ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~』博多公演 2022.10.07マチネ

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~』を観に福岡・博多まで遠征してきました。

ちなみに、10月1日に岡山県から山口県へ引っ越しました。かなり急なことだったので、今回のチケットもそれを知る前に確保したものです。何とか日帰りできるかな…なんて思っていたのですが、図らずも福岡がお隣の県ということになり日帰りどころか2時間以内で行ける距離になってしまいましたw。ということで、今回が山口から行く観劇第1弾です。長らく大阪がメインの観劇場所となっていましたが、山口に越したことで次からは福岡がメインになっていくかもしれません(それでも大阪にも東京にも行ける時は行きますけどねw)。

キャナルシティ劇場に訪れたのは2015年に高橋一生くんと瀬戸康史くんが共演した『マーキュリー・ファー』を遠征で見に来て以来ですから、約7年ぶりになります(ちなみに初キャナル作品は2013年の推しが出演していたソンダン)。あまりにも久しぶりだったので、劇場に辿り着くまで軽く迷子になりかけました(キャナルシティ、慣れないとけっこう迷路みたいに感じます 汗)。

劇場は1000人以上を収容できる規模ではありますが、もともとは四季が福岡の常設劇場として作ったこともあってか全体的にけっこう近く感じるし見やすい印象です。今回私は中央よりやや後ろに座りましたが、オペラグラスがなくても肉眼で役者さんの表情が見えたほどでした。
客入りのほうはだいたい7割から8割くらいだったかなぁ。1階席でも少し空席が目立つエリアがあったのが残念です。とても激熱で素晴らしい作品なのに勿体ない…。四季もコロナ禍で公演中止になったあと福岡から撤退してしまいましたし、色々難しいことも多いのかも。

ロビーにはキャストの写真パネルがずらりと並んでいて、皆さん一枚一枚に見入っていました。

どのショットもめっちゃカッコイイ!

ちなみに劇場へ通じるエレベーターもアタタ仕様になっていて、キャナルシティ劇場のこの作品への愛を感じました。

私はこのエレベーターがどこから出ているのか分からなくて結局乗ることができませんでした(苦笑)。

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~』感想一覧

フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~
「フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~」の記事一覧です。

以下、ネタバレを含んだ感想です。

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2022.10.07 マチネ(博多公演初日)公演 in キャナルシティ劇場(福岡・博多)

主なキャスト

  • ケンシロウ:大貫勇輔
  • ユリア:平原綾香
  • トキ:小西遼生
  • シン:上田堪大
  • トウ・トヨ:AKANE LIV
  • マミヤ:清水美依紗
  • レイ:三浦涼介
  • ジュウザ:上川一哉
  • ラオウ:永井大
  • リュウケン他:宮川浩
  • バット:渡邉蒼
  • リン:桑原愛佳

初演からの続投組と再演からの新メンバーとがだいたい半々くらい。それから、初演ではレイとジュウザを伊礼くんと理生くんが交代で演じていましたが、今回からシングルキャストに変更されていました。初演の二人はこの時期『ミス・サイゴン』で全国公演回ってますものね(ちなみに初演マミヤ役だった松原さんもサイゴンで頑張ってます)。あ、伊礼くんはジュウザ継続してますけどね(すごすぎっ!!)。

アンサンブルさんの中には今回中国からのキャストも含まれていました。蔡晓强さんはかつて劇団四季に所属していて『CATS』のミストフェリーズ役で大いに観客を魅了したパフォーマンスを披露していた方。私も数回拝見していますが、本当に美しくしなやかなダンスに釘付けとなりました。
残念ながらどこに出演されていたか発見することができなかったのですが(配信で発見しましたが)、こうしてまた日本の舞台に立ってくれていることがとても嬉しかったです。

あらすじと概要は1月8日公演の記事を参照してください。

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全体感想

やっぱりこの作品は激アツですっ!しかもそれがものすごく心地良い。音楽も物語も五臓六腑に沁み込んでくるよう。ワイルドホーンの音楽と原作のいいとこ取りをしたストーリーが見事に融合していてとても重厚感のある人間ドラマを感じる作品に深化していると思います。

