主なキャスト別感想
大野拓朗くん(ロミオ)
いや~~・・・驚きました!!2年前よりも進化した姿が見れたらいいなって思ってたけど、私の想像以上に素晴らしい進化を遂げてくれていました!
特に歌唱力のアップは目を見張るほどでした。大野くんが「エリザベート」でルドルフ役を演じていた頃からすると、本当によくぞここまで…!!と感動するレベル。音程に不安な点もなかったし、声の伸びも素晴らしいしすごくきれい。しっかりと感情も歌声に乗っていたし、あまりにもその進化に感動して思わず涙が出てしまったほどだった。この2年の間に映像作品も含めて(大河ドラマ「西郷どん」でも好演してた)いろんな経験を積んで、舞台俳優として大きくジャンプアップしましたね。その間も歌の勉強を続けてくれていたのが何より嬉しい。
大野くんのロミオは天真爛漫で太陽のような温かさと明るさが魅力。本人も言ってたけど、大野くんの人格がそのまま反映されてるような感じだった。表情がころころ変わるところも可愛いし、仲間たちから全幅の信頼を寄せられるのも納得の好青年っぷりがとても印象的でした。
その明るさの影で忍び寄ってくる不吉な「死」の存在を感じ怯えて歌う♪僕は怖い♪のシーンも忘れ難い。大野ロミオの明るさが際立つほど、やがて来る悲劇への恐怖が浮き彫りになっていくようでとても切なかった。
大野くんはロミオの持つ「明」と「暗」の部分を感情豊かに分かりやすく演じていたのがとても良かったなぁと思いました。
カーテンコールの最後に「この物語が皆さんの心に響いて、少しでも笑顔になって帰っていただけたら嬉しい」というようなコメントを感慨深そうに語っていた姿も感動したなぁ。大野くん、本当に裏表ない良い子なんだろうなって思ってますます好きになったよ。今後もミュージカルの舞台色々チャレンジしてほしい。
古川雄大くん(ロミオ)
大阪公演中に菊田一夫演劇賞を受賞したお知らせが入りましたね!ロミオ役も高く評価されたとのこと、納得です。おめでとう!
古川くんのロミオは儚さが常に感じられる雰囲気が魅力で、今回もその路線が強いかなぁと予想していたのですが…思っていたよりも明るさが前面に出ているように感じられたので少し驚きました。キラッキラしたオーラが満載の笑顔がとても眩しい。でもその笑顔もどこか神秘的で、仲間たちもそんな古川ロミオの不思議な魅力に猛烈に惹きつけられているかのように感じられました。あの雰囲気は古川くんならではだなと思います。
大野くんのロミオは太陽のような明るさがあったように感じましたが、古川くんのロミオは満月のような柔らかい明るさって感じかな。傍にいるとなんだか心が安らぐ、みたいな。ジュリエットは惹きつけられるべくして吸い寄せられたって感じに見えました。
古川ロミオの不思議な魅力は「死」をも惹きつける…っていうか、もう生まれた瞬間から憑りついていたんだろうなって思わせるものがある。それはまるで『エリザベート』のトートがシシィに執着していくかのように。
古川くんはこの次に『エリザ~』でトート(死神)を演じますから、いったいどういうアプローチをしていくのか非常に興味があります。楽しみです。
木下晴香さん(ジュリエット)
前回観た時にはまだ高校生の新人さんでしたが、とてもそうは思えない堂々とした舞台姿を見て驚かされたものでした。あれから2年、さらに大人っぽくなりジュリエットの持つ爽やかな色気のようなものも伝わってきました。
木下ジュリエットはどちらかというと快活で明るいイメージがありますね。ちょっとお転婆なところもあるのかなって思えるくらい。ロミオに向ける愛情もまっすぐでとても清々しい。一度決めたことは曲げない意志の強さも垣間見え、よりロミオに対する愛情の真剣さが伝わってきたのがすごく良かったです。
歌も相変わらず上手い。意志の強さみたいな気持ちがちゃんと歌声に載っているのが印象的でした。
葵わかなさん(ジュリエット)
葵さんのことは朝ドラ「わろてんか」のヒロイン役として知りました。ちなみに今回ロミオ役で出てる大野くんもこの朝ドラに一緒に出てたんですよね(大野くんは芸人さんの役)。私が見た時は古川ロミオとのコンビでしたが、大野ロミオとはどんな感じになるのかも気になるところ。
歌の部分では未知数で・・・某CMでチョロっと歌ってるのを聞いた程度。その印象だと、正直どちらかというと不安の方が大きかったのですがw、実際の舞台だとどんな感じなのかというのはすごく興味がありました。
