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ミュージカル『レ・ミゼラブル』東京公演 2025年2月5日ソワレ感想 飯田洋輔×石井一彰

2024年‐2025年公演ミュージカル『レ・ミゼラブル』を観に帝国劇場へ行ってきました。

昨年始まったばかりの頃はまだもう少し先の話…と思っていましたが、あっという間に帝劇ファイナルウィークに突入してしまった。本当に年月が経つのは早い。私はTHE BESTを予定に入れなかったので、現在の帝国劇場で観劇するのは今回が最後になります。
関西・中国地方を転々としていた10年間は帝劇から遠ざかっていましたが(その間は梅芸がメインだったので)、観劇を趣味とする私の出発点となった場所なのでとても感慨深いものがありました。その現・帝劇最後の作品の舞台に飯田洋輔くんが立った…。もうそれだけで胸いっぱい(涙)。

2月の『レ・ミゼラブル』は帝国劇場ファイナルウィークということで、お値段が高めに設定されていまして(汗)。それでも洋輔くんの帝劇ラストは見届けたいという一心で…清水の舞台から飛び降りる想いでwwチケット確保いたしました。
今回は久しぶりの2階席。思っていたよりも舞台から近く感じられたし、前を遮るものがなく全体を見渡せる良席でした。帝劇最後に上から劇場全体を見下ろす席からの観劇…というのもいいものだなと。

帝劇の思い出などについては後半で触れようと思いますので興味がある方は覗いてみてください。

ちなみに、本編感想に続けて私のただ熱いだけの推し語りがありますw。あしからず。

以下大いなるネタバレを含んだ感想です。

※過去の『レ・ミゼラブル』観劇の感想記事あり〼

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2025年2月5日ソワレ公演 in 帝国劇場(東京・有楽町)

主なキャスト

  • ジャン・バルジャン:飯田洋輔
  • ジャベール:石井一彰
  • ファンティーヌ:昆 夏美
  • エポニーヌ:清水美依紗
  • マリウス:中桐聖弥
  • コゼット:水江萌々子
  • テナルディエ:六角精児
  • テナルディエ夫人:谷口ゆうな
  • アンジョルラス:岩橋大
  • ガブローシュ:アッカヤ陽仁
  • リトルコゼット:内夢華
  • リトルエポニーヌ:鞆琉那

男性アンサンブル

増原英也(司教)、丹宗立峰(工場長)、菊地 創(バマタボア)、深堀景介(グランテール)、杉浦奎介 (フイイ)、石津秀悟(コンブフェール)、島崎伸作(クールフェラック)、新井海人(ジョリ)、中村 翼(プルベール)、藤岡義樹(レーグル)、大津裕哉(バベ)、増山航平(プリジョン)、土倉有貴(クラクスー)、田川景一(モンパルナス)

女性アンサンブル

白鳥光夏(ファクトリーガール)、般若愛実(買入屋)、石井麻土香(かつら屋)、三島早稀(マダム)、横山友香(宿屋の女房)、五十嵐志保美(カフェオーナーの妻)、西村実莉 (病気の娼婦)、大泰司桃子(鳩)、北村沙羅 (あばずれ)、笠行眞綺 (身代わりの妻)

概要とあらすじ

概要は2019年公演時の記事参照

あらすじは公式HPに詳しく載っているので以下参照。

私の書いたミュージカル「レ・ミゼラブル」解説記事もよろしければ併せてご覧ください。

上演時間は1幕90分(1時間半)休憩25分2幕70分(1時間10分)。合計約185分(3時間5分)です。ただし、カーテンコールの時間によっては少し左右されると思います。

平日ソワレの終演時間は予定通りに行けば21時05分前後。ファイナルの終演時間は21時20分頃だったかと思います。

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全体・キャスト感想

今回は飯田洋輔くんに焦点を当てた観劇だったのですが(笑)帝劇楽を迎えるキャストさんも多かったのでより固い絆で結ばれたカンパニー感が出た非常に熱い舞台だったと思います。2階席からだと奥行きまで見えるので、1階席からは気づかなかったシーンもちょいちょいあって面白かったです。

以下、記憶に残ったシーンについていくつか振り返りたいと思います(そこそこ長いのでご注意を)。

♪囚人の歌♪

上から見ると囚人たちいかに過酷な環境で労働を強いられているかがより強く伝わってきます。もうみんな息も絶え絶えって感じで本当に痛々しかった。
ちなみに、前回発見したバルジャンが「主よ、殺してくれ」と歌ったあと倒れそうになる囚人を奮い立たせて(監視に見つからないように)オールを持たせる演出ですが、洋輔くんも同じリアクションをしていましたね。いつからこういう演出つけられたんだろう。細かいかもしれませんが、私はここかなり萌えポイント高いです。

そしてようやく会えた石井一彰くんのジャベール!!彼が最初にジャベに選ばれたと知ったときには驚いたのですが(勝手に演じるならマリウスかアンジョの印象を強く持っていたので)、どのようなキャラクターになるのか想像がつかず、今回見れるのをとても楽しみにしていました。

