃヤバイww。そんなにも彼女はファントムにのめり込んでいたのかと思うとビックリします(笑)。
あと、メグの複雑なクリスティーヌへの感情が見えるシーンも印象深いです。星風さんはクリスティーヌと再会できる喜びと、それとは違う感情が芽生える気持ちとの間で揺れ動くお芝居がとても繊細に演じられていて素晴らしかったです。
♪クリスティーヌ到着♪
クリスティーヌがラウルと息子のグスタフと共にアメリカの港に辿り着くシーンの演出はとてもドラマチックでワクワクします。写真のフラッシュが焚かれた瞬間にクリスティーヌにライトが当たりクローズアップされるという演出も映像的でいいんですよね。
平原綾香さんのクリスティーヌはもう”貫禄”の一言!!!登場した瞬間から誰もが彼女に釘付けになってしまうほどの圧倒的な存在感が素晴らしいです。初演からクリスティーヌを演じられていますが、その間に培ったオーラがさらに輝きを増して見る者の胸に迫ってきます。
加藤和樹くんのラウル、到着するや否やパパラッチから嫌味を言われまくっててめちゃめちゃイラついてましたw。でも彼らを威嚇する時の和樹くんラウルはとてもカッコいい。態度は上から目線しまくりで印象悪いんだけどw、悪人には見えない。すごく人間的なキャラ。このあたりの匙加減が効いた芝居がとても良いと思います。
突然現れた巨大な馬車で”ハマーンスタインの居る場所”に向かうクリスティーヌ、ラウル、グスタフ。そんな彼らを上の方の桟橋から見つめているファントムといった構図がいい。特にここ、「オペラ座の怪人」の♪ミラー♪のシーンでファントムがクリスティーヌを誘う「ここだ、エンジェルオブミュージック、おいでエンジェルオブミュージック」というフレーズとナンバーがそのまま使われてるんですよね。つまり、オリジナル作品とリンクしてるんですよ。それだけでもワクワクします。
それにしても、ほんっとにこのフレーズ歌う時の石丸ファントム、色っぽいし超美声すぎてドキドキする。短いフレーズだけど、個人的にものすごく心を鷲掴みにされてしまう。
♪なんてひどい街♪
ラウルが「ハマーンスタイン、いないじゃねぇか!!騙された!!」と怒りまくる場面ですが、ここの音程めちゃめちゃ難しそうなんですよね。これ歌いこなしてる和樹くんたち(万里生くんは次回見るけど)、本当に凄いと思います。この激しい旋律の間に、それとは全く違う息子グスタフの「お父様、一緒に遊んで」と頼む旋律が割り込んでくるのですが、このブレンド感がまた聴いていて妙に心地いいんですよね(言葉にするの難しいけど 汗)。激しさと穏やかさが同居してるのに、こんなに心惹かれる旋律になるのは何故なのだろうか。ロイドウェバー卿、おそるべし!!
この場面では、苛立ちが収まらないラウルが思わずグスタフに「いい加減にしろ!!」と叫んでしまってハッとするシーンがとても印象的です。和樹くんラウル、怒鳴った直後に「…あっ…」って絶句して”何やってるんだ俺は”的な罪悪感に襲われる表情してたんですよね。これがなんかすごく哀れで切なくて…。そんな彼にクリスティーヌがそっと寄り添おうとした時も、気持ちの置きどころが分からなくて混乱気味なラウルを和樹くんはとても繊細に演じていたと思います。
ラウルに寄り添う時の母性溢れる平原クリスティーヌも素敵!!あんな愛で包まれたら、そりゃラウルもクラクラってなるよな。寝室へ行こうとしたグスタフを引き留めて一緒に彼の持っていたオルゴールを眺めるシーンも好きです。この時和樹くんラウル、優しいお父さんの顔になってる。あの表情にグッときてしまう。
ちなみにこのオルゴールの旋律は「オペラ座の怪人」の♪ポイントオブノーリターン♪!!なんと心憎い構成!!
