ミュージカル『ファントム~もうひとつのオペラ座の怪人~』東京公演 2019.11.21

主なキャスト感想

城田優くん・加藤和樹くん(ファントム/エリック)

城田エリックと和樹エリックとでは受けた印象がかなり違いました。ほぼ別人って感じ。

城田エリックは、子供のまま成長してしまった感がとても強い。ダークゾーンに入っているときはゾクっとするような冷たい雰囲気を出していましたが、ゲラールと会話するときの城田エリックは”わがままな子供”といった感じです。ダダをこねるし、セリフの言い方も少し早口でだいぶ幼い。
残酷な言葉のセリフ一つにしても、城田エリックだとどこか無邪気で可愛らしく聞こえてきて客席からも笑いが漏れたほどでした。

そんな”子供”な城田エリックがクリスティーヌに恋をするわけですが…あれは恋と呼ぶにはあまりにも未熟で、そして危うすぎる。彼女にどんどんのめりこんでいく城田エリックを見てると刹那感がすごくて…壊れてしまいそうで怖くなりました。
それゆえ、あのクリスティーヌとの「事件」の場面での絶望感は見ているこちらのショック度もかなりすごかった…。

和樹エリックはセリフ回しは幼さが残るものの城田くんよりはかなり「等身大の青年」というイメージが強い。”引きこもり”的な感じなんだけど、闇の世界から抜け出したいという願望は人一倍強い印象。この、もがいて苦しんでいる感が大沢エリックのキャラと少し被るところがあったかもしれない。

ゲラールに対しての接し方も感情の起伏は激しいものの、そこに無邪気さはなくてむしろ鬼気迫るような雰囲気が強い。それゆえ、城田くんのところで笑いが起こっていたシーンも和樹くんのところでは水を打ったように静かになってました。その、ギリギリの切羽詰まった心境の中で生きている感がとても痛々しくて切なかったです。

クリスティーヌに対しての惹かれ方は「恋愛」として見れる部分が大きいかも。石橋を叩いて渡るように接していくわけですが、控室での”失恋”を経験してから一気に「誰にも渡したくない」という想いが燃え上がる感じ。城田くんは彼女を自分の半身のように依存したように見えたけど、和樹くんは初めての恋愛に身を焦がすような印象が強かった。

全くタイプの違うエリックだったなぁ。どちらもすごく感動して泣いたけど、個人的には和樹くんのエリックのほうが好みかもしれない。歌の上手さは城田くんのほうが上だと思うけど、キャラ的には和樹くんのほうが私の好みに合う感じ。

カーテンコール、城田くんの時はかなり早い段階でスタオベが起こってました。和樹くんの時は前日にスタオベにならなくて(私は泣いてて率先して立てなかった 汗)。この日のソワレはどうかなってちょっと心配してたら3回目あたりでスタオベに。その光景を見たときの和樹くんの何とも言えないホッとしたような感極まったような表情が忘れられません!!あれでさらに泣いたな~。

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木下晴香さん・愛希れいかさん(クリスティーヌ)

晴香ちゃんと愛希さんのクリスティーヌの雰囲気もかなり違いました。

晴香クリスティーヌはヒマワリのような健康的な明るさとキュートな表情がとても魅力的。若々しくて少しお転婆っぽいところが可愛いんですよね。カルロッタから「畑で育ったの?」と聞かれて「ハイ!」と元気に答える場面もなんか説得力があった。

歌声も芯があってクッキリと響く感じ。爽やかな歌声でエリックが心惹かれるだけのものもありました。

明るく元気な晴香クリスティーヌが後半に行くにしたがって母性のようなものが出てくるところは目を見張るものがありました。女の子から女性への覚醒みたいな過程が胸を打ちましたね。ラストシーンはとても美しかった。

愛希クリスティーヌは明るさはあるんだけど、それよりもすごく品の良いお嬢様的な印象がとても強かったです。元宝塚の娘役さんらしい雰囲気だったかなぁ。彼女の周りにやわらかい空気が常に纏ってる、みたいな。傍に行くだけで癒される感じ。
なので、カルロッタから「畑で育ったの?」と聞かれて「ハイ」と答えるシーンはなんだか違和感すらありました(笑)。

歌声は晴香ちゃんに比べるとパンチ力はないのですが、とても朗らかでまろやか~な印象でした。歌声から母性がにじみ出てる、みたいな。その声にエリックが惹きつけられるのは必然だなという説得力がありましたね。

愛希さんの場合は最初から母性が感じられる雰囲気だったので、ベラドーヴァのシーンの時のエリックを見つめる眼差しがものすごく泣けました。リアル聖母って感じ。温かな愛情に満ち溢れていて、その後のクリスティーヌがエリックを説得する場面につながっていたように思います。

廣瀬友祐くん・木村達成くん(シャンドン伯爵)

廣瀬くんと達成くんのシャンドン伯爵の雰囲気もキャラが分かれていて面白かったです。

廣瀬シャンドンはもう登場してきたときから「ザ・紳士」!立ち姿も美しく、追っかけの女性たちへの扱いもまろやかで気品にあふれた王子。まさに少女漫画に出てくるような理想の王子像を貫いてる徹底した役作りがとても印象的です。

クリスティーヌへの恋心も非常にスマート。♪思いもよらぬ君♪の場面はシャンパンをサッと取り上げて中身をシャって捨てるみたいな(笑)。あまりにも流れるように美しい動きに全然キザに見えないのがすごい。
クリスティーヌへの愛は包み込むような大きさを感じました。すごい安心感みたいなのがあったなぁ。