ちらっと噂には聞いていましたが、石井ジャベはこれまで見てきたキャラとはかなり趣が違っている印象が強い。バルジャンに仮出獄許可証を渡す場面、今まで見てきたイメージだとバルジャンを見下したように見えることが多かったのですが、石井くんはバルジャンに対して他意がないように思えたかも。
「盗人、強盗」と罵る言葉はぶつけていますが、高圧的ではなく純粋な”職務”として許可証を淡々と手渡している…みたいな。自分の中にしっかりとした”正義感”があって、その崇高な使命を自分は果たすのみという確固たる信念を強く感じました。清廉潔白な石井ジャベール。これが見事に物語の中で凛とした存在感を放っていて非常に目を惹きました。

そして・・・、歌声がめっちゃキレイで上手い!!!石井くんの舞台を見るのは2018年の『アメリ』以来だったのですが、ここまでがっつり彼の歌声を聴いたのは初めてだったのでとても驚き感動しました。こんなにもすごい歌唱力を身に着けたとは!!ここまで来るまですごい努力を重ねたのだろうなと思います。
私は石井くんがデビューした頃から何度か彼の出演作を見てきましたが、それほど強いインパクトはなくてどちらかというと物足りないなと思うことが多かったんです。そのあとアンサンブル的な役柄を重ね、お!?と思ったのが『宝塚BOYS』に出演した頃。ドラマ『科捜研の女』にも2015年からずっと蒲原刑事で出演し続けて着実にお芝居もステップアップされて。色んな経験を経てこんな素晴らしい役者さんに成長されたんだなと思うとなんだかすごい胸が熱くなってしまいました。

昨年以来の昆夏美さんのファンティーヌ。昆ちゃんファンテはファクトリーガールが冷やかす通り「澄ましたお嬢様」といった雰囲気がしっくりくるなという印象がありました。ほかの工女たちとは一切関わりを持たず、苦しい生活ながらもプライドは捨てずに生きているといった孤高の女性といった感じかな。
ファクトリーガールに手紙奪われて叩かれたあとも、それに逆上して叩き返すようなことはしなくて。あくまでも手紙を返してほしいと詰め寄るだけといったリアクションをしていたのも印象的でした。

♪夢やぶれて♪

昆ちゃんファンテの歌いっぷりから、彼女のものすごい揺れ動く心情が伝わってきて本当に切なかったです。愛した人が戻ってくると想いたいけれどそれが「愚かな幻」であることも悟ってて。それでもペンダントを見つめ泣きそうになりながら「待ち続けてるわ」と必死に奮い立たせるように歌っている姿には胸打たれるものがありました。

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♪ラブリィ・レイディ♪のシーンは新演出になってから女性たちの悲惨な状況がより色濃く見えるようになって居た堪れなくなります…。彼女たちがいかに乱暴に扱われていたのかがすごい伝わってくる。
その傍らで、昆ちゃんファンテがどんどんボロボロになっていくわけで…。娼婦の波止場にたどり着いたときはもう全てを失ってしまったかのような悲惨さがにじみ出ていて悲しかったです。このあたりの演じ方も昆ちゃん上手い。

馬車を持ち上げるバルジャンを見て”もしや”と疑念を強める石井ジャベ。彼にとっては、「仮出獄許可証を破り捨て逃げた」バルジャンの行動は絶対に許せない出来事なんですよね。法律に逆らった行動なので。そのことに対する静かな怒りが沸々と燃えているのがあのシーンですごく伝わってきました。
石井ジャベは目の前にいる市長がバルジャンなのでは?と疑念を抱くタイミングが他のジャベより早い印象がありました。でも疑ってはいるのだけれど確証が持てなくてそれ以上踏み込めないといった忸怩たる気持ちが滲んでた。このあたりの表現力も石井くん、上手いなと思いました。

召される前にコゼットの幻を見るファンティーヌのシーン。昆ちゃんの今際の際のお芝居が繊細すぎて、本当に天に召されてしまうのではとハラハラしてしまうレベル。愛する娘コゼットの幻を見つめながら微笑んでいる姿が痛々しすぎてねぇ…。バルジャンの腕に抱かれる前に苦しそうな唸り声を一声出していたのも非常にリアルで悲しかったです(涙)。

♪宿屋の主人♪

谷口ゆうなさんのテナルディエ夫人、最後に見たのは2017年だったのでもう8年近くにもなるんですねぇ。最初に観たのが2013年でしたが、あのときはまだあまり強いインパクトがなかった。それを経て…谷口テナ夫人、めっちゃ凶暴ww(褒めてます)!!モリクミさんもすごい迫力だと思ったけど、谷口さんはそれ以上に語気が強くて、リトルコゼット・・・よくここまで生き抜いてこれたなと感心してしまうくらいw。

六角精児さんのテナルディエ。前回公演のときから演じられているとのことですが、コロナ禍で中止になって見れずじまい担っていたので今回が初めましてです。
まず驚いたのが、六角テナルディエがかなり”おじいちゃん”キャラだったことですw。これまでどちらかというとオヤジなんだけどギラギラしていてどこか若々しい雰囲気の方が多かったのですが、六角さんはけっこうなおじいちゃんに見えて。そこまでのお年ではないように思ったのですが、あの枯れ方がなんだかすごい個性的だなと思いました。泥棒技はまさに”熟練の味”といったところで面白かったですw。

