『ジーザス・クライスト・スーパースター in コンサート』大阪公演 2021.07.31

主なキャスト感想

マイケル・K・リーさん(ジーザス・クライスト役)

2021年の1月のコンサートが初来日だったとのことですが、私はJCSコンが初めましてになります。韓国系アメリカ人のマイケルさんはとても若々しく見えるのですが、実は私と同い年であることを知ってビックリ!!ラミンよりも年上だったとは…!!あの若さは花總まりさん級の驚きですw。さらにアメリカの名門大学の医学部出身というのも衝撃です。

マイケルさんのジーザスは、2年前にジーザスを演じられたデクラン・ベネットさんとはタイプが違い、どちらかと言うとクールな印象が強かったかもしれません。民衆に対する時やユダに対する時の感情表現は爆発的なものはなく、彼らの感情を受け止めるサンドバッグ的な存在に見えることが多かったです。どちらかというと四季版で馴染みのあるジーザス像に近かったかもしれません。
ただ、それゆえに感情を爆発させるシーンはものすごいインパクトで度肝抜かれました!特に♪Gethsemane(ゲッセマネ)♪はヤバい!!!これまで抑えつけていた本心が一気に弾けたかのような衝撃でその歌声に震えましたね。

あと、シャウトする時の歌い方が実にパワフルです。デーモン閣下の鉄壁のシャウト歌唱と同じレベル!それを芝居の上で表現するわけですから、まさに最強クラス。あの歌声を浴びることができて本当に幸せでした。

ラミン・カリムルーさん(イスカリオテのユダ役)

数か月前に来日して隔離生活を送りながらも舞台が中止になって日本を離れざるを得ない経験をしていたラミンさん。それなのに、再び困難な状況の日本に来てくれたこと(しかも隔離生活ありで)、本当に感謝の気持ちしかありません!!しかも大阪でラミンの姿を観れるなんて…めちゃめちゃ嬉しかったです。

2年前のラミンのユダはとにかくパワフルで圧倒的で見ている私の心のバクバクが止まらないといった感じでした。今回もその気持ちは全く変わらず。常に筋トレして鍛えていることもあって、無敵の歌声は圧巻以外のなにものでもない。どんなキーの音も、全速力でグワーーっと聞かせてくれるあのパワー…最高です!!ものすごく心揺さぶるんですよね、ラミンの歌声って。

さらに今回のユダは前回とは少し違って苦悩するシーンが多めだった印象があります。パワーだけでなく、小さく縮こまってしまう場面も増えていて、その姿がまた何とも言えないくらい切なく哀しいのです(涙)。ジーザスへの自分の熱い想いが届かないことへのどうしようもない苦しみが痛いほど伝わってきて本当に泣けました。
こういった繊細な表現と、感情を解放したパワーあふれる表現とが見事に演じ分けられていて…やっぱりラミンは唯一無二のスター役者さんだなぁと改めて思いました。

あと、ヘアスタイルもめっちゃキュートだったなぁ。ラミン自身はワイルドなのに、お団子型に上に結んでると可愛く見えちゃうというw。ホント、罪な方だ(笑)。

ラミン、いつも日本を愛してくれて本当にありがとう!!また日本で会いたいです!!

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セリンダ・シューンマッカーさん(マグダラのマリア役)

セリンダさんも今回が初めましての女優さん。オランダ出身の方で主にロンドンを中心に活躍されているそうで、「オペラ座の怪人」のクリスティーヌ役など様々な大きな役を演じられているのだとか。とても奇麗な方で歌声がとても美しかったです。

2年前のマリアの印象は字幕の影響もあってめちゃめちゃ情熱的な女性というイメージが強くドキドキしながら見たのですがw、今回は字幕の内容も緩和されたこともあってw清楚な女性というイメージが強かったですね。前述しましたが、四季版のイメージにかなり近い印象だったかと。

でも、清楚でありながらもセリンダさんの歌声は柔らかいうえにしっかりとした”芯”があって、マリアのジーザスに対する恋心が着実に見ているこちら側に伝わってきました。
特に♪I Don't Know How to Love Him(私はイエスが分からない)♪のナンバーは感動的。こんなにも自分が彼のことを愛していたのだと気づくマリアの気持ちがとても切なくて泣けました。こういった感情表現が随所に見られて本当に素晴らしかったです。

藤岡正明くん(ヘロデ王役)

2年前の成河さんのヘロデはクセが強くパワフルな印象が強かったのですが、今回の藤原君のヘロデはそれに加えてコミカルさが増した感じでめちゃめちゃ楽しませてもらいました。

ヘロデは2幕(本舞台では後半)の1回きりしか光が当たらないのですが、コンサート版では出番が終わるまでずーっと舞台最上階端っこに居続けるのでずっとテンションを保っていなければならない、実は大変な役どころだと思います。
藤岡くんは出番がなく光が当たっていない間もずっと何かしらのリアクションしてて、ついつい目がそちらに向いてしまうこともしばしば(笑)。特に面白かったのは♪Hosanna♪シーン。民衆と同じリアクションを取っていたり、鉄骨に足を乗せながらリズムに乗せてたり、ソワレでは途中でコート被って寝落ちしたりと様々で吹き出しそうになることも(笑)。