達成シャンドンはちょっとツンデレ系なお坊ちゃまって雰囲気。追っかけの女性に対するあしらいは廣瀬くんと違ってけっこう冷たく「しつこいなぁ」的な表情浮かべてるのがなんだか可愛いw。ふるまい的にちょっとキザっぽさもあるんだけど憎めない感じ。

♪思いもよらぬ~♪でのシャンパンの扱いはかなりダイナミックw。クリスティーヌの持っていたグラスをサっとさらった後飲み干しちゃってた(笑)。で、そのグラスの扱いですが…廣瀬くんが舞台袖にスマートにサッと放っていたのに対し、達成くんは下手側の高い位置にある手すり台に向かって思い切り投げ入れてた!

けっこうリスクあることするなぁと思って見てたんだけど、2本目のグラスを投げ入れるときにその心配が的中w。思い切り手すりにグラス当たってしまって跳ね返って舞台の奥に落ちてしまうハプニング(笑)。それを見たクリスティーヌが慌てて拾って楽屋袖に投げ入れてたのですが、客席からは笑いが漏れててww達成くんは素知らぬ顔して歌を続けてたけど、愛希さんが客席見て「やっちゃったよね」みたいなキュートな笑顔を向けていたのがものすごく可愛らしかった(笑)。

これ、たぶんバッチリDVDに残ってると思うので楽しみww。

(※追記:どうやらこの日以外にもDVD撮影が入っているらしいので、達成くんの失敗が収まっているかは観てのお楽しみってことになりそうですw)

クリスティーヌへの恋心に関しては、達成くんのほうが萌えたかも。ツン系な王子が恋したと確信してゾッコンになっていく様がちょっと滑稽であり可愛くもあり魅力的でした。

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岡田浩暉さん(ゲラール)

この作品を愛のあるものにしている大きな存在なのが、岡田さんが演じているゲラールだと思います。エリックに対して厳しく接することもありましたが、その根底には必ず彼への深い愛情が随所に感じることができました。その”愛”がとにかく温かくて泣けるのです…!!

一番の見せ場はやはり2幕の♪君は私のすべて♪でしょう。歴代のゲラールを見てきた中で、一番愛情深さを感じさせたのは岡田さんです。
城田エリックに対しては歌いだしが困難になるほど泣いていたし、和樹エリックに対しては頭を撫でて愛情注いでたのが印象的。

ラストシーン、エリックとクリスティーヌの時間が流れる盆の外側で泣き崩れる岡田ゲラールの姿に号泣させられました(涙)。

エリアンナさん(カルロッタ)&エハラマサヒロさん(ショレー)のコンビは相変わらず息がぴったりで、コミカルな二人の掛け合いはこの作品の中のオアシス的存在となっていました。

エリアンナさんが歌う♪私のもの♪の迫力がとにかくすごい。独占欲の塊で取って食われそうな勢い。やりすぎくらいのオーバーな歌い方やアクションが不思議と浮いて見えず圧倒的パフォーマンスとして映るのが素晴らしかったです。

エハラさんはほぼ歌う場面がなくコミカル担当的な存在ですが、衣装係のブケーの亡骸が見つかった後に歌うソロの部分がすごい上手かった。

神尾佑さん(ルドゥ)はほとんど厳しい表情をしているキャラではありますが、ファントムとクリスティーヌのレッスンと同時進行している”カルロッタのオペラ”後の場面でのちょっとコミカルな表情がとても面白いです。「コメディじゃなかったのか!」とまじめに驚いてる傍で部下の警官が「え??」って顔で見返して、それに対して「ん!??」みたいになった時のリアクションが特にかわいい(笑)。

佐藤玲さん(ジャン・クロード)はクールで常にシャキッとした雰囲気ですが、レッスンを受けにきたクリスティーヌに対して優しさが垣間見えるような表情をチラっとのぞかせるシーンがとても印象的でした。パンフレットの写真では男装の女性って感じですが、本編では男性っぽさがなくデキる女性上司みたいな雰囲気が強いですね。役作りしていく過程で変わったのかもしれません。

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後述

奇しくもこの日はマチネもソワレもDVD収録日でした。両バージョンとも自分の観た日が入ることになるなんて嬉しい!(追記:どうやら別日にも収録隊がいたようなので、この日が入るかどうかは不明ということになりそうw)

DVDの予約は劇場で行うと特典として非売品のポストカードがついてきます。料金は代引きになっているので、この日お金を持っていなくても予約できるのがうれしい。

ネットからも予約できます。

和樹ファントムバージョン

『ファントム』BLACK Version: 梅田芸術劇場 - 宝塚クリエイティブアーツ公式ショッピングサイト|キャトルレーヴオンライン
『ファントム』BLACK Version

城田ファントムバージョン

『ファントム』RED Version: 梅田芸術劇場 - 宝塚クリエイティブアーツ公式ショッピングサイト|キャトルレーヴオンライン
『ファントム』RED Version

どちらも鬼気迫るすごい舞台だったので、購入して損はないと思います。ぜひご検討あれ。

21日マチネの後には城田優君と加藤和樹君のWWファントムトークショーがありました。こちらもDVDに収録されるようなのでお楽しみに。

簡単なレポは別記事にて。

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