♪ベガーズ♪の場面で登場するガブローシュ。今回初めましてのアッカヤ陽仁くん、とてもハキハキしていて歌詞の一つ一つが聞き取りやすかったのがとてもいいなと思いました。

アンジョルラス役の岩橋大くん、目力がさらに強く荒んだ世の中を自分が戦闘になってなんとかしたいという静かな闘志に燃えていたのが印象的です。

中桐聖弥くんのマリウス、登場したときはアンジョルラス率いる学生たちの革命運動に積極的でかなりやる気に満ちた雰囲気。これが後半変わっていくのが彼のお芝居の面白いところです。

清水美依紗さんのエポニーヌは今回が初めまして。マリウスにふざけて近づく場面とか、すごく無邪気なんですよね。この時点ではライバルがいないからか、自分の秘めた想いがいつかは届くといった希望も感じられる。「分かってないのね」と歌うときもムスッとしてるんだけど、次があるからいいや的な印象がありました。でもこの時点では明るさというよりも暗さのほうが勝る感じだったかな。エポニーヌの鬱屈した部分がにじみ出ているようでなんだか少し痛々しくもあったかもしれない。
ちなみに、清水さんは3月に公開される映画『ウィキッド』のグリンダの吹替担当に決まりましたよね。エポとの違いをどう歌うのか興味があるので、ぜひ見に行きたいと思います。

施しにやってきたバルジャンとコゼットを騙すためにテナ夫妻が芝居する場面。これまで見てきた感じだとけっこうコミカルに演じる方が多かったのですが、谷口さんと六角さんはスタンダード的な感じで笑いは起こってなかったです(私の周りでは、ですが)。ジャベをからかいながらも逃げちゃうテナのシーンも、六角さんは「ひぇ〜」と逃げるだけで小細工なしでした(笑)。

♪星よ♪

これまでレミゼでジャベのソロ♪星よ♪を聴いて迫力に圧倒されることはあっても泣くことはなかったんですよね。ところが今回、石井くんのジャベの熱唱っぷりを見て…自然と涙が溢れて仕方ありませんでした。このシーンで初めて泣いたよ…!それくらい、彼の演じるジャベールは高潔で美しく、そしてなぜかとても儚く悲しく見えた。
あと、歌声が本当に美しくて繊細で…。石井くん、ここまでの歌唱力を上げるまでどれだけ頑張ったんだろうと想ったらそれだけでもグッときまくってしまって(涙)。あまりパッとしないなと思う時代も観てきたので、なんというか、感慨もひとしおでございました。

コゼットに一目惚れしたあとの中桐マリウスの恋愛一直線モードはいつ見ても本当に清々しいほど可愛らしい。彼女のことが頭から離れないといった興奮が手に取るように伝わってきます。あんなマリウス見たら、エポニーヌはどうにも介入できなくなるよねっていう説得力がすごい。
清水エポはマリウスが全く自分の想いに気づく素振りがない絶望感にどんどん押しつぶされていって、表情がどんどん暗くなっていくのがとても痛々しいです。もどかしさとイライラは彼に向けられつつ自分自身にも向いている感じ。

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♪ア・ベ・セー・カフェ♪

岩橋アンジョは相変わらず学生一人ひとりによく目配せができていてきっちりとコミュニケーションを取っている印象が強いです。みんなそんな彼を信頼しているしついていきたいとテンションが上っている。そんななかでグランテールだけは異色の存在を放っていますが、どこかでアンジョルラスに思いとどまってほしいといった気持ちが透けて見え得るような気がしました。

中桐マリウスはカフェに来たときもコゼットへの恋愛に浮かれまくっていて顔がニマニマしてるw。興味津々な仲間に”聴いて聴いて”って積極的に恋バナ市に行ってるのが可愛くて仕方ない(笑)。
岩橋アンジョはそんなマリウスに弟を見るような眼差しを向けていたのが印象的でした。ここで嫌悪に似た気持ちを出すアンジョもいますが、岩橋くんは彼の気持ちも理解してくれてるように見えたんですよね。「マリウス、わかるけれど」というフレーズがすごく自然に聞こえました。その上での説得ですから、マリウスがアンジョに従う気持ちになんとか切り替える事ができたのかもなと思った(でもそのあと机に戻ると仲間に恋バナしようとしてるんだけどねっw)。

ラ・マルク将軍が亡くなった報を知ったあとの岩橋アンジョの目の輝きはすごかった。カリスマ性がある。学生たちの熱気も最高潮で今すぐにでも革命で戦えそうな雰囲気。
そんななかで一人離れた席に寄りかかり複雑な表情を浮かべる中桐マリウス。コゼットともう会えなくなるかもしれないという不安に押しつぶされそうになってるのが切ない。そしてグランテールは熱狂の輪の中にいるガブローシュを引き離してる。ここのドラマもなんだかとても切ないです。

