4月14日を以て大千穐楽を迎えたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。その2日前に上演回数200回目を迎え、それに伴う特別カーテンコールイベントが盛大に行われました。
200回記念の日程はチケットが発売されるときに告知があったので最初はこの日狙いで抽選に応募。運よく当選して行けることができました。前回は遠方席での観劇でしたが、この日はちょっと奮発してS席、しかも奇跡的に前方席が取れてラッキー!改めて前の方の席に座るとちょっといつもよりもドキドキしてしまいますねw。
それにしても、大阪公演の中で200回記念公演が迎えられたというのが嬉しい。大阪だから観に行けたっていうのもあります。
なお、この日もDVD収録用のカメラが入っておりました!
自分の観た公演が本編含めて全部収録されるって、なんかすごいw。
以下、ネタバレを含んだ感想です。
2019.04.12マチネ・200回記念公演 in 梅田芸術劇場(大阪)
主なキャスト
- ロミオ:大野拓朗
- ジュリエット:木下晴香
- ベンヴォーリオ:三浦涼介
- マーキューシオ:黒羽麻璃央
- ティボルト:・渡辺大輔
- キャピュレット夫人:春野寿美礼
- キャピュレット卿:岡幸二郎
- 乳母:シルビア・グラブ
- ロレンス神父:岸祐二
- モンタギュー卿:宮川浩
- モンタギュー夫人:秋園美緒
- パリス:姜暢雄
- ヴェローナ大公:石井一孝
- 死:宮尾俊太郎
あらすじと概要などについては前回公演感想を参考↓
全体感想
世界中の戦争の映像が背後に流れる中、「死」が妖しく静かに踊るシーンからスタートし、幕が開いた瞬間に近未来の世界での若者たちの激しい諍いが繰り広げられるオープニング。この静から動への切り替えの演出は毎回ハッとさせられるものがありました。
最初の見どころは、やっぱりアンサンブルの皆さんのエネルギッシュなダンス合戦。魂を燃やすような激しさは見ていてドキドキさせられるんですが、それと同時に「みんな若いなぁ」と感慨にも浸ってしまうのでしたw。
さらに好きなのは、キャピュレット家とモンタギュー家のトップ(ロミオとジュリエットの両親)がお目見えする場面。
石井一孝さんが演じる大公に加えて・・・岡さん、宮川さんが顔をそろえるのですが・・・今はもうベテランの域に達しているこの3人がメインキャストとしてミュージカル界を引っ張って行ってた時代を見ているだけに、ストーリーとは違った意味で感慨深い気持ちにさせられました。
ロミオとジュリエットがまだ見ぬ相手を想いながら歌う♪いつか♪。
今回はロミオ役の大野くんが客席から登場するのを目視できてよかったw(前回は2階席で見えなかったので)。で、この日は客席にいる大野ロミオにスポットライトが当たった時に前回はなかった拍手が沸き起こってたんですよね。
トークショーの時に「客席から登場するシーンが今でも一番緊張しちゃう」って大野くんが話してるのを聞いてたので内心ドキドキ度がアップしてるんじゃないか!?ってちょっと心配しちゃったw。また、同じくトークでこの場面を好きなナンバーに挙げてるキャストが多かったので、”今頃舞台袖でウルウルしながら見てるのかも”って想像する楽しみもあったりしましたw。
ロミオに遭遇しながらも置いてけぼりを食らってしまうベンヴォーリオが仲間にメールで捜索願を出した後、しばらくしてからフラフラになりながら戻ってくるシーン。りょんくんのクタクタになってる”芝居”がけっこう堂に入ってるんだけどひそかにマーキューシオに目配せで「察して」みたいに合図してたの可愛かったなw。
そうとは知らずにロミオが倒れてしまったベンヴォーリオに動揺しちゃう場面では「AEDを早く!!」ってなるんだけど、アンサンブルさんがAEDじゃなくて誰かを抱えながら寄ってきててwwそれを見た大野ロミオが「誰だよそれ!」って思わずツッコミ入れてたのが笑えたww。このあと「人工呼吸しなきゃ」って流れになるんだけど、スルーされた大野ロミオは思いっきり床にブチュってなるんですよね(笑)。そんなとこもひたすら可愛くて好きだったよ。
