ミュージカル『レ・ミゼラブル』を観に群馬県の高崎芸術劇場へ行ってきました。
2024年12月の帝劇公演からスタートしたレミゼ全国ツアーもついに最終公演地の群馬県高崎市までたどり着きました。足掛け約半年(お稽古から合わせると約1年か)、カンパニーの皆さん、本当にお疲れ様でしたと言いたい!!今回はかなり多くの地域で公演できた印象が強いので、レミゼを見る機会を得られた方も多かったのではないかと思います。
高崎は初めて訪れた場所でしたが、駅からの遊歩道にレミゼのポスターがずっと貼ってあったので方向音痴でもある私でもw迷わず行くことができたのがありがたかったです。それにしても、いつの間にこのような立派な劇場ができたのでしょうか!?劇場前の道路も整備されていたし、施設もまだ新しくロビーも広々としていてとても奇麗でした。
あとポイント高いのは女子トイレの数が多かったこと。今回は満員御礼で大勢の人が観劇に来ていましたが、回転もよく個室数も他の劇場やホールに比べると相当多い印象です。
入口には高崎で有名な”高崎だるま”の姿も。
設備や音響も素晴らしいのでまた是非訪れたい劇場です(ただ日帰りだと片道4時間以上かかるのがちょっとネックなのですが 汗)。
この日を観劇日に定めたのは、ジャン・バルジャン役を演じ続けてきた飯田洋輔くんの大千穐楽日だったからです!正直チケットが取れるかどうか心配だったのですが、なんとか抽選に引っかかって本当に良かった。劇団四季を退団後の初めての本格ミュージカルでしたから、色々と苦労も多かったと思います。そんな洋輔くんの最後の雄姿をどうしても見たかった。
以下大いなるネタバレを含んだ感想です。
※過去の『レ・ミゼラブル』観劇の感想記事あり〼
2025年6月13日マチネ公演 in 高崎芸術劇場(群馬・高崎)
主なキャスト
- ジャン・バルジャン:飯田洋輔
- ジャベール:伊礼彼方
- ファンティーヌ:生田絵梨花
- エポニーヌ:清水美依紗
- マリウス:山田健登
- コゼット:敷村珠夕
- テナルディエ:斎藤司
- テナルディエ夫人:谷口ゆうな
- アンジョルラス:小林唯
- ガブローシュ:中井理人
- リトルコゼット:鞆琉那
- リトルエポニーヌ:荒川寧音
<男性アンサンブル>
鎌田誠樹(司教)、佐々木淳平(工場長)、小林遼介(バマタボア)、 深堀景介(グランテール)、岩橋大(フイイ)、伊藤広祥(コンブフェール)、島崎伸作(クールフェラック)、新井海人(ジョリ)、中村翼(プルベール)、藤岡義樹(レーグル)、大津裕哉(バベ)、ユーリック武蔵(ブリジョン)、土倉有貴(クラクスー)、 田川景一(モンパルナス)
<女性アンサンブル>
町屋美咲(ファクトリーガール)、般若愛実(買入屋)、湖山夏帆(かつら屋)、三浦優水香(マダム)、青山瑠里(宿屋の女房)、五十嵐志保美(カフェオーナーの妻)、西村実莉(病気の娼婦)、大泰司桃子(鳩)、吉岡花絵(あばずれ)、吉良茉由子(身代わりの妻)
概要とあらすじ
概要は2019年公演時の記事参照。
あらすじは公式HPに詳しく載っているので以下参照。
私の書いたミュージカル「レ・ミゼラブル」解説記事もよろしければ併せてご覧ください。
上演時間は1幕90分(1時間半)、休憩25分、2幕70分(1時間10分)。合計約185分(3時間5分)です。
カーテンコールの時間は含みません。今回は千穐楽キャストの挨拶もあったので少し長めでした。
全体・キャスト感想
※本編感想のなか私のただ熱いだけの推し語りが混じっていますw。あしからず。