一つ残念だったのは、生オケじゃなかったこと。シオタクターこと塩田さん指揮の生演奏で見れなかったことだけはちょっと残念だなと思ってしまいました。でも、生じゃなくても十分躍動感が伝わってきて心躍りましたけどね。
ちなみに録音源になったのは中国公演に音を持っていくための予定通りのことだったそうです。トークイベント(有料無観客)の時に「これでこれからは色んなところで上演できるね」ってキャストの皆さんが嬉しそうにしていたのでこれでもいいのかなって思えるようになったかな。

新しいキャストも加わったことでさらに魅力が増した今回の”アタタミュージカル”。基本的には大きく変わった演出はありませんでしたが、ちょいちょい変化したり新しく加わった場面もあってより分かりやすくなった気がします。以下、今回気づいた違いについて少し。

一番大きく変わったなと思ったのはレイの物語が追加されたこと。初演ではケンシロウたちがミスミ爺の村に案内された時に登場するという形をとっていましたが、再演ではその少し前にレイが”胸に傷のある拳法使いの男”を探し旅をしているシーンが加わりました。
大切な妹の命を無残に奪ったその男を血眼で探しているという背景もここで語られます。初演ではレイの哀しい過去を想像することしかできませんでしたが、再演でこのシーンが加わったことによって彼の人物像がより鮮明に伝わるようになったと思います。

ちなみに、新たに加わったレイのシーンは客席から登場という演出になっていました。コロナ禍でここ最近の舞台は客席からの演出というものが影を潜めてしまいましたが、少しずつ解禁されているようでなんだかちょっとホッとする気持ちになりますね。

逆にカットされたのが牢獄の番人・ライガとフウガの場面。ケンシロウたちがトキを探すために辿り着いた場所でこの二人に出会うシーンが初演の時はあったのですが、再演ではバッサリここがまるまる無くなってしまいました(汗)。
まぁ、物語の本筋に影響するエピソードではないので問題はないのですが、ちょっと寂しかったかも。

1幕クライマックスの♪決意♪でケンシロウがもがき苦しみながら覚醒していく場面。ここは大貫くんの全身を使った感情表現が大きな見どころになのですが、初演よりもさらにアクションがダイナミックになってました。特に、ケンシロウの鼓動と連動させるようにドラムの音を大きく鳴らし、一つ一つの動きをじっくりと見せる演出は圧巻の一言!もう息を止めて見入るというレベル。素晴らしかったです。有料トークの時に本人が言ってたけど、1分数十秒追加されていたのだとか!!

2幕のジュウザが登場する♪ヴィーナスの森♪の場面。初演の時には森のセットが背景に登場していましたが、今回の再演では映像としての表現に変わりました。こちらのほうがストーリーの流れがスムーズに進むので見やすくなった印象はありましたね。私は舞台の上に釘付けになっていて気付かなかったけど、客席も森の緑色にライティングされる演出になっていたようです。舞台上から見ても圧巻の光景だったかもしれません。

初演との違いで気づいたのはこんなところでしょうか。あまり大幅な手直しみたいなところはなかったと思います。
アクション面では中国の身体能力の高いキャストさんたちが加わったことでさらにパワーアップ。ケンシロウとの殺陣の場面の迫力がすごすぎて終始ドキドキしっぱなしでした。皆さん本当に人間技ではない動きをしてるんだけど、それをものすごく軽やかにダイナミックに魅せているのが本当に衝撃的だった。大貫ケンシロウの北斗神拳がビシっと決まるのはアンサンブルさんたちが的確なアクションで盛り上げているからこそというのも大きかったなと。

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この作品、アクションの凄さに注目が集まりがちではあるのですが(もちろんそれも大きな見どころであることには変わりないけれど)、それ以上に胸打つ人間ドラマが随所に描かれているのが本当に素晴らしいんですよね。一つ一つ挙げればキリがないくらいなんだけど、その中でも特に泣けた場面について振り返りたいと思います。

ケンシロウがバットとリンと旅を続ける途中でミスミ爺と出会う場面。ミスミが命懸けで守ろうとした”種もみ”について「明日への希望だ」と語った時、ケンシロウは「久しぶりに人間にあった気がする」と答えるんですよね。
核の脅威にさらされた世界で極限状態に置かれた人々は、”人間らしさ”を失い狂暴化し他人を蹴落とし自分の命だけを守ろうと必死になっていた。そんな状況を目の当たりにしたケンシロウは戦いの中でも大きなショックを受け傷ついていたと思うんですよね。だからこそ「人間に会えた」と目を潤ませるシーンは、ミスミ爺に彼は希望を見たんだなと思えてグッときてしまう。

