主なキャスト別感想
田邊真也さん(ベン役)
田邊さんの出演作を最後に見たのはいつだっただろうかと思うほど久しぶりだったのですが、相変わらず若々しくて素敵でしたねぇ。ちょっと四季の発声法が前面に出すぎてるかなと思うシーンもあったけど、タングと出会った後徐々に心を寄せていくお芝居がとても繊細で感情移入しやすかったです。
特に印象深かったのは、エイミーがほかの男性と付き合うと知って思わず号泣してしまう場面。本当に子供のように泣きじゃくる感じで哀しみに暮れていて思わずもらい泣きしてしまいました。傍に一生懸命寄り添い続けるタングとの絆も泣ける。
ひとしきり泣いた後、星のように光る街の明かりをタングと見つめながら生きる意味を見出すベンの姿も感動的でした。
それから、雨の中のダンスシーンもよかった!田邊さんはどちらかというとダンサーというくくりで見ていた時期もあるくらいなので、動きの一つ一つがとてもスマートで美しくキレがあってカッコいい。もちろん歌も素晴らしかった(何か所か少し掠れるシーンもあったけど、全体的にはとてもきれいな歌声を披露してくれていました)。
長野千紘さん・安田楓汰くん(タング役)
タングに命を吹き込んだ長野さんと安田くん。最初なんで操るのに2人必要なのかと思ったけれど、あの細やかな動きは2人だからこそ生み出せたものだったと納得いたしました。後ろが気にならなくなるくらい、”タング”という愛しい存在が舞台の上にいたのです。歩き方、物のつかみ方、どこをとってもすごく自然。
さらにタングは目の形が変わることで色々な表情を見せてくれるのですが、その感情の切り替えも実に絶妙。まさに一心同体。ずっと中腰でいる姿勢も相当きついだろうし、そんな中でセリフや歌もこなして。もう、あっぱれとしか言えないです。
セリフは主に長野さんが担当されてましたが、これがまためちゃめちゃ愛らしいんですわ。で、タングが興奮すると安田くんの男性声も重なってくる。これがまた見事なハーモニーのようで聴き心地がいい。ベンがタングに愛情を注ぐ気持ちがめちゃめちゃ理解できた。カテコのパフォーマンスも”タング”で愛嬌振りまきまくってて本当に最高に癒されました。
鳥原ゆきみさん(エイミー役)
鳥原さんは11年前私が「美女と野獣」に狂ったように通っていた時wwに長い期間ベルを演じられてたんですよね。舞台で見たのは「壁抜け男」以来(この作品も狂ったように通ったww)かなと思うくらいお久しぶり状態だったのですが、あの頃と全然変わらず若々しくお奇麗でした。
最初はバリバリのキャリアウーマンでなかなか前向きに生きられないベンに対して苛立ちを募らせキツい態度をとってしまうのですが、そこに至るまでどれだけ彼女が彼を支えてきたかという背景も見え隠れしていたので仕方ないことだったと納得できてしまう。離婚を切り出した時も、本当はその言葉を言いたくなかったという悔しさがにじみ出ていて切なくなりました。
鳥原さんは、ベンと距離を置いて新しい恋人を作ろうと努力してもなかなか気乗りしないエイミーの心の内をとても丁寧に演じていたと思います。本心ではベンに立ち直ってほしいという気持ちを捨てきれてないというのがひしひしと伝わってくる。
それゆえ、ラストシーンで彼女が選んだ道も自然と受け入れることができた。鳥原さんの演じたエイミーは最初から一貫してベンを想い続けていたように思います。
佐野正幸さん(ボリンジャー役)
佐野さん『オペラ座の怪人』のファントム役から少し遠ざかっているなと思ったら、この作品に出演されていたからだったのですね。RIGに佐野さんがキャスティングされていることをつい最近まで知らなかったので驚いてしまったw。
ボリンジャーは2幕の後半に登場してくるのですが、それまでの間にかなり多くの役で出番あり。セットの転換もやっていたりと大活躍です。アンサンブルを演じる佐野さんを観られるなんて、本当に贅沢な舞台だなって思っちゃった。
個人的には最初の方にも書いたけどパイロット役が最高にお気に入り。グラサンかけてポーズ決めてる佐野機長は本当にめちゃめちゃ濃くてカッコよかったです。
ボリンジャーは最初素朴なおじさんといった雰囲気で登場するのですが、ベンと食事をとり会話をしていくうちにどんどん黒い本性を現してくる。そして、ついに真の目的を不敵な笑みを浮かべながら語るシーンは背筋が寒くなるほど恐ろしかった。あの威圧感はすごい!