まず高崎芸術劇場内の感想から。
今回私に割り当てられたのは1階席のほぼ最後方に近い場所でしたが、舞台全体を見渡せてなかなか見やすかったです。大ホールで客席数も多いためもちろんオペラグラスは必須でしたが(←さすがに裸眼で表情までは厳しかった 汗)、キャスト同士が対峙するシーンなどは覗いた時にちょうどいい大きさで二人が見えたりするので個人的にはストレスはあまりなかったです。段差もあるので前の人が邪魔にならず快適に見えた事も大きな利点でした。
それから、音響は抜群に良かったです。後方だったとはいえ少し中央寄りだったことも功を奏してか、バランスよく体全体に音が降ってくる印象でどっぷりレミゼの世界観に浸りながら見ることができました。
今回は大千穐楽公演のキャストさんも多かったので私も感情が今まで以上に昂ってしまうだろうなと予測していたのですが、意外と冷静に集中して見る時間が長かった。洋輔くん出演作の時はだいたい感極まる私なのですが(笑)今回は初めて感情を暴走させることなく見れたかも。
1幕
♪囚人の歌♪
最初の”ジャッジャーーーン♪”という音楽の入り、めちゃめちゃ音響がよくてちょっと鳥肌きました!あそこから一気にレミゼの世界観に没頭できました。ただ、舞台までの距離がけっこう遠いこともあり…申し訳ないと思いながらもオペラグラスはどうしても洋輔くんに集中(汗)。
個人的には「主よ、主よ、●してくれ」と歌う囚人さんがガックリと倒れ込んだ時にバルジャンが「おい!!起きろ!」と彼を庇うように強引にオールを漕がせるリアクションが加わったのがよかったなと思います。最初見た時はアドリブ?と思ったのですが、今公演から色々と細かい動きも追加されてたようで、これもその一つだったのではないかなと(前回の記憶がコロナ禍前なのでちょっと定かではありません、あしからず 汗)。
飯田洋輔くんのバルジャン
洋輔くんの冒頭バルジャンのいがぐり頭姿、とても新鮮だったし意外と似合ってて個人的には好きだった。ジャベールへの噛みつきは最初はそんなに強くないのですが、「法の重さを知れ」と言われた後の「19年の重さを忘れるものか!!」の歌い方のところにものすごく恨みを込めて歌っていた印象が強かったですね。その間の彼の恨みや憎しみの感情があの歌の中に沁みこんでいたと思います。
劇団時代にも感情をグワッと出すようなシーンを演じる洋輔くんは何度も見てきましたが、レミゼではそれまで以上というか…その場で感じ取った感情をさらに剥き出しにする歌い方が多くて本当にグッときまくりでした。こういう洋輔くんをずっと見たかったんだよなぁと冒頭シーン見ながらウルウルしていた私です。
自由になった直後の歌い方はもうほぼお芝居。劇団時代はストプレ経験がなかった彼がバルジャンの魂を宿して牢獄から解放された喜びを体いっぱいに表現している姿は・・・ファンとしてもう本当に感無量の心境でした。あぁ、こんな表現も持ってるんだと、なんかそれだけで心震えましたよ。
伊礼彼方くんのジャベール
伊礼くんはこの公演の少し前に放送されていた「合唱バトル」の番組での激熱すぎるキャプテンっぷりがめちゃめちゃ印象的で(3度目の正直で単独優勝できた時は本当に嬉しかった)、今回ジャベ出てきたときもオォッと反応してしまいましたw。
以前見た時はもっとバルジャンにクワッといってた印象が強かったのですが、今回は冷徹に任務を随行してる雰囲気が強かった気がします。それでも圧はめちゃめちゃ強かったですけどね。あの、冷徹さの中にも相手を威圧してくるような蒼白い迫力がすごく良いんですよ、伊礼ジャベ。