♪世界の王♪から♪マブの女王♪のシーンは、トークショーの時に黒羽くんが「一拍休みが欲しいシーン」って苦笑いしながら語ってたのが印象的だったのでそれを念頭に今回見たんですが・・・、近くで見てみるといかに♪世界の王♪のナンバーが体力を使うかが伝わってきて納得してしまった。全力出した直後にすぐ♪マブ~♪の歌が始まるんですよね、ここ。
でも、苦しい表情見せずにロミオにキャピュレット家の舞踏会を邪魔しに行こうぜって迫る歌と芝居を見せてた黒羽くん。稽古を頑張ったからこそこんな大変なシーンでもそれとは感じさせない芝居ができるんだなって感動してしまった。
舞踏会のシーンはロミオとジュリエットが出会うまでにけっこう細かな動きや芝居が展開されてて毎回「目が足りない」って思っちゃうんですがw、この日は200回記念公演ということもあってかパリス伯爵の前でアンサンブルさんが回すペンライトにある仕込がありました。
いつものようにパリスの前でグルグル勢いよく回してたんですが、なんかよく見てみると文字の残像が見えてるじゃありませんか!私の席からは読み取ることはできなかったんですが、客席で気が付いた人たちからは拍手が沸き起こっていたので200回に纏わる文字なんだろうなって思いました。後から知ったところによると「祝200」って文字が浮かび上がってたそうです。読み取れなかったけどそういうパフォーマンスを見れたことが嬉しかった!
ロミオとジュリエットが初めてお互いを認識するシーン、今回改めて見てみたら・・・レミゼでマリウスとコゼットが一目惚れするシーンとかなり重なるものがあるなって思いました。パーティーの雑踏の中でぶつかった時にお互いインスピレーションを感じて思わず見詰め合っちゃうところなんか特に。レミゼではパーティーじゃなくてガサ入れが入った時の混乱の最中での出来事ですが、シチュエーションはほぼ同じ。この演出はレミゼ意識したんだろうかって思っちゃったw。
ちなみに、ロミオ役の大野くんとジュリエット役のわかなちゃんは朝ドラ『わろてんか』で共演した仲。ドラマの中では興行主と芸人って関係だったので、ロミジュリでは一気にアツアツな恋人関係になったことに感慨深さを覚えてしまった(笑)。だけど、あのドラマが被ることはこの芝居の中では一切なくて(当たり前だけど)それくらい二人ともロミオとジュリエットの役に没頭してるんだなって思えたのは嬉しかった。
でもこの舞踏会のシーンで一番切ないのはティボルトだよなぁ。片想いしてるジュリエットをパリスから守るためにさりげなく彼女をフォローするんだけど、ジュリエットはそんなティボルトの気持ちには全く気付いてなくて逃げることに必死。それでもティボルトはジュリエットのために盾になろうとしてて…ホント健気。
それなのに、パーティーにロミオたちが紛れ込んでいたことを知ったあとに思わずジュリエットに優しく触れて心配してもスルーされちゃうんだよなぁ。このシーンはいつも、ジュリエット!もっとティボルトの方も見てあげて!!って思ってしまう。ジュリエットにスルーされた後の渡辺ティボルトの絶望感あふれる目がすごく印象的で刺さったよ…。その流れで♪本当の俺じゃない♪にいくからめちゃめちゃ切なくて泣けた(涙)。
バルコニーでのロミオとジュリエットの芝居はひたすら微笑ましい。特に大野くんの表情がすごく素直で可愛くてめっちゃ癒されてしまった…っていうか、キュンキュンきちゃったよ(笑)。特に幸せそうな笑顔が本当に良いよねぇ。
特に印象的だったのは最初にジュリエットが聞き逃してしまうプロポーズの言葉を口走るシーン。気持ちが抑えきれなくなっちゃって自然に口から「結婚しようっ!」って言葉が飛び出してしまったっていう感じ。ジュリエットが好きで好きでたまらないんだなっていう想いが痛いほど伝わってきました。
ジュリエットからOKをもらった後の屈託のない素直な笑顔も本当に好きだよ、大野ロミオ。あの表情見るだけで幸せのおすそ分けもらえてる気持ちになる(笑)。ジュリエットへのキスも優しくて温かみがあるよね。