少し気がかりだった歌は心配したほどではなく、音程は外していないしなかなかいい感じだなと思いました。上手いとは思いませんでしたが、良いなと思ったのは歌声に感情が乗ってるって感じることが多かったことと、客席の後ろの方までしっかりと声が届いていたことです。サラリと綺麗に流れるような感じじゃなくて、一つ一つの声がちゃんと届いていたのは非常に好感が持てました。
この先ミュージカルの経験を重ねていけば、もっと良い歌声に変わるんじゃないかという可能性を感じました。
葵さんのジュリエットはどちらかというとお嬢様感がけっこう出ていたと思います。世間知らず的な雰囲気も感じられたし、なかなかにリアルなジュリエット像に見えました。そして何より・・・可愛い!少し日本人離れした顔がジュリエット役に映えてた。
ロミオへのまっすぐな愛を貫くお芝居もなかなか良かったです。
三浦涼介くん(ベンヴォーリオ)
今回の配役で特に楽しみにしていたのがりょん君でした。「1789」での芝居を見てから一気にファンになったんですが、あれから多くの舞台に出るようになってメキメキと存在感を増していますね。
りょん君のベンヴォーリオはまず見た目から目を惹く美しさ!!彼の個性的な異国風味の顔立ちがヤンチャなベンヴォーリオのキャラをさらに惹きたてているように感じました。ちょっと幼さも見え隠れしててどこか悪戯っ子的なんだけど、友達を想う気持ちはだれにも負けない優しさも垣間見えて…なんだかすごく愛しいベンヴォーリオだったな。
大切な親友の「死」を目の当たりにしたときには本気で嘆き悲しんでて、あの表情見るとこちらも思わずもらい泣きしてしまう。ギラギラした表情もカッコいいけど、こういった繊細な表情は本当に魅力的だなと改めて思いました。
木村達成くん(ベンヴォーリオ)
ここ最近よく名前を目にするようになった木村くん。でも舞台で見たことはなかったなぁ…なんて思ってたら、2年前の『暁のヨナ』で観ていたらしい(汗)。あの時は松下優也くん目当てで行ってたから木村くんのことまで注目できなかった(苦笑)。ということで、実質的にはこれが初見。
これまでは2.5次元の舞台で活躍することが多かったようで、パッと目を惹くようなきらりとした存在感はさすがだなと思いました。特に印象深かったのが目力。目が合ったら思わずドキリとしてしまうようなハッキリと意思を持った魅力的な目の表情がすごく良かったです。
あと、歌もなかなかに上手かった。りょん君よりもちょっとワイルド系なベンヴォーリオはちょっと刺激的で目が離せない。かと思えばコミカルな表情になるとすごく可愛い。そして親友の死を目の当たりにしたときのあの本気泣き…。めっちゃ魅力的!
達成くん、なかなか良い若手の役者さんだなって思った。ちょっとファンになったかも。
黒羽麻璃央くん(マーキューシオ)
黒羽くんは2.5次元の舞台ファンの人から絶大な人気があるということは知っていたので、興味があったんですよね。私はほとんど2.5には行かないのでなかなか見れなかったんですが、今回ようやくその機会が訪れたのですごく楽しみにしていました。
マーキューシオは常に怒りを外にぶちまけているような危ない雰囲気のあるキャラですが、黒羽くんはその感情を実に表情豊かに表現していました。そしてやっぱり目が印象的です。あの目でギラリと睨みつけられたら動けなくなっちゃうw。やはり2.5を多く経験してる若手の役者さんは目が魅力的な人が多いですね。
歌も声がよく出ていたし音程にも不安がなく安心して見ていられました。
ただ、死の間際にロミオに「お前はジュリエットとの愛を貫け」って告げる場面の説得力はあと一息だったかな。その言葉にもう少し説得力が出るようなしぐさや表情がその前に欲しかったなとも思いました。
でもまだ若い役者さんですし、今後の成長がとても楽しみでもあります。
平間壮一くん(マーキューシオ)
平間くんは2年前に続いての続投組ということもあってか、すごく安定感がありましたね。というよりも、さらにマーキューシオの人物に深みが出たなとも思いました。
常にギラギラしていていつ人を刺してもおかしくない危険性をはらんでいるんだけど、ロミオに対する感情はすごく素直で心から信頼しているのが伝わってくる。ロミオと接しているときだけが、マーキューシオの本当の姿のままでいられるんだろうなってすごく思いました。
それ故に、敵方の一人娘であるジュリエットと結婚したと知らされたときは裏切られたというショックでいっぱいになってて絶望的な表情を見せるわけですが・・・それと同時に悲しみや怒りとは全く違う感情も芽生えていることを感じさせるんです。ここの微妙な表情の変化が見えたのがすごく良かった!