♪心で見つめて♪
子供ながらに父親の苛立ちがただ事ではないと不安を感じたグスタフ。そんな彼に寄り添い歌う平原クリスティーヌ、もうほんっとに母性の塊ですよ、あれは!!なんと深くやわらかな愛情…。見ている私も彼女のオペラのような歌声にトコトン酔いしれました。なんだか魔法をかけられたような感覚。終演した後も♪心で~♪のナンバーはかなり長いこと私の頭の中をぐるぐる巡ってましたからね。
もう一つ印象的なのはフレーズかな。「綺麗に見えない出会いでも、心を見つけたらそれが愛よ」とグスタフを諭す歌詞があるのですが、クリスティーヌが長年抱いてきたファントムへの愛情が滲み出ているような気がしてグッときます。この時点でクリスティーヌはファントムがもう死んでしまったと思い込んでいるだけになおさらね…。
♪月のない夜♪
グスタフを寝かしつけた後に突然ベランダの扉からファントムが出現する演出はインパクト絶大。石丸ファントムの立ち姿は美しく圧倒的で思わず目が釘付けになる。その姿に驚いたクリスティーヌが気を失い、ファントムが彼女をそっと介抱するわけですが・・・この一連の流れが『オペラ座~』とリンクしてるというのが心憎い演出だなと。
我に返ったクリスティーヌとファントムとの”攻防”はかなーーり”大人の会話”色が強くなってるので(笑)オリジナルを知っていてラブネバを初めて見る人はビビるかもしれません。石丸さんと平原さんは特に濃厚な大人の世界を感じます。
私はこのシーンを見るたびに、”いったいどのタイミングでそういうことに…”という謎がどうしても駆け巡ってしまいます(笑)。
でもそれより、石丸ファントムと平原クリスティーヌの感情をぶつけ合いながらお互い惹きつけられてどうしようもならない的なやりとりが濃厚で見入ってしまう。石丸ファントムはとにかく”あの時”の自分の”事情”を訴えたくて必死なんですよね。クリスティーヌへの愛情が深すぎたが故に、自分自身を顧みた時に彼女の傍にいてはいけない存在なのだと思い込んでしまったファントム。その苦しすぎる当時の感情が石丸ファントムの歌と表情からこれでもかというほど伝わってきて…切なくてたまらない。
石丸さん、クリスティーヌの前ですごく繊細で脆い表情を見せるんですよ。あんな顔で訴えられたら、そりゃ彼女も「なんで勝手に消えて音沙汰無しのままだったのよ!!」といった怒りが鎮まってしまうよなぁと。
そういえば、少しドキリとした出来事もあったな。平原クリスティーヌが仮面に触れようとしたのをファントムが拒絶するシーン、けっこう仮面が上の方にグイと上がってしまって石丸さんが少し慌ててそれを元の位置に戻してました。もしかしたら取れちゃうかも!?というくらいズレてたので(汗)軌道修正できてよかったです。
♪遠いあの日に♪
平原クリスティーヌの歌い出し「遠いあの日に失ったストーリー」のあまりの美しい高音にさらに酔いが深くなってしまう。それに対するアンサーで「遠いあの日に終わらせたストーリー」と歌う石丸ファントムの柔らかく切ない美しい音色がまた超絶美しい…。お二人ともクラシカルな歌いっぷりを存分に発揮されているので、聴いているこちらは音楽の沼の底まで引きずり込まれ抜け出せない状態になってしまいます。こんな圧倒的なセッションを聴けたことは本当に奇跡的というか…。語彙力追いつかないのでうまく表現できないけど、本当に心底感動しました。
その後にファントムがクリスティーヌに「自分が創った歌を歌ってほしい」と妖しく強引に迫るシーンがあるのですが、ここの旋律が『オペラ座~』でファントムが仮面を剥がされた後に歌う一節なんですよね。それを聴くたびに、劇団四季時代に実現しなかった石丸ファントムを今ラブネバで堪能できてるんだよなぁと感動してしまう私です。
♪懐かしい友よ♪
ファンタズマの舞台裏でクリスティーヌ、メグ、ラウル、マダム・ジリーが再会する場面。このシーンでは美しい四重唱を思い切り堪能できるのですが、展開されているドラマは非常にドロドロしていて不吉な予感が漂っています。