♪民衆の歌♪でアンジョルラスを中心とした学生たちが町に繰り出すときも中桐マリウスは気持ちがそちらに切り替えられてなくて、必死に奮い立たせながら彼らのあとに続いていたのが印象的でした。
グランテールはガブローシュの手を引いて保護者のよう。列には加わっているけれど積極的には関わっていない感じだった気がします。でも彼も今の世の中を変えたいというアンジョルラスの志に賛同する気持ちはあると思うんですよね。

♪心は愛に溢れて♪

コゼット役の水江萌々子さん、前回見たときよりも一目惚れしたマリウスへの気持ちの高ぶりが感じられてとても良かったです。歌声も安定していてきれい。門の外を覗いに行くときに少しキャピっとした足取りで向かっていたのも可愛らしかった。

エポニーヌに感謝するときの中桐マリウス、今回は清水エポの体を抱きしめたあとぐるぐると回して喜びを爆発させていてびっくりしましたw。それだけテンション爆上がりだったってことだね。
これに対してエポニーヌは嬉しいはずなのにその気持が自分に向い

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ていないことも悟ってるわけで非常に苦しい心境。清水エポの表情がどんどん苦悶に満ちていくのがなんだか見ていられないくらい辛かったです。

水江コゼットと中桐マリウスのラブラブっぷりは癒し系。熱いながらも穏やかな愛が育まれていくんだろうなと思えてちょっとほっこりしました。

テナルディエ一派の襲撃場面、六角テナルディエのエポニーヌに対する仕打ちはこれまで見てきた中でも特に怖かったかもしれない。娘を娘とも思っていない所業というか(汗)。見ててゾクッとした。

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2幕冒頭でバリケードを築こうと息巻いている学生たちの前にジャベールが現れる場面。今公演からジャベの変装がかなり学生寄りになったと思っているのですが、石井くんジャベは見事に周りに溶け込んでいて最初どこにいたのか分からないレベルでしたw。「昔は俺も戦った」というフレーズの信ぴょう性もすごい…っていうか、石井君デビューがレミゼのフイイなので見ていて”うん、そうだったね”と密かに頷いていた私です(笑)。

清水エポニーヌの♪オン・マイ・オウン♪、ルミーナさんの時と同じように”怒り”や”苛立ち”の感情が表に出た歌い方をしているなと思ったのですが、清水さんの場合はマリウスに対してというよりも想いを伝えられない自分自身へ向けた怒りのように感じました。ものすごく辛い苦しい恋をしているんだなっていうのがストレートに伝わってきて思わず涙ぐんでしまったよ(涙)。

バリケードの学生たちは岩橋アンジョルラスを先頭に皆すごくよくまとまっていて、コゼットへの恋愛に意識がいっているはずのマリウスでさえ戦闘意欲に満ち溢れてました。岩橋アンジョは常に学生一人一人にまっすぐ向き合ってる感が出ていて頼もしいです。
そこへ変装したジャベがやってくるのですが、石井君、ここでも見事な同化っぷりで本当に”味方”みたいに見えるw。学生たちに嘘の情報を伝える時もクールに熱心に説明してて、今まで見てきたジャベのなかでも特に”演技派”だなと見入ってしまいました。あれはみんな騙されるのも納得です。ガブローシュに正体を見破られた後もあまり暴れる素振りはなくて淡々とした感じ。動じない石井ジャベのなんと美しかったことよ…!

マリウスを庇って撃たれてしまうエポニーヌの場面。あれ、出てくるタイミング難しいだろうなと今回思いました。2階席からの観劇だったので、ジャストタイミングで清水エポが飛び出してきて中央にいた中桐マリウスを突き飛ばしてたのすごいなと感心してしまった。
♪恵みの雨♪でマリウスの腕に抱かれながら、ようやく笑顔を見せた清水エポ。胸抉られるような辛い恋から解放されていくように彼の温もりのなかで穏やかに消えていく命が儚くて…。中桐マリウスはだんだん弱々しくなっていく清水エポを目の当たりにして涙ながらに彼女の”声”を必死に聴こうとしている姿に胸打たれ泣きました(涙)。エポが事切れた後、そっと額にキスをする仕草も繊細で哀しいです。エポを失った後の中桐マリウスは本当に消耗しきっていてとても痛々しかった(涙)。

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バリケードでバルジャンから逃げるように説得されている時の石井ジャベは本当に混乱している感じ。今まで信じてきた自らの正義が目の前でガラガラと音を立てて崩れていくように彼の表情がどんどん壊れていってた。
そして、ロープを切られて外へ出る時、まるで亡霊のようにフラフラと消えていったのもすごく印象深い。石井ジャベの感情が既に破壊されてた。バルジャンと出会わなかったらエリートとして自分の正義を貫き立派な警官になれていただろうに、と思うと本当に気の毒でたまらなかったです(洋輔くん目線で見てるはずなのに、石井くんのお芝居にも魅せられて気持ちが非常に忙しかった 汗)。

