今季2度目のミュージカル『レ・ミゼラブル』大阪公演を観に遠征してきました。今回は上演期間がそこそこ長かったのでマチソワといった無謀な計画を立てず観ることができてよかったです😅。
劇場のロビーに着いてちょっといつもと違うなぁと思ったのが、男性のお客さんの数が多かったこと。だいたいミュージカルって女性客が多くて休憩時間のトイレ列も圧倒的に女性側が多く並ぶので(笑)ちょっと珍しい光景でした。
で、なんでか考えてみたら・・・あぁ、この日のコゼット役は乃木坂46の生田絵梨花ちゃんが出演しているんだった☺。そういえばロミジュリ観に行った時もそんな光景あったなと思い返してみたりw。アイドルの子がこうして頑張って舞台進出してくれると、新たな舞台観劇ファンも増えることもあるので個人的には嬉しい光景だったりします。ただその前に観劇ルールだけは頭に入れておいてほしいですけどね😅。
今回の観劇で30周年記念公演のレミゼが最後になるため、記念にチャーム購入してきました。改めて、『レ・ミゼラブル』日本公演30周年おめでとうございました🎉。
※前回観劇した30周年記念トークショー感想はこちら
以下大いなるネタバレを含んだ感想です。
2017.09.11マチネ公演 in フェスティバルホール(大阪)
主なキャスト
- ジャン・バルジャン:福井晶一
- ジャベール:川口竜也
- ファンティーヌ:知念里奈
- エポニーヌ:松原凛子
- マリウス:内藤大希
- コゼット:生田絵梨花
- テナルディエ:駒田一
- テナルディエ夫人:鈴木ほのか
- アンジョルラス:上原理生
今回の大阪公演キャストは前半組と後半組に分かれているとのことで、特にアンサンブルさんたちが前回とはガラリと顔ぶれが変わっていました。メインキャストもジャベール役の川口さんとアンジョ役の理生くん以外は違っていたので、前回とは異なった雰囲気のレミゼを見ることができてよかったです。
ちなみに、前回マリウス役で出演していた海宝くん。同じ関西にいるんだから京都の『ノートルダムの鐘』カジモドにも戻ってくれたらいいのに…みたいなことを書いたところ、本当にそれが実現してビックリ😲。しかもかなりのハードスケジュール組まれてるようで(汗)。私が行く頃には抜けてる予感がしますがw、まだレミゼ公演残っていることですし…体調に気をつけて頑張ってほしいです。
場面ごとの全体感想
印象に残っている場面についていくつか挙げていきたいと思います。
プロローグ
旧演出と一番変わった点の一つが冒頭の囚人たちのシーンです。旧演出ではみんな穴掘りをさせられてることになっていましたが、新演出では舟の漕ぎ手となりジャベールがそれを取り締まっている形に(旧演出では「奴をここへ呼べ」というところまで出ていなかった)。結果的に映画版と添うような演出になりました。後ろと前の薄い幕に海の様子の映像が出てくるので後ろから見るとかなりリアリティあるように見えます。
プロローグの中で一番グッとくる場面がバルジャンの独白です。今回の30周年記念公演が新演出に変わってから一番胸にズドンときたかもしれない。神父に心を救われてこれまでしてきたことの罪の重さを激しく悔い叫ぶバルジャンの姿には心震えるものがありました。
この場面のラストで仮出獄許可書を破り捨てるのですが、新演出では1度しか破らないんだという事に今回初めて気が付きました😅。過去2度新演出見ていましたが見慣れなかったということもあってか、ようやく今年落ち着いて見れることになったのかなと再確認した次第ですw。独白の後バルジャンが捌けた後に『レ・ミゼラブル』のタイトルが舞台中央に浮かび上がってくることにも今回初めて気が付きました(←遅っ!!)
