タクフェス第7弾『流れ星』大阪公演 2019.12.05マチネ

あらすじ

東京の片隅にある古びた下宿屋「徳秀館」。星野謙作と夏子の熟年夫婦が営んでいるが、2人の間は冷え切っていた。そんなある日、会話らしい会話もなくいつものように出かけた謙作は、出かけた先で突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまう。

それから初七日を終えたある夜、夏子の前に突然、魔法使いだと称すマリーが現れ、夏子の願いを四つ叶えてくれるという。半信半疑の夏子だったが、人生をやり直すため、謙作と結婚をする前の時代にタイムスリップをすることに。

そして夏子とマリーは、1970年、昭和45年へ。
…果たしてマリーの正体は?目的は?夏子の知らなかった事実が、次第に明らかに・・・。

公式HPより引用

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全体感想

DVDもしばらく見ていなかったので忘れている設定もチラホラあった『流れ星』ですが、やはり何年たってもこの作品の魅力は色褪せることがありませんでした。宅間作品の中でもピカイチです。

今回ちょっと意外だったのが、ドタバタコメディのシーンがけっこう多かったことかな。どちらかというと泣いている時間よりも笑っている時間のほうが多かったw。

でも、あれだけ個性の強いキャラクターたちが出てくるのに、しっかりと物語として届いてくることがすごいなと改めて思いました。
強烈な個性のキャラが多い作品だと、そちらのほうに気を取られてしまいストーリーが今一つ入ってこないこともたまにあるのですが、『流れ星』はどんなにキャラが暴走していてもww物語の落としどころにちゃんとハマってくる。

この作品の大きなテーマは”人の想い”。どのキャラにもちゃんとしたエピソードの下地があって、それがまたなんだかとても愛しいのです。

ヨージの兼子に対する報われない想い、兼子の一平に対する一途な想い、ヨウコとボンの愛し合っているようでうまく意思の疎通ができなかった複雑な想い、駒村の夏子に対するほのかな想い・・・など、色々な「愛」の形がこの物語の中にはちりばめられています。

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その中で一番グッとくるのが、夏子と謙作のエピソード
死後すらも思いやることすらできなかった夫の謙作が生前に託していたある出来事を夏子が知る場面は涙なくしては見られません!!夏子の想いが自分には向いていないと悟りながら、彼女をずっと大切に想っていた謙作の”真実”が明らかになるクライマックスが本当に見事としか言いようがない。

そして、夏子の前に突然現れタイムスリップの仕掛人となった魔法使いマリー。
底抜けに明るいキャラでいつもテンションが高いマリーですが、謙作の過去の姿を知るにしたがって彼に感情移入して夏子との恋を応援することになります。そのことが、のちのちになって、クライマックスの大切なシーンの種明かしに繋がっていき、夏子との関係も見事に結びついていくのです。

『流れ星』というタイトルも深い。
魔法使いが願い事を叶えるにあたって「死んだ人を生き返らせる」ことは禁じられていて、それを破ったら”流れ星”になってしまうと劇中なにげなくマリーが謙作に語る場面があります。それを念頭に置いてあのクライマックスを見ると、さらに倍泣けるんですよ…(涙)。そこにもちゃんと”想い”が詰まっていることが伝わります。

この作品は、人が人を想うことの切なさや温かさを正面からしっかりと描いています。そのどれもが優しくて、そして温かい。
物語が進行していく中で後半につながる”伏線”がいくつか張り巡らされているのですが、クライマックスでのその回収術は見事としか言いようがありません。

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タクフェス作品のもう一つの魅力が、アドリブによる予測のつかない役者の表情が楽しめること。今回も宅間さんがきっかけになっていくつか面白い場面が展開されていたのですが…そのなかでも誰も予測できなかった事態がこの時に起こりました(笑)。

ちらほらSNSの感想で「ダンカンさんが暴走してる」っていうのを目にしていたのですが、たぶん、この日のやつが今までの中でもかなり強烈だったと思いますww。
宅間さんのいたずら心でアドリブに対する激しい追及を受けたダンカンさんww。迷走に迷走を重ね、最後の手段に走った一発ギャグが…ゴミ箱を頭にかぶって「虚無僧」(笑)。

ところが、このゴミ箱がリアルに頭から抜けなくなってしまって予想外の大騒動に発展www。もう、この時の舞台上にいた宅間さんやまりえちゃんたちの混乱っぷりが面白すぎて・・・舞台観ながら涙流して腹抱えて大笑いしたの初めてだったかも(笑)。思い出すだけでも吹き出しちゃうww。
危機を脱した後もダンカンさんのマイペースな暴走っぷりが止まらなくて、宅間さんが涙流して笑いながらツッコミ入れててもはや収集付かない状態にwww。もう、いろいろ、あれはすごかった(笑)。伝説になったと思うよ、この日のダンカンさんw。

それを見事に物語へ戻すセリフを挟んで軌道修正したまりえちゃん、ナイスプレー!よくあれを戻せたよ、すごいよ、ほんと(笑)。

笑って、笑って、ちょっとしんみりして、笑って、そして後半に大いに泣いた2019年版『流れ星』でした。

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主なキャスト感想

田中美佐子さん(夏子)

今回初めて舞台でのお芝居を観たのですが、まずは年齢を重ねても変わらないあの可愛さと若さに驚かされました。喜怒哀楽の激しい役ということもあり、いろんな表情をとてもチャーミングに魅力的に演じられていてたくさん感情移入させられました。

リアクションもかなり派手で、タイムスリップして中冨先生におもわずダイブして抱き着いちゃうシーンは可愛すぎて思わず笑ってしまった。あと、「ジャーーー!!!」と抱きつきに行っちゃうのもめっちゃ可愛かったな(笑)。