メグとクリスティーヌは再会を心から喜んでいるわけですが、クリスティーヌがファンタズマで1曲アリアを歌うことになっていると知ったメグは不安になってしまう。クリスはメグの複雑な心境に気づかないので普通に友達として接してるんだけど、メグは彼女が介在することで自分の輝きが失われてしまうかもしれない(ファントムの意識を向けさせられない)かもしれないことに心がざわめいてて…。必死に平静を保ってクリスティーヌの前で親友を演じるメグがとても切ない。これ、結末を知ったうえで見るとさらにメグの”背景”が見えてしまって胸が痛むんですよねぇ…。
一方のラウルは不可解な契約書がきたとマダム・ジリーに打ち明けて苛立ってるのですが、そんな彼にジリー夫人があっさりと種明かししてしまうのが怖いww。初めて見た時は”え!??もう言っちゃうんだ!?”とビビったものです(笑)。そんな裏事情を知ったラウルがますます不安定な感情に襲われてしまうのは無理もなくて、なんだかひたすら気の毒に思えてしまった。マダム・ジリー、おそるべし!!!彼女はファントムの関心を引き寄せるためなら手段選ばないんだなと改めて思った。
そんな心の内を隠しながら「懐かしい友達に出会えた」と表で笑顔浮かべて手を取り合ってるわけですが、ラウルの方がよほど苦しかっただろうよと同情してしまいますね(苦笑)。
♪とってもきれい♪ー♪美の真実♪
ファントムの特別室に案内されたグスタフがピアノを弾き語りする場面、ここの旋律も非常に美しい。その姿を見てファントムはグスタフに自分と同じ何かが宿っているのではないかと直感していくわけで。このあたりの展開がとてもドラマチックで見るたびにゾクゾクします。
さらにグスタフの弾く旋律が『オペラ座~』の♪ファントム・オブ・ジ・オペラ♪へと変化していくんですよね。ここでファントムがクリスティーヌを地下室へ攫ったあの場面とリンクさせてくるとは!!それと同時に聞こえてくるギターの音色も超絶カッコいい!!
そこからの、超ロックな♪美の真実♪ですよ!!もう本当にこの場面は毎日でも聴いて浴び続けていたいと思うほど大好きで。毎回血が逆流してるんじゃないかってくらい私の内面が大変なことになってます(笑)。これまでクラシカルな圧倒的歌唱で魅了し続けてきた石丸さんが超ロックなリズムでグイグイ迫りながら歌ってくるんですよね。これがまた本当に堪らない!!!艶っぽいし激熱だし、徐々にグスタフへの”勘”が深まっていく過程のお芝居も繊細で痺れるし、もう全てが最高of最高ですっ!!こんな石丸さんを引き出してくれたロイドウェバー卿の音楽には感謝しかありません。
「受け止めろ!抱きしめろ!見せよう美の正体を!!」の高音がこれまたすごい!!石丸さんのテンションが最大限MAXになった時のあの歌いっぷりは鳥肌以外の何物でもない。
そしてグスタフから受ける仕打ちという展開になるのですが、前回ここでちょっと手こずってた感がありましたが今回はサッといけてよかったです。でもカツラの下はやっぱりさとしさんで見た時よりも”派手”めでww。あれが石丸ファントムの真の姿という事でいいのだろうかとちょっと考えてしまった(かなりてっぺんの毛が立ってるので 笑)。
♪問い詰められて♪
グスタフの悲鳴に慌てて駆けつけたクリスティーヌに「真実を打ち明ける気はないのか!?」と迫る石丸ファントムはとても威圧的で恐ろしいのですが、気持ちが混乱していて彼女にどう接していいのか分からない戸惑いも見え隠れしているところが切ないです。この内に秘めてる”柔らかさ”がジワリと滲んでくるのが石丸ファントムの大きな魅力だと思ってて。なんか知らず知らずのうちに”母性本能”を揺さぶられているような気持になってしまうんですよね。
そしてクリスティーヌから”真実”を打ち明けられた時。その瞬間の石丸ファントムの慟哭がもう本当に切なくてたまらない…!!『オペラ座~』の続編としてこの顛末を聞くと”えぇ!??”となるんですがw、どうしようもなく惹きこまれちゃうんですよね。あの美しい旋律、感極まって泣く石丸ファントムの繊細な演技、彼を優しく包もうとする平原クリスティーヌの母性愛・・・それを目の当たりにしてしまったら、違和感がどこかに飛んで行ってしまいまんまとその世界観に引きずり込まれてしまいます。
で、感情がぐちゃぐちゃになりながら去って行くファントムで1幕が終わるのかと思った矢先に待っていたシーンがヤバイww。最初あれ見た時背筋寒くなりましたからね。え!??なにこのホラー!??って感じ(笑)。香寿さんのジリー夫人のぶっ壊れっぷりが最高でございました!