♪共に飲もう♪の場面、学生たちが意気盛んに盛り上がるなか「死など無駄じゃないのか!?」と一人疑問符を投げかけるグランテール。その言葉を聞いてバリケードから駆け下り彼の胸ぐらを掴んで睨みつける岩橋アンジョルラス。この二人の熱さがすごくいい!!
岩橋アンジョはグランテールの胸ぐらを掴んでいたけど、彼の気持ちも痛いほど理解できてしまっていたからか最後は苦しげな表情で手を放してバリケードに戻って行ってましたね。グランテールに自分の内側に隠している弱さを見透かされたような気持になっていたんじゃないかなと思うと切なくて仕方なかったです。

バリケードの最後の戦い、ガブローシュの犠牲の場面は涙無くして見れません!!外へ出たガブを学生たちが必死に呼び戻そうとしてて…。その声の一つ一つが泣けるんですよ…。さらに銃声が響いて一瞬絶望感が漂った時のグランテールの「ガブローーシュ!!!!」という悲痛な雄叫びがもう…思い出しただけで涙が出る(泣)。
さらに印象深いのが、上ってきたガブローシュが撃たれる瞬間。ようやく上ってきた彼に学生たちは「早く隠れろ!!」と必死に促すんだけど、結局その声は届かずに倒れてしまって…。その小さな亡骸を手にしたときの岩橋アンジョの何とも言えない絶望と恐怖心が手に取るように伝わってくる。ガブをグランテールに呆然と託した後、その場にへたり込んでしまってたし…。隣にいたマリウス(?)に抱きかかえられてようやく立ち上がってたな。

その流れからの決断。岩橋アンジョは叫ぶのではなく、もう魂があの世へ向かっているかのようにユラ~ッとした雰囲気でこのフレーズを歌ってましたね。それがもう哀しくて哀しくてねぇ…。そしてマリウスが倒れたのを目撃した時に完全に”生”を手放した岩橋アンジョ。そんな彼の気持ちを汲んだかのように近づいて抱きしめたグランテール。この二人がもう激熱の関係すぎて号泣させられてしまった(涙)。

砦が落ちた後にやってきた石井ジャベはほとんどもう正気を無くしている感じ。バルジャンを捕らえるという執念だけが彼を動かしてる。ガブローシュの亡骸に対しては触れることを一瞬ためらってじっと見つめた後、彼の目を閉じさせてすぐにその場を離れていました。

下水道での六角テナルディエはとにかく怖い。コミカルっぽい雰囲気は全然なくて、ただ欲に目がくらんだジジイって感じ(←褒めてます)。六角さんは他のキャストに比べると歌唱力という点で少し落ちるのですが、そのぶん、不気味な存在感を放っていて目が離せなかったです。

バルジャベ最後の対決場面は本当に痺れました。石井くんジャベ、もう、現れた瞬間から精神崩壊してしまっていて…バルジャンを捕らえるという執念だけが彼を動かしてる。洋輔くんバルはそんな彼にありったけの力を込めて「マリウスを救いたい」気持ちをぶつけていて…。石井バルはバルジャンの勢い、というよりも、目の前に死にかけているマリウスを目の当たりにして慄きながら「よし!バルジャン!!すぐ行くのだ!!」というフレーズに繋がっていたように見えました。
バルジャンへの執念ももちろん強かっただろうけど、それよりも目の前で弱っている人を助けなければという使命感のほうが勝っていた感じだったな。基本的に石井ジャベって”凛とした優しさ”が垣間見えるんですよね。だからすごく感情移入しやすい。洋輔くんバルジャンとだったら、こんな形で出会わなければいい関係になれたかもしれないのにと本当に思いました。

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♪ジャベールの自殺♪

バルジャンを目の前で逃がす形になってからの石井くんジャベはもう全ての支えを失ったような感じで、本当に見ていて痛々しかった。彼の目の前にはもうなにも写っていない状況だったんじゃないかな…。見えていたのは暗い闇だけ、みたいな。「逃れたい、早く!ジャン・バルジャンの世界を」というフレーズの説得力が半端なかった。信じてきた正義感が粉々に砕け、自分で自分を追い詰めて、結果”この世”のどこにも居場所を見出すことができなくなった悲劇を石井くんは見事に体現していたと思います。清廉で繊細で美しく哀しいジャベール、本当に素晴らしかった。

女性たちが砦が落ちた後に小さなランプを地面に置いて追悼する♪犠牲者たち♪の場面。2階席から眺めると、ランプの明りが儚く消えていった学生たちの魂のように見えて泣けました。
その後ろから足を引きずりながら現れるマリウスの♪カフェソング♪。これまで見てきた中で一番深い哀しみと喪失感を漂わせているように見えた中桐くんのお芝居にグッときましたね…。その後ろに並ぶ学生たちは1幕ラストの♪ワンデイモア♪の隊列と同じような形で並んでる。個人的には以前までの横並びのほうが好きなのですが、一人一人地面に置かれた明りを手にして吹き消す演出はとても感動的で良いなと思います。

♪宴会乞食♪の場面、六角テナと谷口夫人の振舞いは、これまで見た中でもかな~りガサツでお下品(←褒めてますw)。あと、バイトで登場のアンジョ給仕さんがけっこう早い段階でいたことを発見。前回ちょっと見逃していたらしい自分w。ぐびぐびグラスを空ける谷口夫人を前にビビッて慄いてる岩橋くんがめっちゃ可愛くて萌えました(笑)。

