主なキャスト別感想
オペラ座の怪人:清水大星くん
これまで清水くんは『ノートルダムの鐘』のフィーバス役と『JCS』のジーザス役で見てきましたが、今回が一番衝撃を受けたかもしれません。フィーバスで見たときはちょっと地味だなという感想すら抱いたんですが、そのことが信じられないくらいファントム役はあまりにも激しくて…正直ここまでとは思っていなかったので本当にびっくりしました。
とにかく、歌唱力が半端なさすぎる!!!特に語尾の伸びの長さが圧倒的で、一体どんな肺活量しているのだろうかと思ってしまったほど。歌がうまいとかそういうレベルを超越しちゃってますね、あれは。
さらに、感情の起伏の激しさも壊れちゃうんじゃないかというほどで。「静」の芝居ではちょっとオドロオドロしさすら感じさせるのに、感情爆発するときはそのすべてを叩き出すよう。ここの落差がものすごく衝撃的でした。
清水ファントムはクリスティーヌを”愛する”というよりも”執着する”という印象のほうが強いかも。その欲求は時に猟奇的で背筋が凍るような怖さすら感じさせる。2幕の支配人室場面でクリスティーヌが極度にファントムを恐れまくる気持ちが、今まで見てきた中で一番理解できてしまったほどでした(汗)。
色々と圧倒されることが多かった清水ファントム。ただ、私にはちょっと刺激が強すぎたかも。連ちゃんで見るのはしんどい。もう少し間を置いてからまた会いたいファントムだなと思いました。
クリスティーヌ・ダーエ: 藤原遙香さん
あまりにも清水くんと達郎くんが激しすぎたので、藤原さんのクリスの印象が少し薄まって見えてしまったのが少し残念。でもあれに対抗するのは相当なエネルギーが必要になってくるはずなので、かなり難易度は高かったとも思います。
歌声は鈴の音のように凛としていてとても綺麗。好奇心旺盛で目をランランと輝かせている表情も印象的でした。ファントムに対して怒りの感情を顕にするシーンでは、少しふくれっ面みたいな顔に見えてちょっと可愛いと思ってしまったのはここだけの話。
ラウル・シャニュイ子爵: 飯田達郎くん
達郎くんのラウルは6月4日にお兄さんの洋輔くんとの共演で見たとき以来。あのときは色々特別な想いもあっただろうし、久しぶりのラウル役としてテンションも高めだったと思います。
そこから比べてみて…こんなにも”子爵・ラウル”に変貌しているとは…!と非常に驚きました。その進化たるや半端なかった。前回は天真爛漫なお坊ちゃま的な雰囲気を感じたのですが、今回は頼もしい品性のある子爵様の雰囲気が随所にあふれていました。少しキザっぽく見えるのもなんだか新鮮w。
そして、達郎くんラウルで一番印象深いのは…クリスティーヌを愛し抜くという信念のあるお芝居です。ここの部分が一番濃いのが彼かもしれない。あのラウルだったら全てを投げうって身を任せたいと思ってしまうほどの逞しさがある。清水ファントムに対抗するにはあのくらいの熱さがないとダメかもしれないなと思いました。
いやぁ・・・達郎くん、本当に成長著しい。歌も台詞回しも本当にストプレのようなドラマチック。最高のラウルでした!
後述
カーテンコールはほぼオールスタンディングで拍手も激アツでした。何回かファントム役者がカンパニーを見回して「行くよ〜」的なリアクションを取るんですが、清水くんはアクションが少しお上品w。さっきまであんな衝撃的な激しい芝居をしてた人とは思えないくらい穏やかでした。
このカテコの一番最後(5回目くらいのときかな)お手振りで締めになったときに、達郎くんが横にいた清水くんの背中をポンっと軽く叩いてニコっとしたのが非常に胸熱でした。二人はかつて『ノートルダムの鐘』で長く共演していた旧知の仲だもんね。「今回のファントム、最高だったよ」って健闘を称えるような表情してて…あぁ、達郎くん、ホント仲間思いのいい子だなぁと思った。
清水くんは叩かれたとき一瞬驚いたような表情見せてたけど、達郎くんの気持ちが伝わったからかホッとしたような嬉しそうな笑みを浮かべていましたね。
客席に向かっても拍手を送る達郎くん。袖に入る寸前には清水君をたたえる拍手も。四季の役者でこのリアクションを自然にできるのは彼くらいではないだろうか。舞台の上の達郎くんは本当に幸せそうで、見ているこちらも嬉しくなります。とてもいい光景を拝ませていただきました。
この後の『オペラ座の怪人』観劇予定は8月上旬予定。前売りのときに確保したのでかなりの良席です。このときファントムを演じているのは誰かな。ちょっとドキドキするけど楽しみでもあります。でも、洋輔くんの予定次第では…その前にまた大阪に来てしまうかもw。