2幕
♪なぜ僕を愛する♪ー♪負ければ地獄♪
前回公演でこのシーンを見たときはラウルの落ちぶれっぷりにけっこうショックを受けたのですが(汗)、今公演ではなんだかひたすらラウルが哀れに思えて仕方なかったです。クリスティーヌのことを愛しているのに傷つけることばかりしている自分をひたすら悔いてるんですよね…。その苦しい心境を和樹くんはとても繊細に歌っていて泣きそうになってしまう。特に「なぜ、愛する?」というフレーズがほんと切ないのです。
おそらくあの『オペラ座~』でのファントムとクリスティーヌを目の当たりにしてしまってからずっと苦しんでいたのだろうなと。そういう背景が和樹くんのお芝居から見えてくる。だから彼女と結婚した後もその感情と向き合わざるを得なくてギャンブルに走ってしまった、みたいな…。彼の行動は賞賛できるものではないけれど同情の余地は十分ある。和樹くんだからこそ滲み出る”愛情深さ”みたいなものも垣間見えてきたし、すごくジーンときてしまうのです。
♪負ければ~♪での石丸ファントムvs和樹ラウルの対決は非常にスリリングでサスペンス色満載。この日のチケットを取った目的のひとつは石丸さんと和樹くんの共演だったのですが、期待した以上の熱い芝居の応酬が展開されていてゾクゾクしました。この二人のバチバチを見れるのが今回でラストだったのですが、機会があれば次回も実現させてほしいなと思います。
♪水着の美女♪
星風メグのキャピキャピっとした愛らしさが炸裂してるナンバー。あのステージを観た人たちはアイドル的な可愛さに悩殺されまくったんじゃないかと想像できるほどwキュートです。でもそんな彼女の心の内に焦点を当てると、なんだか痛々しく見えてしまう。披露したショーの最後の演出は想像するにメグが考えたオリジナルの捨て身の行動だったように思えるし…。そこまでしてファントムから認められたいという切なる願いがひしひしと感じられ切ないのです。
でもこのナンバーの旋律、めちゃめちゃ楽しくて頭に残る。ロイドウェバー卿は本当に音楽の魔術師だなと思う。
「ちょっとやりすぎちゃったけど彼にアピールできたと思う!!」とメグがハイテンションで戻ってくるシーン(♪ママ、上出来ね♪)。ここでのマダム・ジリーの非情さがホラー!!あの時の彼女は娘の気持ちを思いやることよりも、ファントムの興味を惹くことにベクトルが行っちゃってるとしか思えないんですよね。香寿さんはジリー夫人の狂気を余すところなく表現されていて、背筋寒くなります(←褒めてます)。母親というよりも、黒魔術を操る魔女って感じかなw。
メグはきっとその母親の影響をすごく受けてしまっていて、あの時点では既に壊れかかってたんじゃないかなと…。そう思うとなんとも哀しくなってしまいます。
♪歌う前に♪
ファントム創作の曲を歌う直前の楽屋でのクリスティーヌとラウルのやり取り。ラウルのファントムへの嫉妬心は彼と対決してからさらに激しく燃え上がっているわけですが、怒りというよりもどうしようもない危機感のほうが大きかったような気がします。クリスティーヌに「歌わないでほしい」と懇願するときの和樹くんラウル、もう本当に必死でねぇ。ファントムと”危険な賭け”までしてしまったが故に、どうしてもその勝負に勝たなければ永遠にクリスティーヌを失ってしまう。そんな焦る気持ちがこれでもかというほど伝わってきて泣けた。
対するクリスティーヌはファントムの歌に惚れ込んでしまってどうしても歌いたい気持ちが強い。でもラウルへの罪悪感もあって、一度は彼の言う通り歌わずに一緒にアメリカを去る選択を受け入れようとしてしまいます。そんな彼女の揺れた心を自分に引き寄せるように情熱的なキスをする和樹くんラウルにめっちゃキュンときました。