魅力的なキャストさんたちによる熱演の連続で(特に石井一彰君)目がいくつあっても足らない状態に陥ってましたw。最高のカンパニーでした。

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飯田洋輔くんの感想

劇団四季を退団してから1年、洋輔くんのジャン・バルジャンを帝国劇場で見れたこと、本当に感謝。最初に観たときは感極まりすぎて最後は記憶が飛ぶほど号泣してしまったのでw、今回こそはもう少し冷静に最後まで見届けようという気合いで行きました(笑)。本編中めちゃめちゃ泣いたけど、でもちゃんと最後のシーンまで見届けることができましたよ。なんとかww。

今回見て強く感じたのは、洋輔くんの”役者として生きていく覚悟”。昨年観た頃よりもさらにジャン・バルジャンと同化しているように見えて仕方なかったです。
四季時代はストプレを経験していないので歌を主流とした演技を見ることが多かったのですが、この日観たら、”芝居”のなかに歌がある演じ方していたんですよね。きっちりちゃんと歌っているけれど、どちらかというと”セリフ”としてバルジャンの人生を語っているといった感じ。それが本当に胸熱すぎて…貪欲に新しい世界で色々なものを吸収して進化し続けているんだなと思うと涙が止まりませんでした。

以下、洋輔くんのお芝居で感じたことをシーンごとに振り返っていきます(ここもちょいちょい長いですのでご注意を)。

♪囚人の歌♪

舞台が暗いので2階席からだとオペラグラスをガン見してもなかなか表情まで分かりづらいのですが(汗)、イガグリ頭で必死にオールを漕いでる姿にグッと来ました。
石井ジャベールは威嚇するタイプではなかったため、仮出獄許可証を渡されるときの洋輔くんバルの狂犬っぷりがとても際立っていたように思います。昨年見たときよりもめっちゃやさグレてたよ!!あの荒れっぷりがすごく新鮮。

娑婆に出たあとの「今こそ自由だ」の歌い方がもう…自由への喜びに満ち溢れていて思わず”あぁ、よかったねーー!”って叫びたくなるレベル。彼に見えているであろう「明るい世界」が見る側にもきっちり伝わってきたのすごいと思った。
世間の冷たい風にさらされ荒んでいく芝居もすごく丁寧に演じてたな。宿屋を断られた時点で完全に世間を敵視してしまう姿が悲しい。そんな彼を優しく招き入れる増原さん演じる司教様。その慈愛に対して驚くんだけど、銀の食器を盗むときには罪悪感とかなくて警察に捕まった時点では「ちっ!!」と言わんばかりに床を叩いて悔しがってましたw。

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♪バルジャンの独白♪

司教がバルジャンのカバンに銀の食器を入れてあげるシーンのとき、洋輔くんバルジャンは「そんな事するのやめてくれ」と言わんばかりに泣きそうな顔してその手を止めようとしてました…。この表情が本当に切なくて観てるこちらが泣いた(涙)。司教の優しさに触れたことで自らの罪悪感に目覚めていくお芝居も非常に繊細。そこからの「なんということをしたのだ俺は!!」という歌いだしに入っていくので、バルジャンの後悔がより鮮明に伝わってきて胸が詰まりそうになっちゃったよ(泣)。

罪悪感に押しつぶされそうになりながら、苦しんで苦しみ抜いた果てに司教の慈愛に報いる道を選ぶバルジャン。洋輔くんの魂の絶唱にこみ上げる涙を堪えることができず嗚咽寸前に号泣しました(涙)。本当に本当に凄まじい独白だった。そんなお芝居を見れたこと、本当に嬉しかった。

マドレーヌ市長になった場面。工場で騒ぎが起きているときに駆けつけるわけですが、工場長の目をしっかり見つめながら「君が解決したまえ、おだやかに」と説得してる姿が印象的でした。洋輔くんバルジャン、相対する役柄に対してものすごく真摯に向き合ってるんですよね。
一方、ファンティーヌに対しては顔を見つめながら「彼が解決してくれるから」と言わんばかりの表情を浮かべるんだけど、急いでいるからか彼女の訴えを聞くことができず立ち去ってしまう。あのとき急ぎの用事がなければ彼女の声を聞いていたのではないかという雰囲気を醸し出していたのも印象深かった。

波止場でぼろぼろになったファンティーヌに再会した場面。射るような眼差しでファンティーヌから激しく詰め寄られたときの「私がした!?」と衝撃を受けたときの洋輔くんバルジャンが切ない…。立ち直って新しい人生を生きていたはずが、気づかないところで助けを求めた人を突き放してしまったことを痛感してすごい後悔してるようだった・・・。まるで謝罪するかのように「どうしたなら助けられる」と後ろから昆ちゃんファンテを抱きしめる姿にグッときた。

馬車を持ち上げる場面は、以前見たときよりもバルジャンの力持ちっぷりがリアルに伝わってきたと想います。助けられたフォーシュルヴァンが「あなたは聖者だ」と感謝するときも、彼の顔をしっかり見つめて助けを呼ぶんだよね。