一日の終わりに~夢やぶれて
工場のシーンも旧演出よりリアルな表現となり、それぞれの仕事ぶりが分かるようになりました。ファンティーヌとファクトリーガールの取っ組み合いのケンカは新演出の方が激しい印象でビビるほど😅。さらに変わったのが、工場長の役がピンになったことですね。旧演出ではコンブフェール役の人が工場長も兼ねていて・・・これ、今回コンブ役の大田くんがやったらどんな感じになったんだろうかと思わず想像してしまった(想像つかなかっただけに見てみたかったけどw)。
ただ、どうしても違和感に思っちゃうのが・・・ファンティーヌが追い出されたあと何の余韻もなく「夢やぶれて」が始まるところかなぁ。旧演出はそこに至るまでのファンテのボロボロの気持ちみたいなものが表現される時間があったので…。突然始まるのでここは何度見てもちょっとビックリしてしまうし慣れません😓。今回は知念さんがファンテだったのですが、うーーん、新鮮味がないというか・・・以前見たときの方が良かった気がしました。ちょっと残念。
ラブリィ・レイディ
娼婦たちの元へファンテが迷い込み仲間に加わっていくまでを描いたシーンですが、今回驚いたのがファンテが娼婦に身を落とした後に最初の客になったのが工場長だったことです。前回の新演出の時もそうだったっけ!?全く記憶になくてww、今回それに初めて気が付いてちょっとビックリしました。ことが終わった後の娼婦たちの歌詞も工場長に向けたものになってて、今までとは違う、より惨めなファンティーヌを演出する内容になってるなと思いました。
この日工場長を演じてたのが田村雄一さんだったんですけど、濃いですね~ww。嫌味な奴がピタリとはまってました😜。
個人的にはバルジャンがファンテを助ける場面が好きです。「どこかで、会った?」とファンテが助けを求めたときに無視してしまったことをバルジャンが思い返すシーン、ここは新演出だとさらにバルジャンの後悔度がアップしていてとても切ないです。知念ファンテは唾を吐きかけずに突っかかろうとして力尽きていて哀しかったな…。
Who am I
市長となったバルジャンが自分が追いかけてきた相手だと気付かないジャベールは誤認逮捕した相手のことを話す。それを聞いたバルジャンが身代わりの人に罪を追わせてはならないと自問自答の上裁判所で身分を明かします。旧演出ではなかった胸の焼き印が新演出からちゃんと描かれているので、この場面はとてもリアリティがあるものになったと思います。
一番スリリングなのがファンテの病院でのジャベVSバルの戦い。旧演出は基本素手での戦いで最終的にバルジャンが逃げるためにベッドのそばにあった椅子を壊してジャベールを威嚇するって形になってましたが、新演出からはジャベールがすごい鎖のついた手錠を引っ提げてきてバルジャンに向けて投げたりする荒っぽいものになってます(笑)。あれ見るたびに、鎖がバルジャンに当たりはしなかとハラハラしてしまうのですが😅、バルジャンはバルジャンで力持ち設定なので鎖を引っ張って自分のものにしてジャベの首を圧迫したり殴ったりけっこうバイオレンスな行動に走ってる😅。
最初この新演出見たときはかなりビビったんですが、久し振りに見てもやっぱりビビりますねw。
宿屋の主人
バルジャンがコゼットを探しに出かけ捌けた後に幼い子ゼットが舞台上に登場するのですが、その登場の仕方の演出が「レミゼラブル」を象徴しているあのコゼットの雰囲気そのままで私は結構気に入ってます。あぁ、レミゼだって実感するんですよね。
そして宿屋の主人の場面ですが…2番目にやってくる客が旧演出とかなり変更になりましたよね。旧演出ではさらに金持ちっぽい客が入ってきてたのですが、新演出になってから視力を失って鳥籠を持ったお客になってる。さらにその鳥籠の鳥はテナルディエによって肉にされてしまうという残酷さ😱。最初にこの一連見た時けっこうショック受けたんですよね。あとテナ夫人がテナに飲ませる酒に細工する場面も…けっこう嫌悪感😱。まぁ、時代の変化とともに便所の税が増えていくのは面白いんだけど(私が最初に観劇した頃は3%だったのに、5%、そしてついに10%になりましたww)。