そしていざ出番となる♪King Herod’s Song♪は圧巻!!これまでじっとしていた分、弾けっぷりが最高潮で、「ハロー、大阪ーーー!!」と叫んだり、ソワレではカヤパの手を掴んで一緒に手を振らせたりとテンションMAXで実に面白かったww。
歌いっぷりもコミカルで弾けまくっているのですが、ローテンションのままのジーザスに苛立ちグワっと苛立ちをぶつけるシーンはゾクリとするような怖さもありました。とにかく1曲のなかにすべてをぶち込んだような藤岡くんの存在感が素晴らしかったです。

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宮原浩暢さん<LE VELVETS>(カヤパ役)

宮原さんがミュージカルを歌う姿を見るのは『笑う男』以来で本当に久しぶり。歌には絶対的な安定感がある方なので、本当はもっとミュージカル作品で観たいくらいです。

カヤパ役は登場した時の声のキーが低音MAXまでいくんじゃないかってくらい低いのが印象的で、歌唱的にもとても難しいと思うのですが…、最初に宮原さんの歌声を聴いて、実に美しい低音が響いてきたのでとてもビックリしました!どこから声が出ているんだろう!?ってくらいの素晴らしさ。一気にその世界観に惹きこまれましたね。

さらに姿勢も美しく立ち姿がとても映えていたのも印象的です。終始威厳のある表情で静かにジーザスを威嚇している感じで、海外のスター役者さんと並んでも全く違和感を感じませんでした。

柿澤勇人くん(シモン役)

このところ目覚ましい活躍を続けているカッキー。歌声も存在感も見るごとにパワーアップしていて今回のシモン役も楽しみにしていました。

シモンは♪Simon Zealotes♪という激しいソロがあるのですが、想像していた以上に声に張りがあってがっつりパワフルに歌い上げていたので正直とても驚きました!!民衆たちを扇動してジーザスを熱狂的に信仰するシモンの激しさがビシビシ伝わってきましたよ。
カッキー、いつの間にあんなすごい歌声を身に付けたの!?と衝撃を受けるレベル。そこに至るまでめちゃめちゃ頑張ったんだろうなぁ。今後の彼の舞台を観るのがとても楽しみになりました。

ロベール・マリアンさん(ピラト役)

コンサート版のピラトも出番は少ないながらも前半からずっと舞台の上に存在しています。藤岡くんのヘロデが色んなリアクションをしていましたがw、ロベールさんのピラトは静かに”その時”を待っているかのような美しさがありました。

ピラトはジーザスと初めて対面した時点では彼のことを「奇妙な青年」程度にしか思っていないのですが、民衆に煽られたうえに自我を貫くジーザスの姿を目の当たりにして大きく心が揺れてしまうとても人間くさい部分が見える役です。
ロベールさんは2年前にも見ているのですが、今回はまたさらにピラトの心情を繊細に表現されていて心打たれる場面が多かった。

一番衝撃的だったのは、鞭打ちシーンの後です。それまで比較的冷静さを保ってきたピラトがジーザスの頑なな態度に気持ちを大きく乱される場面。最後の最後は特に圧巻で、まるでピラト自身が無実の罪で裁かれているかのような哀しさが全面に現れててめちゃめちゃ泣けました(涙)。その時の歌いっぷりの感情の爆発力がとにかくすごい!!まさに魂の叫び声のよう。体中に電気が走るほどの衝撃でした。

アーロン・ウォルポールさん(アンナス役)

大きな体で迫力の低音を響かせてくれるアーロンさんのアンナスは今回も健在です。宮原カヤパがシュっとしたイメージなので、アーロンさんのアンナスの体の大きさや迫力がすごく際立って見応えがありました。

素晴らしい歌声を持っていながらも、あまり前に出過ぎずカヤパを立てるような存在感だったのもとても印象的でした。

テリー・リアンさん(ペテロ役)

ジーザスを慕って共にいる時には熱狂的に歌う熱い男といった印象があるのですが、ジーザスが逮捕されるときに「漁師に戻るといい」と告げられた後から消極的に転じてしまうペテロ。その瞬間のテリーさんの「え…」といったような表情がとても印象的でした。

そしてジーザスの予言通り3回「彼のことを知らない」とシラを切ってしまい裏切る形になる場面。ペテロの人間的な弱さが伝わってきて逆に痛々しい。そのあとマリアと一緒に歌う♪Could We Start Again, Please?♪の歌声は切なく美しかったです。

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後述

大阪のカーテンコールも大いに盛り上がり、マチネでは何度も舞台に出てくるなかラミンが最後に「時間がもうないからごめんね」みたいなリアクションをしていたのがとても可愛かったw。
みなさん、思い思いに日本のファンに感謝の気持ちを表してくれていて、手でハートマークを作ったり投げキスしてくれたりとサービス満点!そして充足感溢れる表情をしていた日本人キャストの皆さん、全てが素晴らしいカテコでした。

上演するにはあまりにも酷な環境下ではありましたが、そんな中でも日本に来て素晴らしいパフォーマンスを披露してくださった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです!!まさかの再演、しかも2年前に願った「大阪公演」の実現、本当に嬉しかった。

世の中が安心して観劇できるようになる世の中になった頃、隔離生活をせずに舞台に立てる時がきたら、またぜひ来日して素晴らしいJCSの世界を見せてほしいと思います。

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