ジュリエットが携帯を持ってないって知った時の「えー!?」っていう表情も、パリスと結婚させられそうだって聞いたときの「あんなやつとっ!」って本気でギリギリしちゃう表情も、どれもすごく素直でホッコリする大野ロミオ。大切に育てられたんだろうなっていうのが伝わります。
ジュリエットの乳母がロミオを探しにやってくる♪綺麗は汚い♪のナンバーのシーン。UFOみたいな大きな帽子を見てベンヴォーリオがマーキューシオに「なんだあれは」みたいにざわつくんですが、木村くんがトークショーの時に「愛知ならではのアドリブやっちゃった」ってコメントしてたので、りょん君はどうすんのかな?とちょっと注目w。
結果、オーソドックスに台本通りで進んでました(笑)。木村くんは結局大阪ならではのネタをぶっこんだのかが気になりますww。
ロミオと乳母が仲間から離れた場所でジュリエットとの結婚式の段取りについて紹介するシーン。ロミオの体形に不安を覚えた乳母が思い切りロミオの腹に一発お見舞いするんですがww、大野くんが「フンッ!!」ってそれを必死に跳ね返すリアクションが毎回可愛らしくて大好きでしたw。
古川くんはここけっこうクールに返してくるんですが、大野くんはマンガチックに「平気だもんっ!」みたいに強がって見せてるのがホント可愛くて癒されるんですよね~。
そして結婚式の場面の♪エメ♪。ここは音楽を聴くだけで気持ちがこみ上げて泣けてきちゃうんですけど、一番グッとくるのは見守るロレンス神父と乳母が優しく見守りながら歌うところ。その視線が本当に優しくて泣けるんですよねぇ…。二人のキスシーンもとても感動的。
それだけに、上から撮影する両家の若者がすごく異質に見えるんですよね。
モンタギュー家にロミオの結婚が一気に広まると反発心を高まらせる仲間たち。このシーンで印象的なのは、ちょっとバツが悪そうにためらいがちに客席から登場したロミオを招き入れるベンヴォーリオ。手を差し出して舞台上に上げるんだけど、その表情はとても複雑ですぐに手を放して背を向けてしまう。
この時のりょん君の何とも言えない悲しさと戸惑いが入り混じった瞳が切なくてめっちゃ泣けるんですよ。すごく繊細な表情してて…言葉にしなくても「ロミオ、なんで僕たちに背いたんだよ!」って悲しい想いが伝わってきた。りょん君、ホント良い芝居するよね。
ちなみに、この時の仲間たちとロミオとのヒリヒリするやり取りの♪今日こそその日♪のナンバーがすごい好きでした。
黒羽くんのマーキューシオはちょっとラリってるような感じで何に対しても刃を剥けそうな危険な雰囲気があったのですが、そんな中でフッと見せるヤンチャな顔が魅力的でした。ロミオのことは兄のように信頼していて…だからこそ憎きキャピュレット家のジュリエットと結婚したことが「裏切り」と感じてしまって悲しかったんだなっていうのが伝わってきて切なかったです…。
マーキューシオとティボルトの対決シーンは何度見ても気持ちがザワザワします。マーキューシオの壊れた気持ちも分かるし、植えつけられた憎しみという感情に苦悩しジュリエットへの想いにだけ救いを見出したいティボルトの想いも痛いほど理解できる。どちらの気持ちも本当に痛々しくて見ていられないのです…。
そこへ争いを止めようとロミオが必死に入るわけですが、その最中にマーキューシオがティボルトに刺し殺されてしまう悲劇。渡辺ティボルトは刺してしまった後自分のやったことに理解が追いつかないような表情で手から離れないナイフを気にしつつ退却していく。マーキューシオは死を前にしてようやく気持ちが解放されるようにロミオへの本心を口にする。どちらも本当に哀しい…。
渡辺ティボルトはマーキューシオを殺してしまったことを頭の中から追い出そうと必死になっているように見えたな。仲間たちと酒におぼれ女たちと遊びに興じていますが、そこにはティボルトの本当の気持ちは見えてこない。
そんな混乱した中で復讐心に燃え周りが見えなくなったロミオと対峙する。でも、ティボルトは人を殺してしまった事実を受け入れられずにいて、あれだけ憎んでいたロミオが目の前に現れてもナイフを向けようとしますがその先に進むことができないんですよね。本当はティボルトってすごく心根の優しい青年なんだなっていうのが伝わってきて切なかった。渡辺くんのティボルトの繊細な部分が見えるシーンでもあります。