ただ、今回の駒田テナルディエとほのか夫人とのこんびがあまりにも息ピッタリで面白かったのでw以前ほどは気にならなかったかも。面白いと言えば、コゼットを引き取りに来たバルジャンに夫人がやたらおべっか使おうとするシーン。以前からあんなに媚び売ってたっけww。香水かけまくりのときとか思わず吹いちゃったよw。福井バルジャンのむせ方はゴホっていうんじゃなくて歌が出てこない的なむせ方だったのが面白かった😜。
ABCカフェ
アンジョルラスたち学生が革命の相談をするカフェの場面。新演出ではすごく狭い地下の部屋だという事が分かるようになってます。場所が狭い中での密談なので、学生たちの熱気のこもり方が客席にも直に伝わりやすくなったなぁという印象がありました。
コゼットに一目惚れして心が浮足立っているマリウスにアンジョが銃を手渡して革命を促そうとするのも新演出ならでは。銃を手にしたことで恋心よりも革命に心が傾いていくマリウスの様子が分かりやすくなっていたのがとてもよかったなと思いました。
心は愛に溢れて
ここのセットは旧演出版でも結構大きかったのですが、新演出になってからさらに豪華さが増しました。なのでバルジャンがけっこう金持ちなんだってことが伝わりやすいです。なにせ、住んでる家が2階建てになってますから(笑)。
エポニーヌに連れられてコゼットの家にやってきたマリウスがこっそり侵入する場面は、旧演出では柵の上をよじ登っていたのに対し新演出では煉瓦の壁を登ってそこからコゼットの2階の部屋を眺めるといったふうに変わりました。なので以前よりもマリウスは昇りやすくなったんじゃないでしょうか。以前、マリウスやってた石川禅さんがこのシーンが苦労するって話していたりしたので(笑)。あと、キスシーンが出てきたのも新演出からだったんじゃないかな。
それから、逃げる時にエポニーヌとコゼットの二人が顔を合わせてハッとする場面も印象深いです。旧演出ではコゼットがエポニーヌに気づく場合とそうじゃない場合があったんですが(コゼットは幼い時テナルディエ夫妻の娘であるエポニーヌと共に暮らしていたので)、新演出版からはコゼットが気付いてハッとするというものに統一されているのかな。私が観た2回は気付いていたそぶりを見せていたので。ここのほんの少しだけどスリリングなワンシーンが個人的にとても好きなんですよね。
ワン・デイ・モア
このナンバーはもう、何度見ても心が揺さぶられます!!好きなミュージカルナンバーの中で5本の指に入るほど好きな場面。レミゼに対する心が折れた時も、このワンデイモアだけは心が震えたくらいなので。これはもう、多くを語りません。2017年キャストによる動画を見てください。個人的には映画よりも舞台での「ワンデイモア」の方が好きです。
コゼットへの手紙
エポニーヌがマリウスに託されたコゼットへの手紙を届けにくる場面。ここで一番変わったなぁと思ったのが、エポニーヌがバルジャンに「俺に渡せ、坊や」と言われたときに帽子を取って「コゼットに渡すの?」と聞き返すシーンです。以前はエポニーヌはバルジャンの前で少年を装っていたのですが、今回見たら帽子を取って自分が女の子であることをアピールしていたんですよね。これ、新演出からでしたっけ(以前の記憶が…😓)。バルジャンはその姿を見てエポニーヌに対する態度を改める。旧演出でも途中で気付く感じでしたが、新演出になってからはそれがより分かりやすくなっていました。
あと、バルジャンの手紙の読み方もサラサラ~っと歌うようだった旧演出に対し、新演出ではちゃんと文字の意味を把握しながら読んでいるのも芝居らしさが出ていていいなと思います。これを読んでバルジャンは引越しを思い留まりますからね(時期を遅くしようとしたとも解釈できますが)。
恵みの雨
オンマイオウンを歌い終わった後、旧演出のエポニーヌはそのまましばらく舞台に現れていませんでしたが、新演出ではバリケードの中に存在していて女性たちの手伝いをしています。また、死を迎える場面もだいぶ変わりましたね。旧演出では手紙を届け終ってバリケードに登ってきたところを撃たれていたのに対し、今回はすでにバリケード内にいる設定なので狙い撃ちされそうになったマリウスを庇う形で死んでいくという演出になりました。