♪司教♪
鎌田誠樹さんの司教様
鎌田さんの司教様に逢うの、1月の帝劇公演以来!!今季2回しか巡り合わせがなかったけれど、増原さんとは違った凛とした雰囲気がとても好きでした。鎌田さんというと、福井晶一さんが出演出来なくなってしまった時期にジャベールとして熱演されていた印象が今も強く焼け付いていますが、本当に歌えて熱いお芝居もできる素敵な役者さんなんですよね。
鎌田司教、バルジャンにとても真摯に対峙している姿がめちゃめちゃ好印象。優しさだけではなく、心の底から立ち直ってほしいという気持ちがこもる力強いお芝居と歌に心打たれます。特に銀の燭台を渡した時の魂の籠った説得は本当に感動的でした。
♪バルジャンの独白♪
去って行く司教の背中に「お…おい」と思わず声が漏れた時の弱々しさ、そこから突然自分の犯してしまった”罪”がのしかかり苦悩する姿…そこまでの流れが実に繊細に表現されていて世界観に惹きこまれました。世間から憎まれいつの間にか他人を信じられなくなった自分への苛立ち、自分は許されていいのかという激しい葛藤、このくだりの激しい火を噴くような歌い方や表現は劇団時代には見たことがなかった。
四季を退団してレミゼと長く向かい合ってきた中で洋輔くんのなかにバルジャンがしっかりと浸透した証だよなぁと…。最後の「ジャンバルジャンは死んで、生まれ変わるのだ!!!」はありったけの魂を込めた絶唱でした!!あんな洋輔くんの姿を目の当たりにできた事、ファンとして本当に幸せだなと思って…。ここは本当に涙が止まりませんでした。
♪夢やぶれて♪
ファンティーヌが工場で手紙を受け取ってから女工ともみ合いになる場面、今季から彼女はいっさい抵抗しない演出に変わったようで。でもなんか壮絶にやり合ってる前シーズンのことが未だに頭に残っているのでファンテがいつ手を出すのかとドキドキしながら見てしまいました(汗)。あと、女工さんたちの態度も公演ごとにどんどん凶悪化していってた気がする(怖)。
ファンテはキャラ的に儚いイメージが強いのですが、今公演ではけっこう気位が高い印象でしたね。あのオーラだったら他の女工たちに「なんだこの澄ましたお嬢さん」と嫌味を言われて敵視されるのも無理ないなと(苦笑)。そのあたりのリアリティが増したような気がします。
生田絵梨花さんのファンティーヌ
生ちゃんのファンテを久しぶりに観ましたが、前回見た時よりも歌声に執念のようなものが宿っていて人を惹きつける迫力があるなぁと思いました。過去の恋愛に囚われどんどん破滅への道へと転がり落ちていくファンテの哀れさが感じられてとても痛々しかったです。よりファンテのキャラに近くなっていて個人的にとても好印象でした。
♪ラブリィ・レイディ♪
ファンテのペンダントを買い入れる女性役の般若愛実さん、めちゃめちゃすごい迫力でビックリしました!特に「5フラン以上は出せない!!」の圧がハンパなし!!!あの言い方されたら、そりゃファンテもお金云々言ってられないと渡さざるを得なくなるの分かるなと思った。
生ちゃんファンテに襲い掛かろうとして逆襲されるバマタボア役の小林遼介くんのネッチネチした厭らしいお芝居もめちゃめちゃ堂に入ってて腹立たしかったわ~~(←最大限の誉め言葉ですw)。ファンテを煽る芝居がほんとヤバすぎて、「●してやるわ、あんたを!!」と傷つけられるのも納得って思ってしまった。
この日が最後になるほかの前半組のアンサンブルさんたちも、熱量めっちゃ凄かった!!