佐野さんはファントム役を演じられているだけあって、悪の狂気みたいなお芝居がすごい臨場感あるんですよね。声の出し方一つにしても圧倒的な迫力がある。さすがでございました。
でもそのシーンからすぐ後にベンの亡き父として登場。優しいほほえみを浮かべながら現れたその姿は、直前まで圧倒的な黒い感情をむき出しにしていた人と同じとは思えない!!この演じ分けも素晴らしかったです。
小林唯くん(カトウ役)
小林君は2017年の大阪CATSでスキンブル役として見て以来だったのですが、あの時の印象はあまりなくて(というか、違うところに意識が行き過ぎてしまっていたのでw)ちゃんと見たのは今回がほぼ初めてだったと思います。
めちゃめちゃ良かった!!!いやぁ、本当に魅力的でございました。途中からは胸をときめかせながら見てしまったほどです(笑)。
ベンやタングと真摯に向き合い彼らの気持ちを尊重してくれるカトウはこの物語の中でもかなり重要なキャラクター。最初の方はちょっとお堅い雰囲気のまじめで誠実な青年といった感じでしたが、2回目に登場したときにリジーのことが気になって遠回しにベンに探りを入れてしまうシーンはどこか不器用で可愛らしくてめっちゃ萌えた(笑)。リジーの今のパートナーがロボット犬のカイルだと知った瞬間の「あ…あぁ~~~」っていう崩れっぷりがとにかく最高ww。あれは可愛すぎだろうっ!!
さらに雨のダンスシーンが非常に魅力的だった。過去にはアラジンも演じたことがあるからか(彼のアラジン役はぜひ見てみたいと思っちゃう)動きにキレがあって立ち姿も非常に美しい。田邊さんとのダンスコラボ、素晴らしかったです。
小林くんのカトウは色々と目が離せなくなるほど惹きつけられたのでもう一度見たくなってしまった。今後熱く注目したい役者さんがまた増えて嬉しい。
相原萌さんは、ちょっと突っ走り気味だけど明るくて心が優しいリジーを可愛らしく演じていて好印象でした。ちょっと雰囲気がアナ雪のアナっぽいなと思うところもw。ベンの前で挙動不審になっちゃうシーンとか特に面白かったな。
いつも前向きでカッコいいプライオニーを演じていた宮田愛さん。『ノートルダムの鐘』のエスメラルダがとても素敵な女優さんだったけど、今回はまるで宝塚の男役さんのようなカッコよさがあってとても魅力的でした。
ロジャー役の鈴本務くんはエイミーに一生懸命アプローチをかけながらも、今一歩踏み込めないでいる内気さがにじみ出てるキャラで可愛らしかった。
ダンサーさんもアンサンブルさんもそれぞれレベルが高く非常に見ごたえがありました。
後述
空席も少し目立つ状況ではありましたが、カーテンコールは盛り上がりスタンディングオベーションも起こっていました。タングの自由な動きや表情に田邊さんがちょっと翻弄されることもあったりして、ほのぼのした可愛らしいカテコの時間で楽しかった。あと、小林くんの笑顔もとっても可愛かった。
『ロボット・イン・ザ・ガーデン』本日より広島公演スタート!
ミニチュア“タング”が広島の街を満喫しています。
広島:5/24(火)~27(金)、下松:29(日)、福山:31(火)https://t.co/tunzobl1q5
当日券▶ https://t.co/SjCLC4mRaH
※公演前日19時~開演3時間前まで(劇団四季主催公演のみ)。 pic.twitter.com/7PdHzYp3mG— 劇団四季 (@shiki_jp) May 24, 2022
タング、4日間の広島を満喫したようですね!他の地域でも楽しめるといいな(SNSの写真が可愛すぎだろう~!!)。
決して派手ではないけれど、人とロボットの温かい絆や交流に心が癒される素敵な作品でした。後半ホント泣いたし、私個人としては好きですね。8月末から9月の時期に岡山にもやってくるとのことなので、もう一度足を運びたいと思います。
ツアーは10月まで続くとのこと。長丁場になるので皆さん健康に気を付けて頑張ってください。それから、無事に完走できますように。