このように変更されたことによって、「恵みの雨」のナンバーがより悲しく切なく泣ける場面になった気がします。最後の最後までマリウスへの愛を貫いたエポニーヌの健気さと美しさが浮き彫りになって、今回もかなり泣きました😭。マリウスへ最後のキスをささげていた旧演出がなくなったのは少し残念ですが、今回見て、こういう最後の方がより哀しみがクローズアップされて切ないかもと思いました。ガブローシュがマリウスにエポニーヌの帽子を渡した後、グランテールにそっと抱きついて涙する場面も非常に切なくて印象的です。
バリケードの最期
市民の助けが来ない中、徐々に追い詰められていく学生たちのシーンは何度見ても涙が溢れます。革命を熱き統率力で率いてきたアンジョルラスと、そこに命をささげる意味に疑問符を投げかけてきたグランテール。正反対のように見える二人ですが、実はお互いのことをとてもリスペクトしていて…その想いが交錯する最初の場面である「共に飲もう」はグッときます。
そして、ガブローシュの死。旧演出ではガブローシュが敵の死体から銃弾を取り出して仲間に渡す様子までを回り舞台で見せていたのですが、新演出からその部分が客席には見えない演出になりました。最初にこの場面見た時、ものすごい違和感を感じたのですが…今年見てみたらそのほうが客席もガブローシュの様子を学生たちと共に胸が潰れるような思いで見守っている感覚になって…。撃たれて息絶えたガブローシュをアンジョが抱え、グランテールに呆然と引き渡す場面はこれまで以上の絶望感が感じられて涙が止まらなかったです😭。新演出の見せ方に自分が馴染んできたのかもなぁ。
そして最期の時、アンジョとグランテールは最後にその想いを確認し合う。死を決意したアンジョが最初に駆け寄った相手がグランだったってことがまず泣けるんですよ…。死に突進する親友の姿を絶望感と悲しみで見送るグランテールが、一番最後に武器を持たず死を選ぶ場面は涙が止まりませんでした😭。
ただ一つ未だに違和感が残るのが、バルジャンの行動。旧演出では最後まで学生たちと銃を持って戦って傷ついて倒れたのに、新演出からはマリウス救出一本に絞って行動している。なので学生たちが死んでいく中でバルジャンだけは銃弾に倒れ気を失ってるマリウスを安全な場所へ避難させようとする行動だけに必死になってるんですよね(その最中の銃弾で傷つくわけですが)。
全ての戦いが終わった後、バルジャンが死んでしまった学生たちを見て絶望感に駆られる演出も新演出ではなくなっているのが個人的にはちょっと残念です。まぁ、目的がはっきり見えるという点では今回の方が正解だとも思うんですけどね😅。
下水道
ここは前回の感想でも書きましたが、映像がすごいです!新演出になって一番好きな場面かも。後ろに映る巨大な下水道の映像が不気味さと美しさを醸し出していてすごい臨場感あるんですよ。
旧演出の光を利用したものも好きでしたが、迫力の映像を見てしまうと…個人的にはこちらの方が好きかもしれない。
自殺
バルジャンを追いつめたジャベールが、マリウスの怪我を見せつけられて思わず病院へ行くことを許してしまう。バルジャンに情けをかけてしまったことで精神の均衡を失い、ジャベールは自ら命を絶ってしまいます。ジャベールが銃を持ってバルジャンを追いつめようとするのは新演出からだと思います。
ここの舞台セットもかなり豪華になって、橋の欄干から飛び込む場面などかなりのリアリティーがあります。ただ、ジャベのみだれ髪がなくなったのはちょっと残念かな。
バルジャンの告白
以前書いた、私がレミゼへの愛を失ったきっかけになった場面がここです。コゼットの献身的介護で元気を取り戻したマリウスに、バルジャンが自分の過去を告白するのですが・・・旧演出版であるとき大変ショッキングな改定がありました。
マリウスと二人きりになった時バルジャンが「もう言うなマリウス」と歌うところまでは同じなのですが、問題はそのあと。現在は「話があるのだ」と突然切り出して「ジャンバルジャンという男がパンを盗んで牢獄に19年」となんの前振りもなく自分の過去を歌っています。私は未だにここだけは納得できない!!