ところが、ラウルがいなくなった瞬間にファントムが現れてクリスティーヌの心にさらなるダメ押しを図る。ファントムはラウルとクリスのやり取りも鏡の奧からジーーッと見つめてましたからね(ここのシーンはけっこうホラーww)。それ故なおさらラウルへの敵対心が強まってクリスティーヌの気持ちを自分に引き寄せようとする気持ちがさらに高まっている状況。
このシーンの時の石丸ファントムの圧倒的過ぎる歌唱が凄すぎる!!!劇場全体を支配するような圧巻の歌声とクリスティーヌへの果てしない想いが伝わる感情表現。どこをとっても最高級すぎて、あれを間近で聴いてるクリスティーヌは魔法をかけられたように彼に惹き寄せられるのも納得です。ものすごい説得力。平原クリスティーヌの”操られて意識が飛んでる”表情もすごく印象深かった。
このあと、ファントム、ラウル、ジリー夫人、メグ、グスタフによるそれぞれの感情を歌う♪負ければ地獄 カルテット♪になるのですが、あんなにも声が幾重にも重なってるのに聴いている人の心を虜にしてしまう歌唱、ほんとに凄いなと感動してしまう。これは『オペラ座~』の♪プリマ・ドンナ♪のナンバーの感動と同じ感覚ですね。ロイドウェバーの音楽がものすごい難解なので歌う方はものすごく大変だと思うのですが、皆さん実に見事に表現されていてそれだけで圧倒されてしまう。
それぞれの想いが絡まり合うこのシーンで一番切なくてゾクっとするのがメグ。グスタフを連れてズンズン歩いていく彼女の感情はもうどこに向かっているのか分からない。何かに憑りつかれたかのようにグスタフの手を引いていくメグに戦慄を覚えながらもなんだかとても切なくなってしまうのです。
♪愛は死なず♪
2025年版ラブネバでの平原クリスティーヌは今回で最後。もう本当に、一本のクラシックオペラを見たのではと思ってしまうような圧巻のステージングに息をするのも忘れそうになるほどだった。幕が開いてクジャクの羽根を模した背景の前に佇む立ち姿からして一気に惹きつけられてしまう。成熟した大人の女性の深みのある迫力ヴォイス。平原綾香さん、本当に素晴らしかった!!!
そんな彼女を下手からファントムが、上手からラウルがじっと見つめているのですが…、ここはラウルに注目してしまいます。和樹くんラウル、最後の最後まで必死にクリスティーヌに「一緒に帰ろう」と訴えるような視線を送り続けてて泣きそうになってるのですが、彼女はファントムの歌の魅力から抜け出ることがどうしてもできなかった。それを悟った時、和樹くんラウルはとても哀しそうな眼をしながらも少し微笑んで数回首を縦に振りながらその場を去って行くんですよね…。その姿がとてつもなく切なくて切なくて、それだけでもちょっと泣いてしまった(涙)。
あの時ラウルは初めて、本当の意味での自分の中にあるクリスティーヌへの深い愛を自覚したのかもしれないな。だからこそ彼女の幸せを願い身を引いたと…、そんな風に思えて仕方なかった。
♪ああ、クリスティーヌ!♪
歌い終わった後の客席からの拍手はもう本当に凄くて。いくつか「ブラボー!!」の叫び声も飛んでましたね。ここは劇中でのミニカーテンコールのような場面なので、すごい臨場感があって感動的でした。平原クリスティーヌも万感籠った表情で目には涙の筋が…。あの歌を歌いきった直後は、おそらくとてつもない大きな感情が襲ってくるんじゃないかなと思いました。それはたぶん、歌った人にしか分からないものなのではないかなと。