駆けつけた時の伊礼ジャベ、以前よりも落ち着いて入ったなと思いました。ギラギラ感が削ぎ落されていて、職務に忠実な冷徹警部の雰囲気のほうが強かったような気がします。
洋輔くんバルと生ちゃんファンテのやり取りはなんかもう、ほんと切なすぎた!生ちゃんファンテのバルジャンへの憤りのぶつけ方が過去最高だったんじゃないかというくらい鬼気迫るもので。その度に洋輔くんバルの心が締め付けられていってるのが分かるんですよね。力なく倒れそうになった彼女をバルジャンが後ろから守るように抱きしめているシーンは本当にグッときた。洋輔くんならではの温かさがあの場面にとても生きていたと思います。
♪裁き♪
洋輔くんバル vs 伊礼くんジャベ
バルジャンとジャベの2度目の対峙シーンは非常にスリリングでした。お互いの腹の探り合いみたいなところが見え隠れしているようでね。実際ジャベは全くこの時点でバルのことに気が付いていないんだけどw、伊礼くんが演じるとなんかそれだけではない不敵な空気も感じられてちょっとドキドキしました。対して洋輔くんは実に堂々としていて、帽子を求める時の「さぁ」というセリフの出し方も以前よりすごく余裕があるように見えたな。
ジャベが去った後張り詰めていたものが解かれたあとバルジャンに緊張感が走る場面。シュガーくんはジャベと別れた後息を止めていて去った後に一気に吐き出すようなお芝居をしていましたが、洋輔くんはそこまで大きなリアクションはしてませんでしたね。でもすごく追い詰められた気持ちになっていることはこれでもかというほど伝わってくる。
葛藤の末に「この魂すでに神に渡して」と覚悟を決めるシーンはあまり大きな感情を吐露せず、自分の中に落とし込み落とし込み最後受け入れたみたいな雰囲気だったのが印象深い。それゆえ自らの名前を叫んだ時の爆発力はものすごい圧を感じました。洋輔くん、すごいよ!!
ファンティーヌの死~対決
生ちゃんファンテの死の淵のお芝居、めちゃめちゃリアルで痛々しかった!!娘の幻に語り掛けている時の表情はもうほとんどこの世のものとは思えないくらい頼りなくて儚くて…。あんなに壮絶な生ちゃんのお芝居見たの初めてだったかもしれない。ここはかなり衝撃受けました。
そんな彼女を最後まで見守り抱きしめる洋輔くんバルジャンの包容力の温かさがこれまた際立ってましたねぇ。彼女の人生をリスペクトしたかのような切ないお芝居が胸を打ちます。
洋輔くんバル vs 伊礼くんジャベ
3度目の対峙シーン。ここはめちゃめちゃ胸熱すぎて震えた!!!昨年初めてこの二人の対決を見た時は、若干伊礼くんが手加減してるかなといった雰囲気も感じたのですが、今回見たら…超本気モードで”締め●しにかかってる”ように見えましたよ!!それがなんだか無性に嬉しかった。洋輔くんのバルジャンが彼にとってそこまでの脅威的な存在になっていたということですよね。
洋輔くんバルの伊礼ジャベへの攻撃心も昨年見た時と全然違ってた。こんなにすごい野性的な面もあったのかと驚かされるくらいの迫力で…。なんかこの光景を見られただけでも遠征してきて良かったと心から思いました。
♪宿屋の主人♪
谷口ゆうなさんのテナルディエ夫人
いやぁ~~、田口さんのテナ夫人は見るごとに凶暴さがアップしてますが、今回もその例にもれず。特にコゼットを脅しに掛かる時の芝居はえらい剣幕でみてるこちらも縮こまるレベルでしたよ!!