ジャベと別れたあと激しく葛藤する場面。前回見たとき以上に激しく揺れ動くバルジャンの気持ちが鮮明に伝わってきて泣けました。特に迷いに迷った末に「この魂すでに神に渡して」と名乗る決意をするときの歌いっぷりの迫力がすごい!!バルジャンの生き様や覚悟が痛いほど伝わってきて、裁判所で焼印を見せるシーンなどは本当に胸震えました(涙)。

ファンティーヌの今際の際に立ち会う場面。腕を掴まれたあと彼女を見つめる眼差しのなんと温かいことか!!ファンティーヌの最後の願いを聞き入れるシーンでの「守ろう私が」というフレーズもすごい真摯に覚悟をもった表情で歌ってた。ファンテが彼を信じるに至るだけの説得力があったと思います。
その温かみ溢れたお芝居は洋輔くんの人柄からにじみ出るものだとも思ってて。改めて、彼がバルジャンを演じるのは必然だったんだろうなと胸熱くした私です。

石井ジャベとの対決シーンは非常にスリリングでした。ファンティーヌとの約束を何が何でも守りたいのだというバルジャンの思いがひしひしと伝わってくる。「頼む、3日の猶予を」の歌詞なんか、泣きそうな雰囲気ですごい必死。命がけでファンティーヌの娘を守らなければという覚悟が感じられました。それ故、全く融通の効かないジャベに対し徐々に凶暴になっていく様がとても自然にリアルに思える。
ジャベを圧倒するシーンは、昨年見たときよりもバルジャンのパンチの重さが伝わってきて凄かったです。細身の石井ジャベはあれは堪らんよなぁとちょっと同情してしまった(汗)。

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♪裏切りのワルツ♪

森でコゼットを見つけたバルジャンがテナルディエ夫妻を訪れる場面。テナ夫人が香水撒きまくって近づいたとき、昨年見たときは「果たす義務がある」と歌いながらも”くっっさ!!”といったリアクションをしてた洋輔くんバルでしたが(笑)、今回は”うっ”となりながらもほとんど表情を動かさずに夫人の前をスルーするといった塩対応してたの面白かったwww。
テナ夫妻が「さぁさ、コートを」とかバルジャンにおべっか使おうとする場面では、まるで寄ってきたハエを払うかのように”うるさいな”と軽く手であしらいながらリトルコゼットを優しく諭すことに集中していたのも印象深かったです。リトコゼを見つめる洋輔くんバルの眼差しがとにかく優しくて何度見てもぐっと来てしまう。

宿屋から出たあとコゼットにプレゼントを渡したあとは彼女を高い高いしてギュッと抱きしめながら自分が回るスタイルの洋輔くんバルジャン。リトコゼをとても大切に想っていることが伝わります。

コゼットと施しにやってきてテナ夫妻に正体見破られる場面。洋輔バル、このときも相手の顔をしっかり見てお芝居してたのが印象的。その後押さえつけられて洋服を引っ剥がされ焼印を無理やり出されるわけですが、このときの乱れっぷりがちょっとセクスィーでした(←邪な目で見るなww)。

マリウスへの思いをつのらせているコゼットの元を訪れる場面。自分のルーツを教えてほしいと迫られたとき、これまでずっと娘と誠実に向き合っていた洋輔くんバルが初めて目を逸らして彼女の言葉を遮るんですよね。それがとても切ない。真実を告げればコゼットが傷つくという想いと、彼女が離れてしまうのではという不安とが交錯しているかのような苦しそうな表情をしていたのがグッときました。

悲鳴を聴いて駆けつけてくる場面。「三人の影が走っていったわ」というコゼットの言葉を聞いたときの衝撃がすごかった。「またジャベール!!俺を見つけた!?」と歌うフレーズにも力が入り、今の生活が壊されてしまうのではないかという恐怖と焦りがこれでもかというほど伝わってきました。連れてたびに出るという結論を出したとき、水江コゼットは寝耳に水な提案に「パパ!?」と動揺していましたが、洋輔くんバルは強引に彼女を家の中に戻してましたね。

♪ワン・デイ・モア♪

1幕ラストのこのナンバーはいつ見ても泣いてしまいますが、今回で帝劇で見る洋輔くんバルジャンが最後なんだなと思うともうあとからあとから涙が溢れて止まりませんでした。大勢で歌っていても全く声が衰えずバルジャンの力強い声が響き渡ってた。感無量です、本当に。

引っ越し準備中に現れたエポニーヌへの警戒が最初凄かったですね。かなり強い力で彼女のコートを引っ張って近づくなオーラ出してました。でも、エポが「コゼットに渡すの?」と聞き返した時に”女の子“だと分かると少しハッとしたような表情で彼女をじっと見つめながら「そうだよ、必ず娘に渡そう」と真摯に対応してました。エポの襟元を直してあげる仕草とかも本当に優しい。
マリウスからの手紙を読むシーン、「きみの愛を知った今、死ぬのは辛い」の部分を驚いた表情で歌っていたのがとても印象的でした。あの時初めてコゼットに想い人がいることを悟ったんだろうね。「きみの恋人」の”恋人”の部分をものすごく重く歌ってました。ここはバルジャンを演じる人によって受け取り方の印象が違うなと思うことが多いのですが、洋輔くんバルはマリウスに嫌悪感はなくて、むしろ娘の大切な人を守りに行かなければといった気持ちが強いんじゃないかなと感じました。