その前までは「もう言うなマリウス」の後に
「わしも話そう、恥に満ちた物語を。君だけには話しておこう。コゼットにさえ聞かせていない哀しい思いをさせる話だ。昔だ」
というフレーズがあったんですよ!!私はいつもここのフレーズを聞くたびに切なくて大泣きしていたので、未だに覚えていてw…いまでもこの場面が来ると自分の中でこの歌を響かせて補完しているくらいです。時間短縮を狙った改定が行われたレミゼでしたが、なぜここがカットの対象にされてしまったのか、未だに謎だし納得できていません。
自分が大好きで思い入れの深かったフレーズを削られたことで、レミゼ熱が一気に冷え込んだのでした(苦笑)。これは私の観劇史の中でもかなり大きな事件でした😣。演出が変わり復活することをわずかながらに期待していましたが…それも果たせないままで…。ほんと、これだけは、無念で仕方ありません。このことを初めて目の当たりにした2003年のショックを未だに引きずってる私です(苦笑)。
エピローグ
バルジャンの命の火が消えかかっているのだという事がはっきり認識できるようになったのが新演出の特徴でもあると思います。旧演出のときよりもバルジャンの弱りっぷりがかなりわかりやすく演じられているので。
この場面で一番泣けるのが、死の間際に駆けつけたコゼットに対して「最後の告白を書いた」と真実の手紙を渡すシーン。「わたしは、父じゃない」の最期のバルジャンの言葉が哀しくて切なくて…ここは涙なしには見られません😭。
そして天国の入り口にたどり着いたとき、自分を変えるきっかけをくれた司教様に再会。ここも新演出ならではの場面で、この対面の時もグッとくるものがあるんですよね。ヤンバルジャンは抱き合っていましたが、福井バルジャンはじっくりと一礼していました。マリウスとコゼットを見守るように天国のみんなが「民衆の歌」を大合唱するラストシーンは何度見ても心が震えます。
主なキャスト別感想
福井晶一さん(ジャン・バルジャン)
前回観たヤン・ジュンモさんのほうが「熱い」感じが伝わってきたのでちょっと物足りなさもあったのですが😅、でも、まっすぐで静かながらも生きるという事に真摯なバルジャンとして福井さんは適役だなと思います。すごくストイックな雰囲気があるんですよね、福井バルジャン。不器用であまり感情をガッと表に出さない系かな。厳しさと優しさを併せ持つバルジャンだなぁという印象が強かったです。
一番印象的だったのはマリウスに去ることを告げる場面。「コゼット信じさせるのだ」と歌った後、「頼むよ」と歌うところを必死のまなざしを向けながら「頼む…っ」と懇願して歌っていたんですよ。あれは見ていてものすごくグッとくるものがありました。
松原凛子さん(エポニーヌ)
エポニーヌのイメージはこのところずっとボーイッシュな感じだったのですが、松原さんのエポニーヌは久しぶりに「あぁ、女の子だなぁ」と実感できるような可愛さがありました。マリウスへの恋心をチラチラと見せているところも、これまで見てきた他のエポに比べるとすごく女性的なものを感じさせてくれたのが印象的でした。
それに、歌唱力が素晴らしかった!エポニーヌの意思が手に取るように分かるような感情表現豊かな歌いっぷりで、「恵みの雨」では思わずボロ泣きさせられてしまいました。
内藤大希くん(マリウス)
見た目はけっこう地味で、登場した時にもマリウスはどこで歌っているのか他の学生と見分けがつかなかったんですが😅、コゼットとの出会いの場面はすごく良かったです。なんか、石川禅さん風味を感じたかなぁ~。好きだったんですよ、禅さんのちょっと挙動不審な最初の出会いのときのマリウス(笑)。「君を困らせた」とアタフタ歌うところなんか、それを彷彿とさせる感じで、めちゃめちゃ可愛かった。
バリケードでエポニーヌの死に直面した後の嘆き方もかなり深い悲しみに沈んでいて、思わず抱きしめてあげたくなってしまったほど。心の脆さみたいな部分が見える内藤君のマリウス、人間的でとても愛しく個人的には好みでした😀。
生田絵梨花さん(コゼット)
アイドルグループ乃木坂46で活躍している生田さん。「ロミジュリ」から本格的にミュージカル参戦して頑張ってますよね。彼女がこうしてミュージカルに進出することで、新しい舞台ファンも出てくるのではという期待もあります。