それに対してロミオはためらいもなくティボルトを刺し貫くわけで…。あんなに天真爛漫で争いを嫌っていた明るいロミオが!!と衝撃の場面なのですが、だからこそ彼自身の中に眠っていたもう一人のブラックな一面というものがあったんだろうなと納得できたんですよね。
人間の感情って本当に複雑だなと思いました。
大公からロミオが国外追放を言い渡される場面、りょんくん演じるベンヴォーリオが彼を守るように必死に抱きかかえていて・・・まるで弟が大好きなお兄ちゃんを守るみたいな感じでほんと泣けた。
ティボルトを殺してしまったロミオ、大野くんの嘆き方は壊れてしまうんじゃないかってくらいの泣き方で本当に痛々しかった。これまで味わったことのない痛みに耐えかねているかのようだったな。明るく屈託のないロミオという印象が強かったので、なおさら辛くなってしまったよ。
ジュリエットはティボルトの死に対して「あんな優しかった従兄弟のティボルトが!?」って嘆き悲しむんだけど、ティボルトの本当の気持ちには最後まで気づくことができない状況。結局は彼を傷つけてしまっているわけですがそれすらも理解できていない感じ。
しかも、ティボルトよりもロミオの心配に気持ちが動いてしまってますから…ホント残酷だなと。ジュリエットは自分が元凶になっていることに気付いてませんしね。こういった世間知らず的なところがなんとももどかしい(苦笑)。
ロミオとジュリエットが初夜を迎え、そのひとときだけ幸せに浸る。去りがたい気持ちを抑えきれないまま告げる大野ロミオの「さようなら」の言葉が哀しかった…。
ジュリエットは両親から強引に結婚を勧められ、パリスも結婚できると喜ぶわけですが…この時の姜くんの表情がすごく悪どくてww。ジュリエットは結婚しても絶対幸せになれないだろうなって思えた。
パリスと結婚させられそうなジュリエットの気持ちを理解してくれるのはもうロレンス神父しかいなくなってて、最後の手段として一定の時間だけ仮死状態になれる薬をもらう。何度見てもこのシーンで「神父はなぜロミオが泣きながら訪ねてきた時にその提案を思いつかなかったんだー!」って思っちゃいました(苦笑)。このあとロミオに神父はメールでジュリエットの事情を知らせるんですけど、ロミオは追放先の国で携帯をスリに取られちゃうのでね。
っていうか、やっぱりここの場面で「携帯」とか「メール」とか出てきてほしくないなっていうのはやっぱりあるな(苦笑)。舞台の世界から現実に引き戻される気持ちになっちゃうので…。何とか演出変えられないものでしょうか、小池先生。
ジュリエットが本当に死んだと信じたベンヴォーリオが直接ロミオに事実を伝えるシーン。彼はどうやってロミオの居場所を掴んだのかは謎ですけど…(苦笑)そこまでの苦悩はりょん君がすごく繊細に演じてくれていて泣けたなぁ。
ジュリエットが死んでしまったと聞いて絶望したロミオは、薬売りに扮した「死」から毒薬を手に入れる。この時にロミオと「死」によるやり取りがダンスで表現されるんですが…大野くん、歌は本当にすごく上達して素晴らしかったんだけど、動きの面ではちょっと重々しく見えちゃうんだよね(汗)。ここは古川くんの華麗な動きがすごく良かったんだけど。大野くんが惜しかったのはダンスだけ。これが改良されればもっといいミュージカル役者になると思う。
キャピュレット家の霊廟でロミオとジュリエットは永遠の眠りにつきます。その死を目の当たりにした両家の嘆き悲しむ場面は涙なしには見られません(泣)。「二人は愛し合っていたのよ!」っていう母親の叫びからスイッチが入って、そこから先はずっと涙涙でした。
特に、乳母とベンヴォーリオが二人でロミオとジュリエットの手を繋いでやるシーンはグッとくるものがあります。りょん君はそのあと、ロミオの額あたりにそっとキスしますからね…。
哀しい時を経ての両家の若いシーンはとても感動的です。十字架の上の宮尾さんの「死」のリアクションも印象的でした。