心からロミオの結婚を苦く思っていたわけではないというのが垣間見えた故に、死の間際に笑顔で「お前は愛を貫け」と告げる言葉に説得力がありました。その言葉を告げられたことで、ようやくマーキューシオは楽になれたんだろうなって思うと切なくて泣けました。
渡辺大輔くん(ティボルト)
このところ多くの作品で観るようになった渡辺くん。昨年末に見た「オン・ユア・フィート」でのエミリオ役とは全く違う硬派一直線な渡辺ティボルトにちょっとビックリもした(笑)。くっきりとした顔立ちと逞しい体格はまさにこの役にピッタリだと思います。
渡辺ティボルトはすごく野性的でワイルドな印象。鋼の肉体と圧倒的な存在感で他を寄せ付けないカリスマ性があります。以前はその強さのほうがインパクトとして残っていたのですが、今回はその裏に抱えている本当の彼の姿のお芝居がとても印象に残りました。
圧倒的な強さで周囲を従えているように見えるティボルトは、実は心の中では戦い続けることに違和感を抱き苦しんでいます。強さの裏で「憎しみを植え付けられる前の自分に戻りたい」と苦しんでいる姿は哀しく切ない。彼の心を支えているのはずっと片想いしてきたジュリエットの存在だけなのですが、告白もできずに最後には敵対する家のロミオに取られてしまうわけで…それがより深く彼の心を傷つけていくんですよね。
渡辺くんはワイルドさの中に潜む心の奥の見せられない暗さを魅力的に演じていたと思います。
印象に残ったのはロミオに刺される前のシーン。マーキューシオを刺したあと、激しい表情を見せながらも必死に自分の手からナイフを落とそうとしてました。でも握った手は開くことがなく、苦しげに舞台袖へと去っていく。
次に出てきた時には、仲間たちとの宴に身を任せているのですがその表情はどこか空虚で違うところを彷徨っている感じ。そこへやってきたロミオにナイフを向ける時も、凄んではみせるものの彼に対してナイフをすすんで突き刺すようには見えなかった。どんなに憎んでいる相手でも、ティボルトは自ら手を下すことは最後までできないヤツだったんだなって思えてとても切なかったです。
廣瀬友祐くん(ティボルト)
いや~~~・・・なんですか、あの色気はっっ(笑)!!2年前に見た時よりも明らかに色気が倍増されてる廣瀬くんのティボルト見てビックリしましたw。ワイルドではあるんだけど、それ以上に男の妖艶な色気がダダ漏れしまくり。ワイルドさが表に出ていた渡辺くんと見事にキャラが分かれていて非常に興味深かったです。
廣瀬ティボルトは常に悲しみを背負っている雰囲気でした。モンタギュー家への憎しみをぶつけつつも、その狂気の表情の裏に常にやりきれない哀しみを纏っている感じ。劇中に出てくる「死」の存在は廣瀬ティボルトにも向けられているなというのが明確に伝わってきました。
歌い方もめっちゃセクスィ~~です。廣瀬くんってこんな艶っぽい歌い方できるんだって少し驚いた。あの歌声聴くだけで彼の抱えているどうしようもない哀しい感情がビリビリ伝わってきて心が締め付けられる感じにさせられてしまう。まさに、哀しい色気全開なのです。
そしてやはり、ロミオと対峙するクライマックスの芝居は印象に残りましたね。
廣瀬ティボルトはマーキューシオを刺してしまったことで完全に心が崩壊してしまったかのよう。自暴自棄に仲間とつるんでいるシーンになっても焦点がどこにも合っていない感じなのがゾクッとさせられます。そして我を失ったロミオがやってきた時の芝居がすごかった。歯をギリギリと食いしばりながら「ロミオ…ロミオ」と呻いてナイフを見せつけていたんですが、その表情はいまにも泣きだしてしまいそうで…まるで「早く俺を殺してくれ」と懇願しているかのようだった。それ故、ナイフに倒れた後の廣瀬ティボルトの表情はどこか憑き物が取れたかのようにも思えたんですよね。
この一連の芝居が衝撃的に素晴らしかったです。
宮尾俊太郎さん/大貫勇輔くん(死)
ロミジュリのなかで欠かせない存在なのが「死」のダンサーです。時に離れた場所から、時にロミオにまとわりつくようにその姿を現す不気味で妖しい「死」を体全体で表現する難しい役どころ。
宮尾さんは空気のように静かに忍び寄るように…それでも確実にそこに存在する印象。音もなく気が付けば後ろに憑いていた…みたいな恐ろしさがあって何度もゾクッとさせられました。
大貫くんも静かな存在感には変わりないんだけど、目をカッと見開いたりするのでちょっと攻撃的な支配者といったような印象がありました。キャラとしては『エリザ』のトートのような激しい側面をチラチラと感じることもあったりしてなかなか面白かった。
ラストシーンは宮尾さんは体を反ったまま動かなくなるリアクションだったのに対し、大貫くんは痙攣したかのようになってましたね。ここはロミオとジュリエットの愛の力に「死」が屈するシーンと聞いたことがあるのですが、それぞれに表現方法が違っていて興味深かったです。
カテコの二人も対照的。
宮尾さんは最後の最後まで「死」に徹していてほぼ無表情を貫いてて、横にいた渡辺大輔くんが何とかそれを崩そうとちょっかい出しまくってたのが可愛かったww。結局最後にチョコチョコっと手を振るまで持って行ったからね、ナイス(笑)。
対する大貫くんは「死」のイメージから解放されてめっちゃ明るいww。しかもモンタギュー家と一緒に♪世界の王♪のダンスをキレッキレで披露しちゃって超楽しそうだった(笑)。あれ、映像に残るっていうのを意識してのものだったのかな?