ところが、そのミスミも妻のトヨも戦いに巻き込まれ哀しい最期を遂げてしまった…。この二人の死は本当に切なすぎてねぇ(涙)。明日への希望を信じて村のみんなと♪忘れられない恋♪を歌い踊っていた笑顔のシーンが思い出されてなおさら泣けてしまった…。
ちなみにこの♪忘れられない~♪の場面ではケンシロウが生き別れになってしまったユリアに想いを馳せて胸痛めるシーンもあって、これもまた泣けるんだよねぇ(涙)。あの、静かに人を想いながらひっそりと皆の輪から離れていく後ろ姿が切ないのなんの…。音楽もとても美しくて…あれは涙を誘います。

あと、村が襲撃されそうになった時にリンが気丈にも敵に立ち向かおうとするシーンも印象深かったです。ここ、初演でも泣いたんだけど、再演でも心が震えたなぁ。最初は屈服するしかないと諦めムードだった村人たちが、リンやバットの毅然とした態度を目の当たりにして強大な敵に立ち向かおうとしていく過程がものすごく熱く表現されている。♪最後の真実♪のナンバーも本当にドラマチックで、あの場面を観ると気持ちが震え立つような気持にさせられました。
このミュージカルって、メインキャストもすごいけれども”民衆”のパワーもとんでもないんですよ。この熱い想いと想いのぶつかり合いみたいな空気感が作品をより深化させているのかなと今回特に感じました。

トヨさんの最期のシーンで一番泣けるのがバットとのやり取り。トヨは強がっているバットの本当の優しさをちゃんと見抜いてくれていた優しい人だった。バットはそんなトヨを思いやっていたけれどなかなか素直に気持ちを伝えることができなかった。それを察したケンシロウがトヨの死に際に「母さんと呼んでやれ」とバットを促すわけで…もうここのくだりは思い出すだけでも涙が出ます(泣)。最後の最後にやっと”親子”になれたトヨとバットの姿には本当に心打たれました。

1幕クライマックスでケンシロウが悲しみの淵から這い上がっていく♪決意(心の叫び~抗いようもなく)♪は上記した通り動きや段取りが初演とは変わっていて、よりケンシロウの心の動きが伝わりやすくなっています。
多くの大切な人たちの死を目の当たりにし心に激しいダメージを受けたケンシロウが涙を流しながら必死にもがき、立ち上がろうとする姿はほんっとに心が震えました(涙)。そんな彼を、後ろから多くのアンサンブルが歌で盛り上げている1幕ラストはさらに鳥肌ものです!!めちゃめちゃ泣きました(涙)。

2幕で瀕死のトキが命を懸けてラオウと対峙する場面。トキは兄であるラオウを自分が越えるのだと挑んでいったけれど、その本心は…幼い頃に命がけで自分を守ろうとしてくれた優しい兄に何とか戻したいんだという強い気持ちがあったような気がしてたまらないんですよね…。トキは最後までラオウのことを愛しい兄として想い続けていたんだろうなと思うと、二人の対決の結末は泣けて仕方なかったです(涙)。
ラオウもそんなトキの気持ちを察したからか、とどめを刺さずに「おまえは我が最愛の弟だ、身体をいとえよ」と言葉を掛ける。もう弟に残された時間は少ないと知りながらのこの”兄”として気遣う言葉をかけるっていうのがもう、ほんと、切なくてたまらないです…。

ケンシロウがラオウとの最終決戦のために村を出る決意をする場面「みんなが心配だ」と戸惑うケンシロウに対してリンとバットは「村は自分たちが守るから」とその背中を押してやるんですよね。旅を続ける中でケンシロウは二人のことを本当の弟と妹のように感じ接してきたわけですが、その視線がいつも本当に温かくてめちゃめちゃ泣けたんです(涙)。
でも、守る立場だったバットやリンが逞しく成長した姿を目の当たりにして「こんなに立派になったんだ」と感慨深そうな…それでいてちょっと寂しげな笑顔をみせるケンシロウ。特に自分のことを厚く慕ってくれていたバットは彼の中では特別な存在だったと思うんですよね。だから、「強くなったな」と言葉を掛ける場面は見てるこちらも思わずこみ上げてきてしまった(涙)。