バリケード内での戦いは実に冷静沈着で、狙撃兵を仕留める時もクールな仕事人といった感じでカッコよかったな。

バリケードの中でジャベールと再会する場面、石井ジャベは学生に取り囲まれた時あまり動揺してなかっただけに、バルを見た時の取り乱し方がとても印象的でした。
それに対して洋輔くんは”なぜ彼がここに!?”という衝撃を受けた表情でジャベを見つめるのですが、そこに対立する意思はなくてただ驚きを以て彼を見てる感じがとても良かった。それゆえ、バリケードから彼を逃がすという行動に出るバルジャンの説得力が増していたように感じました。一言一言、言い含めるようにジャベに相対している洋輔くんバル、その誠実さが彼の人柄にも重なって本当に感動的だった。

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前回大号泣してしまいあまりまともに聴けなかった洋輔くんバルジャンの♪彼を帰して♪。今回もゴーゴー泣いたけど、しっかりと見届けました。なんだろう、あの、とんでもない慈愛のオーラは…。マリウスを見つめながら「まるで我が子です」と歌う時の切実な表情がさらにシーンの信ぴょう性を深めていた。
最後の「彼を帰して、うちへ」のフレーズのところはもう、本当に心の底からの願いといった感じの歌い方でした。歌というより、台詞として聞こえたかもしれない。洋輔くんがバルジャンとして生きている気持ちがひしひしと伝わってきてとても感動的だった。

学生たちの最後の戦いが始まった時、マリウスが撃たれてすぐに洋輔くんバルは逃げる出口を探ってましたね。2階席から見るとその導線がよく分かる。学生たちが全て倒れてしまった光景を見て一瞬愕然とするんだけど、すぐに下水道へとマリウスを引きずって行ってました。前回よりも扉を閉める時の”重さ”がちゃんとリアルに伝わってきてとても良かったと思います。

♪心は愛に溢れて(リプライズ)♪

コゼットとマリウスが二人で愛を確かめ合っている姿を見つめている時の、洋輔くんバルジャンの何とも言えない寂しそうな…それでいて温もり溢れる立ち姿が忘れられません(涙)。三重唱になったときの中桐くん、水江さんとのハーモニーも本当に美しくてボロ泣き…。慈愛のオーラがこれでもかってくらい出まくってた。
コゼットを優しく奥の部屋へ促した後マリウスに”真実”を打ち明ける場面。洋輔くんバル、最初はとても優しく柔らかく歌い出しているのに、自らの暗い過去のくだりになるとどんどん苦しそうな表情に変わり「仮出獄許可証を破り捨て逃げ延びた」の歌詞の部分は自分の罪を恥じるような歌い方してましたね。このあたりの感情の動きも非常に感動的です。

それだけに…やっぱり歌ってほしかったなぁ、オリジナルの歌詞を(←いつまでも言い続けるw)。中桐マリウスが「え?突然何の話だろう??」って戸惑っていて「旅立つ時が来た」でようやく「!!」と悟る姿見てると、”バルジャンよ、もっとわかりやすく語ってあげて~~”と気の毒になってしまうw。

前回大号泣してほぼ記憶が飛んでしまったエピローグw。今回は何としても見届けると、感情を必死に抑えながら最後まで何とか見ました(めっちゃ泣いたけどね)。洋輔くんバル、天に召される寸前のお芝居がもう本当に神々しくて…。弱々しくも温かい、この世で人生を使い切ったと言わんばかりの穏やかさで。あぁ、だめだ、やっぱり思い出しても涙ぐんでしまう。
コゼットが現れた時、最後の「生」の輝きが表情に宿った気がして本当に感動的でした。コゼットを最後の最後まで誠実に愛し抜いたんだなというのがこれでもかというほど伝わってくる。召された後もじっとコゼットとマリウスを慈愛の表情で見つめ続けてて…。天の入口で司教様に再会して万感の想いを込めて頭を下げる姿もめちゃめちゃ泣けた。

飯田洋輔くんのジャン・バルジャン役はハマるに違いないと思い続けてきた私の予感は、想像以上の結果となりました。帝劇でそんな彼の姿を目の当たりに見れたこと、ファンとしてこんなに嬉しかったことはない。それからもうひとつ、生演奏のオーケストラでミュージカルを演じる洋輔くんを観れたことも心底嬉しかったです。あの歌声はやはり生演奏が一番映える。

そういえば前回も今回も洋輔くんのバルジャンはどことなく滝田栄さんの雰囲気に似ていると思ったのですが、福井晶一さんの時も同じことを感じたんですよね。今公演で福井さんが観劇したというエピソードの中で、モリクミさんが「洋輔くんのバルジャンが福井くんにそっくり」と語っていたというのを聞いて納得しました。

特別カーテンコールの様子と帝劇についてのレポは次のページにて。

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