ジュリエット役のときよりも歌唱力がとても安定していて、とてもきれいな歌声でした。すごく頑張ったんだろうなって思います。ただ、やはり声量の足りなさだけは気になるんですよね。他のキャストがかなり声を張って歌っているのでその部分は目立ってしまうのが残念。あと、綺麗に歌うことに集中して感情表現があと一歩なのも気になったかも。
でもまだミュージカルは駆け出しですし、これから経験重ねればもっといい舞台女優さんになれるんじゃないかなと思います。見た目のコゼット感はすごくピッタリだったし、舞台映えする顔立ちもしているので今後に期待したいです。
駒田一さん(テナルディエ)
駒田さんのテナルディエはこれまで何度か見てきましたが、その中で一番見応えがあって楽しませてくれました!!いやぁ、これぞ、駒田さんがテナルディエに配役された意味があるってもんだなと。これまでは、アクの強さばかりが強調されていて、駒田さんの良さである軽快さがあまり感じられず残念に思っていたんです。
それが、今回はその駒田さんの良さが随所に見られる演出になっていてとても面白かった。特にKENTAROさんのときも面白かった、プリュメ街襲撃シーン。「被害者ナシなら、帰っていいね?」のところで川口ジャベを下から覗きこんで反応を確認ww。その様子がめちゃめちゃ面白かった!そして睨まれているのを悟るとササーっと引いて「こわっっ!!」ってwww。これ見た時、あぁ、こういう駒田テナルディエが見たかったんだ~と嬉しくなりました😁。
鈴木ほのかさん(テナルディエ夫人)
今回のレミゼキャスティングが発表されたときに一番驚いたのが、ほのかさんのテナルディエ夫人でした。初演から91年までコゼットを演じて、97年から01年まではファンティーヌを演じられ(私が観たのはこの時期です)・・・まさにレミゼの儚い女性キャラを代表するほのかさんがまさか、ガサツな夫人になるとはww。あまりに想像できなかったので、ぜひともこの目で見てみたいと楽しみにしていました。
いやぁ~、予想以上に最高にハマっててびっくりしましたよ!!体型はモリクミさんやゆうなさんには劣りますが(それでもかなり体重増やされているようでしたが)、登場の時のコゼットを恫喝する場面は迫力満点の恐ろしさ😱。なんか、新しいほのかさんを見た気がしました。そのあともスカート捲し上げたり、足ボリボリしたり、夫人になりきって演じている姿が新鮮で新鮮でww。だけどなんだろう、憎めないっていうか、すごいチャーミングさもあったんですよね。なんか好感度すら持てちゃうみたいな(笑)。ほのかさんが配役されたのはそういう魅力をもった新しい夫人ってこともあったのかなと納得しました。
結婚式シーンでケーキを貪るとき「これほんま、うまいで!」と関西弁で叫んでいたのには笑ったww。あれ、色んな地域の言葉で言ってるんですかね。全部聞いてみたい(笑)。
大田翔くん(コンブフェール)
今回注目したキャストのもう一人が、大田翔くんです。大田くんは昨年劇団四季の「ウエストサイド物語」でのトニー役で初めて知って、今年の初めには上原理生くんたちと組んだAdamsのコンサートにも行きました。
精悍な顔立ちでレミゼの舞台の中でアンサンブルの立場にいながらもけっこう目を惹きましたね。ソロで歌う場面が少なかったのはちょっと残念でしたが、冷静沈着でいながらも熱さを秘めたコンブフェールを熱演。気品すら漂う新しいタイプのコンブだったと思います。結婚式では「プリンス」とテナルディエに指摘される青年でしたが、それがぴたりとハマっててちょっと笑っちゃいました😋。
とても綺麗で素敵な歌声を持っているので、将来的にはマリウスで見てみたいな。
後述
久しぶりに「レミゼ」を観ましたが、ここにきてようやく新演出に慣れてきたかもしれません。以前見た時よりも印象に残るシーンが多かったし、それぞれのキャストにじっくり向き合って見ることができました。
私がミュージカルを見始めたばかりのころに出会った作品でもあるので、色々と複雑な想いはありますが(苦笑)・・・やっぱり大切な存在だなという事を再確認しました。今後もコンスタントに上演を重ねファンを増やしてほしいと思います。