大人組キャスト
今回のロミジュリは大人組のキャストが実に豪華絢爛。
キャピュレット家の両親は岡幸二郎さんと春野寿美礼さんのコンビで、モンタギュー家の両親は宮川浩さんと秋園美緒さんのコンビと重厚感たっぷり。
特に、岡さんと宮川さんが対峙するシーンは迫力があってさすがの存在感と唸らされました。惜しむらくは、モンタギュー卿の出番が圧倒的に少ないことなんですよね。宮川さんが演じているのにソロナンバーがないのが非常に勿体なくて…!!なんでモンタギュー卿だけ扱いが薄いのか納得できないぞ~~!
さらに注目すべきは、ヴェローナ大公役に石井一孝さんが配役されたこと!突き抜けるような綺麗な歌声に圧倒的な力強さが加わった表現力。今までの中で一番存在感を強く感じさせるヴェローナ大公でした。公演中にいつもキャストの素顔を紹介するツイートをしてくれていたのも嬉しかったな~。
そしてもう一人注目していたのが、パリス伯爵役の姜暢雄くんです。姜くんがミュージカルに出るのを見るの…何年振りだろうか!?めっちゃ久しぶり。歌はあまり上手くないけどww、芝居がすごく良かったです。
超ナルシストなパリス伯爵ですが、これまでは「どこか人が良さそう」っておもえるキャラが多かった気がするんですよね。それが、姜くんは最初からなにか企んでそうな雰囲気をはらんでいたのがすごく面白かった。今回初めてジュリエットが「パリス伯爵と結婚するのは嫌!」と拒絶する理由がハッキリ納得できた気がしますw。特にロミオが追放になったあと、ジュリエットを確実に手にできそうだと悟った時の「ニヤリ」とした表情が忘れられない。このあたりの表現力が上手いなぁと思いました。
ロレンス神父役には前回大公を演じていた岸祐二さん。岸さんの神父さまは包容力があってまるでロミオとジュリエットの親代わりのような雰囲気がありました。以前はサカケンさんが演じていたのでロミオに「背が伸びたな」って語るシーンで笑いが起こってたんですがw、今回はだいたい同じくらいの背丈なのでサラっと流していたのが逆になんか笑えました(笑)。
圧巻なのは乳母役のシルビア・グラブさん。コミカルで饒舌ながらもジュリエットの本当の母親のように優しく包み込む温かさが滲み出ていたお芝居は胸を打ちました。たとえ敵対する相手の家だとしても、ジュリエットが本当に愛した人を信じる心の広さもシルビアさんならではの演技力で説得力があった。
モンタギュー家に潜入して「UFOおばさん」と笑われながら歌う♪キレイは汚い♪や、ロミオの優しさに触れて♪あの子はあなたを愛している♪を切々と歌うシーンは特に印象深かったです。
ちなみに、乳母がモンタギュー家に潜入したシーンで気になるのが垂れ幕のようなもの。そのなかにある「6twelve」が気になったww。あれセブンイレブンを1個ずらしたやつだよなww!?
後述
今回バランスよく両バージョンを観ることができました。それぞれに違った個性があってすごく面白かったし、ラストシーンは泣きました。8月にはこれが映像化されるのでとても楽しみです。
節約して遠い席からの観劇だったので(なので客席を使った演出が見えなかった 苦笑)DVD化は嬉しい。問題は、どっちかに絞れないことなんだよなーーー。まずは大野ロミオを真っ先に予約してきちゃったけど…古川ロミオもすごく惹かれる。なんといっても廣瀬ティボルト入ってるからなーー。
実は200回公演記念も行くことになってるので、その時予約してしまうかもw。
ちなみに、両日ともにアフタートークショーが行われました。少しメモしてきたので次の記事で紹介しようと思います。
4/2トークレポ↓
4/3トークレポ↓