最後もバットの頭に手をやろうとしたのをやめて拳で胸をポンと叩き「みんなを頼んだぞ!」とその想いを託すケンシロウ。二人の絆がさらに強まったように思えてさらに泣けたなぁ・・・。この二人の関係性がとても熱くて本当に大好きでした。

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ジュウザとラオウの戦いも熱いんですよね。特にジュウザの最期の場面はとても印象深い。どんなに傷ついても最後まで食らいつき、自らの手で命を終わらせたジュウザ。そんな彼の死に際を目の当たりにしたラオウは「見事な最期だった、丁重に葬ってやれ」と部下に伝える。敵にこんな言葉を真っ直ぐ掛けられる彼はとても誠実な人だなと思えて仕方なかった。それでも彼は戦いの中でしか生きられないわけで…その不器用さがなんとも言えず切ないんですよねぇ。

シンがラオウと瀕死の状態になりながら戦い抜く場面も胸アツです。シンのユリアへの想いはとても未熟だったけれど、様々な経験を経て徐々に本当に愛することの意味を知っていったんだなと今回見て初めて感じました。それゆえ、もう戦う力が残っていないにもかかわらずケンシロウが現れた時に彼に立ち向かい倒れてしまう場面はとても哀しかった…。そしてケンシロウもシンの想いを受け止めて事切れた彼の拳を自分の頬にぶつけるんですよね。ここもめちゃめちゃ泣けたよ(涙)。

多くの仲間の魂を受け継いだケンシロウが歌う♪無想転生♪の場面も鳥肌ものです!!天に送られた仲間たちの技が次々にケンシロウの中に宿っていく演出は見ていてゾクゾクする。
それをラオウが驚愕しながら見入っているのですが、トキとレイが宿っていくのは分かったもののジュウザとシンの魂に関しては「なんだそれは!?」と困惑しているのがちょっと面白かったかなw。ラオウさん、あんなに熱く戦ってたのに覚えていてあげてよーーみたいな(笑)。

2幕クライマックスでのケンシロウとラオウの最後の戦いも圧巻の一言!拳と拳のぶつかり合いはまさに魂の会話のよう。ケンシロウが全てをかけてラオウに戦うことの意味をぶつけているようにも見えたな。その力に圧倒されて戦力が落ちていくラオウの前にトキが「あなたもその胸に愛を刻んでいたはず」と歌いながら通り過ぎるシーンもとても印象深かった。きっとラオウも心のどこかでそれを感じてはいたと思うんだけど、最後の最後まで認めたくなかったんだろうなと…。その不器用さがなんだかすごく泣けた。

そして最後にラオウが拳を突き立てた時、ケンシロウは「これが最後になるだろう」と涙を浮かべるわけで…。血は繋がっていなかったけれどケンシロウの中ではラオウは常に”偉大な憧れの兄”だったんだなと思うと胸が熱くなってしまった(涙)。「弟よ!」「兄さん…」のふたりのくだりは涙なしには見られない…。ラオウの中でも複雑な感情の中でやはりケンシロウは可愛い”弟”であり続けていたんだなと思うと切なくてたまりませんでしたよ(泣)。
自らの命を自らの手で終わらせ天に昇って行ったラオウ。その姿を見送るケンシロウとその仲間たちの魂。とても美しいシーンだった(ちょっとCATSのクライマックスシーンを彷彿とさせるけどね)。

ラストシーン、ケンシロウはユリアと共に再び旅に出る。それを涙ながらに見送るバットとリンの後ろ姿、そして振り返った時の前を向くんだという決意に溢れた表情がとても眩しく見えました。

いやぁ、ほんと、もっと語りたいシーンたくさんあるんですがこれ以上長くなるとアレなのでこのあたりでw。それにしても、ワイルドホーンの音楽はめちゃめちゃドラマチックで心に響くものだらけなんだけど、音程が上がったり下がったりの激しい難曲揃いですよねぇ。これを、あの超絶アクションをしながら歌ってるわけですから…大貫くんはじめキャストの皆さん、超人じゃないですか!?まさに最強の布陣ぞろいでしたよ。素晴らしすぎた!!

長くなったのでキャスト感想と後述は次のページにて。

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