そんなチャーミングな夏子が、謙作の真実を知って泣き崩れるクライマックスは本当に感動的でした。特に、ラストシーンでの一言は涙なくしては見れませんでした。

飯豊まりえさん(マリー)

ここ最近、ドラマでよく見るようになったまりえちゃん。アフタートークの時に「影のある役のほうが多い」って話してたけど、私としては「マジで航海しています」というドラマでのめちゃめちゃテンションが高い明るいキャラが印象深かったので、今回の役柄もそれと近いなぁという目で見てました。

舞台経験はまだ多くないと思うので、セリフの間や話すタイミングなどちょっと違和感あることもあったけど、それでも、あの太陽のような明るい笑顔はとても魅力的で舞台映えするなぁと思いました。ハイテンションでいつも明るかったマリーがふとした瞬間に見せていた柔らかい表情も印象深かったです。

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若き日の夏子を演じた柳美稀さんは、ハスキーな声がチャーミングで誰に対しても明るい笑顔で周囲を癒していた雰囲気がとてもよかった。謙作にだけは出会いが最悪だったためツンツンした態度でいたけど、日を追うごとに彼を理解し気持ちを寄せていく様が自然で見ていて温かい気持ちになりました。

ヨージを演じた富田翔くんは色黒メイクにボンバーヘアが特徴的なキャラでしたが、パンフレットで素顔を見るとかなりのイケメくんビックリ(笑)。それだけあのメイクとカツラが強烈ってことか。でも、キャラ的にも突き抜けてて謙作の舎弟として存在感があったと思います。
特に、兼子への失恋で大号泣していたお芝居は見ているこちらも思わずもらい泣きしてしまうほど切ない気持ちにさせられました。

ボンを演じた冨森ジャスティンくん、最初に登場した時の扮装が”ジョン・レノン”風だったんだけど…めっちゃ似ててビックリした(笑)。その風貌でおバカな発言したりしてたのでそのギャップに何度も笑わせてもらいました。

強烈キャラといえば、兼子を演じたニッチェの近藤くみこさんと、駒村を演じた若林元太くん
近藤さんが演じた兼子の、あの、何とも言えない妖怪のような喋り口と神出鬼没の亡霊のような雰囲気は一度見たら忘れられない(笑)。若林君が演じた駒村はとにかく頭の血管が切れないか心配になってしまうようなしゃべり方やリアクションが多かったのが印象的。
二人とも、よくあんな強烈なキャラを演じきったと思うよ!!インパクト絶大だった。

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謙作を演じた宅間孝行さん、大阪公演では「足が不自由」という設定になっていましたが、公演中に怪我をしてしまったとのことで急遽そのように台本を変えたのだそう。足を引きずりながら歩く場面もあったりして、設定変えたとはいえちょっと心配にもなったけど…でも、そんなことを感じさせないくらいのパワフルなお芝居で終始魅了されました。

若い頃の謙作は借金の取り立て屋をやっていたこともあってちょっと粗暴なキャラなんだけど、子分のヨージのことを大切に想っていて彼が失恋した時には一緒に涙ぐんだりする優しい一面がある。口は悪いけど、本当の心音はとても優しくて温かい。
宅間さんは、そういった外見とは違う内面をとても繊細に丁寧に演じることがすごく巧い役者だと思ってます。その内面からにじみ出てくる優しさがこれまたジーンと沁みるんですよ…!

それゆえに、一見すると晩年の謙作とはキャラが変わってしまったかのように見えるけど、実は根っこの部分は変わってないんだなって思える。初めて夏子に一目惚れをしたあの瞬間から、謙作は不器用にも一途に彼女のことをずっと見守り想い続けていたという説得力が宅間さんの芝居から十分すぎるくらい伝わりました。

劇中でアドリブ仕掛けて楽しんでる宅間さんも好きだし、愛情あふれる心の琴線に触れるようなお芝居をする宅間さんも好き。最高のエンターテイナーだと思ってます。

後述

号泣した後のカーテンコールではありましたが、再び写真撮影OKとなりました。

最初に整列した段階では、宅間さんはダンカンさんの見た目が変わっていることに気が付いていないようでww、ちょっと神妙な表情をしていました。

ところが…ダンカンさんがマイクを持って一歩出たところで気が付いて…www

作品の世界から一気に現実世界に引き戻されたかのように笑いが止まらなくなる宅間さんwww。この二人によるカテコのやり取りにまたまた爆笑させられてしまった(笑)。

でも、最後はきっちりと感謝の言葉を込めてあいさつする宅間さん。

素敵な時間を本当にありがとうございました!!

で、この後アフタートークショーもあったのですが…「ここで話したことはSNSなどに書かないでね」ってことだったので割愛させていただきます。ほぼ質疑応答という形式で進んでいましたが、大阪の皆さんかなり積極的に手を挙げてましたね。いろんな話が飛び出して面白かった~。

終演後のロビーでは、物販コーナーに越村さんとダンカンさんが登場!「売れ残ってる」と嘆いていたグッズがその効果で「飛ぶように売れております!!」とテンション高かった(笑)。さらに、ダンカンさんはサイン&ツーショット撮影までしてくれるという出血サービスまで!!
カテコで「ゴミ箱は被るものじゃない」という名言を残して大爆笑されてましたがww、体を張った一発芸、しかと目に刻みました!どうぞお大事にしてください(汗)。

最初から最後まで楽しさ満載のタクフェスでした!!『流れ星』またいつか再演してほしいな。

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