面白かったのは「この我慢は神様ご存じだ!!」とソーセージみたいなのを切り刻むシーン。あまりにもすごい勢いでぶった切ってたので、2-3個が机の上から客のテーブル下にまで吹っ飛んでましたww。それをアンサンブルさんたちが乱痴気騒ぎのお芝居をしながらうまーい具合に回収してて思わず”ナイス”と思っちゃいました(笑)。
斎藤司さんのテナルディエ
田口テナ夫人がめちゃめちゃいきり立っていても、トレエン斎藤さんのテナルディエは全くそれに影響されず飄々としてたのがとても面白かったし、逆にテナルディエという人物の不気味さを際立たせていたように思います。っていうか、斎藤さん、歌唱力がまた一段とアップしてません!?めっちゃ上手いって感動しちゃった。
♪裏切りのワルツ♪
このシーンで面白いのはテナ夫人の変わり身の早さww。ちびコゼが帰ってきた直後の「このクソガキ!!」からの「心配してたよ~」という猫なで声の変わり身の早さはめちゃ面白かった(笑)。やって来たバルジャンに媚びうるためにテナと作戦建てたり香水塗りたくったりするんだけど、それが全く効果なくてプクゥっって膨れっ面になっちゃう谷口テナ夫人も可愛らしかったなぁ~。
斎藤テナはファンティーヌの手紙を読んだ後にコゼットの名前をなかなか絞り出せず夫人から助け舟出してもらえるパターンでしたね。ここは他に全く違う名前を言っちゃって夫人から訂正されるってパターンもあったりするのでなかなかコミカルで面白いです。
洋輔くんバルジャンはコゼットに対してとにかくひたすら温かくて優しくて「パパ」という雰囲気そのもの。テナルディエ夫妻を金で黙らせようとするシーンでの威厳もすごくて、思わず心の中で拍手してしまった。
そういえば、ちびコゼがバルジャンから帽子をもらったり人形をもらった時の反応が今までよりもちょっと大きくなりましたね。「わぁ~~!!」っていう感嘆の声が後ろのほうまで響いてきたし、それに対してバルジャンが嬉しくなって「おいで!!」ってかける声も今まで以上に熱く大きくなった気がしました。二人の絆ががっちり結ばれる瞬間が視覚的にハッキリしててとても感動的だったな。
♪ベガーズ♪
小林唯くんのアンジョルラス
素直で澄んでいて聴いていてあの歌声は実に聞き心地がいい。彼の元に集いたいという気持ちにさせられますよ。それだけの説得力がすごいし凛とした立ち姿も惚れ惚れします。それにやっぱり歌が上手い!本当に上手いと思う。
山田健登くんのマリウス
大阪で見た時よりもずっと存在感がアップしていたし歌声の力強さも加わって進化を感じました。
エポニーヌに対する態度も本当に”妹”を見る目で。笑顔がとにかくキラッキラしていてとても可愛らしいです。エポが本を飛ばしてしまっても笑って許しちゃう。彼女を”女性”として認識する隙がどこにも見当たらないような雰囲気がとても印象深かった。
清水美依紗さんのエポニーヌ
美依紗さんのエポは以前より登場した時から退廃的なものを感じさせました。力強い目のなかに潜むマリウスへの恋が通じないことへの苛立ちと哀しさ。諦めようと思いつつもどうしても諦められないといった気持ちも垣間見えて切ない。
コゼットとマリウスが出合い頭にぶつかるシーンは少女漫画的な演出になっていてとても分かりやすいw。敷村さんも山田くんも美形なのでなおさら映えてました。
テナルディエ夫妻がバルジャンに気が付いて羽交い絞めにするシーン、今回の二人の力がめっちゃ凄かったですねw。バルの衣装を上半身剝ぎ取ってやるくらいの勢いで、本当に脱がされちゃうんじゃないかと見てるこちらがドキドキしてしまいましたがな(笑)。
テナルディエ一派を逮捕にやってきた伊礼ジャベールは威厳たっぷりなんだけど、どこかちょっと詰めの甘さが滲み出ているところが何とも憎めないんですよね。特にバルジャンが消えてしまった後に「どういうことだ!?」と動揺してしまうところなど人間味が溢れていてちょっと愛しくすら感じてしまう。