ファントムのクリスティーヌへの愛がこれでもかというほど詰まっていた♪愛は死なず♪。夢にまで見た瞬間に立ち会えたファントムはそりゃもう喜び爆発で。クリスティーヌも改めてファントムへの深すぎる愛情を自覚して。そんな二人が交わす愛の場面(キス)は非常に濃厚な大人の世界。『オペラ座~』ではファントムは彼女のキスに衝撃受けすぎてただ受け身の状態でしかいられなかったから、さぞかし感極まったのではないかなと想像できます。
この時の石丸ファントムのクリスティーヌに対する愛情表現って、すごく母性本能くすぐられるんですよ。もう泣きそうな表情で彼女抱きしめていて…その姿見ただけでジワーっと涙がこみ上げてくる。なぜだかとても愛しく思えるのです。
このあとクリスティーヌはラウルの置手紙を目にするのですが、ここの旋律が『オペラ座~』の♪リトル・ロッテ♪なのが切ない。和樹くんラウルの「残念だ」と言って去る時の哀しく苦しげな無念の表情もグッときてウルウルしてしまった(涙)。
♪お願い、ミス・ジリー♪ー♪そして最後に♪
グスタフがいなくなったと知った時の石丸ファントムの怒りの豹変はけっこう恐ろしい。クリスティーヌに向ける愛情とは真逆のメラメラした激しい怒りの感情が噴出してるんですよね。ラウルが連れ去ったのではと疑ってる時なんか、●しに行っちゃうのではと思うほどの狂気がダダ洩れててヤバイ!!このあたりの落差の芝居がハッキリしているのが石丸ファントムの魅力でもあります。疑われてしまうラウルは気の毒でしかないんですけどね(クリスティーヌへの愛を諦め断腸の思いでその場を去ったことが分かるだけになおさら…)。
ファントムがラウルの次に疑うのがジリー夫人なわけですが、彼女はかなり肝が据わってますw。ファントムから強い疑いの目を向けられ脅されても「なんで私がそんなことすんのよ!!」と食って掛かってる(笑)。この作品の中で一番強いのはファントムじゃなくてマダム・ジリーだなと実感する瞬間でもありますww。
このゴタゴタ展開から衝撃のラストシーンへ。最初見た時は”なんっちゅー展開にしてくれたんだ!?”とビビりまくりましたがww、リピートして見ていくとメグの哀しみが胸に迫ってきてツッコミすることを忘れてしまう自分がいたりします。ジリー夫人は娘の激白を聞いて初めて自分の犯した”罪”を自覚しただろうね…。
そして悲劇が起こるのですが、ファントムにとってそれはとても身を切るような出来事なのは確かなんだけれども、それだけではない”希望”も最後に見せてくる演出に心動かされてしまうのです。石丸さんの涙涙な熱演がもう本当に胸に迫ってきて…、今回ボロ泣きさせられました。思わず抱きしめてあげたくなるくらい愛しく思えて仕方なかったです(涙)。
石丸ファントムを観れるのは残りあと1回。見れば見るほど愛しさが募る…!!本当に石丸さんの当たり役だと思うので、この先もできる限り続けてほしいです。
後述
カーテンコールは他の演目と比べると少ない方ではありますが、客席の殆どがスタンディングオベーションとなってこの日も大いに盛り上がりました。最後、石丸さんの差し出した腕に平原さんが男前な表情でひょいっと絡みついてニコニコ二人で去って行く姿がとてつもなく可愛らしくて萌えましたw。カテコでの紳士的な優しさが感じられる穏やかな笑顔の石丸さん、本当に素敵だなぁとうっとり。
最後に物販について。数日前から2025年版ラブネバのフォトブック(舞台写真集)が発売となりました。パンフレットに載せられないためこういう形になったのかなと思いましたが、中身を見て見るとめちゃめちゃ充実した内容でビックリ!!
ストーリーを追う感じで名シーンが掲載されているので、終わった後もラブネバの世界観に浸ることができます。観劇した人には特におすすめしたい!