そんな彼に斎藤テナルディエが「被害者無しなら帰って良いね?」とお伺い立てるのはこの舞台唯一ともいえるコメディシーンww。ここは斎藤さん、ほんと本領発揮と言いますか、巧いです。「良いね」をイケメン風に言ってみたりジャベに睨まれたあと「コワッ」と小さな声を出して逃げちゃったり、あんなん魅せられたら見てるこちらとしては可愛くて憎めなくなってしまうよ(笑)。
♪星よ♪
伊礼ジャベの♪星よ♪は物語性が増していてとても重厚感がありました。以前よりもバルジャンへのギリギリとした復讐心を抑え、純粋に自分の想いを星に向かって語り掛ける静かさがあってジーンとくるものがあったなぁ。真の太い迫力の歌声に加え、警官の矜持を語る生真面目な人間性がそこから滲み出ていたのがとても感動的。またひとつ伊礼くんのジャベが進化したなと思ったかも。
♪ア・ベ・セー・カフェ♪
唯くんアンジョが仲間たちに革命の意義を説くシーンは本当にとても力強い。一言一言がしっかりと聴く耳の胸に響き迫ってくる。このあたりの言葉の力強さはやっぱり劇団四季時代に培ったたまものだよなぁと思いました。ファンミで見せていたオモロいお兄ちゃんな唯くんとはまるで違う凛々しさにめちゃめちゃ胸を打たれた。
それに呼応する仲間たちの声もすごく熱くて!!グランテール役の深掘さんだけはお酒飲んで話をまともに聴こうとしていないわけですが、唯くんアンジョは厳しくそれを諫めるというより”いつかは自分の気持ちに彼が応えてくれるはずだ”と信じて待つような雰囲気を醸し出していたのも印象深かったですね。
恋に落ちた山田マリウスは仲間に語る時、気持ちを抑えきれないといった感じで笑みがダダ洩れてる。そんな彼に革命の尊さを熱弁する唯くんアンジョ(仲間の声を一つ一つ受け止め救い上げていく姿は本当に心打たれた)、そして仲間たちの熱さは半端ない。特にアンジョの声に呼応する彼らの声の大きさは観る者の気持ちも昂らせていきます。山田マリウスも恋の偉大さを語る時の熱さが以前よりも増していて非常に見応えがありました。
♪民衆の歌♪
唯くんアンジョの声を筆頭に、仲間たち全員の想いがそこに集結していく光景は神々しくもありました。唯くん、ほんとアンジョルラスにピッタリな役者だなって思った。
♪心は愛に溢れて♪
敷村珠夕さんのコゼット
透き通る綺麗な歌声ですよね、敷村さんのコゼット。今回のレミゼは本当に実力のある女優さんたちが多くて安心して見ていられた。ひと昔前はこのナンバーを歌いこなせていると思える方が少なかったのでなおさら凄いなと思います。
マリウスへの恋心とはまた違うバルジャンへの娘としての愛情。優しくいつも守られていることにコゼットはとても感謝しているけれど、一番大事な秘密を隠され外にも自由に出してもらえないことにストレスを感じている。そんな彼女の気持ちは痛いほどわかるけど、どうしても真実は告げられない。コゼットを傷つけまいと必死に堪えてる洋輔くんバルジャンがなんとも切なかった。
山田マリウス、コゼットへの恋心が本当に虹の空に舞い上がってしまったのではと思えるほど盛り上がってて可愛かったですねぇ。そしてそんな彼を辛い思いで見つめてる美依紗さんエポニーヌの孤独が切ない。山田マリウスと敷村コゼットの愛の光が輝けば輝くほど彼女の心が孤立していく様が見ていて痛いほど伝わってきて泣けました(涙)。
テナルディエ一派がバルジャン宅を襲撃に来たシーンも迫力がありましたが、面白かったのが田川モンパルナスの動き。田川くんは伊礼くんと一緒に「合唱バトル」に出演していたのでついつい目で追ってみてしまったのですが、この時のモンパルナスは実に軽やかで。右左にヒョイヒョイ行ったり来たりするフットワークの軽さに思わず心の中で拍手してしまいましたw。
♪ワン・デイ・モア♪
高崎芸術劇場で聴く♪ワンデイモア♪は格別なものがありました。一人一人の声の重なりが実に美しく響いてきたし、劇場全体を包み込む全員の熱がそのまま観客に伝わってくるような迫力も素晴らしく本当に胸が震えました。この劇場でレミゼ見れたことの幸せを実感した私です。
少し長くなったので2幕以降の感想は次のページにて。